ラギアクルスに育てられたんですけど……え、呼吸法?何ソレ? 作:[]REiDo
今、普通にどこにでもあるような森の中では爆裂とした爆発音が響き続けている。
メキメキと軽快な音を立てる木々の数々は減ることをしない。
そして、その爆発音から逃げる影が真夜中の闇に二つ。
「なんなんですかー!あの化け物はー!」
「…それがわかったら苦労はしない。とにかく、今は対抗策がない以上逃げるしか無いだろう」
とにかく逃げる。
草木をかき分け、木の枝に乗り移りながら私は嘆きながら愚痴る。
それもそうだろう。
あんな化け物がいることなど、ここにくるまでは知る由もなかったのだから。
『GU……AAァ……AァA!!!!』
「「……ッ!!!」」
あまりに大きく、やまびこすらも聞こえてきそうな叫び声に耳を塞ぎ、私と冨岡さんも顔をしかめる。
群青色の外角に身を包み、あまりにも発達しすぎてもはや人を潰すことでしか存在意義を持たないような前脚、後脚、頭殻。
そして、10間*1にも満たす超巨大な体格が、周りの木々を
事の始まりは、森に入って四半刻*2ほど経った時だった。
「? この粘液は一体何なのでしょうか?」
森の中心あたりを探索して何もない空間に出たと思ったら、あたりの木が力で折られている光景を私と冨岡さんは見た。
そして、その木々周辺に粘液のようなものが付着しているのを私は確認して触ろうと近づこうとしたその時、
緑色をしていたはずの粘液が、どんどん黄色く染まり始めたのだ。
そして完全に黄色く染まり、そして時間を経つごとに今度は赤くーー
「…!離れろ、胡蝶!」
「!」
冨岡さんの警告と共に、私はその粘液に近づくのをやめて後ろに飛んだ。そしてーー
ボン!!と。
付着していた粘液が爆発したのだった。
その威力は”派手柱“である
「……………」
「……………」
お互いに無言だった。
もしも、冨岡さんからの忠告が無くあの粘液に近づいていたなら、私の体は粉々に吹き飛んでいたかもしれない。
そう思い私は冷や汗をかくが、一番恐ろしいと頭で思ったことは違った。
辺りを見渡すとーー
「…っ!ここは危険だ離れるぞ!」
「分かってます!」
冨岡さんも私と同じようにここから離れようと試みる。
だが、それは叶わなかったのだ。
「…………………え?」
移動しようとするも、南の方角から突如、私を目掛けて飛んでくる巨大な生物がーーー
「胡蝶!!!」
“水の呼吸 肆の型 打ち潮“
私を心配したのか叫び、冨岡さんから放たれた技が巨大な生物の左前脚のほんの先端を切断する。
攻撃しようとしていた前脚が切られ、体制を崩した巨大な生物は粘液の上に転がり落ちた。
ザザッと、私と冨岡さんは粘液のない場所へ着地をする。
「すいません冨岡さん。助かりました」
「油断するな胡蝶。ここはもはや俺たちが普段から訪れているような場所ではない」
真剣な顔でそう言ってくる。
「? 冨岡さん、なぜ右肩を支えて?」
「…………気にするな」
その言葉に疑問を覚えるが、突然爆発音が響き渡りその思考が中断される。
あの一面に広がっていた粘液が爆発したのだ。
ボボボボボンッッッ!!!!と連鎖する爆発音と激しい閃光に思わず、目と耳を塞いでしまう。冨岡さんも同様だった。
爆煙が広がる中、私と冨岡さんは襲ってきた生物の方を見る。
『…………』
むく、とその生物は何事もなかったかのように起き上がった。
「そんな…っ!あんな爆発をまともに食らって生きているはずが……!?」
“化け物”
鎹鴉から放たれた言葉を思い出す。
ああ、たしかにその名にふさわしい、と私は感じた。
これだけの災害を単独で起こし、かつ自身すらその中心地に居て五体満足なのだ。これが化け物でなくなんと言う?
そして、その化け物は斬られた左前脚を見るとーーー
『GUAAAAAA!!!!!!!』
森にある木々の葉を激しく揺らすほどの超特大の咆哮を放ち、私たちのいる場所へ突進してくる。
「「!」」
”蟲の呼吸 蝶の舞 戯れ“
”水の呼吸 漆ノ型 雫波紋突き“
突進してくる化け物を、私はひらりと上空に飛んでかわし、刀を抜刀してスキだらけの体に連続の刺突攻撃を与えようとする。
冨岡さんも考えることは同じなのか、同様に最速の突きを私と同じ背中に繰り出す。
私の日輪刀は特別製で、独特で鈎針のような形をしており標的を刺し、そこから毒を流し込むことができる。
流し込まれる毒は、相手が鬼ならば即死できるほどの超強力で致死性の毒だ。
この化け物がどこにでもいる異形の鬼であったならばーーーましては上弦の鬼でない限り、即死しないことはない。
だが、
キイィン!!と。
まるで嘲笑うかのように、私と冨岡さんの突きは刺さる前に皮膚に当たった瞬間に弾かれてしまう。
驚きながら私と冨岡さんは地面に着地する。
「刃が…!」
「胡蝶。ここは撤退だ。隙を見つけてあの化け物を討つぞ。最も命を捨てたいのなら別だが」
「言い方!珍しくよく喋ったと思ったのにそんな言い方はないですよ!」
どうしてこの人は人の神経を逆なでるような言い方しかできないのでしょう?そんなだから人に嫌われるんです。
そして今の現状に至る。
作戦をたてながら、追いかけてくる化け物を避け続けている。
「それで?どうするんですか冨岡さん。私の日輪刀があの体に通らないとなってしまうと倒すのはだいぶ難しいと思いますが」
「………………」
冨岡さんは、何か考えているように険しい顔をしたまま黙りこくる。
「あのー。作戦を考えているのは分かっているんですけど、何か喋ってください。後ろからアレが猛烈に迫ってきているので」
「……………………今現在、俺は右肩を負傷し、刀がまともに振るえない」
「そんな重大報告を今この場でしないでください、ぶち殺しますよ」
見なくてもわかる。
今、自分には青筋が浮かんでいることだろう。それも特大の。
なぜこの人は、こんな状況で涼しい顔をしてそんなことを言えるのだろう?訳がわからない。本当に。
「お前を助けるあの時に、鬼の前脚を切った瞬間体が掠った。その時の技の反動と掠った衝撃で肩が少し脱臼したんだ」
「求めても居ない説明をしないでください。どうするんですか!? 冨岡さんがそんなことでは攻撃する手段がないですよ!」
このまま、あの化け物を放って置いてしまったら、ここら一帯が地獄絵図となってしまう。
それだけはなんとしてでも避けなければいけない。そのために何かしらの打開策が必要というのに……
いえ…元はと言ってしまえば私の不注意で冨岡さんは負傷しているんでした……。
本当に不甲斐ない。
そう思っていた矢先のことである。
追って来ていた化け物が急にその足を止め、暴れながら自身の前脚を舐め始めたのだ。
そして、体が黄色く染まっていき、やがてはほとんど全身が染まってしまう。
腕に付着しているのは………さっきの粘液!?
そして、角のように突き出た頭殻にはその粘液が染み込んで……
何を思い立ったか、化け物は頭部を地面へと叩きつけた。
いや、突き刺したと言ったほうがいいのか。
そして刹那、
ボボボボボボ!!!!!とその頭を先端に私たちの直線方面へと地面から爆発の連鎖が襲ってくる。
「「!!!!!!」」
その攻撃に気づき、私は左へ、冨岡さんは右へと回避しようとするも、
「ぐは!」
「…っ! 冨岡さん!!」
冨岡さんは負傷した腕が痛むのか、一瞬反応に遅れ、爆風に巻き込まれてどこかへと飛んでいってしまった。
「はっ!!」
そして、私も心配して気付いていなかった。
頭を抜いた化け物が私に向かって、飛んで急接近して来たのだ。
あの体格のどこに、どんな敏捷性が!?と思ったのも束の間、
粘菌がついていた右前脚で思いっきり殴られて吹き飛ばされてしまう。
「がっ…はっ!!」
吹き飛ばされ、後ろに佇んでいた木に背中から激突してしまう。
衝撃で体が痺れて力が入らない。
呼吸も荒れてしまって、思うように息ができない。
「これ、は……あの、粘菌?」
まともに呼吸が安定せず、自分が今置かれている身を理解してしまう。
あの粘菌が身体にへばりついているのだ。
あの爆発する危険な粘菌がーーー
(早く払わないと……)
痺れている手で服に付いた粘菌を払おうとするが、
(だめだ、今さっきみたいな時間が経って爆発する粘菌とは限らない。最悪、衝撃を与えただけで爆発してしまうかのせいもあるのだから)
その思考は、胡蝶しのぶが薬学に精通しているからこそ出せた答えだろう。
現に、もしこの場で服に付いた粘液をなんの躊躇いもなく払おうとしていたならば、
間違いなく、胡蝶しのぶは服を払った衝撃によって活性化した粘液によって爆散し、即死していただろう。
だが、危険な状況は変わらない。
その粘菌も5秒と、時間が経てばいずれ爆発してしまうのだから。
それとも、身動きが取れない胡蝶しのぶにとどめを刺そうと近寄る化け物が、その前脚を振り下ろして潰されてしまうか。
「ま、だ……。まだわたしは……死ねない……!」
動かない手足に力を振り絞り動かそうとするも、体がそれに反応しない。
そして、その時間が過ぎれば過ぎるほど着々と死神の足音は近づいてくる。
そして、標的を見つけた死神はとどめを刺しに前脚を胡蝶の上へと振り下ろす。
残海の念を残すように、胡蝶は目をギュッと諦めたように閉じてしまう。
もうだめか……、と
そして。
そして。
そして。
「やっと見つけたぞこのやろう」
バチィイイイ!!!と、
その暴力的な言葉とその音ともに、暗い森の中で青い閃光が迸る。
“海電の呼吸 壱の型 雷切”
バキィン!!!!と何かが壊れる音がした。
『GUOOOOOO!!!!!!』
その音と入れ替わりで、死神の咆哮が森全体へと反響する。
「……一体何が」
突然の出来事で呆然としてしまう。
暗闇にいきなり眩い青色の閃光が迸ったと思えば、私を攻撃しようとしていた化け物が仰け反ったのだ。
その化け物の脚ーーー右前脚を見ると切断されたように断線が入り込んでいた。しかも切断面がなぜか焼き切れている。
「だめじゃねえか。大型のモンスターとの戦いは全力の一撃勝負が基本だ。みみっちい攻撃なんかいくらした所でコイツの
後ろから声がする。
うつ伏せで動かない身体だが、なんとか首を動かし、発言先の人間を見る。
その人は……一言で言ってしまうと摩訶不思議だった。
頭髪は海のようで爽快な青色の髪をし、眼が金色に染まっている。
服装はなぜか、着慣れていないのか?と思うくらいにデロンデロンの袖を揺らす、からせみ模様で灰薄白の着物。
顔はやけに落ち着いた表情で、この状況では逆に不気味に見える。
そして極め付けは、手に持っている普通よりも3倍ほど大きな刀だった。
「わぷっ」
「ジッとしとけ。消臭玉だ。じきにその粘液は乾いて消えるからそれまで動くなよ」
何かよくわからない玉を頭に投げつけられそう言われる。
少しだけ、おかしな声を出してしまった。
「…あなたは一体誰なんですか?」
私は落ち着いた呼吸でその人に問いを投げる。
「ん? そーだな……。正義の味方じゃねえし、転生者?つってもわかんねえだろうしな……放浪者?いやここに来たの今さっきだし……むぅ……」
「あ、あの〜?」
何かよくわからないことをぶつぶつと言い始めてしまった。
というより、このリラックス感は一体なんなのだろう?
すぐ目の前には巨大な化け物がいるというのに。
「……めんど。ただの一般人って解釈でいいよ。さてと、話は後だ。さっさとあの偽ブラキを一緒に片付けるぞ」
「私もですか!?」
「当たりまえだ。一人より二人の方が効率いいからな。それに、アレとやり合ってたってことはアンタもなんかの呼吸使いだろ?」
「!」
私が呼吸使いということを見抜いている!?
やはりこの人、あの怪物の名前を知っているってことは何かこの化け物と関係が?
「アンタ、名前は?」
「あ、はい。胡蝶しのぶと言います」
「そっか。んじゃあしのぶ、さっさとアレ片付けて話し合いと行こうぜ!」
その人はあまりにも大きい刀を化け物に向けて構える。
…よく見ると、その他に今持っている物より、もっと大きな剣が1本と小さな短剣が2本背負ってある。
そして、その人は笑いながら、胸につけたペンダントを握りしめ、青い稲妻を体の周りに走らせてーーー
「海電の呼吸 陸の型 紫電一線!!」
バシィ!と、目にも留まらぬ速さーーいや、もはや移動した音が遅れて聞こえるほどに早い動きで、目の前の化け物に向かっていったのであった。
蝶と竜の子。
合い見えないその二人が出会い、物語は進む。
ワールド(アイスボーンも含む)のモンス入れる?
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入れる(後そんな事より、とにかく書け)
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入れない(後そんな事より、早く書け)