アインズ・ウール・ゴウンが幻想入りしたようです。(再投稿)   作:TubuanBoy

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紅魔館-1

-----第九階層・アインズ自室-----

 

 モモンガがアインズに改名して数日、アインズは遠くの風景が見える大きな鏡のようなアイテム〈遠隔視の鏡〉(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)を使い周囲を探索しながら考え事をしていた。

 

「(異変を起こすとは言ったがまずは情報を集め無いとな)」

 

 紫からの情報によれば力を持った妖怪が幻想郷入りするとまず最初に異変を起こすらしい。

妖怪が人間の恐怖心を糧とするなら異変は重要だ。

 

 

 これは我々ナザリックのもの達が幻想郷中にその名を知らしめるための第一歩であり最も重要なデビュー戦だ。

 下手なことをして失敗したり恥を掻くようなことは避けなければならない。

 

「(できれば妖怪と人間、両方の視点からの情報が欲しい…

 

 人の方は人里に降りるしか無いな…

位置は特定できたし八雲紫からもらったアレ(・・)もあるし、変装して潜り込むか。

共は出来るだけ人間に近い容姿を持つものを選んでと……

 

妖怪の方は近隣を捜索しているアウラとマーレに期待するしかないかな…)」

 

 現在ナザリック近郊には森林が広がっている。

 アインズは双子に周囲の植生や生態系、近隣の妖怪や妖精の探索を命じている。

 

 これは情報収集と共にナザリックの防御面の強化が目的だ。

 地の利を知れば守りやすくなるし、周囲の勢力を利用することも取り込むことも出来る。

 

 だが、情報収集と言う面ではこの数日は結果が出ていなかった。

見つかる妖怪は知能が低く会話こそできても反抗的でこちらの力も理解できない愚か者ばかり、そんな妖怪は捕まえてアインズの魔法の実験の被験体になってもらっている。

 

 どんな魔法が効いてどんな魔法が効かないのか、など様々な用途に使っている。

更にアインズのスキルにより殺した後もアンデッドにして支配する鬼畜っぷりである。

 

 これはアインズがアンデッドになったことによる精神的な変化が影響している。

 

 

「(あんな雑魚妖怪なんかじゃ話にならない…

あれでは八雲紫からの情報の嘘偽も確認できない……

できればある程度の知識を持った妖怪から情報を引き出さなければ…………)」

 

 知識のある妖怪はその殆どが何処かの勢力に属しているし、それ自体も強力な力を持っている為リスクが高い。

 

 何処かの勢力に接触することも含め、アインズはどう動くべきかを考えていると鏡にある建物が映った。

 

 

 霧が立ち上る湖のほとりに聳え立つ洋館。

 屋根も壁も血のように紅く薄気味悪さを引きたてていた。

 

「(妖怪の根城か?…趣味悪いな…)」

 

鏡の表示を近づけると突如、画面に大量のノイズがかかり見えなくなった。

 

「ほう、ジャミングか、攻性防壁では無さそうだが当たりだな…」

 

 ユグドラシル時代でも情報は非常に重要なものであり相手の情報収集(サーチ)系の魔法に対策を立てるのは常識であり、ギルドでも対策込みの情報収集が重要視されていた。

 

「(魔法かスキルかはわからんがそういった事が出来る輩がいるとわかっただけでもまずは収穫だな。

だが、どう出ようか…)」

 

 異変もまだの新参者である自分達ではあまり強気に出るのは好ましく無い。

 争いになるとしても最低でも不可抗力的な大義名分が欲しい。

 

アインズが策を練っていると守護者の一人が部屋を訪ねた。

 

こんこんこん!

 

「だれだ?…………」

「アインズ様、シャルティアでありんす」

「そうか、入れ。」

 

シャルティアは部屋に入るとスカートを少し上げ、お辞儀した。

 

「至急、アインズ様にご報告したい事があります。」

「何だ?」

「これでありんす。」

 

シャルティアはポッケから一匹の蝙蝠を取り出した。

 

「眷属の蝙蝠がどうかしたのか?」

 

吸血鬼であるシャルティアは眷属である蝙蝠や魔獣を召喚する事が出来る。

 

「わたしのではないでありんす。」

 

 シャルティアは訳を説明し始めた。

 先程、第一階層に侵入者が確認され、その侵入者こそ、この蝙蝠であった。

 

大した戦闘力もなくNPCに攻撃を受け絶命していたが、シャルティアがこの蝙蝠が持っている手紙に気がつき回収したのだ。

どうやらこの蝙蝠には『此処の主に手紙を届ける』と言った命令が下っているようだ。

 

 シャルティアはそこまで話すとポッケから手紙を取り出しアインズに渡す。

 

「これが手紙でありんす。」

「かしてみろ。」

 

すると蝙蝠は消え去り、手紙にかかっていた魔法が発動した。

 

 その魔法は攻撃性のあるものではなく、ただ立体的な映像と音声を伝えるもののようだ。

 

『御機嫌よう【死の王】(オーバーロード)

あなたの事は隙間の式から聞いたわ。』

 

 手紙から飛び出た映像は少女のものであった。

 水色髪、紅と白を基調としたドレス風の服、背中には蝙蝠の翼が聳え立ち瞳は血のように赤く。ニヤつく顔には飛び出た犬歯が見え隠れする。

 

「(隙間の式?…会ったことはないが

それより子供…いや、あの翼に牙はやはり吸血鬼だな…ならばさっきの蝙蝠はこいつの眷属か。)」

 

子供かと思い少し拍子抜けるが吸血鬼……いや、アンデッドなら見た目と実年齢に差異があっても不思議じゃ無い、アインズは再び気を引き締める。

 

「(にしてもこの世界にも吸血鬼がいたんだな、妖怪って言うんだからてっきり東洋が起源のものばかりだと思ったが…

きっと西洋の魔物や怪物もひっくるめての【妖怪】という括りなんだな…)」

 

 

『私は湖のほとりにある洋館【紅魔館】の主にして【夜の王】レミリア・スカーレットよ。

我々、紅魔館一同は幻想郷の先達者としてあなた達を歓迎するわ。

つきましては交友の証として貴殿を【お茶会】にご招待いたします。

日時と場所につきましては手紙をご参照に

では、お会いできる日を楽しみにしているわ。』

 

 

そうして手紙からの映像が終わった。

 

「(どう、アプローチをするか悩んでいたが向こうから招いてくれるなら都合が良い。)

シャルティア…」

「はい。」

 

「私は手紙の返事を書く、そうしたらお前の眷属の蝙蝠に手紙を運ばせて貰いたい。」

「かしこまりました。では出席なさるのでありんすか?」

 

「ああ、ただ一人で行くのも心もとない。

同伴者をつれて良いかの質問も込めての返信だ。

問題なければシャルティア……私と共に出席してくれないか?」

 

シャルティアも同じ吸血鬼の上、アンデッドに強い信仰系魔術師(マジック・キャスター)である為、同伴としては最適だ。

 

シャルティアは待ってましたと言わんばかりに元気よく答えた。

 

「勿論でありんす。アインズ様とご一緒なら何処えたりとも。

(よっし!!アインズ様と二人でお茶会ぃ!!これであのゴリラに一歩リードね!!)」

 

 ゴリラとはアルベドの事であろう。

 あの華奢な体つきに反してとんでもない怪力を振るうところからつけた悪口だ。

 

 シャルティアもアインズに対して恋心を抱いている。

 アルベドが設定からくる恋心ならシャルティアはアンデッドとして最高級の造形(シャルティアの主観)、美意識からくる気持ちだ。

 

 

「後は私の周りを世話をするという名目で執事のセバスと戦闘メイド(プレアデス)からも誰か一人連れて行こう。

メイド長のユリにでも頼むか。

このぐらいにするか、あまり大勢で行くのも何か言われるだろうからな…」

 

「………………」

 

「どうした?シャルティア。」

 

「いえ、何も…

(二人っきりじゃありませんの…)」

 

 

OTL

 

 

「…おそらくだが言葉の通りのお茶会だと思わないほうが良いからな…」

 

 

※※※※※※※※※※※※※

 

 

-----紅魔館-----

 

返事の手紙が届いた紅魔館、メイドの咲夜が手紙を主人に渡した。

 

「お嬢様、先日の手紙の返事が届きました。」

「ご苦労、咲夜。で?返事は?」

「数名の同伴者と共に期日定刻に参るとの返事です。

それとあちらも眷属の蝙蝠で手紙を返してきました。つまり、あちらにも吸血鬼がいる可能性が高いです。」

 

「へぇ、そう……なら妖怪の山の連中や隙間と白玉楼の連中よりは気があうかもね。」

 

 妖怪といえども多少の同族意識がある。

 レミリア達が幻想郷に移ったのも外の世界で個体数が激減し居場所が確保できにくくなった為だ。

 そんな状況で同族同士争っている場合じゃない。

 今回の相手が本当に仲間ならの話だが。

 

 

※※※※※※※※※※

 

-----お茶会当日-----

-----紅魔館正門-----

 

 メイドに執事に部下を連れ、アインズが紅魔館にやって来た。

 

「ここか……………

(うわ〜〜近くで見ると本当に薄気味悪いな………真っ赤だし。)」

 

 シャルティアが正門に人が立っていることに気がつく。

 

「アインズ様、門の前に立っているのはおそらく門番かと…話して門を開けてもらいましょう。」

「では私めが…」

 

セバスは門を開けてもらおうと門番に近づいていった。

 

「失礼……ここの屋敷の人でしょうか?我々は今日、ここの主人に招待されたものです、よければ門を開けてもらいませんか?」

 

セバスが丁寧にお願いしても反応がない。

 

「zzzzzzzzzzz」

「(寝てる……………)」

 

 中国式の服を着た赤毛の女性、顔もなかなか整っている、遠目ではわからないが肉体もなかなか鍛えてある。

 しかし、門番が昼寝をしてるとか本当に大丈夫かと逆に心配してしまう。

 

「お嬢さん、?失礼………」

セバスが触ろうとした瞬間、女性が急に目を覚ました。

 

「はっ!!」

 

女性は直様数メートル程後ずさりし、戦闘体制に入った。

 

彼女は紅美鈴、紅魔館門番であり【気を使う程度の能力】を持つ妖怪だ。

セバスの強大な気に当てられ目を覚ましたのだ。

 

「(しまったーーーーー!!!また、昼寝をしてしまったーーーーー!!また咲夜さんに怒られる〜〜〜〜〜〜。そんなことより目の前の相手だ。)」

 

美鈴は目の前の相手をキッ!っと見つめる。

 

「(もの凄い気をこの人から感じた…いつもならこれだけの大きな気なら離れていても気づくのに…触られるまで全く感じなかった…)」

 

目の前の男とその後ろにいる怪物一人と女性二人どれからも半端ない気を感じる。

それに反応するように美鈴の肌にはタラタラと汗がにじむ。

 

「(なんだ?…………この状況は!

四人ともかなりの強者…………しかも、うち三人はやばい…………

お嬢様や妹様クラスじゃないと相手にならない…こんな連中が幻想郷にいるなんて…)」

 

自分に向かって殺気は放っていない………しかし、ここにいるのだから無関係ではないだろう……

美鈴は極限状況からなる集中力により思考が巡る。

 

「(困りましたね。こちらにその気がないのに向こうは戦闘体制に入ってしまったな…

しかし、隙の少ない良い構えだ…)」

 

「(来るか…!!)」

 

 この屋敷に住んでいる人は大抵自分より強い、大抵の場合は適当に相手して最悪通してもいいと言う方針なのだが今回は別だ。

 門番としてこんな危険な存在を通すわけにはいかない。

 

セバスの手がほんの少し動いた瞬間、美鈴が力強く踏み込んだ。

 

《『ザ・ワールド』!!》

 

プスッ……………………

 

美鈴の後頭部にナイフが刺さり、美鈴は倒れる。

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ございません。うちの門番が失礼しました。」

 

 銀髪で両サイドに三つ編みをしたメイド服を着た女性がどこからともなく現れた。

 

「(時間操作系の魔法か……………)」

 

 ユグドラシルにもいくつか存在する魔法、使うことも対策も立てられる類のもの故アインズは驚きもしない。

 

「何をするんですか〜咲夜さ〜ん」

「それはこっちのセリフよ。このお方はお嬢様の大事なお客様よ。」

「え〜聞いてないっすよ〜。それなら早く言ってくださいよマジで決死の覚悟をしちゃったじゃないですか〜。」

「言ったわよ?どうせあなたのことだから居眠りでもしてたんでしょう?」

「む〜〜〜〜〜〜。」

 

メイド服の女性はモモンガ達の前に立ちお辞儀をした。

 

「ようこそ、紅魔館に。私はこの屋敷のメイド長 十六夜咲夜と申します。

主人のもとに案内しますわ。どうぞ、こちらに。」

 


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