アインズ・ウール・ゴウンが幻想入りしたようです。(再投稿)   作:TubuanBoy

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竹林-2

-----迷いの竹林-----

 

タケノコを持ち、走る二人。

 

 

「………………」

「…相手に背を向け、逃げ帰る………あまりカッコ良い姿とは言えないな…………」

 

「いえ、賢明な判断だと思います。

もし、サトル様が危険を覚悟で戦うというのであれば私は命をかけてお守りします。

しかし、危険な目に合わないに越したことはありません。」

 

逃げるも兵法という言葉があるがまさにその通りだと感じる瞬間だろう。

 

藤原妹紅は緊急時における人里の防衛の切り札、その力はおそらく幻想郷でも上位の存在である筈だ。

 

その妹紅があれだけ気を荒立てたのだ。人としてスペックダウンしたサトルとそれとどっこいどっこいのナーベラルでは不安が残る。

残って巻き添えを食らったらたまったもんじゃ無い。

 

「だが、藪を突っついてみようか。」

 

ニヤッと少し、足を止めるサトル。

ナーベラルもわかっていたといった様な反応を見せる。

 

幻想郷の注意人物の情報は少しでも大いに越したことは無い。

 

「ナーベ、〈千里眼(クレアボヤンス)〉と〈水晶の画面(クリスタルモニター)〉だ!」

 

サトルはアイテムボックスから〈巻物(スクロール)〉を取り出し、ナーベラルに渡した。

 

「〈千里眼(クレアボヤンス)〉…〈水晶の画面(クリスタルモニター)〉…」

 

ナーベラルの発動した魔法で二人の戦闘の様子を覗き見、それをサトルにも見せる様に画面化させた。

 

 

映し出された戦闘は想像を絶するものであった。

 

《「呪札『無差別発火の符』!!」》

《「神宝『ブリリアントゴッドバレッド』!》

 

※音声は聞こえていない。

 

藤原妹紅と輝夜と言われる女性の戦いは先日体感したレミリアやパチュリーの戦いに引けを取らないものであった。

 

藤原妹紅は炎の術をメインに戦う。

背中に聳える炎の翼はフェニックスを彷彿とさせる。

これが話に聞いた妖術という奴か。

 

 

輝夜と呼ばれる女性の方は幾つかの宝具を自分の周りに展開している。

そこから繰り出される攻撃から神アイテムクラスの代物だと推測できる。

 

「(100LV帯と比べても遜色無い。

レミリアと良い、ここにはあと何人の強者がいるんだか。…

 

それにしても…

 

これが人間が出来る戦いなのかよ!?……)」

 

藤原の妹紅は妖術が使える人間だと聞いている。

 

相手の女性はもしかしたら人間じゃ無いかもしれないが今の所、妖怪らしい素振りはしていない。

 

 

レミリアが言っていた。

 

ここには妖怪なんか平気で圧倒してくる人間が居る………

 

てっきり自分の従者の咲夜の事だと思った。

彼女の能力は強力だし、それ以外の力もバランス良く強かった。

動揺を誘いハメたから圧倒できたが時間対策ができていなかったらやられていたのは自分だったかもしれない。

 

しかし、目の前に広がる光景を見るとレミリアの言葉が真実であったことを裏付ける。

 

「(これは、退散して正解だったかもしれないな………

人間の姿のままだと力が制限されてるし……)」

 

 

二人が少し離れた場所で戦闘を覗き見ていると戦況が徐々に変化していく。

 

「(…………あ!……………)」

 

徐々に妹紅が押されだしたのか、実力が拮抗したもの同士の戦いではちょっとした精神状態の変化が左右する。

 

そう、妹紅は先に帰した二人の事が心の何処かで気になっていた。

 

 成り行きだが二人は生まれて初めての後輩、それを初任務からこんな事態に巻き込んでしまった。

 実力的には十分だし道もわかっているとはいえ危険なこの地から二人だけで帰したことに負い目を感じていた。

 

「……………」

 

相手の女性はマジだ。

本気で妹紅を殺しにきている。

このままではやられてしまう。

 

「(………助けに行くことは可能だろう………しかし、リスクが高すぎる………)」

 

女性がまだ、どういう存在なのかはっきりしないうちは下手に手を出すと面倒ごとになる可能性が高い。

 

最悪、サトルとしてだけではなく、正体を見破られアインズとしても面倒ごとに巻き込まれる可能性ができてしまう。

 

そもそも、人間状態でレミリアクラスと戦うこと自体が危険だ。

 

そんな時、サトルは妹紅とのやりとりを思い出した。

 

『足手まといだけは勘弁だからなぁ』

『なんだよ、その屁っ放り腰は……』

 

口は悪いし、ヤンキーっぽいところはサトルの苦手なタイプと言って良い。

出会ってまだ二、三日しかし立っていないから大した思い出があるわけでは無い。

 

下手したら死を招く様な戦場に赴く理由にはだいぶ不足している。

だが………………

 

 

 

『困っている人が居たら、助けるのは当たり前!!!』

 

 

 

サトルの頭の中にかつての仲間の言葉がよぎる。

それは異形種差別により迫害されついた、まだ弱かった自分を助けてくれたギルメン【たっち・みー】さんの言葉であった。

 

サトルは決心がつき、ナーベラルに向かって言った。

 

「初対面の人間には虫程度の親しみしか無いが、どうも話してみたりすると小動物に向ける程度の愛着が湧くな……

行くぞ、ナーベ。あの女に借りを作るのも悪く無い。」

 

「ハッ!御身の御心のままに。」

 

輝夜に追い詰められ、地に膝をつく藤原妹紅。

 

「くっ!!……………」

 

上空から妹紅を見下す輝夜は呆れと怒りを覚えていた。

 

「これならあの二人を逃すんじゃなかったわーー。

まだ、逃げ回る貴女を追い回した方が楽しかったわ。」

「……………」

 

輝夜は空に手をかざし、大きめの弾を作った。

 

「いっぺん死んできなさい。」

 

輝夜は手を振り下ろし、大玉を妹紅に落とした。

 

〈次元の移動〉(ディメンジョナル・ムーブ)!!」

 

突如現れたナーベに抱えられ、大玉を回避することが出来た妹紅。

 

「おい!お前!何で戻ってきた!!」

「黙れ、ゴミ屑。サトルさんの命令でなければお前なんかのために戻っては来ない。」

 

 

輝夜はナーベラルの魔法に異様な驚きを見せていた。

 

「!!…………今の!?…………」

 

初めて見る魔法に驚いているのだろう。しかし、二人の作戦は落ち着かせる暇を与えない。

 

バチバチッ!!

 

 輝夜が浮いている位置よりも上から電気が流れる音がする。

 輝夜が振り向くとそこには大魔法を打つ準備をしているサトルがいた。

 

「〈万雷の撃滅(コール・グレーター・サンダー)〉!!」

 

雷を何本も束ねた豪雷が輝夜に降り注ぐ。

 

「ぐっ!…………(こ…………この魔法も……………)」

 

 落雷を受けて怯む輝夜を見て喜ぶサトル。

「(よっし!最大レベルにも通用する雷魔法があたった!!

あとは撹乱して妹紅さんを連れて撤退だ!!)」

 

 ここでサトルは先ほどとは反対に、威力は期待できないが相手を足止めするのに最適な魔法アイテムのを発動させた。

 

 

 

 

 

「火符『アグニシャイン』!!!」

 

 

 

 それは符の形をした魔法アイテム。

 術を唱えると無数の火球弾幕が輝夜を襲う。

 

 幻想郷のスペルカードは自らの力の一部を閉じ込めたカードというわけではない。

中にはルール上カードを掲げているだけですぺカードがなくても発動できるのものも多々ある。

 

 だからスペルカードを取られてもそいつが使えるわけではない。

 

 だがこれはパチュリーが考え作った術式が組まれたもので必要なものは『魔力』つみるところMPである。

 

ボンッ!!

 

 スペルカードが爆発した。

 別に一回だけの使い切りじゃない。

 寧ろ何回も使えるはずだ。

 理由はこのスペルカードはパチュリーがアインズ達でも使えるようにユグドラシルの魔法〈火球(ファイヤーボール)〉の術式を元に作ったもの、いくらパチュリーが天才でも数日でユグドラシルの魔法を理解し習得することはできない。

 わからないところを適当に作ったツケだ。

 

 

「(やはり…まだ試作品か……だが、この世界のスペルカードは戦闘面では非効率だが撹乱には最適だ……)」

 

 雷撃を受けた輝夜は避けられない。

 輝夜は自分の持つ宝具を使い、火球を防ぐ。

 

「(今度は…紅魔館の魔女の……!!)

『火鼠の衣』!………」

 

 サトルは火球による足止めは成功したと思い。

 二人は離脱準備を始めるのだが………

 

「逃げますよ!妹紅さん!」

「馬鹿野郎!気をぬくんじゃねぇ!」

 

 妹紅が叫んだ瞬間、輝夜はある術を発動させた。

 

 多少の被弾を火鼠の衣を纏い防ぎながら、直撃だけを回避し弾幕を掻い潜ってきた。

そのスピードはありえないほど早く、まるで

 

 彼女だけ生きている時間帯が違うよう。

 

 

 スピード上昇系の術でもない、発動前後に硬直が入る転移系でもない。

 そう、これは

 

 

「(まさか、こいつも時間操作系!!……)」

 

 

 輝夜は弾幕を掻い潜り、サトルの眼の前まで接近した。

 弾幕を御構い無しで接近したため、幾つかの火球を食らった輝夜は火鼠の衣をかぶっているとは言え所々に火傷が確認できる。

 

 その身体で無理やり掴みかかろうとする輝夜。

 その姿はそこいらのゾンビより怖く、恐怖を覚えてもおかしくはない状態であった。

 

 

「…お前ェェェ!さっきの魔法をどこで覚えたぁぁ!!」

 

「サトル様!!」

 

 叫び散らしサトルに掴みかかろうとする輝夜。

 主人の危機に駆けつけようとするナーベラルだが、間に合いそうに無い。

 

しかし、二人の間に傷ついた体を無理に動かし、妹紅が割って入った。

 

「……お前の相手は私だろうが!!

蓬莱『凱風快晴-フジヤマヴォルケイノ-』!!」

 

3人の交錯はスペルカードの暴発を産んだ。

 


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