吸血鬼はダンジョンに潜るか?   作:ユーベル

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今回はオッタル視点です。
オリガに敗けた彼は何を思ったでしょうか?


オッタルの独白

~オッタル~

負けた…………。

この私が負けるとは。

このオラリオでたった二人しか居ない頂点(レベル7)に立ち、はや数ヶ月。

自惚れがなかったとは言わない。

それでも、その座に相応しい鍛練を続けて来た。

だがしかし、此度の敗北は…………………悔しい。

彼女(オリガ)とは実力に差があるのは解っていた。

だが、レベル差を考えればこちらが有利なはずだった。

しかし結果は、双振りの愛剣を奪われ破壊され、致命傷を負ったと判断された。

彼女は一歩も動かず傷一つ無い。

それに対して私は、左腰から右脇に掛けて傷を負った。

止血の為にハイポーションをかけたが、抉られたかのような痕が残ってしまった。

そう、彼女の最後の鍵爪による一撃が、そのまま残ってしまったのだ。

普通、この程度の傷ならばハイポーションで完治するはずだ。

しないと言うことは、再生を阻害されているのか、若しくは再生出来ないと言うことだ。

つまり私は、敗者の烙印を刻み込まれたのだ。

だが、再生を阻害されているのなら傷はふさがらないはずだ。

ならば再生する部位が消失していると言うことになる。

だがどうやって?

あの鍵爪が原因か?

あの鍵爪には何かがある。

だがそれは解らない。

今は捨て置くとしよう。

しかし、胸中には悔しいと言う感情が渦巻く。

ああ、何時ぶりだろうか。

このような感情を抱くのは。

忘れていたモノを思い出すこともできた。

「悔しい」と言う感情とは裏腹に、何処か清々しく感じる。

 

彼女は仲間と共にファミリアを探していると言った。

つまり、冒険者になると言うこと。

神の恩恵無しでレベル7である私に勝てる強さを持つ。

そんな存在が恩恵を手に入れたらどうなるのか、恐ろしくも楽しみでしょうがない自分が居ることに思わず笑みが零れる。

だから、私の目標は定まった。

初心に戻り、一から鍛練をし直そう。

そして、彼女に勝てるように力をつけなければ。

彼女は恐らく素の状態で、レベル8以上の強者と言うことだ。

その素の状態の彼女に傷一つ付ける事ができれば、それは立派な偉業と言えるだろう。

まずはそれを目標として鍛練をし直そう。

むしろ彼女自身に鍛練の教官役を申し込んだ方が効率が良いのではないか?

それよりも、彼女達を案内した方が良いかもしれん。

今の時期は闇派閥(イヴィルス)の手の者が何処に居るか解らない以上、色々と絡まれるだろう。

ならば、せめてもの詫びとして彼女達が行こうとしているファミリアの入り口まで案内しよう。

フレイヤ様は…………一緒に来ていただくか………。

その方が守り易いからな。

彼女達の方は全くいらなさそうだが。

しかし………あれ程の身体能力と技術はどうやって手に入れたのだろう。

想像を絶する鍛練と数多の死線を潜り抜けたに違いない。

そうか、私は今の地位に満足してしまい腐っていたのか。

組織が大きくなるにつれて人の心は腐ってゆく。

そして強くなるにつれて、その強さに酔いしれてしまい助長してしまう。

だが彼女にはそれがなかった。

もしかしたら、彼女の様な人間が『英雄』と呼ばれるようになるのだろう。




オッタルさん、オリガはすでに英雄と呼ばれてますよ。
と言うか、本人からしたら足掻き続けた結果でしかないんですけどね。
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