画面に映るのは、ベッドの上で横向きに寝ている女性だった。
硝子窓から差し込む陽光が、石造の室内を照らしている。
「ンにゃぁ〜〜〜……」
彼女は上半身を起こすと、鳴き声のような声をあげながら伸びをした。
それからベッドの下に置かれていた靴を履いて立ち上がり、カメラに向かって歩いていく。
明るい茶色のポニーテール。
もみあげから目の下にかけて赤いフェイスペイントの入った端正な顔。
チューブトップを革の軽鎧で補強したような露出度の高い上衣に、
同じく袖口と肩口を革で補強したセパレートスリーブの長袖。
ボックスプリーツのミニスカートにサイハイソックス。
履き口が漏斗のように広がったショートブーツ。
何より特徴的なのは、彼女の体には猫のような耳と尻尾がついていることだ。
自然な動作をするそれは、よく見れば作り物ではなさそうだとわかるはずだ。
その映像を見ている者達の中には、彼女の姿に見覚えのある者も居ただろう。
というのも、彼女は紛れも無く初期装備のミコッテ族だったからだ。
「……以上、宿屋でログインするときのカットシーンの再現でしたにゃ。」
先程のシーンは実際に寝ていたわけではなく、作中に登場するシーンを真似た演技だ。
私は撮影機材に向かって話しかけた。
既に視聴者が幾人もいるようで、返答のコメントが返ってくる。
「再現度はまぁ、本物のミコッテが役者ですからにゃあ。
ここまではただのログインにゃ。こっからが本番にゃ。
初めまして。ミコッテの
よろしくおねがいしますにゃー。」
「リアルかって?リアルですにゃ。3DCGとかじゃないにゃ。リアルモンク系ですからにゃ。
ちなみにここは地球じゃなくて、惑星ハイデリンにゃ。リアル話。
地球の機材は無いから、アラガントームストーンを使って撮ってるにゃ。
iPh
たぶん古代アラグ文明の技術によってS
The L
撮影に使っているトームストーンは、ドレッサーに立て掛けてある。
トームストーンを手に取り、ドレッサーの鏡越しにそれを映す。
「あ、動画タイトルのMSTSMですかにゃ。これはチャンネル名の略にゃ。
略してMSTSMですにゃ。逆から読んでもMSTSMにゃ。」
コメントにあるララフェルとは小人のことだ。
ミコッテのような標準的な体格の種族と比べると、ララフェル族の身の丈は半分ほどしかない。
「ララコンの人はお帰りくださいにゃ。お前にはオトナのミリキがわからんのかにゃ。
このチャンネルはミコッテがメインにゃ。
ララフェル成分が欲しかったら、対価として
なお幻想薬がヤバい薬であることは確定的に明らか。合法な手段では入手できませんにゃ。
なんかM
M
「とりあえず自己紹介の続きしますにゃー。
私はエオルゼアに行く予定の新人冒険者ですにゃ。
ゲームで言ったらオープニングの直前ぐらいの時期にゃ。
そんで使用する武器はこれですにゃ。」
画面に映らない位置に置いてあった武器を手に取り、トームストーンに向かって構えてみる。
私は右手に片手斧を、左手に盾を装備している。
片手斧は片手剣よりも威力が高く、両手斧と違って盾を併用できる。
何度か素振りして見せてから、斧と盾を元の位置に置いた。
「にゃー……。
斧術士ギルドはリムサ・ロミンサにあるギルドですからにゃあ。
私が居た所には狂戦士ギルドってのがあったのにゃ。ゲームでは未実装の地域にゃー。
あとタンクじゃなくて近接DPSですにゃ。
自己バフ掛けまくってオートアタックで殴るだけの簡単なお仕事にゃ。」
「鬼の首取ったように周囲が騒ぎミコッテは深い悲しみに包まれたにゃ。
狂戦士がどうやって弱いって証拠だよ。マジでかなぐり捨てンにゃ?
……あ、呼び方かにゃ?
フルネームは
「さて、最低限必要な情報はたぶん全部吐いたと思うのでにゃ。
今回の配信はそろそろ終了しますにゃー。
次回はエオルゼアに行くのでよろしくおねがいしますにゃ。
じゃあ、またにゃー。」
最後に私はトームストーンに向かって手を振った。
……近くて映らなかったので後ろに下がってからもう一度手を振った。
こうして"
一人称視点で、主人公の思考内容が台詞として垂れ流されてると、地の文に書くことが全然無いですね。
次からは会話だけじゃなくて何か行動させることにします。
思考の描写が少ない分を行動の描写で補う感じで。
オリ主を転生者(あるいは憑依者)にするか現地人にするか、実はまだ決めてないです。
現地人にしては地球の文化に馴染みすぎてる気もしますが。
どうしましょうかね。