ラギアクルスに育てられたんですけど……え、呼吸法?何ソレ? 作:[]REiDo
「咆哮は止んでない。追跡もなし、順調だな」
森を駆けてはや数分、酷使し続けた俺の足と聴覚をようやく止めるときが来た。
ザンッと地面で足を止めた音が鳴る。そして到着した場所を眺めると同時に周囲の確認も怠らない。
俺は不安要素を少しでも取り除いておきたい繊細人間なのだ。
「地面の血痕もできるだけ土で隠してきたし、大丈夫だとは思うが……。一応、念には念を入れようか」
ポーチから「消臭玉」を取り出して、辺りに3つほど投げ込んでおいた。
ボンッという音と共に青い煙が当たりを埋め尽くす。
これで血液の匂いがここ一帯に充満することは一定時間無いはずだ。
……多分な(調合仕立てで少し不安)
「さて、と」
今いる場所は俺の拠点としてある洞窟前。
腕を組んで洞窟内へと足を運ぶ。
そして洞窟内を歩き始めてほんの少し、ものの1分ほどで決定的な物を見つけた。
……物、ていうかもはや人間なんだが。
「ぐ……うぅ……」
「正解、でいいんだよなこれ?」
ズリズリと、地面で這いつくばりながら腕を動かしなんとか洞窟の外へと進もうと、もがく少女がいた。
動かせていない腕を見ると、何かで裂かれたような傷口が肩先から腕のあたりまで伸びている。
そして、傷口の種類。狩り数年の俺が、見てわからないはずがなかった。
(間違いない、こいつが血痕の主だ。傷口の正体は爪か?)
まあとりあえず。
生きててよかった。こいつは今日
「おい、生きてるか?」
「……あ、なたは?」
……しゃがんで少女の顔色を見ると、血の気を引いている感じがした。
傷口が体を動かすたびに開いている。見るからに痛そうだ。
「この洞窟の所有者(無許可)とだけ言っておくよ。それよりもここにはアンタ一人か?」
「……まだ、奥の方に、私を助けてくれた人がいます……。私が原因で詩織は危険な目にあって──だからは私は──っ!」
「そんだけ聞けたら十分だ」
少女の唇に人差し指を当てて、その先の言葉は言わせないようにする。
どうせ、自己犠牲で奥にいる誰かとやらから離れて、迷惑をかけまいとでもしようとしたんだろうが、そんなことは今はどうでもいい。
俺は目の前にいる小さな命を全力で助けるだけだ。
「……出血多量だな。爪が骨まで達していなけりゃ応急処置も楽でいいが、細菌が入り込んでいる可能性も考慮しとくべきか……」
少女を仰向けに倒して傷口を隅々まで見渡す。そこからこれからの処置を頭で組み立てる。
いつものことだ。狩りと対してやることは変わらない。
「うっし、アンタ。これからちょっと俺の家まで運んでくけど、いいよな?」
「え……、あ、はい」
「よし。じゃあ──」
「あ、あの」
持ち上げようとした少女の口から、たった一言が放たれた。
あの言葉が。あの耳にこびりつく、俺の少し嫌いな言葉が。
「助けて、くれるんですか?」
……少しだけ。
ほんの頭の隅っこの方で、俺の思考が目の前の生命を救うことを拒んだ。
まだ、決別はつけられていない。
救われるべき者、救われてはいけない者。
その区別は、まだ俺の中で決着はついていない。
(ああ、そういえば。人を助けるのは……10年前以来だったな)
でも、今は。
「ああ、助けるよ。アンタが明日を生きれるまではな」
許して欲しい。
まだ、ケリはつけられていないけれど。
否定を肯定しきれていないけど。
(今だけはこの命を助けさせてくれよ。……父さん)
自分が
まだ俺は、そこで迷っている段階の人間なんだ。
そして、俺は少女を担いで洞窟内へと進み始めた。
襲撃に備えて念のため感覚の集点を視覚に寄せておくことも忘れずに。
……はて?今なんか呻き声が耳元で鳴ったような……?
気のせいか?(意識を目に向けてる為少々難聴気味)
で、だ。
現在地は洞窟内。
俺の家(白布のテント。典型的なモンハンの簡易拠点)
「染みるぞ。すげぇ痛いから布、噛み締めとけ」
「…………ッッッッッ!!!!!ガァグッアッッッッ!?!?」
声にならない声が俺の耳をツン刺す。めっちゃうるさい。
今、俺は痙攣する少女の体を全力で押さえつけて、応急処置を施している最中だ。
消毒液代わりに「解毒薬」を布に染み付けさせて傷口に押している。まあ、単純な消毒作業だな。
ちなみに「解毒薬」が消毒液の役割を担っていれているのは元の世界で確認済みだ。抜かりなし。
そしてこれ、塗ると沁みてめっちゃ痛い。んで飲むのも辛い。(なんかハチミツを5回ぐらい水で洗ったような味がするから)
「…………ふぅ。これで終わりな。コレ飲んどけ、少しは痛みも和らぐはずだ」
「あ、ありがとうございます……」
消毒作業、そしてその他諸々を終えた。
痛みに苦しむ彼女に「栄養剤」と「ネムリ草」を粉状にした物を渡してそばを離れ、それを彼女が含むのを見たらテント内を出る。
「……終わりましたか!?」
外に出ると、黒い装束の少女(?)が焦ったように俺に近づいてくる。
相当気に病んでいたようで目からは涙めいた物が溢れかけていた。もしかしたら泣いていたのかもしれない。
「ああ、一応できる限りの処置は終わらせといた。止血はアンタがやったんだろ?正直助かったよ」
「いえ……、元はと言えばここに彼女を連れてきてしまったのは私です。あんな程度の償いじゃ、償いきれません……」
「そう言うなよ。肉食のモンスターと出くわして、あの程度で済んだだけまだマシだ」
最悪、肉を千切られる可能性もあるからな。
大自然は想像しているほど生易しくはない。
「……処置は済ませたつっても、傷口を直したわけじゃない。消毒を済ませた上で、「活力剤」と「回復薬」を使ってなんとか回復量を維持しているだけだ。そのうち効果も薄れてくる」
「……それは承知してます。私もそう言う仕事はよくしていたので」
「理解が早いようで助かる。んでだ」
報酬の話をしよう。
「……わかってます。でも……」
「ん?報酬を払うのは嫌か?」
「いえいえ!?そんなことはないです!むしろこちらは助けてもらった身です。私に出せるだけのものは出せるつもりだったんですが……」
怪訝な顔をした彼女は実に不思議そうな目で俺を見る。
そして彼女は、懐から茶色の布で包まれた物を取り出しその布を外す。
「こんなもので、本当にいいんですか?」
それは、ほっかほかの米だった。
三角の形状をした白く特徴的な日本特有の食い物。
つまり「おにぎり」だ。
「いいんだよ。俺、まだ昼飯食ってねえし。物々交換ってやつでな。対価が金だけとは限らないってことだ、覚えておくといいぞ」
素直に差し出されたそれを迷いなく受け取りながらそう言っておいた。
実際便利だ。人との交渉の幅が広がるからな。
まあこの場合は俺は物を出してないが。
『俺がお前たちを絶対助けてやるよ。もちろんちゃんとした報酬はもらうが』
『……っ、わかりました。出せるものはなんでも出します。ですから──』
『なんでも?ああ、ありがたい。そんじゃ遠慮なく報酬の話をしようか』
『たす…………え?』
『報酬はアンタの懐に持っている食いもんをもらう。拒否は無しだぞ?さっきなんでもって言ったんだしな』
以上が、数分前の黒子との会話だ。
少々ゴリ押し的に交渉を勝手に進めたが、時間が惜しかったのが理由だ。
怪我してる方のやつの出血を止めなきゃいけなかったからな。
……つーか俺にとっては金以上に価値があるもんなんだよ。
前の人生で死んでから約6年。
……6年だぞ!?
俺は、米を、食えていなかったんだよッッ!!(悲痛な叫び)
ほんと、今思い出していれば元日本人としてはありえない食生活だった……。
毎日毎日食うものは肉か魚か山菜……。『肉肉野菜肉野菜〜』みたいな焼肉食うリズムじゃねぇんだよ。炭水化物をくれ、主食がねえのは明らかにおかしい。
「はあぁぁぁぁ〜〜…………」
「……何で泣きそうな顔で上を向いているんですか?」
「いや……ここまで色々長かったなぁ……てな」
覚悟を決めて下を向く。
実際マジで。
冗談抜きに俺のおにぎりを持っている手が震えていた。
「……いただきます」
「ど、どうぞ……?」
食前の一言は忘れてはいけない。
……以上な緊張感が洞窟内に響き渡っているような感じがした。
こんな緊張感初めて大型モンスターと会った時以来な感じがするぞ……。
「………………」
ゴクリと、喉で鳴る音すら耳に入ってこない気がした。
そして、震えた手でおにぎりを口へと運び。
白い三角の巨塔は俺の口へと含まれた。
「……………………………」
モグモグと一口。
二口目。
あっけなく三口目で手に収まっていたはずのおにぎりは無くなった。
そして。
「………………」
「何で無言のまま上を向いて涙を!?ちょ、あの!?本当にどうしたんですか!?」
この日。
暗い暗い洞窟の内で透明な雫を静かに眼から流しながら。
俺は食事の有り難みを本当の意味で思い知ることになった。
(マジでこれからは、食事に感謝して生きていこう)
ちなみに、おにぎりの具は梅干しだった。実に美味しかった。
シュキンッシュキンッ、と。沈黙の中で金属音が響く。
何の音かといえば、海斗の持つ太刀と研石がぶつかり合って響いている音だ。
行動の発端は、海斗が唐突に『怪我人が回復するまで暇だからテントの外で武器の手入れしよー』という考えが思いついたからだ。
そう。――時間は有効に使おう!有限なものだから!と。
海斗はそういった効率重視な行動原理で動くような人間なのだ。
「あの」
「ん?」
手入れを施している最中に、隣で海斗の手入れの様子を見ていた少女が声をかけてくる。
「流星 海斗さんですよね。先刻にあった柱合会議で暴れて回ったあの」
「……何でそれ知ってるかわ知らんが、まあ俺で合ってるぞ」
「やっぱりそうでしたか」
そして、一拍。
少女が海斗の前に片膝を跪き。
少女は言った。
「鬼殺隊──元『隠』の今野 詩織と言います。御館様の御命により、貴方の監視をさせて頂くことになりました」
海斗の目が見開かれる。
――……驚いた。
まさかまさかだ。
死にかけていた少女の連れが次のステップのきっかけとは思いもよらなかった。
『
ラギアの言葉を信じて海斗は、あの柱合会議とやらの後をひたすら暇を潰して待った。
その最中、主に行ったのは生活の確立。衣食住の安定化をメインにこの5日間を過ごしてきた。
……まあ、途中大型モンスターと対峙をしたりもしたが。
まあ、それは仕方ないって感じで結果オーライってことにしよう。と、海斗は楽観的思考に切り替えた。
「あー……なんだ、その。よろしく?」
「……驚かないんですか?」
「いやまあ別に、自己紹介って感じだろ」
「そうですが……あの、あなたの今の状況わかってます?――監視対象ですよ?危険人物だと思われているんですけど」
「そりゃぁまあな。先週あれだけ暴れまわったんだ。指名手配されてようがどうも思わねえな」
気楽に語る海斗だが、その内心では少しだけ後悔があった。それすなわち。
――深夜テンションに身を任せすぎたァ!!と。
海斗が
そしてその前。
――そう、5徹してから即、
なるほど、それはしょうがないとはなるだろう。
いくら前世で社会人やっていようが、5徹もすればテンションもぶっちぎって1週回っておかしくもなる。
眠くなければ、ブラキディオスを倒した後に速攻寝ようなんて行動はしないのだから。
だが、それは海斗の中ですでに消化された(できてない)出来事。
彼とて常に前を進む狩人。
その程度のことでメンタルをボロボロにしていては進めやしないのだ!
「一応聞きたいんですけど、なんでそんな
「喧嘩打ったつもりはねえよ!?あれは俺の素だ!!」
――徹夜テンションが入ってるから余計な!と。
人と話すことが実に4年ぶりの感覚なことに酔いしれながら。珍しく海斗が怒号を上げた。
「なおのこと正気を疑いますよ!! 柱ですよ!? 鬼殺隊最強を誇るあの御仁たちですよ!?」
――どんな神経をしたらそんな神様も恐れないような行動に出れるんですか!?と、詩織は声を荒げた。
それもそう、普通の隊士から見たら彼らは尊敬し、畏怖する対象そのものだ。
「それいったら、俺も自称だが最強だっつの。少なくともあいつらとタメ張れるくらいにはな」
「……あなたが、ですか?」
「ありえないような目で俺を見るな。てか、危険人物認定されてる地点でその可能性は十分あるだろうが」
「いえ、危険人物認定されているのは――」
――あなたの行動が異常だったからじゃ。という詩織の反論は、唐突に少女の口をふさいだ海斗によって遮られた。
何をするんですか!?、と詩織が海斗に視線で抗議するが……
(…………ッ!)
先ほどの雰囲気とはあまりに変わり果てた海斗の様子に絶句する。
――静かにしろ、と。
海斗の目は少女にそう告げていた。
数泊ほど経ち。
少女は怯えたようにゆっくりと首を縦に振り、それに応じ海斗が手を放す。
「……おそらくだが、奴らが来た。お前らを襲ったやつだ」
――そんな!?と、詩織は声も出せず内心で絶望する。
知り合いの隊士が一撃で戦闘不能になるほどの得体も知れない化け物。
それが数匹。逃げられたのが奇跡というものを……
「安心しろ、お前らの身は俺が預かっているんだ。絶対に危険な目には合わせねぇ」
俯いた詩織に声をかける海斗。
戦闘モードに入った海斗は、もはや詩織を眼中に入れていない。
あらかじめ、五感を聴覚に集中していたのが正解だった。
洞窟外で起こった音、わずかな足音を聞けたのだ。
それがモンスターの類だと、詩織たちを襲ったモンスターだと分かったのは、わずかな重心のずれから発する個体別の足音を把握し、聞きわけたからだ。
(数体……5、6匹ってとこか。ジャギィ系の足音なのはかくれんぼの最中で把握している。問題は――)
――どうやってこの場所を特定したか。
ケアを怠ってはいなかった。最善の注意を払い、この場へと足を踏み込んだ。
海斗の思考は極的に集中を増す。
果たして、答えは出た。
(なるほど、植物のズレか。確かに、それは直してない――いや、直しようがないな)
動物、人物が通った時に生じる植物の移動。
枯葉や芽を踏んだ際に起こる、何かが通った際にしか起こらないそれを
(……全く、さすがだな。本物の野生ってやつは)
それは神業を行うに等しい行為だと、海斗は追っ手に称賛する。
モンスターとて、野生そのもの。さして。それを狩ることを生業に生きている
「ホント、さすがだよッ!」
凶悪な笑みで、武器を取り洞窟の外へと走った。
「あ」
「そこにいろ!俺が何とかしてくる」
着いていこうとした少女を、海斗が引き止める。
力にもならない人間を連れて行っても何もならないから。
詩織が女の子座りで時間が流れている間に。
もう、海斗の背は見えなくなってしまった。
詩織にはどうしても不安だった。
――最悪、自分のせいでこの人は死んでしまうのではないか、と。
「私の、責任です」
そう思った時には、少女の足はすでに動き始めていた。
後半で書き方が変わっている感じがすると思いますが、これが前で言った自分の書き方の確立の結果です。
多分、今後たびたび見かけると思うのでご了承を_(._.)_
(実際結構書きやすいししっくりくる)
ワールド(アイスボーンも含む)のモンス入れる?
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入れる
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入れない
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入れる(後そんな事より、とにかく書け)
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入れない(後そんな事より、早く書け)