ラギアクルスに育てられたんですけど……え、呼吸法?何ソレ?   作:[]REiDo

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最早言うことなどない……

――あるとすればただ一言
「就職活動がつらいです……(瀕死)」


敵と天敵と狩人

 ──戦いの場に放り出され、最初に戦った相手は誰だったか?

 彼、自称『狩人』こと流星 海斗は自分に問い、その答えを光速の思考で編み出す。

 

 言うまでもなく──それは『環境』そのものだと。

 

 手ぶらかつ、心の準備すらしてないまま放り出された究極の狩猟場(かりば)

 その最初手。彼に降り注いだ最初の試練は、食料問題と生活問題だった。

 サバイバルの基本だ。彼自身も()()()()での飢えは多少なりとも経験したことがある。

 その危険性は理解していたのか、即座に取り掛かったのはそのような問題だった。

 

 だが彼は仮にも転生者。

 ──そんなもの、原作の知識があるのなら簡単に解決できる問題なのでは?

 なるほど、当然の問いだ。

 

『ラギア……クルス……!?』

 

 思い出される6年前の記憶。

 初対面(しょけん)でラギアを把握した地点で、勿論のこと彼は『原作(モンハン)』を楽しんだことがある側の人間。

 前世では、意外とガチ勢を名乗れるぐらいにはいたるところの知識はある彼。だが──

 

 ()()()で知ったアイテムのシルエット。

 だが、実際に見るアイテムの植物を見て一体どうやって()()()、そしてどう()()()

 

 そう例えば、だれもが知っている『アオキノコ』や『薬草』をどう見分け。

 必須ともいわれる『回復薬』をどうやって調()()()()、と!?

 

 ……ここまで語ればもうわかると思うが、彼が持つ知識は所詮(しょせん)──二次元(ゲーム)での知識でしかない。

 

 三次元(リアル)()()()()()()()は知識として持ち合わせていない!

 

 ……というわけ、で。

 彼の狩り初め(ゲーム)は、転生者特有の()()()()()()()()()ではない。

 ルールを把握し、データリストの空きにまっさらなセーブデータを作った──

 

 ()()()()()()()()()()であった……。

 

 その非常な現実に気づいた時の彼の心情は──

 ……はっきり言ってしまおう。

 ──無理ゲーすぎんだろふざけんなよ馬鹿野郎、だ。 

 

「あー……懐かし。あの時の期間が滅茶苦茶大変だったよなぁ」

 

 ──今も色々大変だけどさ…主に生活面……と、彼は独り言にそう付け足しながら洞窟の外へと足を踏み出す。

 

 彼のいる世界とは、だれもがうらやむような俺TUEEEE(すでにさいきょう)系やほのぼのしたゆったり生活系では断じてない。脆弱な現代人(にんげん)の身で熾烈極まる環境に適応し、それを超えてなお自身の命を懸けることが前提とした狩りへの試練が許される世界。

 そんな世界を、彼は死に物狂いの努力と、()()での経験値を駆使し自分自身の精神、体術、持ちうる技術を完全に理解した上、把握することで地獄のような現実を生き延びることができた。

 

「そういえば、最初に戦った相手も『ジャギィ』系だったか」

 

 彼は環境に適応した後、最初に戦いそして、あの世界で最初に奪った命のことを思い出す。

 

「大型系も初めて殺りあったのは『ドスジャギィ』だったな。まあ、やたらと気味悪い縁があることで……」

 

 呆れながら。実に緊張感のかけらもなく。

 目の前で自身を囲みこんでいる()()()にむけてこう言い放った。

 

「なあ、そうは思わねえか?お前らもよ」

『GURU....!』

『GUGAA!!』

「ありゃ、思わないか。まあ、俺があっちで戦ったやつとは明らかに違う集団だしな」

 

 どうやってか、それらの意図を悟り海斗は独り言をつぶやく。

 と、同時。

 

『GUGAAA!!』

 

 洞窟の入り口周辺を5、6頭でふさいだジャギィの群れ。の、さらに奥に佇む一頭。

 それを統率する明らかに他よりも大きく、皮膚の色が異なる個体「ジャギィノス」が吠え──

 瞬間、空気が一変する。

 海斗を取り巻く全ての敵が、臨戦態勢に入ったのだ。

 人間の身である彼に放たれるは、殺意。

 理由などはない。ただ、戦い合う相手に放たれる『必ず殺す』という意思の塊だ。

 ──が、海斗は動かない。動じない。

 

 それらが放つ鋭く、絶対的で極大な殺意を。

 

(おーおー、いい殺意を向けてきやがる。流石、どこまで行っても相変わらず純粋な生物(やせい)だことで)

 

 ただ一人、海斗は冷静に受け止め。

 そして──

 

「ははッ!いいねェ!!」

 

 狂気的に(わら)いながら。

 ただ純粋に。楽しむように自身の肩に下げたそれを引き抜いた。

 

 大剣──雷迅剣ラギアクルス

 

 人間が持てる限界まで巨大化させたような剣を竹を持つような気軽さで肩に担ぎ。

 

「じゃあ始めようか!俺らの命と()()をかけた戦いをよぉ!!」

 

 目の前に立つ敵に向けて、開戦の宣言を放った。

 ジャギィの群れが海斗のもとへと襲い掛かる。

 ──六体いたうち三体はその場から前へと飛んで上空から攻め、二体は逃げ場を断つため左右から海斗の様子を窺っている。その場から動くことはなかった残り一体はその集団のボス格なのだろう。

 集団が持つ意思疎通能力とでも言うのだろうか。どの個体も事前に何かを相談しているようには見えなかった。

 

 そして、ジャギィが攻撃を始めると、同時。

 海斗は自身の胸に常備下げている凝縮固させた雷光虫ペンダントを左手でつかみ。

 ──自身の体を通して、電流を右腕に持つ大剣へと帯電させた。

 

「海雷の呼吸」

 

 バチバチィッ!!と、昼間だというのに眩しいと思うそれは、青き閃光を放つペンライトのようだった。あえてそれの安全性を根本的に違う点を挙げるなら──それは常人が触れた瞬間、()()()する程度の電流が迸っていることか。

 ……そんなスタンガンよりも危険極まった凶器を海斗は上空へと投げ飛ばし──

 

(じゅう)ノ型」

 

 自分のすぐ横。

 ただの土の地面の上に、思いっきり()()()()()

 

地雷源(じらいげん)──天光(てんこう)!」

 

 ──さあ、潜り抜けてみろ。

 

 

 

 


 

 

 

 

“海雷の呼吸 拾ノ型 地雷源”

 

 俺が扱う海雷の呼吸、その最後の型の名前だ。

 海雷の呼吸で唯一、地上戦に向いている技でもある。

 体内で帯電させた電気を武器へと移し、それを地面に突き刺すことで電撃が地面を這い回り俺自身すら、どこかもわからぬ場所で吐き出された電気の塊はその場にとどまる。

 相変わらず、原理などは技を繰り出す俺ですら理解ができていないが、一つだけ言えることがある。

 

「この技に関してはなぁ……、いや全部の型に対して言えるか。俺以外が触れると死にかねねえんだよな」

 

 この技を出したら最後、戦場には触れてはいけない場所が生まれる。

 

「で、だ」

 

 不意に後ろを。

 ……さっきから気になりすぎている洞窟の入り口をジト目で見ながら呟く。

 正確には、洞窟にいくつもある大岩の()をだが。

 

「来るなって言ったんだが。なんでついてきたんだおいバカ」

「ひぅやあぁっ!?」

 

 ……今野 詩織だった。

 俺が光速で彼女の背後に位置をとり、怒り1割と呆れ9割で罵倒込みの台詞を背後から話しかけた瞬間、お化けでも見たかのような叫び声が響き渡る。

 まるで未確認生物でも見られるような目で見られてしまった。泣きたい。

 

「……様子から見るに、心配だからついてきたらしげだが。だからってホントに来るかよ?感情に身を任せすぎたらいつか痛い目見るぞ」

「っ……」

 

 今野が体をビクッと震わせた。どうやら図星らしい。

 

「まーいいや。別に攻めやしねえし、アンタが選んだ選択に文句はつけねえよ」

 

 自由に見物するなりなんなりとしとけ、と言って俺は意識を前方──ジャギィ達へ戻す。

 

「あ」

「安心しろ。言ったはずだぞ」

 

 刹那、正面特攻してきたジャギィ一匹が。

 

「絶対に、助けてやるってな」

 

 バジッバジリィッッ!!!と、何もなかったはずの地面から青い閃光が駆けた。

 それは天に届く雷の柱のようだった。

 咆哮すら上げられずに黒の肉塊となったジャギィを横目に俺は語る。

 

「【地雷原 天光】。この技は地上で根を張るように張り巡らせた電撃の塊を、その上に立つ敵に放つ技だ。言い得て妙ではあるけど、本物の地雷のようなもんだな。まぁ、俺自身どこに()()があるかわわかんねえが、とにかくそれも込みでとにかく扱いづらい技なんだよ、これは」

 

 静電気で跳ね上がった頭をかきながら俺は隣に目を向けた。

 ──今もどこにあるかなんぞ検討すらつかねぇ。

 隣にいる詩織って奴のすぐそばにもあるかもしれないし、最悪俺のすぐ側にも設置されているのかもしれない。まあ、俺の場合電撃は効かないんだけども。

 

「さぁて、お前らはどうする?玉砕覚悟で俺に突っ込むか?それとも、このまま逃げ帰ってもう一度俺の隙を待つ、か?」

 

 様子を見るように、俺は前方に佇むジャギィ達に目を向ける。

 そして。

 

『『GAAA!!!』』

 

 ああ、わかってたさ。

 ……この技を使うときは、牽制用でもあるが実際そうやって使っても敵が止まることはなかった。

 何故なら。

 

「流石だよ、野生」

 

 こいつらの中には、戦いしかない。

 勝って逝かなければ、自分の強さで生きてゆけない。

 だから、いつも止まれないんだ。()()は。

 生き抜くことをやめてしまえば、その時は。

 

 自分が死んでしまうかもしれないと、体ではない、心が死んでしまうと思ってしまうから。

 

 それほどまでに、戦いの中で生きてきた俺達は、どうしようもなく野生なんだ。

 

 


 

『『GYAッ…!』』

 

 一刀、であった。

 

「流石だよ、野生」

海斗の口から言葉が放たれた刹那、青い閃光が周囲を照らした。

その一瞬は、海斗に目を取られていた詩織ですら捉えることはできなかっただろう。

スッ……、と音すらならず水を手ですくうような滑らかな動きと共に海斗の体は光速を超えたかのような動きで襲い掛かったジャギィたちの首を刈り取ったのだ。

 

「さてと」

 

 ドサリ、と命が墜ちる音と共に海斗は言い放つ。

 

「選択の時間をやる。わかったと思うが、お前らが束になろうが俺に勝つ可能性は1割もないぞ」

『GURU…』

 

 集団の長であろうジャギィノスが唸る。 

 森林の間を吹く風が周囲の音をかき消そうが殺意の渦の中にたたずむ者たちが生む重い空気を吹き飛ばしてはくれない。

 時は一刻と過ぎてゆき、やがて。

 

「さあ、あきらめて逃げかえるか玉砕覚悟で命を捨てて向かってくるか、選べよ」

『GURU……ッ』

 

 海斗が放ったその宣言が場の決着をつけた。

 

 『挑戦者』という例外を除いた者以外、絶対的強者には誰も立ち向かいはしない。

 なぜなら彼らは生き抜くために戦うのである。

 『野生』というのは、誰もが誰も戦うためだけに存在しているのではないのだ。

 

 何かを守るために振るわれる力もある。

 

 


 

 

時と場所は移り変わり、山のふもと付近

 

 

「……正直助からないと思ってました」

「それは、俺の力不足のことを指していいのか?だとしたら少し凹むんだが」

「あ、いえそうじゃないんです。貴方の力は前に見たことがあるので」

 

 あ、よかった。こんだけ時間かけた(6年)うえでまだ守る力に値しないとか言われたら俺泣いてた――

 

「心配していたのは、貴方の人間性についてです」

「唐突に辛辣すぎじゃないかオイ?」

 

 前言撤回、泣いていいかな?泣いていいよね?泣いたほうがいいよね?

 普通に人間としてじゃなく、元社会人として泣いたほうがいいよなこれ?

 ほぼ初対面の人間に、「精神面が心配です」なんて言われたのは人生長しといえど俺は初めてなんですが。

 ……いや、俺の場合人生二度目か。

 

「いや、でも……言い方少し悪いかもしれませんがとても社会適合者とは言えない風貌といいますか何と言いますか……。そもそも柱合会議の場で大暴れをする人の神経をまともと言っていいとは思えなかったので……」

「風貌に関しては生まれつきだし、この眼も髪も人生送ってきてからは一度も変えたことはねえよ。なんだったらそんな機会すらなかったよ」

「大暴れした件については?」

「それに関してはマジですまん。深夜テンションでのおこがましい事故だ」

 

 と、まあ。

 軽口(俺にとっては結構心に響いた)を叩きながら俺と詩織は山を下っている。

 詩織の背には負傷した隊士が眠っておぶられているところだ。浅い呼吸を繰り返して目を覚ます様子はない。

 

「あの怪物……じゃなくてジャ、ジャギィ?でしたっけ?いいんですか、あんなモノたちを倒さないでいておいて」

「アンタは『戦意を喪失した少年少女を殺せ』とでもいうのか?近頃の戦争界隈でもそんな狂気的発想にはならないと思うが。命を奪う感覚が麻痺してるのか?」

「ですが」

「俺も、あいつらも、あの場に存在してる地点でたった一つの命だ。それは、お前らが憎むべき対象にしている鬼とかいう奴らも例外じゃない」

「…………」

 

 忘れないようにな、と俺は当たり前のように語り、会話の流れを切り崩す。

 

 ――これが俺の価値観だ。

 戦う相手がどんな者だろうと、例えソレが怪物だとしても。

 俺の眼にはその全てが平凡な『生命』に見え、そして同時に自分も同じモノであるということを理解している。弱者や強者の『生命の価値を決める』ものになんか興味はない。俺がいつでも気を引くものは『そこに在る生命の鼓動』のみだ。

 それ以外のものには、あまり興味が沸かない。

 

「というか、ホントにここで会ってるんだよな。病院の場所って」

「病院……というより治療院みたいなものですけど、場所で言うなら間違っていないと思います。ここに到着する前に周辺の地図などには目を通しておきましたから」

 

 そりゃ上々。優秀な人材がいる組織はほんとにいいもんだ。鬼殺隊がここまで鬼に殲滅されず生き残っている片鱗を垣間見たわ。

 ……うちにもほしかったなぁ、優秀な人材。

 

「にしてもこっちが驚いたよ。まさか――」

 

 会話と同時に山のふもとへと到着する。

 目に留まるものはとても大きな屋敷だった。

 

「『蝶屋敷』だっけか?俺が拠点にしてる山の裏側にまさか鬼殺隊の基地があるとは思わなかったぞ」

 

 ――蝶屋敷の裏山。 

 俺がいそいそと1週間の間拠点化していったその場所は鬼殺隊の治療院だったというわけだ。

 ……いや、わかるわけねえだろそんなもん。びっくりしたわ。

 

『え、この山を下りるとすぐそこに蝶屋敷がありますけど。知っててここを拠点にしたんじゃないんですか?』

 

 真顔で詩織に衝撃事実暴露された時まじで「は!?」って言ったからな。

 ……まあ、結果的には負傷している奴の治療場が見つかってよかったが。

「ごめんくださいませー」

 

場所は変わり、蝶屋敷前の玄関。

 

 鬼殺隊での顔がある詩織に「対面もろもろを任せた」といって俺は外に立っている。

 足音が遠ざかっていくのが聞こえたあたり、どうやら負傷した隊士を屋敷内に入れることができたようだ。

 んで俺は、山のふもとにある病院みたいなもんだから「田舎のように静かな場所かなー」なんて思っていた矢先だった。

 

「女の子と毎日キャッキャキャッキャしてただけのくせになにやつれた顔して見せたんだよ!土下座して謝れよッ!!切腹しろッッ!!」

 

 ……どうやら思い込みが深すぎたようだ。病院は病院だったらしい。ていうか騒がしさの点で言ったら戦場病院と同じレベルだ。非常にやかましい。

 ギャァギャァギャァギャァと、揉め事のような声の応酬を目を瞑りながら「うるさいなぁ」と思っていると土を踏む音が近づいてきた。

 

「あら、何か御用ですか」

「ん?ああいや、連れの用でついてきたんで別に俺は――」

 

 頭をかきながら振り向いてそう答える、が。

 ここで俺はしっかりと思考を巡らせるべきだったのだ。

 ()()()()()()()()()()()

 この2つのキーワードをもとにしっかりと考えておくことができていれば、このような悲劇にはならなかっただろうに。

 

 そうだ。

 

 『蝶の羽織』を着た『鬼殺隊』の隊士について思い出せていれば。

 俺はコイツに会わなくて済んだものを。

 

「御用でしたら、中へ案内しますよ?しっっかりと用件を聞いてあげますので」

 

 鬼が立っていた。

 こめかみに青筋を浮かべた胡蝶しのぶという鬼が。

 ……何も言うまい。諦めのついた俺は状況を察し最後の抵抗に出る。

 

「……一つ言い訳をしてもいいか?」

「どうぞ」

 

 俺は決めた。

 

「他意はないんだ。あの場を勝手に去ったのはお前らを危ない目に合わせないとしたわけで別にただ奇行に走ったわけじゃない――」

「言い訳は十分ですね、屋敷内でじっくりと話し合いましょう」

 

 日々の生活に対する警戒心を上げるべきだと。

 主に、胡蝶しのぶに対する警戒は常時MAXにしておこう。

 

 

 

 





久しぶりの更新だってよ……
なおこの次は

「鬼滅キャラとの出会い編」に入ります(すごく書きたかったやつ)

ワールド(アイスボーンも含む)のモンス入れる?

  • 入れる
  • 入れない
  • 入れる(後そんな事より、とにかく書け)
  • 入れない(後そんな事より、早く書け)
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