ラギアクルスに育てられたんですけど……え、呼吸法?何ソレ?   作:[]REiDo

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お久しぶりっす。
思いっきりさぼり癖がついてしまって気がつけば6か月……

ともかく、すいません&新章をどうぞ(白目)


狩りの方法

 手をつないだ。

 初めてつないだその手は、氷のようにひどく冷たく人の心地を感じなかった。 

 

「…………」

 

 目の前に立っている『人』を見た。

 その『人』の周りには何かを飲み漁った後の空き缶がゴロゴロと転がっている。

 『人』は自分を見ていなかった。

 

「……………………」

 

 『人』と手をつないで歩いている。

 場所は不明。だが、あたりが暗く街灯が光っているのを見て真夜中だとわかった。

 一緒に手をつないでいる『人』は、つないだ手の片手間に何かが入った缶を持っていて、その何かを飲み干した。一緒に歩いているのに『人』は足取りが不安定なことに疑問は覚えなかった。

 

「……………………ぁ」

 

 目を遮った。

 何故なら、突然自分の真横から目も眩むような光が自分を大きく照らしているから。

 後ろから声が聞こえる。数人の合わさった声が夜中の道中でこだまするのがわかった。

 

 でも、もう、どうでもよかった。

 

 諦めるように俺は……俺は──

 

 

 自分を指し照らす光に手を伸ばした。

 

 

 

 そして──

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「………ぁ、夢か」

 

 乾いた藁だらけの簡易型ベッドで意識が覚醒した。

 目を半開き──いやしっかりと意識は覚めている。十中八九、今見た夢のせいだ。

 

「ふあぁ〜〜……久しぶりに見たなぁ、あんな夢もう見ないと思ってたんだが」 

 

 テント内の懐中電灯代わりにしてあるビンに入れた光蟲を手で持ち、ランタンがわりにしながらテントを出る。

 洞窟内だと今何時もわからない。しかも暗い。光が照らさないから光合成もできない。

 

 …ここ拠点に選んだのミスったか……?いや、でもいきなりモンスターにマイホーム崩壊させられた件もあるし……(トラウマ)

 

 まあいい。それは今後の課題として。

 

「朝方だな。そして──今日で1週間経過、と」

 

 外に出て太陽光を真っ直線に浴びながら思いっきり伸びをする。

 やっぱ人間、光合成しないとな。体が腐っちまうよ。

 快晴で雲ひとつなし。今日も元気な太陽を眺めた後、そこらへんの木に正の字を一画付け足す。

 

 洞窟の中に戻り、テントの中から自分の武器とポーチを持って再度外へ出る。

 んで、ささっと洞窟を後にして食料調達をしてこようと思った矢先だった。

 

「…………?」 

 

 ……なんか視線を感じる。

 小型と大型モンスター特有のこう……圧迫されるような視線じゃなく、なんか眺められているような視線をビンビン感じる。

 

(素人か? 全集中使わないでこれだけ感じるって、見つけてくださいって言ってるようなもんだぞ)

 

 もはや、隠れんぼにすらならないくらい気配が溢れ出ている。

 場所としては俺の少し後ろ、おそらく木の影に隠れて俺を見ているのだろう。

 ……一応、殺気は無い。俺を襲ってどうにかするようなロクでも無い奴じゃ無いのは確定だとして……。

 

(可能性としては2つ。幼体のモンスターが俺を見ている可能性。もう一つが『俺自身に用がある人間が見ている』可能性か)

 

 どちらにせよ、確認は必須らしい。言っても、今この場でそいつの元に出向こうという気はない。

 なにが目的かはっきりさせるまではちょっとばかり泳がせる気でいる。

 

「っし! 今日も気合入れていくか!」

 

 妙にやる気が湧いて出てきた。目的があるとやっぱ張り切りようが違うのだろうか……てか、1週間森の中を歩き回って山菜どりやらなにやらしてたら飽きるか。

そりゃぁやる気も湧いてくるわな。最近はモンスターも来ないせいか猛烈に体を動かす機会も少ないし。鍛錬はなるべく続けてるけどな。

 

 走るように俺は洞窟を後にして森に奥へ向かう。

 今日はいい収穫がありますようにと密かに思いながら。

 

 

 さっさとこの日常的な状況に進展をくれ、とそう呟きながら俺は朝の森を駆け巡った。

 

 

 

「………………」ザザッ

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 昼ごろ。

 多分、木の間から見える日の傾きを見たところ、丁度飯時だと思う。

 状況といえば、全くと言える変わらず仕舞いで、未だに俺を見ている監視の目が一つあるだけだった。 

 と言ってもなかなか嬉しい状況で、これは“何か”ではなく“誰か”俺を見ているという証明になったというわけだ。

 何故なら、幼体のモンスターが俺を長時間──それも俺に気づかれないように監視する必要性など皆無だからである。よって消去法で可能性は後者の方へと確定。……のはず。

 

(てことは、鬼殺隊の誰かか?鬼は日の出てる時は出て来れないっていうし)

 

 人影は無いが視線を感じる感覚がなんとなく初めての感じでムズムズするが、ここで気づいている素振りをしてしまうと警戒されるかもしれないため、仕方なく無視。

 そして、昼飯時ということで携帯食としていつも持っている干し肉をポーチから取り出し──

 

「いただきま──」

 

 いつものように味わうよう、食おうとした矢先だった。

 

「……ぁ?」

 

 感じていた視線の感覚が消えた。……いや、違う。

 

 

「!!」

 

 

 異変に気づいて、俺は齧ろうとした干し肉をポーチに再度押し込んだ。

 そして、目を閉じて集中する。意識を自分の中へと。そして耳を重点にその集中力を結集させる。

 

(視覚はいらん。味覚も嗅覚も必要ない。聴覚だけに意識を集中させろ。音を聞き分けるんだ)

 

 風きり音、遠くで聞こえる川の水が流れる音、空を飛ぶカラスの音、森の中を悠々と歩いているであろう動物の鳴き声。

 全ての音が大音量で自分の耳をつん裂くように襲ってくる。鼓膜が引き裂けそうな痛みを感じながらも、俺は聴くことをやめない。

 

(グッ…!! 今聞き分けるのは動植物の音じゃ、ねえ…!! 人間だ。人間が発する音を聞け……!足音だろうが声だろうが何でもいい。それさえ聞ければそれを元に足を辿れるっ……!!)

 

 そして──

 

「っ!こっちか!!」

 

 ようやく聞けたちっぽけな足音を頼りに、俺は森の中を駆け出す。

 足で地面を踏み、手で行く道を遮る葉を払い除けながら全力疾走する。

 

『GYAAAA!!!』

 

 ついぞ聞こえた咆哮に足を止める。

 小型モンスターらしき咆哮だ。視線気づかなかったのは──

 そうか。狙っていた獲物が俺を監視している誰か、だから俺に向けられていた視線が消えたのか。

 

(ってことは、そいつが何かの小型のモンスターに襲われている可能性が高いな)

 

 クッソ!と醜態吐きながら俺は再び走り出す。

 気づかなかった俺も俺だが、問題は襲われているその誰かだ。

 もし、モンスターに抵抗ができる人間なら何とか堪えてくれるはずだが……それを容易くできるほどモンスターという生物は甘くない。

 肉食で小型のモンスターなら探そうと思えば割とどこにでもいる。咆哮で仲間を呼び寄せて物量作戦で押し切るような頭を使う奴もよくいるのだ。

 

 そしてさっきの咆哮、あれが仲間を呼び寄せるものだとしたら……

 

(一刻を争う状況か…………仕方ない)

 

 危機を感じ、走りながら、手を胸へと引き伸ばす。手のひらの行先は胸に掲げている青緑色のペンダント。電力を使ってしまうが……まあ、また充電しなおせばいい。

 

「ふぅ…………」

 

 呼吸を整える。さっさと見つけ出すためには俺が早く捜索するしかない。

 

「さあ、行くか」

 

 青い閃光が周囲を漂う。そしてそれは自身を纏い──

 ビシュンッ!!と風を切る音を放ちそこにいたはずの青い閃光は一閃となってその場を去った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「ぐ……ぅぅ……」

 

 暗く、先の見えない洞窟の中。

 一寸先すら見渡すことも困難なそんなトンネルのような穴の中を、2人の女性が歩いていた。

 一人は黒子のような格好をした怪しさ抜群のごく一般的(?)な女性、もう片方の女性は背に『滅』と大きく描かれた黒い服、鬼殺隊隊士常用の隊服を身に纏っている。そして、腰に刀を携えた剣士だった。

 で、それだけならばなんの問題もない?のだが、問題は刀を携えた女性にあった。

 

「しっかりしてください!! もう少しで休める場所に着くはずですから!」

 

 黒子の女性の心配する声が洞窟内をこだました。

 

 ポタッポタッ、と歩いていた場所に血の跡が滴っていく。

 肩先から腕の第一関節にかけて、肉が見えるほどの食いちぎられるような傷跡を負い、その女性隊員はあまりの激痛に意識を手放しかけていたのだ。

 そして黒子の女性は、その女性隊士が負傷していない腕を肩で持ち上げて逃げるようにいきなり襲ってきた何かから逃亡したのだった。

 

 ……その()()。負傷逃亡中の2人は『ただの化け物』としか認識していないようで、それが『モンスター』であることに気付いていない。まだ、海斗が産屋敷輝哉に渡したノートを複写しきれず隊全体に行き渡っていないのが事の原因であった。もし、行き渡っていたならば、初見で見るモンスターの第一印象の恐怖感を緩和できてこんな状況にはならなかったーーのかもしれない。

 それでも、起こってしまったことはもう覆せない。わずかな戦闘能力しか持たない彼女らには、生死の境目を彷徨っていることには変わりがないのだから。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

(咆哮が聞こえない、此処じゃないか)

 

 捜索開始から約10分ほどが経った。森の中を駆け巡って察知した足音の主を探るが、一向に見つかる気配がない。

 まさか、と最悪の予想が頭をかき巡る。が、それは幸にも外れているようで、森全体周囲のざわめきがまだ収まっていない。

 これはまだ獲物を捉えていない証拠だ。基本、モンスターは野生に準じていて狙った獲物は逃すことをしない。だからこそ、このざわめきは足音の主が生存している証明になる。

 

 とは言うものの、いまだに手がかりがないのは事実。これではラチが開かない。

 だから──

 

(考えろ。狩りの基本を思い出せ)

 

 俺は、闇雲に探すのをやめ、足音の主がとった行動を予想し、そこからそいつが何処にいるのかを探る方向へとシフトチェンジ。

 

 俺がまだ狩りの“か”の字も覚えていない頃、俺は一体何してた? 武器も持たず、対抗策もないあの環境下において俺は何を優先してあそこを生き延びた?

 思い出すんだ。恐らく、襲われている奴は狩猟の仕方をあまり理解していない人物。それはこの状況が示している。

 

 だからこそ、そいつの考えを逆手にとれ。そこから、そいつがとった行動が導き出せる。

 

 

 

(……………………そうか。そういや、俺もよくやったな)

 

 

 

 じっくり考えること数秒。

 たどり着いた答えに俺自身納得した。……ていうか、これ忘れてたのか俺。

 初心に帰るって大事だな、と駄弁り頭をガリガリ掻きながら気持ちだけ頭を冷やし、そして再び走り出す。ただし今度は電気を消費せずに走る。

 

 なに、簡単なことだ。これからするのは、今さっきやっていた隠れんぼの延長戦なんだから。

 

 遊びに本気出しちゃ、大人の面目が立たないんだよな。

 

 

 

 

 

ワールド(アイスボーンも含む)のモンス入れる?

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