ラギアクルスに育てられたんですけど……え、呼吸法?何ソレ?   作:[]REiDo

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お久しぶりでございます。スレストでございます。
約2ヶ月、展開が思いつかなく執筆をサボっていました。反省はしている。だが後悔……もしている。
まあ、とにかく書いたんで見ていただけると幸いです!


起源の2章
与えられた任


 

「お館様直命の指令が届いたぁ!?」

「えっと、その、はい……」

 

 場所は、ある名前の無い森の中。

 そして、丁度この時間は晩飯時であることながら、与えられている仕事を中断し握り飯などを食していた女性の『(かくれ)』の隊員達。

 

 そんな時に、ある二人の会話が森の中を響かせた。周囲にいる隊員も二人に目を向けていた。

 

「ちょっ、何かしたの詩織(しおり)!?」

「いえ! いえいえ!!私何もしてませんよ!?」

「でも、お館様からの指令って……よっぽどの事がないとそんなもの私たちに届くはずないでしょ!」 

 

 声量を大にして話し合う二人の少女。

 話の内容が気になる野次馬の同じ隊所属である女性隊員も二人の周囲へと集まってゆく。

 

「そんなもの……私が知りたいですよ」

 

 俯きながらそう呟く少女──「今野詩織(いまのしおり)」は、実感がないように顔を下に向けながら掌を握りしめたり開いたりを繰り返している。

 

 鬼殺隊の非戦闘部隊で、事後処理や支援を専門とし、剣の素質に劣る者が任に就く隊──『(かくれ)

 剣士になり損ねたものが就く「剣士のサポート」を目的とした隊だ。

 

 仕事は先も言った通り、事後処理と支援だ。そして、その指令は基本的には階級が上の者、もしくは司令塔である上層部によって与えられる。

 

 だが、お館様からへの指令。それもただ一人に──なおかつ戦闘員でもない『隠』に向けられた指令など前代未聞の出来事だ。

 

「その指令書はどこ!?」

「……これです」

 

 懐から、綺麗に畳まれている紙をあせあせとしている友人へと渡すと、目にも止まらぬ速さでその紙を広げて黙読を始めた。

 気になって近づいてきた同僚の女性隊員もその後ろから覗き込むようにその紙を見ている。

 

 

「……指令内容は監視、期間は無制限で………尚、それにあたって『隠』ではなく『剣士』としての責務を与えるぅっ!?!?」

 

 

 紙を手に持っている少女は、その内容を簡潔に独り言のように呟いたと思ったら、最後の行だけを大声で叫んだ。

 それと同時に、周囲の隊士もざわめき始め、今野へと攻めるように近づいて来る。

 

「階級は甲、日輪刀などの物資は約1週間の日を開けて届ける……」

 

 体を凍らせながら読み終えたのち、ギギギ…と少女は首を機械人形みたく今野へと向け、概要を聞いていた隊員共々一緒に叫んだ。

 

 

「アンタほんと何したの!?!?!?」

 

「ですから私は何もしていませんって!!」

 

 

 

 

 

 

 今野詩織

 

 歳は17近く、髪は長すぎず短すぎずと言わないばかりのセミロングヘアーで体型は割と細め。

 頭の回転も割と早く、力仕事もできコミュニケーション能力も高いため、友人関係も豊富と言った割と現代では女子高生として大成功を果たしているであろう人間である。

 

 彼女は13の頃、順風満帆の生活を家族と過ごしていた時に、鬼に襲われてしまう。

 真夜中のたった十数分。家のなかを暴れ人を襲う名前も知らない鬼に、彼女は恐怖しへたり込んだ。

 幸いを呼んだのか、彼女の家は飲食店を経営しており、暴れ回っていた鬼によって壁から落とされた包丁でなんとか対抗することができた。

 その結果、颯爽と救援に駆けつけた鬼殺隊の剣士が鬼を倒し、九死に一生得たのだった。

 

 だが、助かったのは今野詩織とその親のみだった。

 

 彼女が慕っていた祖母と叔父が鬼によって惨殺されたのだ。

 そのことを知った今野は、泣き崩れ、いつしか鬼に恨みを持つようになり──そして、鬼殺隊の組織に入ることを決断したのだった。

 

 だが、現実は非情で力はあるものの戦闘技術が乏しかった今野は、育手に見放され『隠』の一員となったのだ。

 

「それで?朝起きたら側に鎹鴉が持ってきた司令書が入ってたってこと?」

「……はい」

 

 そんな彼女は、今現在同じ同僚の仕事仲間に押し掛けられ、身動きが取れない状況にいた。

 当然と言えば当然なのだ。天地がひっくり返るほどの出来事があったからにはその理由を知ろうとするものも少なからず存在する。

 

 ……知ろうとするものが隊の全員であるのはどうかと思うが。

 

 

…ねえ、やっぱり何か御法度を犯したんじゃ……」「あなたもそう思う?実は私も……」「こんな異令聞いたこともありませんし……

 

 

 ざわざわ、と並びに並んだ少女達から疑問と不信な声がぽつぽつと放たれる。

 怪訝な表情をして、だから違います、と言い返そうとする今野だが──

 

「はいはい!決まったことは決まったこと! そう言う指令がきたって言っているんだからそう言うことなんでしょ!!」

 

 行列の後ろから手で隊の少女達を押し除け、歩いてきた一人の少女によってその言葉はかき消された。

 

「日野さん……」

「理由はあえて聞かないわよ。そう言った指令が届いた、ただそれだけなんだから」

「だけど……ねぇ…?」

 

 再び、ざわざわと声上がる中、日野といわれる少女は大きな声で言い放った。

 

う・る・さ・い・! お館様でしょうが上の階級の人でしょうが指令は指令よ!文句がある人間はお館様にでも押し掛けなさい!!」

 

 その怒声と同時に隊の周囲が静寂に染まる。

 下を俯く隊員を眺め、頃合いだと言わんばかりに腰に手を当て、よし、と頷き──

 

「わかったならよろしい。今日はもう解散よ、明日も何があるのかわからないんだから早く寝なさい!」

 

 そう言い放ち、隊の連中が颯爽と解散したところで今野へと体を向ける。

 

「あなたも早く寝なさい。何があったのかはわからないけど、あなたに直接届いたってことはそれなりの理由があるってことなんだから。しっかり体を休ませて与えられた仕事に励みなさい」

「日野さん……」

 

 それだけ言って日野と呼ばれた女性は今野に背を向け去っていった。

 騒ぎを大きくしない為の配慮だったのを察した今野は心の中で感謝しながら寝床へとついたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりあの人……ですね」

 

 寝床についた今野だったが、やはり任のことが気になってしまうのか寝ることもままならない状態であった。

 鎹鴉が持ってきた指令書を文頭から見ては全て確認し、再度文頭から確認していくことを何回も繰り返している。

 

 その確認行動から今野は気づいた。

 

 数日前、『隠』の仕事の際にある森から鬼殺隊本部へと背負った男の名と監視対象の名が一緒なのだ。

 

「どうして彼の名前が? …もしかして何かの罪人?いえ……だとしたら本部に運んだ時、すでに裁かれているはず……」

 

 本部に運んだ際に、柱合裁判が行われていることを耳に挟んでいる今野は監視対象が罪人である可能性を考えていた。が、その考えに至るもすぐに頭の中では否定的回答が浮かぶ。

 監視対象ということは逃げ出した可能性が高いのだが、柱を相手に──それも9人総勢が集まったあの場で逃げ出せることは容易ではない。実質的に不可能に近いのだ。

 その“不可能だ”といった考えが、今野の頭を悩ませているのだった。

 

「……いえ、今日はもう寝ますか」

 

 考えるだけ無駄と判断した今野。「理由はどうあれ与えられた仕事に専念しましょう」と、独り言を呟き手に持った指令書を懐の中にしまい体を横にする。

 そして、ゆっくりと目をとじ頭の中を空にして意識を閉じた。

 

 

 

 

 

 

『…………………』

 

 真夜中の空、暗闇に紛れた浮遊する巨大な影には気づく由もなく……

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその晩。

 

「ねえ。詩織ってさ、次の任のために私たちと離れるんだよね」

「んん? まあ、そうよね。ほんと、何をしでかしたのか──」

「ということはさ、私たちのおやつを作ってくれる人って一体誰がいるの?」

「「「「「…………………」」」」」

 

 

 わーわーぎゃーぎゃー、と。

 ある寝床の一角でそんな騒ぎ声があった。

 

 

 今野詩織。

 彼女の作るスイーツ、総まとめして“料理”は隊の中でも絶品と評価されるものであった。

 暇の時間に食べるその時間は“至高の時間”だと言うものも多いため、皆からは“調理係”と勝手に決められていることに、今野本人は気付いていない。

 

 そして、そんな彼女が任のために駆り出されることは、その絶品を食す機会が多大に減ること意味するため──

 

「お館様に掛け合ってみない?」

 

 と、割とガチ目に開かれた緊急会議の提案からこんな案が出たのだった。

 

 

 それを実行しようとするものはいなかったが。

 

 

 





気づかないうちに、UAがあと5000で100000に届くのにびっくりしているうp主。
いや、ほんとにありがたいです、初めて100000に届くので感無量ですはい。

(モチベ上げてくれる方、良さげの感想よろしくです)ボソ…

ワールド(アイスボーンも含む)のモンス入れる?

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  • 入れない(後そんな事より、早く書け)

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