Monster Hunter Life Online 作:シュラフ
書き終わってから気付きましたが、大型モンスターは姿はおろか名前すら登場しませんでした。
ーー息を潜める。
枝葉が茂り、陽光が遮られた薄暗い森の中。身を屈めて茂みに隠れ、辺りの景色に溶け込むようなつもりで気配を薄く引き延ばす。
スローモーションのようにジワジワと後退し、けれども視線は絶対に逸らさない。視線を前に向けながらも、後退る足裏の感覚にも気を抜けない。
木の枝を踏み折るなんてベターな展開は御免だ。
気取られてはならない。
慎重に足を運びながらも、奴の一挙手一投足を注視する。
奴が気を抜いている間だけ歩みを進める。
少しでも周りを伺うような様子を見せたら動きを止め、息を殺して屈めた身体を更に縮こまらせる。
日向ぼっこでもしているのか、木漏れ日に身を晒した奴は実にのんびりとした様子だ。
厳戒状態の我が身が馬鹿らしく思えてくるが、気は抜けない。
気付かれれば終わりなのだ。
奴との距離が離れる。
まだまだ気は抜けないが、レッドゾーンは脱した。これだけ離れれば、微かな物音で察知される恐れはないだろう。
緊張を維持したまま、少しばかり思考に余裕が生まれる。
だからだろうか、ふと違和感を覚えた。
視界に映る奴は一匹。
俺と同じく茂みに隠れているのかも知れないが、そうではないように思えた。
奴らは群れで動く生き物だ。
飢えた“はぐれ”でもないような個体が、何故こんなところで独りでいるのか。
一度違和感を覚えると、目の前の光景が不可解なものにしか見えなくなった。
何故、どうして……言い知れぬ不安は、やがて悪い予感に変わる。
まさか。
俺はダッと地を蹴り逃走を図った。
だが遅かった。
俺の真横の茂みから青色の物体が飛び出して来て、俺を蹴飛ばす。
強い衝撃に堪らず倒れ込んだ俺に、そいつは素早く覆い被さる。
気付かなかった。
こんな距離にまで近付いていたなんて。
驚愕する俺の首筋に、鋭い牙が食い込んだ。
◆◇◆◇◆◇◆
「クソゲー」
窓から差し込んだ眩しい陽の光が目を灼く。
リスポーン地点に登録したドンドルマの長屋の一室で、俺はボソッと悪態を漏らした。
のそりと上体を起こし、堅い寝台の縁に腰掛け、はぁ〜と溜息を吐き出す。
なるほどなるほど。
つまり、俺が最初に視認した個体は注意を引きつける為の囮であり、獲物を襲う強襲役のカモフラージュであったと。
俺はそれにまんまと引っかかったわけだ。
トカゲ野郎めが、一丁前に戦術じみたことをやってきやがって。
というか。
「なんか知能上がってないかアイツら……」
先ほど見事に俺を殺害せしめた怨敵を思い浮かべてぼやいた。
奴の名はランポス。
鮮やかな青地に黒い縞模様の鱗と、頭に生えた赤いトサカが特徴的な小型の鳥竜種モンスターであり、初期からのシリーズファンには馴染み深い存在だろう。
作品内での立ち位置としては、大分下位の雑魚モンスターである。
いや、雑魚モンスターだった、か。
世界観的な立ち位置には変化はない。
生態系ピラミッドの上から二番目くらいの位置にいる。
だが、本作におけるプレイヤーアバターはシリーズお馴染みのモンスターハンター()ではない。
人間のスペックを忠実に再現した非常にか弱いボディなのである。
一応キャラクリの際の個性付けで能力値の差異はあるようだが、モンスターと比較した際のスペックとしては多少の差は誤差の範疇だ。
器用さと妄想力に極振りした人間の物理戦闘能力は、言葉を選ばずに言えばゴミと評しても差し支えないレベルであり、筋力耐久敏捷どれをとってもケルビとどっこいの性能なのだ。
いや、脚力や敏捷性はケルビにも劣るか。
そんな有様なので真正面からランポスとやりあっても並みの人間では歯が立たない。
往年の雑魚モンスターは今や名実共に凶悪なモンスターと化していた。
おまけに先の例もあるが、奴らは基本的に三、四匹からなるチームで行動している。
ゲームハードのスペック向上によりAIも強化されており、もはや奴らはジャンプ攻撃を繰り返すバッタではない。冷徹に獲物を狩るハンターなのである。
更には奴ら、経験から学習している節があり、プレイヤー間ではモンスターはそれぞれ個別の高性能AIが積んであるのでは……とまことしやかに囁かれている。
確かに、サービス開始当初と比べると、プレイヤーを狩るランポスさんたちの動きは洗練されてきている気がする。
彼らからしたら、軟弱な現代人はさぞ狩りやすいのだろう。
なんやかんやあって当初より大分数を減らしたものの、プレイヤーの数は未だ膨大であり、死んでも蘇るため絶対数が翳ることもない。
アプトノスを狩るより余程安全かつ安定した手と言える。
全く、情け無い限りだ。
俺は自分のことを棚に上げ、いつまで経っても体の良い食料扱いのプレイヤーたちの未来を嘆いた。
◇◆◇◆◇◆◇
喧騒の中をぶらりと歩く。
有事の際には戦闘街となるドンドルマも、平時はモンハン世界最大級の都市ということもあり、非常に賑やかな様相を見せる。
様々な出店や人種が入り乱れ、威勢のいい客引きの声が飛び交う景色は、都市部に生きる現代人にはあまり縁のない光景だろう。
露天が居並ぶ中央街を抜けて、向かうのは街の外。
ドンドルマは物流の集積地であるため、各地方との流通を支える街道が存在する。
そこでは一般向けの定期便も通っていて、今回の俺の目当てはこれだった。
草食竜アプトノスが牽く馬車ならぬ竜車とでも言うべきそれは、走行スピードこそ遅々としたものだが、乗合馬車のような形態のため料金は大変リーズナブルだ。
他の移動手段としては、クエストを受けたハンター向けにギルドが提供している速達気球便もあるのだが、あれは片道でも料金がバカ高いので余程のことがない限り利用する気にはなれない。
「メタペタットまで」
「50zだよ」
御者にチャリンと小銭を手渡し、竜車の中へ乗り込む。
幌に覆われた薄暗い竜車の中は、あまり混んでいないようだった。
乗り込んできた俺に子連れの母親が会釈する。現地民、つまりはNPCだろう。
母親に会釈を返し、空いているスペースを見つけ座り込む。丁度親子の真向かいの位置だ。
あとは発車を待つばかり。
背中を凭れさせ一息ついていると、先ほどの子連れ現地民の子供の方がじっとこちらを見つめていた。
母親共々ドンドルマの住民ではないのか、土のついた田舎っぽい服装の女児である。
ふむ、と一考し、徐にコインを取り出し、右の手のひらに乗せて見せた。
女児が注目したのを確認すると、左の手のひらを重ね合わせ、ムニャムニャと囁けばあら不思議。
「わ」
手のひらから消えたコインに女児は驚き目を丸くする。
宴会用に覚えた子供騙しの手品だが、文字通り子供なら簡単に引っかかってくれる。
純粋だねぇ。
ぱちくりと目を瞬かせた女児は母親側から離れて、俺の手のひらを下から覗き込もうとする。
待て、それは不味い。
マナーのなってない観客にタネを暴かれる前に、俺は素早く右手の死角に隠していたコインをまた手のひらに戻してみせた。
ハイ〜〜〜。
無理くり締めたわけだが、何とか誤魔化せたようだ。
女児は目を輝かせている。
「ね、ね。いまのどうやったの?」
魔法さ。
問い詰めてくる女児をフワフワした言葉でのらりくらりと躱していく。
頃合いを見計らって、母親が女児を引き戻した。
「こら。おじさんをあんまり困らせちゃダメでしょ」
俺はおじさんではないが。
「えー、でもぉ」
「魔法使いのおじさんを困らせたら、魔法でモスさんに変えられちゃうわよ?」
母親の脅し文句に女児は恐る恐る俺に目をやった。
俺はおじさんではない。
おじさんではないが、空気の読める日本人であるため、母親のフリに乗った。
俺は裂けんばかりに口角を上げ、ベロリと舌を垂らして「クケケケケ」と哄笑する。
「やだーっ!」
本気で怯えた様子の女児は母親にひしと張り付き、フリを振った母親も俺の迫真の演技にドン引きしていた。
竜車内が何とも言えない気まずい空気に包まれた時、それを見計らったわけでもないだろうが、ガラゴロと竜車が動き出した。
俺はすんっとなって膝を抱えた。
◇◆◇◆◇◆◇
尻が痛い。
堅い床板は凸凹道の段差を乗り越えるたびにガタンと跳ね、俺の尻に着実にダメージを蓄積していっている。
目的地であるメタペタットに着くのが早いか、俺の尻が破壊されるのが早いか。
限界は近い。もはや予断を許さぬ状況だった。
「おじさん、はんたーさんなの?」
そうとも。おじさんははんたーさんなんだ。
ガタゴト揺れる竜車の中。
少しでも尻から意識を逸らすため、俺は現地民の親子と雑談していた。
俺に怯えていた女児も、母親の取り成しによりどうにか普通に接してくれるようになっている。
母親の影響かおじさん呼ばわりではあるが。
俺がギルドのハンターであることを明かすと、女児だけでなく、母親も驚いた様子を見せた。
それもそうだ。
今の俺の格好は腰のポーチとハンターナイフを除けば普段着と変わりない。危険なモンスターが跋扈するフィールドに出向くなど自殺行為である。
とはいえ、それはリスポーン機能を持たないNPCハンターの話だ。
俺は首元から下がったペンダントを親子に見せた。
「俺は“巫女の遣い”って奴でしてね。死んでも蘇られるんですよ」
ペンダント……【巫女の血玉】は、全てのプレイヤーが初期から所持しているキーアイテムだ。
名の通り血のように深い紅色をした宝玉が埋め込まれたペンダントであり、これがNPCとプレイヤーを分ける一つの指標にもなっている。
ちなみに、サービス開始から三ヶ月経っても“巫女”が何であるかは未だに分かっていない。
女性を連想させるキーパーソン。モンハンお馴染みの歌姫とは別口のようだが……。
親子は珍獣か何かを見るような眼差しで俺を見ている。
止してくれ。そんなにじっと見つめられたら照れるだろう。
プレイヤーの存在はドンドルマを始めとした主要な街ではもはや珍しくもないはずだが、やはり田舎にはまだ浸透していないのか。
そんな風に考えていると、御者台の方のカーテンがシャッと空いて、禿頭の御者が顔を覗かせた。
「そろそろメタペタットだよ」
どうやら俺の尻は助かるようだ。
◇◆◇◆◇◆◇
メタペタット。
それはアルコリス地方東部にある小さな町である。
曰く、このメタペタットは元々ハンターたちによって作られたんだとか。
昔、ハンターたちの間であることが問題になっていた。
遠方の依頼を受けた際に長旅の疲れのせいで十全に戦えないのだと。
依頼を受けて出向するというのに、現地に着く前にその道程で消耗して、モンスターと戦う時に本領を発揮出来なければ身も蓋もない。
そのため、休息地の需要は高まり、なんなら自分たちで休憩する安全地帯を作ってしまおうという話になった。それに商機を見た商人やらも食いついて、なんやかんやあって今や立派な宿場町として成り立っている。
そんな由来を持つメタペタットだからこそ、町にはいるのはハンターか、それに関連するものを取り扱う商人ばかりだ。
さて、メタペタットは補給地、各地へ向かうための中継地点であるわけだが、俺が向かうのは町から真西にあるシルクォーレの森。
ゲーム内で言うところの、森丘フィールドの森の方だ。
俺がランポスに殺されたのもここである。
何故そこに出向くかと言えば、もちろんクエストを受けたからに他ならない。
==============================
[落陽草の根の納品]
[任務地]
推奨 : シルクォーレの森
[依頼内容]
落陽草の根×3の納品
[報酬金]
134z
[依頼者]
健気な女の子 : おかあさんがびょーきにかかってしまいました。でも、おくすりがもううってないんです。はんたーさん、おねがいします。おくすりのざいりょうをとってきてください!
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さて、依頼内容としては難しいことはない。所謂納品クエストというやつだ。
依頼文を見るに、依頼者の少女は病気に罹った母親を治したいようだが、肝心の薬が手に入らないようだ。
というのも、ゲーム内時間で丁度一週間ほど前、ドンドルマでは流行病が蔓延していた。
そのため特効薬の需要が激増し、今や市場は品薄状態のようなのだ。
単純な需要に加え、人間というのは死とか直接的な恐怖を煽る不安に弱い生き物なので、精神的な安定のために必要以上に薬を購入する輩が相次いでしまったわけだな。
結果、少女は買いそびれてしまったと。
今や病の伝染は沈静化しているが、少女の母親は少し時期遅れで発症したようだ。間の悪いことだ。
更に注目したいのは報酬金だ。
134z。
134zだ。別にこのゲームの市場がハイパーデフレを起こしているわけではない。
現代日本よか物価は安いが、それでも格安乗合馬車を往復利用するだけで大半が溶けるゴミのような金額設定だ。
割に合わない。この一言に尽きる。
普通ならばこんなゴミクエは誰も受けない。如何な納品クエストとは言え、フィールドには命の危険が溢れているのだ。
メシのタネを得るための仕事である以上、実入りがなければ人は動かない。
だが俺は違う。
プレイヤーである俺ならば、一度や二度の死はなんでもない。
それに俺は仁を重んじ義に生きるハンターだ。
この依頼を受ける時、酒場の受付嬢から聞いた話だ。
依頼者の少女はギルドにクエスト依頼をする際、涙ながらに母親に迫る危機と自らの不安を訴え、嬢に縋ったと。
そんな彼女が握りしめていたのが、なけなしの小遣いであるこの134zなのだと。
泣ける話じゃないか。
こんな話を聞いちゃ黙っちゃいられない。
このクエスト、何としてもクリアしてやろうじゃないか。
俺は意気を高め、夕暮れに赤く染まる森へと向かって行った。
◇◆◇◆◇◆◇
夜の静謐な森を征く。
聞こえてくるのは風に揺れる枝葉の葉擦れの音、コオロギのような虫の音、小川を流れる水の音。
それらに足音を紛れさせつつ、自らは異常を聴き逃すまいと耳をそばだてる。
俺の格好は森に入る前とはがらりと変わっている。
肌や衣服には泥を塗り、匂いを消す。
さらにツタに枝葉を絡ませたものを身にまとい、簡易的なギリースーツとして用立てていた。
今や俺は森の一部。
……お金を掛けない方法ばかりを模索した底辺ハンターの回答である。
今やサバイバル技術はプレイヤーの必須技術と化していた。YouTuberなんかは面白おかしい独自のサバイバルドクトリンをこぞって披露している。そんなゲームだ、これは。
声帯模写でランポスの動きをコントロールしてやろうという企画は面白かった。声真似の完成度も高かったしな。
ただ完成度が高い故か、最後は間違えて仲間呼びの鳴き声を真似してしまって集まってきたランポスたちに袋叩きにされてしまったのが残念だった。
面白かったのでプレイヤー間ではしばらくモンスターの声真似が流行ったものだ。大体が下手過ぎて普通に殺されていたが。
さて。そんなこんなしているうちに。
「ターゲット、発見」
シダ植物に似た葉を持つ植物が顔を並べているのを見て、俺はニヤリと笑った。
発売から三ヶ月。シルクォーレの森に通い詰めた俺は大体の土地勘を掴んでいる。
どの辺りにどんな生き物がいて、どんな植物が生えているのか。専門家とまでは行かずとも、深い森で迷わないくらいにはこの森について知っているのだ。
狩場を広げたランポスに襲われるなど、不測の事態が起きなければこの程度はわけもない。
落陽草は日陰に自生する植物だ。
月下美人のように夜にしか花を咲かせず、自生する場所が物陰であることが多い。地味な見た目も相俟って夜にしか現れない植物、なんて言われていた時期もあったそうな。
名前の由来はきっとそこからだろう。
用途としては、花には治癒効果、葉と茎には消臭効果があり、そして根は漢方薬などの材料になる。
俺は根を傷付けないように周りの土を丁寧に掘り進め、落陽草をまるごとゲットする。
依頼数である三つを掘り起こすと、それぞれ花、葉、茎、根に切り分けて、ビンに入れてポーチにしまう。
あまり取り過ぎてもいけない。このゲームのオブジェクトはすぐにはリポップしないのだ。
そしてそれら一つ一つの要素が、大きな生態系を形作っている。下手な乱獲などしてみろ。どんな影響が出るかわかったもんじゃない。
ワールドシュミレーションゲーム。
何とも凝った仕様である。
こんな葉っぱのことまで気を回してるのかと思うと目の回るような気分になる。
とはいえそんな運営の苦労など俺には関係ないので、俺は普通にゲームを楽しむことにする。今は健気な少女に希望を届けに行かなければ。
俺は静かに踵を返し、メタペタットへの道のりを辿る。
ひとまずの足掛かりとして森丘キャンプへと向かっていると、小川の水が流れる川辺に通りかかった。
水場の近くというのは、生き物が集まりやすい。
水は生命維持に不可欠なものであり、当然ではあるがそれは恐ろしいモンスターとて同じであるからだ。
ベースキャンプまであと少し。
俺は慎重に川辺の様子を伺った。
途端、ほの明るい光が目に飛び込んでくる。
「うお」
思わず声が漏れた。
視界に浮かぶ小さな光の玉。
一つや二つではない。
鬱蒼とした木々の天井に開いた天窓の元。
柔らかな月光に照らされて舞い踊る光の舞踏会。
小さな光、大きな光。淡いもの、眩しいもの。まばらな光たちが宙を舞う。
美しく、どこか郷愁を誘う。そんな光景が目の前に広がっていた。
そうか。もうそんな時期か。
はたと我に帰り、思い至る。
ーー雷光虫の繁殖。
雷光虫と一口に言っても様々な種があるが、目の前のモリボタルは繁殖期を迎えるとこうして川辺に一斉に集まり、伴侶を探す。
現実のホタルに酷似した生態を持っているのだ。
リリース開始当初、俺はこの光景を目にしている。
このゲームはゲームバランスが完全に崩壊している。プレイヤーは数々の縛りに悪戦苦闘し、思うようにゲームを楽しめない。
いや、というより、このゲーム自体が、プレイヤーを楽しませるつもりがない。
強過ぎる敵、弱過ぎるアバター、煩雑な手段、報われない努力。ゲームとしてあまりも破綻しているこの世界に愛想を尽かしたプレイヤーは数知れない。
一般で言うゲームの良し悪しで言うのなら、このゲームは最悪のクソゲーだろう。
運営のおままごとだと嗤う人もいた。期待外れだと憤る人もいた。
俺もそんな風に思っていた。
だが、しかし。
あの時、ランポスから命からがら逃げ延びた先で見たこの光景に。
確かに俺は心を揺さぶられたのだ。
この世界は厳しいだけの世界ではない。
強過ぎる敵、立ち向かう必要などない。
弱過ぎるアバター、だからどうした。
煩雑な手段、出来ることは無限大だ。
報われない努力、だが無駄ではないはずだ。
必死に生きる。
あの画面の向こうの世界で。
その一員として。
シリーズを愛するファンとして、これほどの神ゲーが他にあるだろうか。
俺は、俺たちプレイヤーは。
この世界で、心のままに“生きる”のだ。
そんな風に感傷に浸っていた俺は、背後から迫っていた大雷光虫の放電で気絶し、倒れ込んだ先の川で溺れて死んだ。
やっぱクソゲー。
確実にクソゲー。
こんな感じで出来る限り1話でキリをつけた話にしたいと思います。
誤字脱字言葉や文法の誤用やら設定の不勉強誤解なんかがあったらやさし〜く注意してくださいませ。
感想なんかもどしどし送ってきてね☆