ラギアクルスに育てられたんですけど……え、呼吸法?何ソレ?   作:[]REiDo

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海底の文明 そこに在る未来の予言

 

 

 

「よいしょっと」

 

 ワラでできた小鳥の巣の形をした場所から、卵を持ち出して運ぶ。

 ただし、ただの卵ではない。

 『飛竜の卵』

 持ち運ぶのに相当な力を要いるほどの大きさの卵を両手で抱え、マイホームに運んでいく。

 

 

 

 あの日から5日後。

 いまだに、回復しきっていない俺の体。

 やはり八ノ型を使った反動は大きかったようで、今でも時々筋肉の痙攣が起こってしまうのだ。

 

 ラギアには安静にしておけって念を刺されたからマイホームに篭り続けていたんだが……

 どうも暇で仕方ない。

 前世みたいに暇つぶしグッズがあるわけがなく、やることと言えば『海電の呼吸』で風に乗る感覚を楽しむくらいだった。

 

 我慢ができなくなった俺は、何かしようと思い重い腰を持ち上げる。

 

 そこから『飛竜の卵』を運ぶ流れになったのは、単なる思いつきだった。

 

「タンパク質取れば回復早くなるんじゃね?」

 

 単純な思いつきだが、体も動かせるし、上手く運搬できれば飯時に栄養補給もできる。

 まさに一石二鳥。

 

 そこから、決断してからの行動は早く、俺は即刻リオレイア夫婦の巣へと向かったのだった。

 

 

 

 

『『GAAAAAA!!!!!!!』』

 

「まあそんな簡単に上手くいくわけないよな!!!!!!」

 

 

 草木をかき分けて道なりを強引に進んでいく。

 後ろからは、卵を奪われ激怒しているリオレイア夫婦が追いかけてきている。

 

 

 運搬している最中であった。

 

 少しばかり疲れた俺は甘いものを取りたくなり、

 そこでハチミツがある場所に寄り道をしたんだが……

 

 なんと、びっくりドッキリ。

 先客にリオレイア夫婦がいるではありませんか。

 これには、ぼくちん驚いちゃったよ。(白目)

 

 というわけで、そこからは察しのとうり、卵を持ちながらの全力疾走の始まりである。

 とんだ鬼ごっこだ。

 

 強走薬、念入りに飲んどいてよかったぁ。

 

 

 そして10分後

 

 

 大きな草が生えている場所に隠れやり過ごした。

 追ってくる気配がないのを確認。

 

「あ」

 

 やり過ごしている最中のことだった。

 目の前をジンオウガが通り過ぎたのだ。

 今は警戒を解いているのか、超帯電状態ではなかった。

 

 俺が斬った前足を見る。

 どうやら動けるくらいには靭帯が繋がっているらしく、少しホッとした。

 

 ラギアが、あの程度で森の王者を引退するほどやわではない、と言っていたがそれは本当だったらしい。

 前より迫力が、威厳が、微塵も衰えていなかった。

 ……ほんと、よく勝てたな俺。

 

 

 良いものを見た俺はジンオウガが去っていくのを見た後に、草むらから出る。

 ……ただし、頭上には注意せよ。

 

「…………」

 

 バサバサ!と音立てて空から降りてきたのは、ある意味俺の因縁の相手ともいえるモンスター。

 

 クルペッコであった。

 

 

『〜〜〜〜!!!』

 

 

 目が合った瞬間である。

 クルペッコは俺を嘲笑うかのようにお得意の声真似で何かを呼び寄せる。

 

 

 俺にはわかる。

 毎回、毎回だ。

 コイツはなぜいつも俺を見た瞬間にイビルジョーを呼ぶ!?

 Sなのか!? 生粋のSなのか!?

 

 

 ドスン!ドスン!と遠鳴りに鳴る巨大な足音と共に、卵を持って再逃走開始。

 いい加減あのドSクルペッコをどうにかしないと…、と考えながら俺は全力疾走を再開するのだった……

 

 

 


 

 

 

『……なぜそんなに疲れ切っている』

『いや……チョット久しぶりに不幸なデスコンを喰らったもんで……』

 

 

 追いかけてくるイビルジョーを俺は何とか巻き、疲れて休もうかと思うも束の間、ラギアからお呼びがかかった。

 んで、マイホーム出た途端、周囲警戒中の『ボルボルス』と遭遇。

 俺を敵だと思ったか、猪突猛進のごとく俺に向かって突進してきたが、

 

 まあ、そこはジンオウガの動きを見切った俺よ。

 あまりにもスローに見えすぎたため余裕を持って横に回避。

 

 が、それが運の尽き。

 

 

 ボルボルスの突進によって、後ろにある俺のマイホームが粉々に粉砕され、激突した大樹がへし折れ長年愛用していた『鉄刀』とその他もろもろの家具が潰された。

 敵ではないのを悟ったのか、ボルボルスは俺の安住の場を奪っていったのも気にしないように森の中へ去っていった。

 

 

 ……………俺? 分かるだろ!! 放心状態だよ!!! なんだったら心へし折れそうだったよ!!!!

 こうもあっさり長年住んでいた家と愛刀が亡くなったんだぞ! そりゃあ放心状態にもなるだろ!!

 

 

 結局、負け犬みたいに我が家の残骸をあさって出てきたものは、服と携帯用のポーチのみ。

 他は全て使い物にならなくなってた。

 全ての内には、ラギアに貰って今まで愛用していた太刀『鉄刀』も入っており刀身が完全に折れていた。

 

「…………………ふ」

 

 残されたものを確認した俺は絶叫したね。も〜全力で叫んだよ。

 

 

「不幸だぁぁああああああああ!!!!!!!!」

 

 

 ……今思えば、あれ建てるのには苦労したっけなぁ(遠い目)

 かかった期間1ヶ月だぜ。しかもここに来た始めの頃で知識もなく一心不乱に材料をかき集めて作った家だし。

 思い入れがある分悲しいなぁ(再び遠い目)

 

 

 

 そして、そんな思いを持ち合わせながらだが、俺はラギアとの待ち合わせ場所に向かい今に至るわけだ。

 何やらついてきて欲しい場所が海の中にあるらしい。

 

『で? 場所ってどこだよ?』

『急かすでない。もうすぐ着く』

『もうすぐって……ここ結構深いだろ、何かあるとは思え……なんだアレ?』

 

 連れて行かれて自分の目で見たものは、多分レンガで造られている直径100mはある鎌倉みたいな大きな丸い建物。

 一見見た感じ……家なのか?

 いや、天井と壁が所々崩壊しているから廃墟っていう予想も……。

 

 無いとは思うが、古代文明っていう線があったり……。(願望)

 

 

 ラギアは『私はここに残る。どこかに当たって崩落してはいけないからな』と言い、『中にあるものを持って海面に上がってこい』とも言って浮上していった。

 そして俺は、天井の穴から中に入っていく。

 

 中は勿論広い、が……暗い。

 四苦八苦しながら、何とか壁を伝って物を探す。

 

 と、思ったところで携帯用のポーチに入れていた物を思い出した。

 

「そうだ『光蟲』。瓶の中に入れっぱなしじゃん」

 

 普段だと洞窟の中でしか使わないからすっかり忘れてた。

 ポーチから光蟲入りの瓶を取り出して灯りを遮っていた布を取り外し、ランタンみたいに持つ。

 

 

 暗闇の中で明かりが灯る。

 少し長い時間、暗闇の中にいたせいか一瞬目が眩むがすぐ視界が元に戻った。

 

「…! これは!?」

 

 戻った視界。

 

 

 そして、その目で見たものは大きな壁画だった。

 そう。この鎌倉みたいな建物には全面に壁画が彫ってあったのだ。

 あまりのスケールに驚愕してしまう俺。

 

 

 一通り見てみたところ、地上にいるモンスターも俺が戦い挑んできた大型モンスターもそこには彫られていてーー

 

 そして気になった描写もいくつか書かれていた。

 

 

 大型モンスターの亡骸から脱皮するように出てくる描写。

 これは、明かにあの『ゴアマガラ』を表していると推測する。

 原作でもそういう設定だったはず。

 ……つーかこの世界に狂竜化ウイルスって存在すんのね。初めて知ったわ。

 

 

 そして、大型モンスターたちが壁みたいな物を乗り越える描写。

 壁の中に戻りたがって暴れている描写もあった為、多分無理に連れて行かされたのだと知った。

 

 ここまでは原作を見ている俺でも、まだ理解が及ぶ範囲だった。

 

 そして最後、その先の描写の俺は恐怖を覚えることとなる。

 

 

 鬼みたいなものが、モンスターを、動物を、人を食べている。

 そして、モンスターを食べた鬼が苦しみ、また別の鬼へと変貌するのだ。

 その凶暴な何かに変貌して全てを壊し尽くしていく。

 

 

 そんな、明かに狂っているような壁画が彫られていた。

 

 特に、その中で一番大きな鬼は向かってくるものを軽々となぎ倒し、人とモンスターを喰らい続けていた。

 多分だが、コイツが鬼の長ーーーつまり一番強い鬼だと考えられる。

 禍々しい眼光、変貌し尽くして鬼の輪郭が一切感じられていなかったその描写は、

 

 あまりにもリアルすぎだと思い、俺に恐怖を縫い付けていった。

 

「…………これは、本当に起こることなのか…?」

 

 古代文明とは、言い得て妙なものではあるが、言い換えると『予言』みたいなものだと信じている。

 生前の人間が何かまずい未来を感じ取り、その見た未来を書き記す。

 それが、長年の年月を持ち、美しい様子を写す。

 それこそが、古代文明であると俺は解釈してる。

 

 それを信じているからこそ、怖かったのだ。

 ラギアが俺をここに運んできた理由を推測してしまったのも含めて、 ゾワっとした恐怖が俺の心を埋め尽くす。

 

 

 


 

 

 

「? なんだこれ? 地下の隠し穴か?」

 

 観れる壁画は全て見て上に浮上する。そんな時だった。

 偶然、『光蟲』が照らした地面に穴があった。 

 気になって近づいてみたところ、下へと続く階段があり入ってみることにしてみた。

 

「これ……人骨か。初めてみた」

 

 階段を下りた先にあるのは小さな一部屋。

 部屋の片隅には生前──いや人生初めてみた人骨がひっそりと椅子に座って佇んでいた。

 少しびびったのはあったが、一番驚いたのは、

 

 この世界にも人がいたということだった。

 壁画が彫られていることから可能性があるのか?と思ってはいたがこんなにも早く確信を持てるとは……

 

「それにこれは、金床(かなどこ)と…これは大槌(おおづち)小槌(こづち)…? そして……………」

 

 そして、俺はここが精錬場だと知る。

 武器を作るための大道具それが全て揃っているその部屋には、

 

「この……この色、この武器は……ラギアの──!?」

 

 

 雷迅剣ラギアクルス

 雷双剣ツインクルス

 雷刀ジンライ

 

 

 全てが全て。

 ラギアの素材で完成している大剣、双剣、太刀が、

 

 その部屋の奥に忽然と置いてあったのを見て、触れて、そう呟いた。

 

 

 

 




UA5000言ってたのをみてびっくりしている俺氏。

今後ともご贔屓にお願いします。(感想お待ちしております)

ワールド(アイスボーンも含む)のモンス入れる?

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