オリフレシェアハウス!!(うちの子誕生録) 作:BaryNao
一人は背の高く狼のような、また一人は早歩きで歩く鳥のような。そして一人はそんな二人についていくカロナである。三人は、ある依頼者から頼まれたあるものを探すために、それがあるであろう場所に向かっている。どうしてこんなことになっているのか、カロナがなぜこの二人についていっているのか、それにはとても長いストーリーがあるのであった…。
「ちなみにこれはifストーリーだからキャラが原作と違うかもだけど気にしないでね?」
「カロナいきなり何へんなこと言ってるの?怖いよ?」
なんでも屋の二人
「ちょっとここどこよ! だから変なところにはいかない方がいいって言ったでしょ!!」
「まぁまぁ、これも依頼だったんだからしょうがないって。ほらそこに誰かいるから聞いてみようよ」
見たことのない風貌の二人が向こう側からやってきた。
「やぁ、初めまして。ここがどこなのかを知りたいんだけど……何か知ってるかい?」
カロナは目をこすり、笑顔でその質問の答えを答えた。リトにした、あの笑顔で。
「わたしはカロナ! ここはいろんな世界からいろんな人が集まるシェアハウスよ!」
ぽかんとする二人。見るからに大きな木や数えきれないほどの木々の中、こんな大自然のなかでいきなり『シェアハウスよ!』なんて言われたら、頭の中にクエスチョンマークが出るのは当たり前のことだろう。
「えっと、なるほどシェアハウスね。ということは君はそのシェアハウスの管理人ってことでいいのかな?」
体が大きく長袖セーターにブレザーを来たオオカミのような耳と尻尾を付けた女性がカロナに問いかけた。
「ちょっとドルフ!!何そんなに落ち着いてるのよ!!私たち裏路地に入ったはずなのにいきなりこんな森に出るなんておかしいでしょ!もうちょっと慌てなさいよ!」
オオカミの女性よりも背が低く、カロナと同じぐらいの背丈の少女がドルフと呼ばれた女性に怒鳴っている。カロナと同じような羽が頭についていることからカロナと同じ種類の少女のようだ。
「まぁまぁセグロセキレイ君。ここに住んでるヒトがいるんだから大丈夫だよ。何かあったら入ったところから出れば戻れるだろうし。」
「はぁ……。私にはドルフみたいに落ち着けるほどにはなれないわ…。」
「えっと、ドルフとセグロセキレイ…でいいのかな?」
カロナは二人の会話が途切れたところを見て問いかけた。
「とりあえずこの先に私の住んでる家があるからそこでお話ししない?」
「ゆっくり話せる場所があるならいいかもね、立ち話もあれだしついていこうよ。」
「え!?ま、まぁいいか…。変なことしたらけもッターに書き込んで拡散するからね!」
そういってカロナは二人を家に呼ぶことにした。
カロナは内心ワクワクだった。リトがいなくなった直後だったが、リトが言っていた『もし誰かがこの世界に来たのなら歓迎してあげて。』というお願いを初めてかなえられるチャンスだと思ったからだ。リト以外のヒトと話すのは初めてだから緊張もしているが二人を歓迎しようと意気込んでいる。
カロナは玄関を入って二人を一階の奥にあるリトと一緒によく過ごしていたリビングに連れて行った。リビングには四人が座れるテーブルと、ソファーとテレビが置いてあるだけの狭い空間だけど、三人で話すには十分な広さだ。二人を椅子に座らせ、カロナは自家製のパンと水を二人の前に置き、二人の対角の椅子に座った。
ドルフは出された水を一口飲んだ。セグロセキレイは黄色の箱のようなものに指を当てて何かをしているようだった。
「それじゃあ、えっと。何か聞きたいこととかある?二人が初めてのお客さんだから何でも答えるよ。」
「そうか、それじゃあまず一つ。いろいろ聞きたいことはやまやまなんだけど、とりあえず君の事とここの場所について教えてくれないかな?」
「そうよ!ここじゃケモフォンの位置情報もバグるし写真も真っ黒になるし、インターネットはつながるみたいだけどけもッターにつぶやけないし、どうなってるの!」
ドルフがカロナに質問をすると箱のようなものをいじってたセグロセキレイも問いかける。
「えっと、私の名前はカロナ。カロライナインコっていう動物からこの姿になった、って感じなのかな?この場所については私自身完全にはわかってないのよね。異世界って感じ、そういうの今流行ってるみたいだし。」
「異世界…。」
二人が声を合わせてつぶやく。異世界なんて漫画の中の話だ。ドルフが一つ咳をして話を続ける。
「こほん、この際異世界っていうのは置いておくとしよう。君もアニマルガールなんだね。セグロセキレイ君とおんなじ感じがしたからそうだとは思ってたけど。カロライナインコってのは初めて聞いたな。ジャパリパークでもカロライナインコっていう子がアニマルガール化したなんて聞かなかったし。」
「『アニマルガール』とか『ジャパリパーク』ってのはよくわからないけどたぶんそうなのかも。君も、ということはあなたたちも何かの動物だったりするの?」
「そうだよ。僕はオオカミケンのチェコスロバキアン・ウルフドッグ。長いからドルフって呼ばれてるよ。こっちがセグロセキレイ。ほかの人からはセセちゃんとかで呼ばれてるみたいだけど、僕はセグロセキレイ君って呼んでるよ。」
「ちょっとその『セセちゃん』って名前で呼ばないでって言ってるでしょ!セグロセキレイよ!セグロセキレイって呼んで!」
「はいはい。」と怒るセグロセキレイをなだめるドルフ。二人はとても仲がいいようだ。
「で、ここは異世界だというけどちゃんと帰れるんだよね?一応変な場所につながってるっていう報告を依頼者に報告しなきゃなんだけど。」
「えっとね、戻れるかどうかはわからない。」
「は?」
カロナの一言にセグロセキレイが反応する。
「私自身ここから出たことないから、出られるかどうかすらわかんないや。」
「それじゃあ私たち一生こんな訳の分からない場所にいなきゃいけないの!?」
「いや、もしかしたら入ったところから出れば大丈夫かも?」
「無責任!!!」
「だって私だってずっとここで住んでるんだもん!」
「じゃあとりあえず試してみようよ。さっきも言ったけど同じところから入れば戻れるだろうし。」
ドルフが冷静に言う。カロナも「確かに。」となった。
「あーわざわざ来てもらったしこのパンだけでも食べてって…?」
カロナは出したパンを食べるよう促し、三人は大樹まで踵を返したのであった。
カロナ達は大樹まで戻り二人が出てきた大樹の穴を確認していた。カロナが穴の中に入ってみている。
「さてと、ここで戻れるといいんだけど。」
「見た感じ木に穴が開いてるだけで戻れそうには見えないんだけど?」
「うーん、私が触ってもなんも反応ないんだよね…。」
カロナが木の穴から顔を出しながら言う。
「じゃあやっぱり私たち帰れないの?もうけもッターにもつぶやけないし、アイドルのライブにも行けないし、見たかったアニメも…。」
「んー、戻れないとなると僕たちにもいろいろ不都合なんだよね。別に君を責めるわけじゃないけどね。」
さっきまで落ち着いていたドルフまで不安そうにしている。しかしカロナ自身も解決方法がわからないのでどうしようもない。
そもそもカロナもここにどうやって来たかははっきりしてないのである。
「なんでこんなことに…。こうなったらこんな木壊してやるわ……ってうわっ!?」
ついに怒ったセグロセキレイが大樹の穴に飛び込んだ瞬間セグロセキレイの体が穴に吸い込まれていった!
「あ、ちょっとセグロセキレイ君!?大丈夫かい!?」
ドルフが穴に向かって叫ぶが返事がない。
「この木の穴って私一人すら全部体はいらなかったのに、セグロセキレイって小さくなる力でも持ってるの!?」
「いや、僕が知る限りではそんな能力は持ってないはずだよ。」
「ということはもしかして元の世界に戻れたとか?それならドルフもいったほうがいいんじゃない?」
「そうだね、時間で閉じられたらまずいからね、じゃあ君も一緒に来てもらうよ。」
「えっ!?」
カロナが有無を言うまえにドルフがカロナの体を持ち上げ一緒に木の穴に飛び込んだ。
そうして三人は全員木の穴に消えていったのである。
目を覚ますとそこは固い地面の上だった。見慣れない色の地面と壁に囲まれた場所にカロナは居た。
「やった!!帰ってこれた!!けもッターもできる!!いぇーーい!!!!」
「一時はどうなることかと思ったけど、戻ってこれてよかったよ。」
二人は心底安心してる様子だった。
カロナだけでは外に出ることはできないようだが、別世界から来た人と一緒なら出られるようだった。セグロセキレイの興味本位でどうやったら移動するのか試してみると、カロナがいた世界の方に行くのも元の世界に帰るのもほとんど不自由なくできるようだ。ただカロナはカロナがいた世界に戻るのは制限がないようだが出ていくときは誰かと一緒じゃないと不可能だということが分かった。
「こんな感じで行き来ができるなら僕たちが遊びに行くなんてこともできそうだね。」
「そうね、今回は私もあせってたからちゃんとできなかったけど、あんな面白そうなところはないものね。今度お邪魔させてもらおうかしら。」
「おやセグロセキレイ君。君がこんなに早く初対面の相手に心を開くなんて珍しいね。」
「ち、違うわよ!誰も見つけていない新種のアニマルガールと仲良くしておいたら、いずれ私もバズるんじゃないかって思っただけよ!!」
セグロセキレイは照れ隠しなのかとても早口で否定をする。
「新種?バズる?よくわからないけどまたうちに遊びに来てね!」
カロナはそんなことは気にせずまた会えることを願いそう約束した。
こうしてカロナはドルフとセグロセキレイという新しい友達と別れを告げ、シェアハウスに帰ったのであった。めでたしめでた……
「あ、まだ君には付き合ってもらうよ。さっきも言ったけど依頼者に報告しなきゃだからね。そのためには君も必要だ。」
ドルフが帰ろうとするカロナを呼び止める。
「別にいいんじゃない?あんな私を『小鳥ちゃん』ってよぶ奴に報告するまでもないでしょ。なんも異常はありませんでしたよっていえばいいじゃない。」
「それでも依頼は受けたわけだし、あの人は一番の常連さんだからね。」
「はぁ…。カロナも別に付き合わなくてもいいのよ?ってなに目をキラキラさせてるの…?」
二人の会話を聞いていたカロナはワクワクしていた。
「ねぇ、その依頼者って人もそのアニマルガールってやつ?」
「え?えぇそうよ。」
「行く!!私もつれてって!!」
「そう来なくっちゃ!別にいやだったらセグロセキレイ君はここで帰ってもいいよ」
「私も行くわよ!!」
ドルフを先頭にうきうきなカロナとトコトコとついてくるセグロセキレイの三人は、その依頼者と呼ばれた者の方へ向かったのであった。
数分歩くと、小さな公園の大きな木の下で野良猫と戯れている少女のもとに着いた。ふわふわもこもこな服装にドルフとは違った大きな耳と尻尾がついている。この少女が依頼者のようだ。
「あら、ドルフに小鳥ちゃん、おかえりなさい。どうだったかしら?何か見つかった?」
「ただいま、調査の結果だけど面白いものが見つかったよ。」
「面白いものってなにかしら、ってあら?その子はどちら様かしら?」
「この子はカロナって子でね、その面白いものっていうのがこの子なんだ。」
少女の顔にクエスチョンマークが浮かぶ。
「あんたが言ってた怪しい路地裏の先には異世界に続く入り口があって、そこにこのカロナがいたのよ。」
「小鳥ちゃん大丈夫?漫画の見過ぎじゃない?」
「うるさいわね!ほんとのことだしドルフと一緒に行ったわけだし。何ならついてくる?」
「遠慮しておくわ。そんなことより、カロナって言ったかしら?初めましてごきげんよう。ノルウェージャン・フォレストキャットのフレイヤですわ。あなたも小鳥ちゃんかしら?」
「ちょっと!!」と怒るセグロセキレイを横目に、フレイヤと名乗った彼女はカロナにそう問いかける。
「私はカロライナインコのカロナ!よろしくね!」
「あら元気な子。そっちの小鳥ちゃんとは大違いね。」
「ひとこと余計よ。」
「うふふ、それであなたもなんでも屋に入ったのかしら?」
「なんでも屋?」
カロナがオウム返しで質問する。
「そういえばカロナ君にはまだ言ってなかったね。僕たちはなんでも屋って言っていろんなアニマルガールから依頼を受けているんだ。フレイヤ君はそこの常連でね。今回もフレイヤ君からの依頼で調査に出てたんだ。」
「そうなの、今回は誰も寄り付かない路地裏には何があるのかを調査してって頼んだの。」
「そしたらあんたがいる世界につながってた、ってわけね。誰も寄り付かないからなんか心霊的なものでもあるのかとおもったけど、異世界への入り口があるんてね。」
その話を聞いてカロナは「なるほど」とうなずく。ドルフとセグロセキレイは『なんでも屋』というものを経営していて、フレイヤはそのお得意様ということらしい。
「ちなみにカロナ君はあの路地裏がカロナ君のいた世界につながってるってことは知らなかったんだよね?そもそも出られることすら知らなかったみたいだから。」
「そうだね、ドルフが言う通り何も知らないなぁ。そもそも出ようとも思ってなかったし。」
「ということはあそこの路地裏に誰も人が寄り付かないっていうのは異世界につながってるからってわけじゃなさそうだね。これは再調査が必要かもしれないね。」
「いやただ単に路地裏だから人が来ないだけじゃないの?」
ドルフの推理に的確なツッコミを入れるセグロセキレイ。そんな二人を見ていてカロナはクスリと笑ってしまった。
「お二人は本当にベストパートナーですわね。それじゃあ今度は別の依頼をしようかしら。」
「お、新しい依頼かい?いいよ、なんでも屋の僕たちに任せてよ。」
「また受けるの!?一回解決したんだからおやすみしたっていいじゃない!」
「まぁまぁいいじゃない小鳥ちゃん。怒りすぎると体に悪いわよ?」
「誰がそうさせてるんだか…。」
そんなこんなでフレイヤの依頼内容を聞いた二人は早速その依頼された場所へ向かおうとしていた。そんな二人をカロナは呼び止める。
「ねぇ!そのなんでも屋の依頼、私も入っていい?」
そのカロナの提案にセグロセキレイが「えぇ!?」と反応する。
「今回だけでいいから!二人の邪魔はしないから!いいでしょ…?」
「あら熱心な小鳥ちゃんね。こんなにやる気なら二人のお仕事の様子を見せてあげたらどうかしら。」
「なんであんたが決めるのよ。決めるのはこっちの自由でしょ。」
「いいんじゃないかな?仲間は多いことに越したことはないよ。」
「ドルフまで…。まぁいいわ!その代わり私のいうことは絶対に聞くのよ!わかった!?」
「わーい!邪魔しないように手伝うね!」
こうしてカロナは何でも屋の仕事を手伝うことになった。
フレイヤと別れを告げて、三人は依頼された場所に向かうのであった。
人がたくさん歩く街を三人のアニマルガールが歩いている。
一人は背の高く狼のような、また一人は早歩きで歩く鳥のような。そして一人はそんな二人についていくカロナである。
フレイヤからの依頼は『ある新人野良猫を連れてくること』だった。
「猫集会に来ない猫を連れて来いって、つまりパシリってことよねまったく…。」
前を歩くセグロセキレイがボソッと愚痴る。
「カロナもついていきたいなんて言ってたけど、なんも面白くないわよ?こんな感じにフレイヤから自由奔放なお願いを聞いてそれを聞いてくだけだし。」と、セグロセキレイは後ろを歩くカロナの横にやってきて言ってきた。
目的地までの移動の間、セグロセキレイがフレイヤとドルフのことをいろいろ教えてくれた。セグロセキレイ曰くフレイヤはモデル業をやっていて、いろんな雑誌の中にフレイヤがパッケージとして写っている商品の紹介があるそうなのだ。また、フレイヤは生まれた時からお嬢様な生活を送っていたらしく時々凡人には考えられない行動をすることがあるそうで、フレイヤがそんな性格なため、ドルフがなんでも屋と名乗ってしまったばっかりに、文字通りフレイヤからなんでも頼まれてしまっていてセグロセキレイは飽き飽きしていると文句を言う。
今回の依頼だが、フレイヤは野良猫飼い猫関係なくたびたび猫集会を開いてるそうで、一度もやってきてない自由奔放な新入り猫がいるそうなのだ。猫集会は猫同士の交流という点が多いが、新しくテリトリーにやってきた新入りネコをチェックするためにも行われるそうで、最近テリトリー内に入ってきた猫はかならず呼び出されるのだそうだがその猫は一度も来てないらしい。
「その野良猫、まるでフレイヤそっくりね。自由気ままで自分勝手なところとかまるでそっくり!」
セグロセキレイはフレイヤに嫌悪感を持ってるようだ。何か弱みでも握られてるのだろうか?
「まぁともかくその野良猫?を連れて行けば今回の依頼は達成なんだよね?」
「カロナ君の言う通りだ。もう少しでその野良猫君がよくいる路地に着くんだけど、っと。」
段差をひょいと降りてドルフが辺りを見回す。カロナが出てきた裏路地とは違って明るく、歩行者も歩くような普通の路地だ。ここによくいる野良猫を呼んでほしいとのことだが、いったいどこにいるのだろうか。
「というかその猫の特徴とか教えてもらってない気がするんだけど、どうやって探すつもりなの?まさかしらみつぶしとかじゃないよね?」
「そういえば聞いてなかったね。まぁ探せば見つかるよきっと。」
「はぁ…。まぁやるしかないからやりますけど…、ってあそこ!」
長期戦に思われた猫探索は一瞬で幕を閉じた。にゃーんと泣きながら黒色の猫が通り過ぎてるのをセグロセキレイが見つけたのである。
「多分あの猫だよね。首輪もつけてないから野良猫っぽいし。とりあえずあの猫を連れて帰れば任務は完了だね。僕がササっと連れてくるよ。」
そう言ってドルフが黒猫のもとへ駆け寄る。
「やぁ黒猫君、君の事を待っているお嬢様がいるんだ。一緒に来ないかい?」
ドルフが黒猫に手を差し出す。
その差し出された手に黒猫は手を返すわけでもなく、
その手に噛みついた。
「あっ…。」
ドルフは噛まれた手を動かさずにその場でじっとしている。ドルフからしたら猫にかまれるなんて大した痛みではないだろうが、背中からなにかオーラが出ているように見える。
「へぇ~、君ってそういうことするんだぁ…。君が噛みつくっていうなら僕も…。」
「ドルフ!ストップストップ!!!」
セグロセキレイが急いでドルフの体を引っ張る。いったん休戦だ。
黒猫はこっちを警戒しているのか、それともあざ笑ってるのかわからないが、先ほどから同じ場所でずっとこちらを見ている。
ドルフの噛まれた手を見てセグロセキレイは心配そうにドルフを見る。怪我はなく何ともないようだが噛まれたこと自体がドルフを精神的に傷付けたようだ。
「あの猫、僕のことを甘く見てるようだから痛い目見せてあげないと…。せっかく僕が手を差し伸べたというのにそれを払うなんて…。」
「まぁまぁドルフ落ち着いて…。確かに噛みつくのはあれだと思うけど…。」
ドルフも怒る時は怒るようで、尋常じゃない真っ黒なオーラがドルフから出ているのが見える…。
「えっと、じゃあ今度が私が行ってみるよ。せっかく連れてってもらってるから私もお手伝いしたいし。」
「あ、カロナ君気を付けてね。もし何かあったらすぐに僕がすぐに…。」
「ドルフは一回離れて。カロナちょっと私ドルフを抑えておくから頼むわよ。あんたも噛まれてキレて襲ったりしないでよ?カロナの性格的に大丈夫だと思うけど。」
「あ、あはは…、どうだろう?それじゃあ行ってくるね。」
そう言ってカロナが黒猫のもとににじり寄る。黒猫の方は顔を洗って余裕そうだ。
カロナは腕を伸ばせそうなところまで近づき止まった。完全な一騎打ちの状態で黒猫と対面し、カロナは黒猫にこう言い放った。
「さぁさぁ野良猫よ!さっさとお縄に掛かりなさい!!」
「いつの時代のセリフよ…。」
カロナはそう言い放って野良猫に飛びつこうとした!野良猫はそれに応えるかのようにカロナにネコパンチを繰り出した。
「ぎにゃぁ!!」
「王道な展開ね…。ちょっと~?カロナ大丈夫~?」
「あの野良猫私の事叩いた!!しかも顔に!!」
「カロナってもしかしてものすごい弱い??」
泣きながら走ってくるカロナを抱きしめ、セグロセキレイがなだめる。
あの野良猫にドルフもカロナも倒されてしまった。残るはセグロセキレイのみになった。
「てかなんで猫ごときに二人ともたじってるの?あんなのちゃちゃっと捕まえればいいじゃない。」
「やっぱり友好的に行きたいじゃないか。まさか噛みつかれるなんて思ってもなかったけど。」
「そうそう、話せばわかってくれると思って…。」
「はぁ~。」
まさかの二人の頼りなさにセグロセキレイは大きなため息をついてっしまった。
「しょうがないわね、じゃあ最後に私が行ってあげるわよ。あいつの依頼を手伝うなんて気に障るけど、二人がダメなら私が行くしかないものね。」
「き、気を付けてね…!あの猫殴ってくるから…。」
「あんたじゃないから大丈夫よ。黙ってみてなさい?」
そう言ってセグロセキレイは黒猫のもとに歩み寄った。黒猫は顔を洗っていたのをやめ、セグロセキレイを見る。
セグロセキレイは何も言わずに黒猫を持ち上げた。
「あんたも自由過ぎるのもいいけど、自由奔放すぎるとあとで痛い目を見るわよ。」
黒猫を顔のところまで上げてセグロセキレイがそう言った。
黒猫を胸に抱え二人のもとにセグロセキレイが帰ってきた。
「すごいよセグロセキレイ!!こんな簡単に捕まえちゃうなんて!」
「あんたたちが不器用なだけよ。ドルフ、これでいいんだよね?」
「あ、あぁ。それじゃあその子を連れてフレイヤ君のところに戻ろうか。」
三人と一匹は元来た道を通り、フレイヤのもとへ戻った。フレイヤはセグロセキレイが猫を抱えて帰ってきたことにひどく驚いていた。
「あら、ドルフが猫の首根っこつまんで帰ってくるかと思ったら、まさか小鳥ちゃんが抱えてくるなんて。意外だわ。」
「意外で悪かったわね。この猫でいいのよね?」
「えぇそうよ!なんで来なかったかじっくりと話を聞かないとね…?」
黒猫が明らかに恐れた表情になってセグロセキレイの陰に隠れた。「フレイヤが怖くて来なかったのでは?」と三人は内心そう思った。
「新人をいじめるのもほどほどにしておきなさいよ。」
「大丈夫よ。とって食うわけじゃないから。」
「目が笑ってないんだけど?」
「フフ、気のせいよ?それにしてもずいぶん小鳥ちゃんになついてるわね。いったいどんなことしたのかしら?」
「え?普通に捕まえてひょいって。ってなに笑ってるのよ。」
「そこらへんもあとでじっくり聞かせてもらおうかしらね。」
不敵な笑みを浮かべるフレイヤはやっぱりちょっと怖かった。
「それじゃあ今回の依頼も完了ってことでいいかな?」
「そうね、捕まえてきてくれてありがとう。また依頼があったら頼ませていただくわね?」
「もちろん!僕たちは何でも屋だからね!」
「頼もしいわね。そっちの小鳥ちゃん、カロナもお疲れ様。」
「え、あ、ありがとう!あ、そうだ!フレイヤ、よかったら私の家に遊びに来てよ!いつでもいいから!」
「あら、お誘いはうれしいのだけど、ごめんなさい。あまりプライベートの時間が少ないから難しいかもしれないわ…。」
カロナの誘いはやんわりと断られてしまったが、フレイヤという新しい友達もできただけでもカロナはうれしかった。
「それじゃあ僕たちはお暇させてもらうよ。」
「あら、もう行っちゃうのね。心苦しいけどしょうがないわね。それではまた会いましょう?」
フレイヤは優雅なお辞儀をして三人と別れを告げた。
その後三人はシェアハウスの入り口の路地裏まで戻ってきていた。カロナを見送りに二人ともついてきてくれたのだ。
「それじゃあ私は自分の世界に帰るね。」
「あぁ、今日は面白いものも見れたし楽しかったよ。カロナ君という新しい友達にも会えたしね。元の世界に戻る方法もわかってるし、さっきはちょっとしかお邪魔できなかったからまたお邪魔してもいいかな?」
「もちろん!今度こそちゃんとした歓迎をするね!!」
「あぁ楽しみだ。セグロセキレイ君は何か言っておくことはないかい?」
「えっ!?あ、えっと…。」
少しうつむき黙っているセグロセキレイ。
「どうかした?またいつでも会えるんだしそこまで寂しくないと思うけど。」
「いや、まぁそうなんだけど…。」
「セグロセキレイ君らしくないね。言いたいことがあるなら言わなきゃ。」
ドルフがセグロセキレイの背中を押す。
「えっと、カロナ。一緒に写真撮ってもいい?」
「写真?そんなことなら何枚でも撮っていいよ!」
カロナはセグロセキレイの横に立つ。セグロセキレイはけもフォンの自撮り機能で三人が入った写真を一枚撮った。
「あ、ありがとう…。」
「これぐらい何ともないよ!」
カロナはセグロセキレイの横から離れて、シェアハウスがある世界へ続く道の方へ進んだ。
「それじゃあドルフっち、セセっち!また遊ぼうね!」
「う、うん!また!」
カロナは路地裏の奥の方へ消えていった。路地裏にはドルフロセグロセキレイだけが残った。
「さて、僕たちも帰ろうか。」
「そ、そうね。ってちょっと待って。」
セグロセキレイがカロナが消えた方に振り返って、
「だからセセってよぶなーーーーーー!!!!」
セグロセキレイの叫びが路地の壁に反響してこだましたのだった……。
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XX年X月X日22時15分
今日も変な依頼を受けて大変だったわ
でもその変な依頼のおかげで今日は新しい友達と出会ったんだ!
その子と一緒の写真も撮れたし今日はとってもいい日だったわ
今度その子の家にお邪魔する予定で、ちょっと楽しみなのよね~
今日もいい一日だったなぁ…
リプ5件 いいね43
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ある日のシェアハウスで……
「ちょっとカロナ!!!なんでこんなにも料理とか出せるの!?魔法!?」
「ん~?ここでは普通のことだけどなぁ。何ならゲームとかおもちゃとかも出せるよ。」
「えっ!?じゃあアイドルの限定アイテムとかも!?」
「まぁ一応出せると思うけど…。セセっちこれ何に使うの?」
「決まってるじゃない!!ちょっとこれ借りるわよ!!」
セグロセキレイは何かよくわからない紙みたいなものをもって、走って出て行ってしまった。
「ドルフっち、セセっちってあんな性格だったっけ?」
「あー、何かハマってるものに関することをするとああなるんだよね…。」
「いつものセセっちじゃない…。」
ドルフとセグロセキレイはあの日から数日後、カロナのシェアハウスに遊びに来ていた。
シェアハウスというのだからきちんと二人用の部屋も用意されている。玄関から入って二階に上がり、本がいっぱいある部屋とつなぐ廊下があるのだが、そこの廊下にはたくさんの部屋があってそこに一人一部屋泊ることができるようになっている。
二人は数日間ここに泊まりに来るとあっちの世界で連絡したそうで、このシェアハウスに何日か居れるとのことでカロナも大はしゃぎで二人をもてなしたりした。
シェアハウスの構造やどんなことができるのかを説明してるときに『なんでも願ったものが出せる』ということを説明してるときにセグロセキレイが暴走したのであった。
「でもここで出したものを持って行けちゃったらいろいろ不都合が起きそうだけどね。」
「うーん。多分ここで出したのをもっていっても、ここの中だけの効果だから多分持ってけないと思うんだけど…。」
そう話しているとセグロセキレイが泣きながら走って帰ってきた。
「持っていこうとしたら消えたんだけど!!!なんで!!!!」
「「やっぱり。」」
ここで出したものはやはりここの世界の中で処理しなくてはいけないようだ。何度も言うがカロナ自身この世界から出たことがないのでカロナも知らないことばかりだ。
「それじゃあ、もしここで出した服を着てこの世界から出たら、あっちの世界では裸になるとか?」
「え、それはさすがに…。というここで食べたものとかはどうなるの…?食べたもの全部なかったことになって……。」
「さ、さすがに体の一部になった物は大丈夫だと思うよ…、多分…。だってカロナ君がここから出てきても何ともなかったみたいだし…。」
(あれ、もしかしてここ、怖いところなんじゃ…。)
「だ、大丈夫だよ!セセっちさっき結構お菓子食べてたけど何ともないでしょ!?」
「えっ!?あ、確かに大丈夫かも!おなかいっぱいのままだ!」
「それならだいじょうぶかな…?自分たちで確認しないといけないなんて少し怖いね。」
三人は安堵の息をつく。
「ねぇ、服の件も試してみない…?本当に出た瞬間服が消えるのか…」
「そういうのは言い出しっぺがやるものだと僕は思うね。」
「そうね、カロナが自分で言い出したんだからカロナがやって。(そしてその写真を私は撮る…!)」
「え、えぇ…。しょうがないなぁちょっと着替えてくるね。」
「「結構乗る気だった!!」」
数分後、いつもとは違う服装になって帰ってきた。セグロセキレイの着てる服の色違いのようなフリフリのワンピースに着替えたカロナはいつもの印象とは少し違った雰囲気になっていた。
「どんな服がいいか悩んじゃったからセセっちの服装まねしちゃった。」
「いいんじゃないかな?似合ってると思うよ。」
「そうね。まぁ私と体格似てるし、なんだか姉妹みたいね。」
カロナがセグロセキレイの横に立つ。すかさずセグロセキレイはそれをカメラに収める。
「それじゃあ試しに外の世界に行きましょうかね…。路地裏だしどんな姿でもすぐには見られるわけじゃないしね…。」
「セセっち。なんか怖いよ?」
セグロセキレイに背中を押されカロナ達は大樹の穴のへとやってきた。
「さぁさぁ行きましょうカロナさん。この世界の謎を解き明かすのです。」
「やっぱり今日のセセっちなんか変だよ~!!」
「まぁまぁ気にせず…。」
そう言ってカロナを穴に引っ張ろうとした矢先。穴の中から誰かが出てきた。
「あれ、ここは…。」
白い服で後ろに大きなしっぽ(?)を持った女性が穴の中から出てきたのである。
その女性は三人に気付くと、しっぽをビクンとさせてから慌てて姿勢を正して三人にしっかりと目を合わせた。
「あの、ここはどこなのでしょうか…。確か私はスタッフルームに戻ろうとしたときに見つけた穴の中に入っただけなんですけど…。施設のこっち側にはこんな場所はないはずなのですが。」
またもやハチャメチャが起こりそうなシェアハウス。次回はいったいどうなることやら…。
最後までお読みいただきありがとうございます!
私の友達から「オリフレシェアハウスの詳しい設定を教えて!」って言われてから随分と経ってしまいました…。まぁ私もいろいろやってるので小説にかける時間が少ないのもあるんですけども…。
今回は狐憑戌憑様のオリジナルフレンズのドルフ君とセグロセキレイちゃん。そしてみつもと様のフレイヤさんを使わさせていただきました!
ドルフ君とセセちゃんはMMDでもあるので、オリフレシェアハウスを作ってくださっているMMDerの方とかが結構使ってるキャラなので一番最初に呼びたかったのです。また異世界っていう設定も使いたかったのでセセちゃんがもってるけもフォンが便利かなぁと思って使いました!フレイヤさんは残念ながらMMDモデルがないので小説ののみの出演となりました。フレイヤさんもかわいいのでいつかMMDモデルに仕上げたいですね~
次回はドルフ君と同じくらいMMDerに有名なあの娘を呼びたいと思います。今回と同様かなり更新は遅いと思いますが。オリフレシェアハウスを使ってくださっている方に設定とかを紹介できるよういっぱい書いていくので、こちらもよろしくお願いします!
あと前回のあとがきでも書きましたが、Vtuberというものをやっておりまして、もしよければそちらも興味を持っていただければなぁと思っている所存でございます。
それではこの辺で!お疲れ様でした!