Monster Hunter Life Online 作:シュラフ
果たして、これはモンスターハンターのタグをつけてする話なのかと。
作者は考えるのをやめた。
書いてしまったものは仕方がないのだ。
ところで、4Gのopでエロい格好の双剣の姉さんが齧ってるのが携帯食料ってマ?(書いてから知った顔
「やってられっかよ!」
俺は木製のジョッキをダン!と乱暴に叩き付けた。
あの後、ランポスたちに惨殺され心が折れた俺はクエストをリタイアした。そして帰還した後、集会所の酒場でこの遣る瀬無い思いを吐き出している。
「しゃーねーって。元気出せよタチオ」
「相手はあのランポスだぜ? 俺ら如きじゃどうにもならねえって」
赤ら顔のろくでなしどもが口々に俺を慰めてくれる。
だがその内容は卑屈なものだ。余計に悲しくなった俺たちは衝動のままにぐいっとジョッキを呷る。
喉を流れ落ちて行く焼けるように熱い水。
酒だ。酒だけが俺たちの心の傷を癒してくれる。
俺たちは肩を並べ理不尽な世の中への不平不満を垂れながら浴びるように酒を呑んだ。
とある日の昼下がり。
書類を持った通りすがりの受付嬢が、極圏の如き冷え切った眼差しで俺たちを見ていた。
◇◆◇◆◇◆◇
プレイヤーの存在はこの世界にとって異物に他ならない。
現地民とはかなりズレた価値観や考え方も、死んでも蘇るという特異な性質も。彼らにとって異質であり、受け入れ難い、という反発が生まれるのも当然ではあった。
しかし人というのは慣れるもので。
プレイヤーの参入から三ヶ月も経った今、俺たちの存在は彼らの中でもありふれたものになっていた。
都市部から離れた田舎ではまだ認知度が低く、珍獣のような扱いを受けるが、何やら怪しい宗教組織が出て来て「ヤツラは神の敵じゃあ〜!」などと吊るし上げられるようなことはなかった。
今やプレイヤーという存在は「そういう奴ら」として現地民たちに受け入れられており、相互関係はまあまあ良好である。
俺は馴染みの現地民が営む露天を冷やかしながら、やや危ない足取りでドンドルマの雑踏を歩む。
「ピスタチオ。アンタちゃんと働いてるのかい?」
「ぼちぼちな〜。これからクエストに行くところだよ」
嬢の冷たい視線に耐えかねた俺は、仕方なしにクエストを受けた。
俺はハンターとして生きるのに邪魔だった現代人としての多くの常識、感覚を犠牲にしたが、それでもまだ世間体や人の視線を気にする程度の感覚は持ち合わせているのだ。
「あんまりアビゲイルを困らせるんじゃないよ。あの子は面倒見がいいからね。アンタみたいのでもほっとけないのさ」
どうだかね。
アビゲイルというのは集会所の受付嬢のことだ。俺たちに無言のプレッシャーを圧しかけてきたあの嬢である。
生真面目な気質のあの娘は社会のあぶれものに対してのあたりが強い。
面と向かって言われたことはないが、彼女の中で俺たちはゴミのような扱いなのだろう。
今日も今日とて酒場から掃いて捨てられたわけだし。
さて、肝心のクエスト内容であるが、今回は討伐でも納品でもない。
目的地はドンドルマ市内にある。
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[大試食会!ハンター募集!]
[任務地]
ドンドルマ市内、HLカンパニー本社
[依頼内容]
新商品の試食会
[報酬金]
14000z
[依頼者]
HLカンパニー開発部長 : ハンター諸君、待望の《ハンターズレーション》シリーズの新フレーバーの登場だ。そこで正式発売に先駆け、試供品を用意した。誰よりも先に、新たな世界を見たくはないか? 未知の境地が、君たちを待っている。
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◇◆◇◆◇◆◇◆
携帯食料。
シリーズファンにはお馴染みのスタミナ回復アイテムだ。
スタミナの回復値は25とこんがり肉の半分となっているが、単純な下位互換というわけではなく、モーションの長短で住み分けはできている。
こんがり肉の長いモーションを嫌って携帯食料を愛用していたハンターも少なくないだろう。
短所である回復値の低さも、狩り中での逐次回復の際はデメリットに成り得ない。むしろこんがり肉の回復余剰分がもったいなく思えて使うのを渋ってしまうこともしばしばある。
本作における見た目に関しては、カロリーメイトのようなブロック状の外見をしている。
で、だ。
本作において、携帯食料、及びその他食品アイテムは重要な意味を持つ。
MHLOではスタミナゲージは存在しない。代わりに空腹度システムに置き換えられている。
モンハン以外のゲーム、取り分けサバイバル系によくあるシステムなのだが、まあ話は難しくない。
1.ゲーム内で時間が経過するとお腹が空く。
2.それを放置すると、一定のラインを超えると身体面に深刻なデバフが掛かる。
3.それでも放置すると餓死する。
以上だ。
俺みたいなフラフラしてるプレイヤーならばそこまで厳密に守らねばならないことはないが、一線級のプレイヤーにとっては死活問題だ。
モンスターとやり合っている最中にデバフが掛かろうものなら目も当てられない。聞くところによれば、このデバフというのが致命的な隙を晒してしまうほどのものらしい。
そのため、スタミナ管理は無視できない重要事であるのだが……問題は、それを何で満たすのか。
こんがり肉、サシミウオなどなど。
従来からある定番の食品アイテムから、新たに追加された料理システムにより、そのレパートリーは過去作には類を見ない程に豊富だ。
しかしながら、料理システムの追加に際し“鮮度”などと言う余計な要素がくっついてきた。
そのおかげで長期間に及ぶ狩りの時にはそれらの美味しい料理の大多数はゴミと化す。加工食品とは言え日持ちするものばかりではない。
おまけにこのゲームには四次元ポケット的なインベントリは存在しないので、スペース的に嵩むものは好まれない傾向にあるのだ。
一線級ハンターが狩りの供に選ぶ糧食には、大きく三つの要素が求められる。
まず一つ。日持ちがすること。
二つ。コンパクトで携行に適すること。即時摂取出来るなら尚良し。
そして三つ目。値段が安いこと。
結局最後には金か。
そんな風に思うかもしれないが、食費というのは馬鹿にならない。空腹度を気にするならば日に二、三度は飯を食わねばならないし、活発に活動しエネルギーを消費するハンターならばその量は更に跳ね上がる。
ハンターの懐事情を詳らかにしてみると、クエスト達成により依頼金を貰っても、食費、交通費、装備の修繕費、などなどの出費を鑑みれば収支はトントンと言ったところだ。
過剰な儲けなど出るはずもない。
しかしそれでも武器防具を新調したい。もっと欲しいものがある。そんな欲が生まれるのは人のサガだろう。
それならば節約せねばならず、まず最初に何を削るか。交通費は必要経費として、自分の命脈を繋ぐ装備のメンテナンスも怠れない。
そうなってくると、大多数のハンターが目を付けるのが食費なのだ。
大分話が脱線したが、ここで最初の本筋に戻ってくる。
そこで登場したのが携帯食料だ。
そもそも、このゲームにおける携帯食料はギルドからの支給物資であった。ゲームの時と同じく、クエスト開始時にベースキャンプに応急薬などと共に支給される。
ただそれ以外にも集会所内の雑貨屋でも販売しており、十個入りパックで200zと大変優しい料金設定である。
だったのだが、発売からしばらくした頃。
とあるプレイヤーの集団がギルドマスターに直訴した。
曰く、携帯食料の品質に納得がいかない。自分たちならばもっと良いものが作れる、と。
彼らがそう言うのにもわけがある。
日持ち、大きさ、値段。
三拍子揃った携帯食料だが、一つだけ大きな欠点があった。
不味い。
これに尽きる。
世の中のものは上手いこと出来ていて、何かが秀でていると何かが萎む。長所と短所の釣り合いが取れるようになっているのだ。
シリーズファンならば見たことがある人も多かろうが、携帯食料のフレーバーにはこんな風に書いてある。
『数多の狩人が口を揃える程の不味さ』
運営はこの文章を忠実に再現してくれやがった。
まず前提としてである。
この世界のハンター、プレイヤーではない彼らからすると、ハンターという職業は常に死と隣り合わせの最も過酷な職業だ。
彼らの真似事をしている俺たちプレイヤーですら、それをするのに羞恥心やら何やらを捨て去らねばならないほどの厳しい業種。
自然、彼らの精神力、忍耐力は常人とは比べ物にならないほどに鍛えられる。
そんな彼らをして。
口を揃えて「不味い」と言わしめる携帯食料がどれほどのものか。
地獄だった。
サービス開始当初、ギルドでの登録を終え、ウキウキでクエストを受けた新米ハンターたちは何気無しに支給品ボックスを漁り、中に入っていた携帯食料を口に含んだ。
地獄だった。
口に含んだブロック状の物体。
ゴリッと歯が砕けるんじゃないかという硬さのそれを砕く。中から溢れ出た味の暴力はあまりにも殺人的だった。
濁流の如く溢れ出したそれは、現代日本の美食の味に慣れ切ったプレイヤーたちの舌を蹂躙し尽くした。
よーしやるぞと気合いを入れ、ベースキャンプで気絶してぶっ倒れるプレイヤーが相次いだ。
当時のプレイヤーは言う。「まるでネルギガンテが口の中でタップダンスを踊っているかのようだった」と。
敢えてここでは味についての詳細な描写は避けるが、余りにも壮絶な味にとあるプレイヤーは絶叫を上げてのたうち回り、終いには自らハンターナイフで喉を突いて自害した、なんて嘘か誠か分からない話があるくらいだ。
……地獄だった。
現地民ハンターは言う。
噛まずに水で飲み込めと。
ダメだった。
プレイヤーのアバターは身体面だけでなく消化器官までもが貧弱だった。
聞いた話だ。
とあるプレイヤーがクエストに行き、携帯食料を水で流し込んだ。しかしあまり空腹を満たした実感がない。まあこんなものかとクエストをこなし、帰還した。
そのプレイヤーはしみじみと語った。その翌日、朝の便に薄汚れたカロリーメイトもどきがそのままの形で混じっていたのだと。
硬すぎるブロックに肛門を切り裂かれた彼は、今も治らない切れ痔に悩んでいる。
一度でも携帯食料を食べたことのあるプレイヤーたちは叫んだ。
嫌だ。もうこんなものは食べたくない。
多少高くて場所を取っても、美味しい料理が食べたい。賞味期限がなんだ。
だが現実は非情だ。金は増えず、料理は邪魔で、しばらく経つと異臭を放った。
その点、携帯食料は余りにも有能だった。
健全にゲームを楽しみたいプレイヤーたちは、泣く泣く携帯食料に手を伸ばさざるを得なかったのだ。
だからこそ、そんな現状を打破せんと立ち上がった連中に、プレイヤーは希望を見た。
ギルドの経理係も、初期出費を自分で持つのなら……と許可を出した。
数多のプレイヤーたちが彼らを応援し、また、金や物資の援助も惜しまなかった。
そうして彼らは万全の体制で改良型携帯食料の開発に取り掛かったのだ。
そして彼らは方向性を見誤った。
いや、見誤ったのはプレイヤーたちだったのだろう。自分以外の誰かに勝手な理想を見た。その怠慢のツケが回ったのだ。
彼らは新たな携帯食料を開発した。
その出来栄えはギルド職員を驚かせ、現地民ハンターをも唸らせるほどのものだった。
彼らが作り上げた試作品の名は、「ハイレーション」。読んで字の如く、携帯食料のアップグレード版。
向上したのは、スタミナの回復値だった。
彼らは廃人だった。
攻略組。
凡ゆるゲームの最前線に立つ彼らが求めたのは純粋な効能や効率だった。
違う、そうじゃない。
声高に叫ぶミドルユーザーたちの声を黙殺し、ギルドの信用を得た彼らは次々に新たな携帯食料を開発した。
ホットドリンクの効果を付加した「レッドレーション」。
鬼人薬の効果を付加した「マッシヴレーション」。
などなど、彼らが作り出すものはどれもこれもが優秀な効果を秘めていた。
しかし味はそれに反比例するように下限を突き破って奈落の底へと驀進した。
ミドルユーザーたちが阿鼻叫喚に陥る中、ギルドと現地民ハンターの信頼を得て、着々と地盤を固めた彼らは、ついに自らの会社を立ち上げるまでに至った。
その名も、『
◇◆◇◆◇◆◇
「よくぞ来てくれた」
眼鏡をかけた白衣のプレイヤーが俺を鷹揚に出迎える。
俺は全身から酔いが引いていくのを感じた。ふわふわした気分が急激に冴え、足元の硬い地面の感覚が襲ってくる。
何だ。俺は何をしている。
ぼんやりとしていた思考が覚醒し、目の前の光景が正しく脳内で処理され始める。
大きな建物があった。
中世ヨーロッパ風味あるドンドルマの街並みにそぐう石造りの建築物。
日本人からすれば大変風情ある建物であるのだが、両開きにされている門の上にぶら下がっているやたらファンシーな看板がそういう雰囲気をぶち壊しにしていた。
そこには現地語に加え、俺たちプレイヤーにも分かるように英語の文字が羅列されていた。
【Hunter's Ration Co.】。
ドギツイピンク色に金色の洒落た書体で書かれたその横には、某10円スナックのそれに似たデザインのキャラクターが並んでいる。
致命的なミスマッチ。素人仕事が丸出しな趣味の悪い看板の端には、小さく「ギルド公認」の文字が。世も末だ。
俺の手足が震え出した。
過去に植えつけられた強烈なトラウマがこの場に居てはならないと強く訴えかけてくる。
ふと横を見ると、俺と同じようにクエストを受けたのであろうプレイヤーが三、四人やって来ていた。
彼らもまた顔面を蒼白にし、ガタガタと身体を震わせている。
ちらりと視線が合う。
彼らは怯えながらも、ある種の決意をその目に宿していた。
そうか、お前らもか。
男には、障害があると知っていても、やらねばならない時がある。
それは例えば、コンビニでエロ本をレジに持っていく時であり、レンタル屋でAVを借りる時であり、怪しいエロサイトをクリックする時である。
今回も、きっとそんな試練の時なのだ。
俺と知らないプレイヤーたちに、奇妙な連帯感のようなものが生まれた。
俺たちは生まれた日は違えども、死ぬ時は同じ日同じ時であることを願う。俺たちはもはや他人ではない。艱難辛苦の道を共に歩む仲間……否、義兄弟であった。
「さあ、会場はこちらだ。ついて来たまえ」
全ては報酬14000zのために。
俺たちは怪しいマッドに導かれるままに、狂気渦巻く伏魔殿へと足を踏み入れた。
◇◆◇◆◇◆◇
「ーーつまりですね、本能に基づく三大欲求に従う時こそが遍く生物が晒す最大の隙なのです。食事も然り。だからこそ、極限環境における栄養摂取は効率良く最短で行うのがベストなのです」
先行くマッドが何か言っている。
何やら自らの理念やら携帯食料の有用性について語っているようだが、極度の緊張状態にある俺たちの耳にはまるで届いていなかった。
こいつらは定期的に新作を作り出しては、試食会と銘打ったクエストをギルドに出す。
一体何のために。前に聞いたら自己満足のためだと言っていた。自分たちが作り上げた成果をひけらかしたいのだと。それを食べた顧客の反応を生で見たいのだと。
そんなことのために一人につき14000zもの大金を払って公募するなんて狂っている。
だがそれを嘲笑って吐き捨てるには14000zは高過ぎた。
どんな理由があれ、大金は大金だ。俺たち貧乏人は札束の誘惑には敵わなかった。
胃がキリキリと痛む。ストレスで禿げそうだ。
だが逃げるわけにはいかない。報酬14000zのために。
俺たちはカネのことだけを考えるようにした。
これが終わったらどうする。俺は酒を飲む。集会所のあいつらと、浴びるように飲んでやる。
お前たちもどうだ。
すぐ脇を歩く知らないプレイヤーにそう目で問いかける。
俺たちは極限環境に連帯感が高まり過ぎてアイコンタクトでの会話まで出来るようになっていた。
いいな、是非参加させてくれ。
俺も。一番高いやつ頼んでやるんだ。
知らないプレイヤーたちが口々に応えてくる。意思を伴った視線が乱れ飛んでいた。
いや……俺は貯金するよ。
一人のプレイヤーはそう応えた。
この流れで? 驚く俺たちにそのプレイヤーは取り繕うように視線を泳がせた。
相方のハンターに武器をプレゼントしたいんだ。あいつ、今度誕生日だからさ。
なるほど、良い奴じゃないか。
俺たちは友だち思いの知らないプレイヤーの肩を叩く。
知らないプレイヤーは照れ臭げに笑った。
カツカツ、と軽快に鳴っていたマッドの足音が止まる。
立ち止まったマッドが振り返る。その先には大きな扉があった。
「試食会はこのホールで行われる。諸君、期待したまえ。今回の作品は我々の最高傑作と言える」
ゴクリと唾を飲み込んだ。
喜悦の表情を滲ませるマッドの向こうで、ゴゴン!と地獄の門が音を立てて開いていく。
……やってやるさ。
俺たちは覚悟を決めた。
拳を握り締め、決然と前を見据える。
金と酒、そして友情のために。
俺たちの旅はこれからだ!
……
…………
………………
……………………
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……………………………………
…………………………………………ハッ!?
俺は飛び起きた。
荒い息を吐きながら辺りを見渡す。見慣れたボロい長屋の一室だった。
何だ? あれからどうなった?
分からない。記憶があやふやで、何一つとして判然としてこない。
まさか全ては夢だったのか?
いいや、そんなはずはない。俺の手には重い革袋が固く握られていた。中を検めれば、じゃらりと金色の硬貨が音を立てた。
ふひひっと思わず笑みが漏れる。
しばらく手のひらで金貨をチャラチャラと弄んでいた俺は、ハッと顔を上げた。
ーーお前たちもどうだ。
ーーいいな、是非参加させてくれ。
ーー俺も。一番高いやつ頼んでやるんだ。
ーーいや……俺は貯金するよ。
過去の回想がフラッシュバックする。大して興味もなかったので顔まではもう思い出せないが、交わした約束を俺は思い出した。
あいつらは! あの知らないプレイヤーたちはどうなった!?
俺は乱暴に靴に足を突っ込むと、慌てて居室を飛び出した。
◇◆◇◆◇◆◇
昼下がりのドンドルマ市内をひた走る。
何故か住人やプレイヤーたちが驚いて道を開けてくれた。何だかよくわからんが有難い。
やたらと頭部に風の冷たさを感じつつも、俺はギルドへ、約束の地へ急いだ。
ギルドに飛び込み、一直線に酒場に向かう。
あいつらは!?
酒場の様子を見るが、知らないプレイヤーたちの姿はない。
俺はたまたま通りかかったアビゲイルの肩をガッと掴んだ。
アビィ! あいつらは! あいつらはどこにいるんだ!?
「えっ。ちょ、なん……きゃあああああ!?」
突然肩を掴まれ驚いたアビゲイルだったが、俺の顔を見るなり表情を引きつらせて悲鳴を上げた。
何だ急に!?
アビゲイルの悲鳴を聞きつけ、今日も今日とて昼酒をかっ喰らっていたらしいろくでなしどもが何だ何だとやってくる。
ろくでなしどもは俺を見るなりギョッとする。
「お!? 何だお前!?」
「何でこんなとこにナ○ック星人がいるんだよ!?」
は? 何言ってんだこいつら。
そんなことよりお前らも知らねえか? なんか、こう……名前知らないから何とも伝え難いな……。
「その話し方……お前、ひょっとしてタチオか?」
当たり前だろ。他の誰に見えるってんだ。
おかしなことを言い出すろくでなしに俺はややイラついた。
なんかさっきから妙だ。話が噛み合わない。
そんな時、アビゲイルがおずおずと俺に声をかけてきた。
「あ、あの……ピスタチオさん……なんですよね?」
そーだよ。なんなんだ一体。
「ご覧になって下さい……」
そう言ってアビゲイルが差し出してきたのは、小さな手鏡だった。
安物なのか作りは粗く、ぼんやりとしてはいるが鏡としての役割は最低限果たせる代物だ。
わけのわからないままに手鏡を覗いてみると、そこにはナメ○ク星人がいた。
顔面の肌が緑色に染まっていた。頭髪の抜け落ちた頭のこめかみからは触覚のようなものがぴょこんと二本伸びている。
○メック星人だった。
「あの、もしかして……」
驚愕のあまり硬直している俺に、躊躇いがちに声が掛けられた。
振り返ると、そこには見覚えのある顔立ちをした、三人のナメッ○星人が立っていた。
※この作品は《モンスターハンター》の二次創作小説です。