「/tell Allagan Tomestone」
「こんにちは。ミコッテの
今回の配信は船上からお送りしますにゃ。」
二回目の配信だ。
前回と同様に、私はトームストーンに向けて話し始めた。
「MODじゃなくてただのリアルですにゃ。たぶん古代アラグの超技術で地球と通信してますにゃ。
というか最初のコメントがいきなりおかしいにゃ?
MSTSMはチャンネル名の略ですにゃ。わかったかにゃ?」
「に゙ゃぁぁぁぁぁあああわかってねーにゃああ!」
「に゙ゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙……ッ!
「……
ちょっと内なる「憎悪」がお前たちを焼き焦がしそうだったからにゃ、
心を鎮めるために脳内ノムリッシュ翻訳してましたにゃ。
あ、そろそろオープニングのカットシーンが始まりそうですにゃ。」
自身に向けていたトームストーンを反転させて、前方の光景を映す。
そこには、こちらに向かって歩いてくる日焼けした金髪のヒューランの男が居た。
ヒューラン族はこの世界に存在する種族の一つで、地球人と同じような姿をしている。
彼は私に話しかけた。
「なぁ、お前さん。大丈夫か?ひょっとして酔ったのかい?」
ゲーム中では、主人公は意識をエーテル界へと飛ばして
エーテル濃度の高い地域に近付いたことによってエーテル酔いを発症したのかと心配して、
船に同乗している旅商ブレモンデが話しかけてくる場面だ。
「/say」
「うん……酔ったのにゃ……。
船上でアラガントームストーンを愛でるのは……あかんですにゃ……。」
「……そうだ、お前さん。こんな空気の淀んだ船倉にいても仕方ねぇ。
甲板に出て、外の空気でも吸いにいこうぜ。
ついでに、少し話でもしないかい?リムサ・ロミンサまで、まだ時間がありそうだしな。」
「わかったにゃ。
……うにゃ……ちょっとトームストーンの方をキリがいいところまでやっちゃうにゃ。
すぐ済むから先に行っててにゃ。」
「そうか?まあ無理するなよ。それじゃ先行ってるぜ。」
「/tell Allagan Tomestone」
「ハイデリンは見てねーですにゃ。つまり私は
ヒカセンじゃないルートに入ったのでにゃ。
ここから先は高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変にオリチャー発動しますにゃ。」
「というかにゃ、なんか隣に居ますんにゃ。たぶんこのヒューランがヒカセンにゃ。」
トームストーンの向きを変えて、私の右隣の席に座っている人物を映す。
黒髪の青年だ。
トームストーンを向けた途端、彼は額に右手を当てて俯いた。
「ん?……これはヒカセン確定にゃ?」
「公式主人公を放置するのもアレなのでちょっと話しかけてみますにゃー。」
「/say」
「おーい、大丈夫にゃ?お前も酔ったのかにゃ?
"見ざる聞かざる言わざる"かにゃ?それとも"来た見た勝った"かにゃ?」
「どっちも違うんだが……あんたも、聞いたのか。」
「私は見ざる聞かざる、知ってるだけにゃ。
私は甲板に上がるけどお前も行くかにゃ?」
「……ああ、行こう。」
ひとまずのところは話がついたので、ヒカセンとともに廊下に出て階段を登る。
甲板に上がった私達を海霧に霧った空気が私達を出迎えた。
湿った風が吹き抜ける。
見上げればフォアセイル、メインセイル、スタンセイルにミズンセイルと四種五枚の帆が順風を受けている。
ブレモンデは船首側の甲板に居るようだ。
「待たせたにゃ。
もひとり酔っ払いが居たから連れてきたにゃ。」
「ん?ああ、お前さんも船酔いか?大丈夫かい?」
「いや、俺は……」
「エーテル酔いみたいだにゃぁ。まぁあんまり酷くないと思うけどにゃ。」
「そうか。それなら良いが。」
「それはそうと、お前さん達。見慣れない民族衣装を着ているな……。
見たところ、流れ者の新人冒険者ってところかい?」
「そうにゃ。
「俺もだ。」
「やっぱりそうかい!冒険者になって名を馳せたいってのは、誰もが一度は憧れるものな!
でもなんだって、冒険者なんて危ない生業に?」
「
「俺は、強くなるためだ。」
会話をしながら海を見ていると、霧の向こうに何か大きな物が見えた。
「ンにゃぁ、なんか居るにゃー……」
「ん?どうかしたのかい?」
「ちょい待つにゃ。
そこの船員、ちょっといいかにゃー!?
右舷に船っぽいのが見えるにゃー!なんか真っ直ぐ近付いてくる気がしなくもないにゃー!」
「/tell Allagan Tomestone 砲撃を想定しますにゃ。音量下げときますにゃ。」
私が叫ぶと、途端に船員達の動きが慌ただしくなった。
トームストーンを操作して、録音音量を下げておく。
「メインマストに蛇眼の旗!海賊だ!」
「乗客は船倉に戻ってくれ!」
海賊船の船首のあたりで赤白い発火炎が閃いた。
その瞬間、誰かが叫ぶ。
「伏せろ!」
二秒ほど経つと、発射音、着弾音が聞こえるのとほぼ同時に船が大きく揺れた。
至近弾だ。船から少し離れた位置に水柱が立つのが見えた。
炸裂しない
これで沈没などということはないだろう。
揺れで転びそうになったブレモンデを、ヒカセンと私が支える。
「助かった。」
「どういたしましてにゃ。それじゃあ避難するにゃー。」
私達は船内に戻った。
その後も断続的に砲撃は続いたが、暫くすると爆発音も激しい揺れもなくなる。
私は下げていた録音音量を元に戻す。
「/Allagan Tomestone そろそろ大丈夫そうなので音量戻しましたにゃ。」
大柄なルガディン族の船員が現れて言った。
「乗客の皆さん、安心してください!
海賊船とはすれ違う形になりましたが、もう大丈夫!
風も味方してくれ、無事振りきりました。」
体格に見合った大きな声量だった。
このまま船下りるところまで書くつもりでしたが、前話の投稿から一週間経つのでここで区切ります。
駄目だ、この書き方は無理がある気がする……。
無理に地の文を入れようとせずに、開き直って地の文減らす方針でいった方が良いかも。
それに地の文は固めの文体にするのが好きなんだけど、この作品だともっと軽い雰囲気にした方が良い気がする。
あとコメントをスクロールさせるのがめんどい。
スクロールしたらコメントっぽいと思ったのでスクロールさせてますけど、読みにくそうで不安。
なんか意見ありましたらよろしくお願いします。