吸血鬼はダンジョンに潜るか?   作:ユーベル

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今回はミア視点


ギルドへ

私達は無事オラリオに入ることができた。

大崩壊以前の風景とは違うが、どこか懐かしい気がした。

で、私達を運んでくれた商人はというと………

 

「この厳選した素材で巻き上げられた上物の葉巻(プレミアムシガー)、1箱10本入り8千ヴァリス、計20箱。はい、試供品」

「う~ん、確かにこの香りは上物、いや、最上物だ。だが、計16万ヴァリスは安すぎる。1箱1万ヴァリス!」

「いいや、1万1千だ!」

「こっちは1万3千で買う」

 

オリガと商談合戦を繰り広げている。

と言うか、容赦なく高値で売り付けているわね。

こりゃしばらく掛かりそうね。

他の商人まで混ざってセリが始まってるし。

嗜好品をここぞとばかり放出してるし。

あ、おでんパン美味しい。

一応広場の端っこでやってるけど、周りの視線がすごいわね。

取り敢えず護衛費は貰ったでいいけど。

オリガのストレージ内には大量の物資が保管されている。

それも最高の品質でだ。

それを考えると小出し程度に押さえているのかもね。

それでもしばらくはここから動けない。

て言うか、売り出した葉巻吸いながらやってるし。

 

「次はこれ。20年物のブランデー、1本2万4千ヴァリスから」

「5本で12万!」

「いいや、1本3万で木箱2つ!」

「だったら1本3万5千!」

「おいこら主神、予定が入ってるんだからさっさと行くぞ!」

「1本だけでも「ダメ!仕事が先!」そんな~」

 

なんか商人じゃないのも混じってきてるわね。

それにしても、オリガの声ってよく響くわね。

あまりしゃべろうとしないけど。

屋外だから簡単にしか淹れれなかったけど、いい感じになったわ。

紅茶美味しい。

 

「おい!有るだけy」

ドゴシャァ

「土に帰れ」

 

あ、馬鹿がでた。

おーおー、金目のもの全部没収されてやんの。

服ひんむかれて晒し者になったわね。

あの様子だと、引きこもるか自殺するわね。

ケンカ売った相手が悪すぎるしね。

オリガの前世であるイムカに聞いた話では、武闘派商人をしていた頃も有るそうだ。

その時扱っていた商品は、嗜好品から武器、消耗品まで何でも取り扱っていた。

それこそ、非合法ギリギリな品まで。

それでも、麻薬と人身売買だけは扱わなかったそうだ。

『人をただの犬畜生に落とすような商品や取引はしない。それが商人だった頃の矜持』だと、言っていた。

つまり、商人としての品位や信頼を揺るがす様な輩には問答無用で一切の加減無しに、根こそぎ資金を奪い正攻法で潰して行ったそうだ。

逆に誠心誠意を込めて取引した商人達は最高の商品を手に入れて大きく成っていき、彼女の商会といい関係を築き上げたそうだ。

そうして着いた二つ名が『怒らせてはいけない商人(アンタッチャブル・マーチャントゥ)』『幸運をもたらす商人(ハッピー・バイヤー)』。

まあ、副次的に治安が良くなったのは嬉しい誤算だったと楽しそうに言っていたけどね。

本人としてはいい取引をするために走り回った結果らしいけど、周りはどう思っていたのかしら。

 

「セリ終~了~。まいどあり~」

「いや~良い品が手に入ったぜ」

「嬢ちゃん、またやってくれよ!」

「次は掲示板に何処でやるか貼っとく」

「頼むぜ!」

「そんな………速く仕事終わらせて来たのに………」シクシク( ;∀;)

「あんたがチンタラしてるからだろうが馬鹿神」

 

あ、終わったみたい。

で?幾ら儲かった?

 

「6億ぐらい」

 

儲かりすぎ!?( ゚Д゚)

いや、嗜好品と消耗品が多かったから妥当なのかしら?

 

「予想より時間かかった。ギルドに行くよ」

 

あれだけ白熱すれば当たり前でしょ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

オラリオの街並みはどこか懐かしい気がするのは、もう名も忘れてしまった故郷にどこか似ているからかしら。

騎士(ナイト)に成りたがってたニコラと遊んだ公園、買い物に出掛けた街の喧騒。

どこか懐かしく感じる。

イオは生まれが生まれ故に珍しく感じているみたい。

オリガは…………無関心、なのかしら?

むしろどこか苛立っているように感じられる。

彼女は私の知らない人生をたくさん歩んできた。

そのなかでここと似たような街を見たことがあるのだろう。

それは彼女しか解らない事。

だけど、こういう街には彼女の嫌うことも多い。

例えば…………

 

「よお、姉ちゃん達。ちょっと俺達と付き合っちゃあくれんか?」

「安心しな。そこまで時間は取らせねえよ」

 

こんな馬鹿共。

しかし声を掛ける相手をおもいっきり間違えたわね、このお馬鹿さん達。

私には解らないけど、今オリガの目には犯罪者の表示が見えている(・・・・・・・・・・・・)でしょうね。

そんな相手に対して彼女は容赦しない。

泣こうが命乞いしようが、周りの抑制を無視して痛め付ける。

 

「犯罪者風情が、ジャマ」

ゴスッ

「お……ご………」チーン(タマキン蹴り潰された

「あ、兄貴ぃ!このアマァ!兄貴の息子になn「ウザイ」」

ガシッメキメキメキメキメキメキ

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア」(アイアンクロー

 

うん、こうなる。

オリガは握力を始め、在りとあらゆる身体能力は全吸血鬼(レヴナント)の中でもトップクラスのものだ。

さすが女王陛下、といったところね。

ジャックに聞いた話では、元々Q.U.E.E.N.計画の披検体としてクルスさんと共に参加していたみたい。

なんでも、クルスさん以上の適合値を弾き出していたみたいで、二人のおかげで研究がかなり進んだみたい。

そんなある時、クルスさんが実験に耐えきれず暴走してしまい、Q.U.E.E.N.計画はクイーン討伐戦にシフトしてしまったと聞いた。

勿論、オリガも討伐戦に参加した。

もう一人のクイーンとして、吸血鬼の未来は拓くために。

そして、その終盤でクルスさんに致命的な一撃を与えたのがオリガだった。

でも、女王を討伐した代償は大きかった。

オリガは最後の一撃を吸血牙装でおこなったため、クルスさんの血を大量に飲んだそうだ。

そう、もう一人のクイーンの血を。

2つのクイーンの血は混ざろうとして、強烈な拒絶反応を引き起こした。

そして、新たなクイーンが生まれないように、ジャックの手で止めを刺されたそうだ。

ただし、心臓を外しさえしなければ。

うん、心臓から逸れていたみたいで復活できたみたい。

名前以外の記憶を全て無くし血骸の継承者として。

新たなクイーンの候補として。

その結果が、血涙の大樹なのだけど。

 

「このゴミ共の有り金全部置いて連れてけ、ゴミクズ社会不適合者共」

「「は、はいーーーーーーーーーーー」」

 

あ、終わった。

何人か股間から血が出てるけど大丈夫かしら?

ま、私には関係無いか。

でも、あいつ等の血不味そう。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

トラブルは有ったものの、ギルドに到着した。

ギルドの外見は大崩壊以前にテレビで見た何処かの神殿に似ていた。

でも、視線がウザイ。

珍しいのかもしれないけど、正直値踏みされる視線は嫌いだ。

少しだけオリガの気持ちが解ったかも。

こんな視線を向け続けられれば不機嫌にも成るわね。

ましてや、私達は血生臭い(・・・・)

でも、それが私達の普通。

堕鬼に堕ちた同胞を殺し、血涙を巡り同胞同士で殺しあってきた。

姿形が変わっても、人間同士で殺しあっていた事にはかわりないのだから。

ああ、オリガの事だから絶対になにかやらかすわね。

ここでも。

ま、何時もの事か。

 

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