ラギアクルスに育てられたんですけど……え、呼吸法?何ソレ?   作:[]REiDo

11 / 24
 

 改行と空白が多い、との感想を受けましたので少しばかり減らしてみました。


 読みやすくなったかな?感想にどうだったかお願いします。





粉砕と鬼のクロスカウンター

 

 

 

 時は、15分ほど前に遡る。

 

 

 

 

 

 

『GUAAAAAAAAAAA!!!!!!!』

「おらァアア!!」

 

 

 

 

 俺とブラキディオス。

 モンスターと狩る人間と、あらゆる物を粉砕する粘菌使いの暴力モンスターが真っ暗な夜の森の中で戦っていた。

 

 

 戦う、とは言っても殺すわけではない。

 いつも通り、脚の腱を見つけ出し斬り取って行動不能にさせるだけ。

 

 コイツと出会った瞬間、初期状態から怒り状態を示す黄色い粘菌が、ブラキディオスの身体に隅々と付いていたのだ。

 

 

 多分だが、このブラキディオスは、今さっきほど目が覚め、覚醒したのだと思う。

 そして、いきなり見ず知らずの場所に降り立ち、困惑して暴れているーーーまあ、こんなとこだろう。

 なんとなく分かるんだよな。感覚で。

 

 まあそれ故に、無駄な殺傷は控える俺はコイツを殺さない。

 動けないようにして、負傷した箇所を治療した上であっちの世界に送り返す。

 なぁに、ジンオウガとナルガを同時に相手にするよりかは全然楽だから大丈夫。

 

 

 

「っち!!」

 

 

 

 初手の一撃。

 先制は俺が取って一目散に脚に向けて剣撃を放ったが、途中で肉厚により止められてうまく皮膚に通らない。

 どうやら、肉質が想像以上に硬いようだ、危うく弾かれかけた。

 

(技出さないとダメってことかよ)

 

 正直言って、打開策ーーーというよりどうにかなる自信はある。

 壱の型を使えば、あの硬い皮膚に刃が通るくらいには全然にあった。

 

 

「あっぶな」

(でもなあ……。コイツ相手に陸の型を使っていたりなんかしたら先が思いやられる気が……)

 

 

 ブン!、とブラキディオスの腕振りを避けながらそう思う。

 

 ラギアは、この世界で脅威をもたらす『鬼舞辻無惨』という鬼について少しばかり語っていて、なんでも『あの世界の者に倒せる人間は今はいないだろう。お前でもギリギリの戦いかも知れん』と言っていた。

 つまりだ。このブラキディオスに技を使うくらい追い込まれてはそもそもの問題で世界を救う、なんてことは到底できないのだ。

 

 

(考えろ。どんな生物にも弱点は必ずある。探し出せ)

 

 

 力押し、ではなく戦術を。

 腕力だけでなく思考を使え。

 

 あの弱肉強食の中、生き残ってきた俺の観察眼と経験値をなめんな。

 

 

 

『GUAAAAAA!!!!』

 

 

 

 咆哮とともにブラキディオスが自らの前脚を、歩きながら無差別に地面に木に殴り続ける。

 一振りに一回、活性化した粘液が殴った衝撃による爆破によって、叩きつけられた地面をえぐり、木を根から粉々に粉砕している。

 

 ボンボンボンボンボン!!!!!と無限に連鎖し続けるかの様な爆発が響く。

 

 

 俺は身体能力のみでその攻撃を横へ、縦へと回避しながら弱点を見つけ出そうと試みた。

 

 

 

(見つけた! 関節だ!)

 

 

 

 そして発見。ブラキディオスの後脚と体を繋ぐ付け根の間に関節部を見つけ出す。

 

 

 あの世界の経験上、どんなに硬い大型モンスターでも柔らかい箇所はあった。

 例えばボルボルス。

 

 アレは、頭部が硬すぎる代わりに前脚が柔らかいという特徴があったのだ。

 初めて対峙した時はそれに気づくまで泥に手足を奪われてきたが、偶然強力な攻撃を前脚に食らわせて生還することができた。

 …まあ、マイホームに帰るまで泥まみれになって移動することになったが……。

 

 

(くっそ……隙を見て関節部を外したいんだがな)

 

 

 暴走して、疲労した姿を見せないため攻撃するタイミングが見つからない。

 割と面倒なもので、こっちが段々と疲れて動きが鈍くなっていくのを避けるために、急いで策を立てる。

 

 

(怯ませて、その隙に関節部を外すしかない。そのためには……頭部の破壊か)

 

 

 向かってくる攻撃を避けながら、俺は太刀を背中にかけている鞘にしまって大剣を抜刀。

 

 

『GUOOOO!!!!!』

(…………ここだ!!)

 

 

 ブラキディオスが俺に突進して頭突きをする。

 そのタイミングを見計らい、大剣でガード。真正面からでは衝撃が直に伝わって反撃ができないので、斜めに傾けて攻撃を受け流す。

 

 案の定、攻撃を流されたブラキディオスの頭部は地面へと突き刺さる。

 その刹那を見逃さない。

 

 

 

 

 

 

「喰らいーーーやがれえぇええええ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 その場で勢いよく飛び上がり、空中で大きく身体をひねらせ、大剣の重みを利用した大地を削るほどの勢いをつけた一撃を頭部に放つ。

 

 原作では『ムーンブレイク』という名前だったか。

 

 

 

 バキィイイイイン!!!!と、岩を砕いたかの様な音が響き渡る。

 放った一撃が、ブラキディオスの頭部を砕いたのだ。

 

 

『GUOOOOOO!!!!!?????』

 

 

 引き抜こうとした頭部を失ったブラキディオスが後ろへ足をもつらせる。

 

 叩きつけた大剣を素早く持ち直し、弱点ーーー関節部を目指す。

 

「ここを……」

 

 ドス、と関節部に大剣を突き刺し、

 

 

 

「外す!!」

 

 

 

 グリィ!!!と刺した大剣を時計回りにねじ曲げて関節の骨を外すことに成功。

 

 

『GUAAAAAAAA!!!!!!!』

 

 

 轟く咆哮を上げてブラキディオスが体制を崩し、木に激突して崩れ落ちる。

 俺は、巨体に潰されるのを避けながら、刺した大剣を引き抜く。

 

 

 

「……ふぅ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気は決した。

 身動きを取ろうとするブラキディオス。

 だが、足が動かなければ体制を取れるはずもなく、再び崩れ落ちるのであった。

 

 

 その行動を見て、俺はポーチから治療用の回復薬を取り出す。

 

 動けないうちに、外れた骨を元に戻して刺した箇所に回復薬を塗るのだ。

 まあ、やっていることは前の世界と同じだが。

 

 

 大剣をしまい、回復薬を手にブラキディオスへと近づくーーー

 

 

 

 その時だった。

 

 

 

 

「稀血ぃ…………稀血ぃぃぃ………………」

 

 

 

 

 何者かが背後の木から姿を現した。

 

 その男は、明かに正気を失っている様に見える。

 目を血走らせながらも白目を剥き、ボロボロの服を着てフラフラと歩くその姿はあながちゾンビと見ても違和感を覚えないだろう。

 

 

「誰だ?」

「稀血ぃぃぃぃ……………」

 

 

 問うが、反応がない。

 というよりも何かに惹きつけられてなにも聞こえていない様に見える。

 

 ますます不気味だ。

 

 

 

 

 そして、

 

 

 

 その男は、

 

 

 

「稀血いぃいいいいいいい!!!!!!!!」

 

 

 

 倒れ伏しているブラキディオスの傷口に向かって、飛びかかった。

 

 傷口には、当たり前ではあるが、どくどくと血が溢れ出している。

 関節部を貫いてなおかつ捻って骨を折ったのだ、そうなることは必然だろう。

 ブラキディオスも痛がっている様に見える。

 

 そして、その男は、

 

 そんなことは御構い無しというかの様に、傷口を広げ肉を喰らい始めたのだ。

 グジュグジュ、と汚い音が反響する。

 

 

『GUA!?』

 

 

 ブラキディオスが、痛がる様に悲鳴を上げる。

 

 

 

 

「なにやってんだてめえ!!!!!!」

 

 

 

 

 激怒である。

 俺は、そいつに向かって両腰から引き抜いた双剣を突きつけるために走った。

 

 だが、そいつは俺に気づき、後ろへと飛び下がる。 

 

 そして、血が付いた口を拭いながらこう言ったのだ。

 

 

 

「うるせえな。食事中だろうが!邪魔すんじゃねえ!」

 

 

 

 

 

 

 

 ……食事?食事だと? アレのどこが食事だ。ただ弱っているモンスターを喰らって苦しめただけだろうが!!

 

 

 

「珍しいご馳走なんだよ。稀血なんだよ。それとも何か?…これ以上邪魔すると…………殺すぞ」

 

 

 

 

 ……ふざけんな。

 

 

 

 

「…………てめえがどこの誰か?とか、なぜあんなことをしたのか?なんてことは聞かねえよ。…ただ、これだけは聞かせろ」

 

 

 

 

 …………ふざけんな。

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 …………ふざけんなよこのやろう!!!!!

 

 

 

「……………ああ、わかった。お前は俺の敵だ。だから死ね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 “海電の呼吸 壱の型 雷切”

 “海電の呼吸 陸の型 紫電一線”

 

 

 

 

 

 

 

 

 ”陸の型“。

 ジンオウガからもらった超電雷光虫を凝縮して石にしたペンダントを使い、そのペンダントを中心に溜め込んだ電力を放出。

 そして無論、自身の体にも感電する。

 

 だが、それが目的とする移動方の技だ。

 

 

 静電気を地面へと自身の足から放ち、少しだけ浮く。

 だが、これだけでは無い。

 

 電磁波によって、自身の周囲の空気抵抗を無力化。これにより風圧での影響は受けず常に最速の移動が可能になる。

 

 さらに、自身の感電によって筋肉の凝縮、開放。

 

 

 そこから放たれる脚力と雷による、たった一回の踏み込みの結果何が起こるか?

 

 

 

 

 ビュフィン!!!!と。

 

 俺が()()()()()()()()、雷の轟音と空気を裂く混ざった音が流れる。

 

 その速度は、かつて俺が闘ったジンオウガの瞬間移動にも近い。

 

 

 

 

 

 そして、”壱の型“。

 

 一撃必殺の”参の型“と”八の型“とは違い、手数ーーーつまりは剣撃の数を最大限に上げた技だ。

 

 先の“陸の型”と同様に腕の筋肉を凝縮させて放つ。

 ただし、ただ凝縮するだけではなく痙攣させる様にするのがコツである。

 

 するとどうなるか?

 

 

 葉っぱは、一瞬で千切りに。果物、肉などの固形物ならば0.1秒も掛からず輪切りの完成である。

 

 

 そしてその双剣版の場合はーーーーもう、言うまでも無いだろう。

 

 

 

「!」

 

 

 

 光速に近い速さで近付かれ、一瞬で全身をサイコロステーキに切り刻まれ、膨大な量の血をバシャ!、と地面に流れ落とした男の成れの果ての姿がそこにはあった。

 男は斬られたことにすら気づかず、声もあげられなかった。がーーーー

 

 

「…………おい、今、何を、した?」

「!?」

 

 

 バラバラの肉塊から、声が発せられる。

 否、それはもはやバラバラでは無い。

 

 

(なんだアレは?再生か?肉塊がどんどん重なって、頭の形に……)

 

 

 肉塊が集まり集まって、どんどんと積み上がっていく。

 積み重なった箇所から男の元の原型を取り戻していってーーー

 

 

(…………なるほど。これが『鬼』か。面倒だな。バラバラにしても再生、回復するとか。そりゃあこの世界の鬼狩りってやつも苦労するわな)

 

 

 そう考えているうちに、男は切り刻まれた状態から元の原型へと戻る。

 

 

「……すげえ。力が溢れる!なんでもできそうだ!俺は誰にも負けない!!は、はは、はははは!!!」

「………………」

 

 

 自分の両拳を握りしめ、狂った様に笑うその男を横目に、俺は今のうちに策を立てようとする。

 

 今さっきも言った様に、どんな生物にも弱点はある。

 ()()()には太陽が弱点とは書いてあったが、今は真夜中。期待はできない。

 特殊な刀ーーー『日輪刀』だったか?で頸を斬れば鬼は消滅するらしいが…………

 

 まあ、バラバラにして消えなかったんだ。俺の剣にはそう言った材質が使用されていないんだろう。

 鉄鍛治でも、別の世界の素材までは用意できなかったのかもしれない。

 

 

「知るか。バラバラでダメなら灰にしてやる」

 

 

 だが、そんなものはどうでもいい。

 どんな手段を取ってでもコイツはーーーコイツは絶対にこの世に存在させない。

 

 俺は手に持った双剣に力をいれ、技を繰り出すーーーー

 

 

「“海電の呼吸 伍の型 大雷ーー」

 

 

 そのときだった。

 

 

 

「ぐ、あ。がAぁああAあAAあA!!!!!!」

 

 

 

 突如、男が自身の胸を押さえ始めて苦しみだしたのだ。

 そして、ボコボコボコッ!!!と、何かが膨らむ音と共に、男の体が膨張していく。

 

 足は五本指から三本の巨大な指に、

 胸を押さえていた腕はどんどんと巨大な木の様な棍棒に、

 頭は頭頂部から縦に大きくなり、ブラキディオス特有のあの突起の様なものにーーー

 

 

 

「いだぁい!いだいよぉ!!やめで!お、でのからだ、こでいじょうおおぎぐならなーーーー」

 

 

 

 その言葉ーーーというより、悲鳴が最後の時だった。

 やがて、30秒ほど経った時には、

 

 

 あの男の顔を維持したままのブラキディオスの姿が完成していた。

 

 

「……………………嘘だろ?」

 

 

 人がーーいや鬼か。

 いやいや、そんなんどうでもいい。

 この世界じゃモンスターを食った奴はそのモンスターに成り果てるのかよ!?

 

 

『GUAァAAAァAAァA!!!!!』

 

 

 咆哮を上げて、偽ブラキディオスは地面に潜ろうと、地を殴る様に掘る。

 

(まずい! 逃げる気か!)

 

 そう思った時はもう遅し、

 偽ブラキディオスは、地面へと潜り何処かへと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いな。お前が立ち上がるまで待ってやりたいんだけど、俺アイツ倒しに行かねえと」

 

 あの偽ブラキが去った後、俺は呻き声を上げていたブラキディオスの治療をしていた。

 喰われた箇所がほんの少しだったのが幸いだったのか、あっちの世界に送った後は、無事動ける様にはなりそうだ。

 

 

『GUOU?』

「安心しろ。ただ、元の場所に戻るだけだから」

 

 

 不安にさせない様に話しかける。まあ、コイツの言葉わかんないけど。

 

 

「じゃ、また会おうな」

 

 

 ラギアから授かった蒼白色のペンダントをブラキディオスに押し付けてそう言う。

 

 すると、神々しい白い光がブラキディオスを包みこみ、やがてその姿を消した。

 

 

 

「さて……と……」

 

 

 

 立ち上がり、憤怒に染まった顔で俺は静かにそう言う。

 

 

 

 

「偽ブラキが。生命(いのち)を冒涜した罪を身にしみて味合わせてやる」

 

 

 

 

 懺悔の時間は与えない。

 久方ぶりに感じた本気の怒りに、俺は闘志を燃やしながら森を歩き進む。

 

 あの、生き物を駆除するために。

 

 

 

 

 

 

 

 







 UA25000突破!
 総評650越え!
 お気に入り500越え!

 そして、自身初の日間ランキング15位取得です!(あの後6位まで伸びました)


 
 ほんっとうにありがたいです!!
 ただ、評価の色と量が一人だけ圧倒的に少ないことに居心地の悪さを感じたよ♪(遠回しの評価誘導)

 あと、こんなこと言ってるけど日間に乗る条件って俺わかってないんですよね。
 わかってる人、感想欄に書いてくれると助かります。


 改めて、ありがとうございます。これからも精進していきます!





ワールド(アイスボーンも含む)のモンス入れる?

  • 入れる
  • 入れない
  • 入れる(後そんな事より、とにかく書け)
  • 入れない(後そんな事より、早く書け)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。