黄金獅子はもういない   作:夜叉五郎

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佐官編

<宇宙暦792年/帝国暦483年5月>

 

 ヴェレファング・フォン・クロプシュトック二十一歳。

 ゴールデンバウム朝銀河帝国軍における階級は少佐。

 

 第五次イゼルローン攻防戦に駆逐艦エルムラントIIの艦長として参戦するヴェル。

 艦長への就任時に祖父ウィルヘルムに優秀な部下が欲しいと漏らしたら、何やらかつての伝手を使ったらしく、ヴェル的にはかなりの大物がやって来た。

 レオポルド・シューマッハ中尉(二十七歳)がヴェルの副官となる。

 愉悦である。

 

 頼れる副官の登場にヴェルは安堵する。

 この時以降、ヴェルは面倒ごとは全てシューマッハに丸投げするようになる。

 褒美にやたらと辛い麻婆豆腐を振る舞おうとするヴェルに辟易するも、次第にその味にハマっていくシューマッハ。

 奇妙な主従関係が出来上がる。

 

 同盟軍のシドニー・シトレ大将率いる艦艇は五万隻を超える。

 初戦でシューマッハに采配を任せて敵の巡航艦を撃破した後は、ヴェルはエルムラントIIを大人しく後退させた。

 味方ごと同盟軍を撃滅するトールハンマーの射線上から逃れ、追い討ちで更に戦果を上げる。

 

 巡航艦撃破の功績によりヴェルは中佐に昇進。

 副官のシューマッハも大尉に昇進する。

 

 

 

 

 

<宇宙暦792年/帝国暦483年12月>

 

 ヴェレファング・フォン・クロプシュトック二十一歳。

 ゴールデンバウム朝銀河帝国軍における階級は中佐。

 

 巡航艦ヘーシュリッヒ・エンチェンの艦長に就任したヴェルは、副官のシューマッハとともに同盟領への単独潜入任務に就く。

 指向性ゼッフル粒子発生装置を持ち出したヘルクスハイマー伯爵の同盟領への亡命阻止が目的であった。

 ワーレン少佐が副長となり、ベンドリング少佐が監察官として同行する。

 

 イゼルローン回廊から同盟領に潜行し、ヘルクスハイマー伯爵の亡命船を拘束。

 減圧事故で伯爵一族はマルガレータ嬢以外死亡してしまっており、指向性ゼッフル粒子発生装置はプロテクトされていた。

 シューマッハにマルガレータの持ち物の調査を命じ、クマのぬいぐるみの中からプロテクト解除コードをゲット。

 ベンドリング少佐に命じてプロテクトを解除させ、装置を回収して亡命船を破棄し、悠々と帰還航路を航海して帝国領に帰還する。

 尚、ベンドリング少佐のブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム公のスキャンダルに関するファイルの消去は、敢えて見て見ぬ振りをする。

 

 ヘルクスハイマー伯爵の唯一の生き残りのマルガレータについては、自らが後見人となる事を宣言する。

 オーディンでの裁判中はアンネローゼにマルガレータの面倒を見させた。

 マルガレータはアンネローゼに非常に懐き、クマのぬいぐるみにアンネローゼと名付けるまでとなる。

 僅か十歳という年齢も有り、予想通りに裁判ではマルガレータの無罪が確定する。

 その後はブラウンシュヴァイク公の手の者に暗殺されぬよう、クロプシュトック星系の自領にその身柄が移される。

 フレデリカの仕事にマルガレータのお守りも追加され、ここでもマルガレータはフレデリカと良い関係性を築くに至る。

 

 マルガレータを保護した結果として、ヴェルはブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム候の両巨頭の反感を買ってしまった。

 この時初めて銀河帝国の政界と貴族界にて、ヴェレファング・フォン・クロプシュトックの名前が注視される事になる。

 

 秘密任務を見事スマートに解決して見せた事でヴェルは大佐に昇進。

 副官のシューマッハも少佐に昇進を果たした。

 

 

 

 

 

<宇宙暦793年/帝国暦484年4月~5月>

 

 ヴェレファング・フォン・クロプシュトック二十二歳。

 ゴールデンバウム朝銀河帝国軍における階級は大佐。

 

 帝都憲兵本部に出向中だったヴェルが、副官のシューマッハと共に幼年学校の殺人事件の捜査に当たる。

 学年首席のモーリッツ・フォン・ハーゼが現場を案内してくれるが、その途中にトイレに立ち寄るヴェル。

 赤いハンカチをトイレの緑の床にわざと落とし、ハーゼに拾ってくれるよう頼むがハーゼはハンカチを見つけられず動揺。

 犯人のハンデキャップと殺害理由を暴いて、事件を速攻解決してしまう。

 わずか数十分で事件を解決して見せたヴェルは、その功にかこつけてさっさと准将に昇進させられ、憲兵本部から追い出されてしまう。

 

 その数日後にアンネローゼの父のセバスティアンが肝硬変で死亡する。

 酒の飲み過ぎであった。

 これでアンネローゼがクロプシュトック家に奉公する理由は無くなってしまう。

 

 しかしヴェルにはアンネローゼを手放すつもりなど毛頭無い。

 セバスティアンの葬儀を全て手配した後、このまま側に留まってくれるよう全力で口説き落としに掛かる。

 あまりの必死さにアンネローゼも苦笑する他なく、ヴェルは承諾の言葉を得る事に成功する。

 

 ちなみにフレデリカとの事はまだアンネローゼには内緒であった。

 

 

 

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