ゾンビランドミカ   作:裏方さん

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見に来ていただいてありがとうございます。

前回、突然ゾンビィとなってしまったオリヒロ。
それでもゾンビィとして生きていくことを決めて。
巽はそんなオリヒロに居場所を。
さてオリヒロは。

ではよろしくお願いします。


アイドル?

「いつになったら目覚めるんじゃい・・・・・・・・・・・・さくら」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ブルブルブルブル”

 

「うううううううう・・・」

 

”ヒュ~、ガタン!”

 

「ひゃー」

 

”ガバッ”

 

え、なに!

ま、窓か~

ちゃんと閉めたはずなのに今晩は風強いから。

はぁ~、だめだ~怖い、怖い、怖い、怖い、怖くて眠れん!

だ、だってこの家にはさ、あの化け物・・・・・・ゾンビィっ娘達がいると思うと。

いやわたしも同じ化け物ってわかってるけど。

そ、そんでもさ・・・

 

『うう~、う、う、う゛う゛ー』

 

『あ゛~、あ゛、あ゛~』

 

”フラ~、フラ~”

 

『うがー!』

 

や、やっぱり怖いって!

ど、ど、どうしょう。

・・・し、し、仕方ない。

今日は、あ、あいつの部屋で寝ようかなぁ。

一人で眠るなんて絶対無理だもん。

そ、それにさ、いくら何でもわたしなんかに手出さない・・・と、思うし。

だって、わたしの身体、腕も胸もお尻も包帯だらけ。

それにこの顔・・・ゾンビィだし。

 

”ギィ~”

 

「ひゃー!」

 

”ダー”

     ・

     ・

     ・

 

”トボトボトボ”

 

ん~、どこ行ったんだろ。

あいつの部屋にもいなかったし、外にでも行ったのかなぁ。

人には外出禁止って言ったのに。

しっかしほんとこの家ってすごく不気味。

この廊下なんかも薄暗くて。

それにさ、なんかさっきの部屋、オリみたいなのあったし。

何なんだろうこの家。 

ううう、やっぱ今にもなんか出そう・・・・・・

って出てるんですけど、ここに!

はい、わたしゾンビィ!

・・・でもさ、やっぱり怖いもんは怖いんだい。

うう、やだよ、こんなところであのゾンビィっ娘達に出会ったら死ぬほど怖い!

いや、もう死んでんだけど。

はい、わたしゾンビィ!

っておい!

でもさ、こんなバカなことでも言ってないと一人でいられないよ。

くそ、どこいったんだあいつ!

 

「お、お~い・・・・・・」

 

・・・あれ、あいつ名前なんて言うんだっけ?

そういえばまだ聞いてなかった。

 

”トボトボ、トボ、スタ”

 

・・・・・・名前・・・か。

わたし、名前なんていうんだろう?

うううん、名前だけじゃない、どこに住んでたの? いくつなの?

死ぬ前って何やってたの?

・・・・・・何もわからない。

はは、なんもわからないや・・・なんも。

知りたい! わたしは誰? 何者?

・・・はっ!

そうだあいつなら何か知ってるかも。

うん、きっと何か知ってる!

よ、よし!

 

「お~い、サングラスの男!

 どこだ~、出てこ~い」

 

”スタ、スタスタ、スタスタスタ”

 

     ・

     ・

     ・

 

う~ん、あいつどこにもいないや。

あ、あと探していない場所は・・・・・・はぁ~あの部屋っか~

やだな~

 

”スタスタ”

 

ん、あ、電気ついてる。

やっぱりあいつ、あの娘達の部屋にいるんだ。

う~、あのゾンビィっ娘達は寝てるといいんだけど。

 

"ドン!”

 

「ひゃい!」

 

え、な、なに?

なんかあの部屋から、いますごい音が。

 

「・・・なんでじゃい」

 

えっとこの声って・・・やっぱりあいつここにいたんだ。

でもどうしたんだろう大声だして。

ちょっと覗いて・・・

 

”そ~”

 

ん、うそ!

あ、あいつ、あのリボンの娘抱きしめてる!

げっ、あいつゾンビィも守備範囲なのかよ。

あっぶなかったー

あのままあいつの部屋で二人きりになってたら、もしかしてわたしも。

い、いや、そんなことよりあの娘ってさ、まだ意識ないんだよね。

・・・なにもわからないことをいいことにあいつー

ケダモノ、女子の敵!

ぶ、ぶん殴ってやる!

 

「・・・さくら、お前はアイドルになりたかったんじゃなかと」

 

「えっ」

 

アイドル?

今あいつ確かアイドルって言ったの?

それにあの娘、さくらって言うんだ。

 

「お前をアイドルにするため、仲間も集めたんじゃい。

 最高のアイドルグループをな。

 だからこんなところで寝てる場合じゃなかろうが。

 さっさと目覚めんかい。

 ・・・・・・俺が、俺がお前をアイドルにしてやるんじゃい」

 

「う、う、う゛う゛、あ゛ー」

 

やっぱりアイドルって言った。

それに仲間を集めたって。

なんかようわからないけど、あいつわたし達をアイドルにする気なの?

あの娘のために。

でもさ、あの娘ってあいつの何なんだ?

彼女、彼女さんなの?

・・・・・・ふぅ~、どっちにしろ今は何か訊ける雰囲気じゃないや。

名前、今度にしよう。

 

”スタスタスタ”

 

「おやすみなさい」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

”ちゅんちゅん”

 

「ふぁ~あ」

 

はぁ~、結局昨日はほとんど眠れなかった。

風が強くて、窓とか物音がする度に目が覚めちゃってさ。

 

”トボトボトボ”

 

でもほんとはさ、物音がしなくても眠れんかった。

だってさ、昨日はあんな衝撃的なもの見ちゃったんだもん。

そっかー、あいつはきっとあのさくらって娘のことが・・・

へへへへへ、からかってやる!

あいつどこにいるかなぁ。

きっと朝ご飯だよね多分。

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガチャ”

 

あ、いた!

やっぱ朝ご飯食べてた。

ぐへへへへ、そうやって平然としていられるのも今のうちだぜ。

いじりまくってやる。

 

”スタスタスタ”

 

「あ、あのさ」

 

「お早うございます」

 

「えっ」

 

「お早うございます!」

 

「あ、あ、あの、お、お、お早うございますです」

 

”ペコ”

 

「うむ、挨拶は基本だからな。

 挨拶できん奴は認めてやらんからな」

 

”もぐもぐ”

 

「あ、う、うん。

 へ、あ、あの何これ」

 

”もぐもぐ”

 

「ん? これは玄海漬けじゃい。

 なんだ知らなんのか、このちょ~有名な佐賀の名物を」

 

”パクパク”

 

「・・・そんなもん知らない」

 

「なんも知らんのじゃの、この馬鹿ゾンビィ。

 よくそんなんで生きていられるの。

 ・・・って死んでんのかお前。

 まぁ、なんも知らんどうしょうもないお前に教えてやろう。

 これはだな、クジラの 」

 

「う、うっさい!

 そんなこと聞いてんじゃないやい。

 この朝ご飯なんなのって聞いてんの!」

 

「なんなのってなんじゃい」

 

「あのさ!

 朝ご飯ってとっても大事なんだよ。

 眠っている間に消費したエネルギーをしっかり補充して、

 そんで身体を目覚めさせるの。

 それに健康にも影響あるんだからね!

 それなのになんでその大事な朝ご飯がさ、ご飯とその何とか漬けだけなの」

 

「そんなもん、面倒くさいからに決まってるじゃろ」

 

「あ~ん、もう!

 そんなんじゃダメじゃんか。

 ちゃんとしっかり栄養摂らないと。

 いいからちょっと待ってて」

 

”スタスタスタ”

 

「冷蔵庫のもの使わせてもらうね。

 えっと、何があるかなぁ」

 

”ガチャ”

 

「ん~、卵と・・・」

 

「・・・・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「るんるんるん♬」

 

”カタカタ”

 

よしで~きたっと。

ふむ、我ながら外見は美味しそう。

でも味のほうはちょっと心配。

だって・・・

 

「はいお待たせ。

 卵とひき肉があったので、そぼろ丼にしてみました。

 それと、かぼちゃと豆のスープ。

 どうぞ召し上がれ」

 

「ちゃんと食べれるんだろうな」

 

”パク”

 

「ん!」

 

”パクパク、もぐもぐ”

 

「ん、んー!」

 

”ドンドン”

 

「あ、ほ、ほら、あんまり慌てて食べるから。

 はいお茶、このお茶飲んで」

 

”ズズ、ズー”

 

「ふぅ~」

 

「大丈夫?

 あ、それとさ、味の方はどう?」

 

「・・・・・・美味い」

 

「そう?

 良かった、えへ。

 なんかさ、味見しても味がわからなくて。

 正直、ちょっと心配だったんだ」

 

「まぁ、ゾンビィだからな」

 

「ううう、それ言わないで。

 ゾンビィ忘れようとしてるのに。

 ・・・・・・あ、そっだ。

 あ、あのね」

 

”もぐもぐ”

 

「ん、なんだ?」

 

「あのさ、名前、何ていうの?」

 

「いぬ・・・・巽、巽幸太郎じゃい」

 

「いや、あんたのじゃなくてわたしの」

 

「へ?

 ・・・・・・わ、わかってたわい。

 冗談、冗談じゃい。

 お、お前はだな・・・」

 

「わたしは?」

 

”わくわく”

 

「・・・・・・みか」

 

「みか?」

 

「そ、そうだ、お前の名前はみかだ」

 

「えっと~、わたし何も憶えて無いんだけど、それがわたしの名前?

 みか、みかか~

 なんかいい!

 えへへへ、みか、みか、みか・・・わたしはみか!

 あ、あのさ、どんな漢字?

 ね、どんなの?

 やっぱ、みかの”み”って美しいの美だよね。

 実っていう字もあるけど、やっぱ美しいだよね。

 あとさ、”か”は華麗とかそんな感じ?

 それとも花とか夏とか? 

 あっ、香っていうのもあったね。

 ね、ね、どんな漢字なの?」 

 

「・・・し、知るかそんなもん!」

 

「へ?」

 

「俺が今勝手につけた名前じゃい。

 え~い、漢字漢字ってうるさいんじゃい。

 そんなもんいちいち考えてられるか。

 面倒くさいから、お前なんかカタカナで十分じゃい。

 それでいいじゃろこのボケ~」

 

「い、今つけた?

 ・・・・・・そ、そっか、わたしの本当の名前じゃないんだ。

 あんたも知らないんだねわたしの名前」

 

「本当の名前なんて知らん。

 お前はある日突然この屋敷の玄関前に捨てられてた。

 死んでな」

 

「・・・そ、そうなんだ」

 

わたし捨てられてたのか。

ははは、わたしって誰なんだろうね。

なんで死んだの? 

なんで捨てられたの?

わからない、なんにもわからない。

う、ううううう。

 

”トボ、トボトボトボ”

 

「お、おい、どこへ」

 

「巽さん。

 ・・・・・・わたしって何者なんだろうね」

 

”ガチャ”

 

「う、うう、うううう、うわ~ん」

 

”ダー”

 

「何者っか。

 教えるわけにはいかんのじゃい・・・・・・美佳」

 

     ・

     ・

     ・

 

”とぼとぼとぼ”

 

わたしって誰なんだろう。

死んで捨てられたって最悪じゃん。

なんか悪いことしたのかなあ。

 

”ワンワンワン””

 

え、あ、ロメロ。

そっかお前ここで見張っているんだっけ。

そうだよね、勝手にこの家の敷地から外に出るわけにはいかない。

それがあいつとの約束だった。

それに、こんな顔したのが町の中を歩き回ったら・・・パニックだよね。

 

「ワンワン」

 

わ、わかった、もどるから。

ちゃんと中にいるよ。

 

”スタスタスタ”

 

でも、今は誰にも会いたくない。

一人になりたい。

だって・・・・・・ちょっと辛い。

どこかにいい場所無いかなぁ。

もしあいつが探しに来ても見つからないような。

 

”ポツ、ポツポツ、ポツポツポツ”

 

ん、あ、雨降ってきた!

やば、ど、どっか雨宿りできるとこない?

 

     ・

     ・

     ・

 

 

”ザー、ザー”

 

本降りになっちゃったね。

でもいいや、ここ雨防げるしなんかすごく落ち着く。

狭くて暗くて、ちっとゲソ臭いけど。

なんにもないわたしにはちょうどいい。

ふぅ、な~んか落ち着いたら眠たくなっちゃった。

 

「ワンワンワ、ワン♬

 ・・・ワン?

 ウー、ワン!」

 

ん、なに?

あ、ロメロっか。

門のところで番してたんじゃなかったっけ?

 

「ワンワン! ワンワン!」

 

なに、もしかしてどけって?

ほほ~、あんたこのわたしに喧嘩売ってんだ。

 

「うっさい、この犬小屋はわたしが占拠した。

 あっち行け!

 ヴー、ワンワンワン! 

 ガルルルル!」

 

「キャン!

 キャンキャンキャン」

 

ふっ、勝った。

この犬小屋はわたしがもらった。

・・・・・・って何やってんだわたし。

はぁ~、なんか疲れた。

 

     ・

     ・

     ・

 

「スー、スー、むにゃむにゃ」

 

”ガチャ”

 

「まぁ焦らないことだ」

 

「はい」

 

ふぇ、な、なんだ?

ふぁ~、なんか寝ちゃってた。

えっと~、ん、誰、誰だあの人?

玄関であいつとなんか話してる。

 

”スタスタスタ”

 

あ、やば、こっち歩いてきた。

見つからないように隠れてなくちゃ。

 

「心が眠ったままというのなら、その心を揺さぶる何かが必要ということだな」

 

「心を揺さぶる何かですか」

 

「そうだ。

 まぁ、それでも駄目なら、いっそのこと脳みそに直接刺激を与えるとかな。

 あ、物理的な刺激じゃないぞ、なにかこう内側からな」

 

「刺激ですか」

 

「ああ。

 それはそうと、えっと”元祖ゾンビィ村肥前夢街道プロジェクト”だったか?

 あれ、お前は本気なんだな」

 

「ゾンビランドサガプロジェクトです。

 ・・・本気です」

 

「・・・そうか。

 まぁいろいろ大変だけど頑張れや。

 じゃあな」

 

”スタスタスタ”

 

なんだ今の話?

ゾンビランドサガプロジェクト?

そういえば、あいつ昨日さくらって娘になんか言ってたな。

確かアイドルがなんだかんだとか。

マジ? あいつマジでわたし達をアイドルに。

そっか、あいつが言ってたわたしの居場所ってそれなんだ。

・・・・・・アイドル、アイドルか~

ぐふふふ、わたしがアイドル。

あ、でももしアイドルになったら、わたしのことなんかわかるかも。

よ、よしこうしちゃいられない。

あいつに協力して、あのゾンビィっ娘達なんとか意識取り戻させなくっちゃ。

 

”ガシ”

 

「へ?」

 

”ガタガタ”

 

「あ、あれ?

 んー」

 

”ガタガタガタ”

 

「・・・・・・こ、小屋から出れん!」

 

     ・

     ・

     ・

 

あ~、大変な目にあった。

手とか足外して何とか抜け出せたよ。

ゾンビィで良かった。

えっと、そんなことよりあいつあいつ!

えっと~、あっいたいた!

やっぱあの娘のとこにいた。

 

「う゛う゛~、う~、ううう゛~」

 

「あ゛ー、あ゛ー」

 

・・・・・・当然、この娘達もいるよね。

やだな~やっぱ不気味だし。

気が付かれないようあいつのとこに。

 

「・・・さくら」

 

「ねっ!」

 

「おわっ!

 な、なんじゃい、いきなり俺の背後に立つんじゃない。

 その顔、怖いじゃろうが」

 

怖い・・・ぐそ、その娘も同じゾンビィじゃん。

ま、まぁいい、ここはアイドルになるため我慢我慢。

 

「彼女・・・目覚めないね」

 

「・・・・・・そうだな」

 

でも、どうすれば彼女達って目が覚めるんだろう。

目を覚ましてくれないと、アイドルになれない。

ん~と・・・・・・あっ!

 

「ね、ね、巽さん、わたしはなんで目覚めたの?」

 

「え?」

 

「だってわたしもずっと彼女達と一緒だったんでしょ。

 だったらなんでわたしだけ?」

 

「なんでって・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 は! ワ、ワサビじゃい!」

 

「えっ、ワサビ?」

 

「お前は目覚める前に大量のワサビチョコ食べたんじゃい。

 そうしたら急にう゛がーって倒れて。

 そうか、きっとワサビの刺激がお前の脳みそに刺激を与えて。

 そ、そうだ間違いない。

 ちょ、ちょっと待ってろさくら。

 今、目覚めさせてやる」

 

”ダー”

 

「巽さん?」

 

     ・

     ・

     ・

 

「う゛ー、う゛、あ゛ー」

 

ひゃ~こ、こっちくんなー

や、やだよ~、巽さん遅いよ~

どこ行ったんだろう?

なんかすごい勢いでこの部屋を飛び出していったけど。

でもさ、ほんとワサビなんかで目覚めるのかなぁ。

 

”バタン!”

 

「はぁはぁはぁ。

 さくらー、持ってきたぞ」

 

「え、で、でも巽さんそれチョコじゃ」

 

「あのチョコはもうない。

 お前が全部食べたからな!

 お前が」

 

「なんか、ご、ごめんなさい」

 

「それにあれは限定商品だったみたいで、どこにも売っておらんかった。

 そこでだ、これじゃい!」

 

「それなに?」

 

「き、貴様!

 これを知らんとか!

 本当にな~んも知らんのじゃな。

 これは唐津の名物、ワサビ漬けじゃ~い!」

 

「ワサビ漬け?

 で、でも巽さん、いったいいくつ買ってきたの!」

 

「近所のスーパーにあったの全部じゃい」

 

「・・・・・・」

 

「これを食べさせれば、きっと目覚めるはず。

 さっさとなんか皿もってこいかい。

 なるべくでかいやつ、いや、この家で一番でかいのもってこんかい」

 

「え? あ、うん」

 

”タッタッタッ”

 

     ・

     ・

     ・

 

「はい、お待たせ」

 

「おお、これじゃこれ!

 この皿にこのワサビ漬けをだな」

 

”ドサ”

 

「この皿にワサビ漬けを」

 

”ドサドサ”

 

「この皿に 」

 

「ちょ、ちょっと巽さん!

 どれだけワサビ漬け載せるの」

 

「これ全部じゃい」

 

「全部って、それ50箱以上あるじゃん。

 はぁ~、そんなに食べさせて大丈夫なのかなぁ」

 

”ドサドサドサドサ”

 

「よし、これでよか。

 えっと~」

 

”キョロキョロ”

 

「おい、さくらはどこだ?」

 

「う~んと、どこだどこだ?

 あ、いた!

 ほら、あの窓のとこ」

 

「おお、いたいた

 ちょっとこっちに連れてきてくれ」

 

「あ、うん」

 

”タッタッタッ”

 

「さくらちゃ~ん」

 

「う゛ー、う゛う゛、ううう、あ゛ー」

 

「ほ、ほら、巽さんが呼んでるからあっち行こ」

 

”ガブッ”

 

「ひゃ~、あ、頭噛まないで」

 

「う~、う゛、あ゛ー」

 

う~ん、取れない!

さくらちゃん、頭離してー

 

「巽さ~ん、頭噛まれた。

 さくらちゃん離してくれない~」

 

「よかけん、そのままこっちにこんかい」

 

「う、うん」

 

”ズルズルズル”

 

あの~、さすがにこれちょっと重たいんだけど。

また頭もげそう。

巽さんがこっち来てよって、え?

 

「た、巽さんうしろ!」

 

「う゛、う゛う゛、う゛う゛う゛」

 

「うしろってなんじゃい?」

 

”ガブ、ガブガブガブ”

 

「お、おわー、たえ、お前何してんじゃい」

 

「う゛ー」

 

「はなせ、皿離せ。

 ワサビ漬け食うな。

 く、食うな、は、離せ!」

 

”ガブガブガブ、バリバリ”

 

げ、さ、皿食べてる!

い、いくらゾンビィでもそんなの食べたら。

 

「ね、皿は食べちゃダメ。

 身体に悪いから、ほらこっちに頂戴」

 

「う゛ー」

 

「ぜ、全部食いおった。

 ワサビ漬け全部食いおった」

 

”へなへなへな”

 

「た、巽さん、大丈夫?」

 

い、いや、そんなにへこまなくても。

 

「う゛ー、う゛ー!」

 

え、な、なに?

 

”ジタバタジタバタ”

 

な、なんかこの娘暴れてる!

すごく苦しそう。

やっぱあんなにいっぱいワサビ漬け食べたから。

 

「た、巽さんこの娘大丈夫?

 えっと、確か名前は 」

 

「こいつは山田たえ、伝説の山田たえじゃい」

 

「おおー、この人が」

 

「お、お前知ってるのか?」

 

「うううん、知らない」

 

「知らんのか~い」

 

”ポカ”

 

「だ、だって~、伝説って言うから・・・」

 

「う゛がー!」

 

”どさ”

 

え、なになに?

あ、たえちゃん倒れた。

なんかピクピクしてる。

だ、大丈夫なのほんとに?

 

「仕方ない。

 しばらくたえの様子を見てみるか。

 もしたえが目覚めれば、今度こそさくらに食べさせよう」

 

”つんつん”

 

大丈夫かなぁ、たえちゃん。

なんか突っついても全然動かないんだけど。

 

     ・

     ・

     ・

 

”スタスタスタ”

 

「ルンルンルン♬」

 

「ん、なんだ、とても機嫌良さそうだな。

 なんかいいことあったのか?」

 

「だ、だってさ、えへへへへ」

 

「な、なんじゃい、き、気持ち悪い」

 

「巽さん! わたし頑張るね」

 

「なにをだ?」

 

「なにをって、もういけずなんだから~

 ア・イ・ド・ル♡

 巽さんが言ってたわたしの居場所って、アイドルってことだったんだよね。

 うん、わたし歌とかダンスとかいっぱい練習して頑張るから」

 

「お前どこで聞いてた!

 ・・・・・・言っておく、お前はアイドルじゃない家政婦だ」

 

「へ?」

 

「お前は家政婦じゃい!」

 

「は、はぁー!」

 

”ぷにゅ~”

 

「ふにゃ~、な、なにを。

 ほ、ほっぺ引っ張らないで~」

 

「お前のどこがアイドルじゃい。

 この地味~な顔のどこがアイドルなんじゃい、このボケ~

 お前の居場所はこの家の家政婦に決まっとるじゃろが!」

 

「か、家政婦!

 で、でも、ほ、ほら地味な娘が好きだって人も。

 だからわたしもアイド 」

 

「そんなもんいるかい

 いても小数点以下の誤差じゃい。

 お前なんぞ地球がひっくり返ってもアイドルになんてなれんわい!

 この地味女ー」

 

「ひどー!

 うううううううう、うわ~ん

 巽のバカー

 うぇ~ん、あんたなんか大嫌い!」

 

”ダー”

 

「・・・・・・お前をアイドルにするわけにはいかんのじゃい」

 

     ・

     ・

     ・

 

巽の馬鹿、巽の馬鹿、巽の馬鹿!

 

「ワンワン!」

 

うっさい、ロメロあっち行け。

この犬小屋はわたしがもらったっていってるだろうが!

 

「ガルルルルー、ワンワンワン!」

 

「キャンキャンキャン」

 

ふん、思い知ったか!

くそ、なんでわたしだけ。

わたしだってアイドルやりたいもん。

それなのに家政婦だとー

くそくそ、巽の馬鹿。

人の顔、地味地味地味って言いやがって。

そんなもんゾンビィなんだからわからんだろうが。

・・・ゾンビィだから

・・・・・・ゾンビィ・・・わたし達ゾンビィ。

さくらちゃん達も顔とかこんなんなのに、アイドルなんて無理なんじゃ。

きっと怖がられて、あのビデオのように殺されるって。

頭グシャって!

絶対アイドル無理じゃん。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

”ちゅんちゅん”

 

「なんだ、お前こんなとことで寝てたのか」

 

ふぇ~?

はっ、もう朝?

そっか昨日ここで寝ちゃったんだ。

えっと~なに?

げ、巽!

 

「風邪引くぞ」

 

「ふん、ほっといて!

 わたし、ゾンビィだから風邪引かんし。

 あ、あと家政婦なんか絶対やらないんだから!」

 

「・・・まぁいい。

 ちょっと来い」

 

「え?

 い、いや、絶対行かない」

 

「いいからくるんじゃい!」

 

”ぐぃ”

 

ぐへぇ~

そ、そんなに頭引っ張らないで。

か、身体が犬小屋に引っかかってるから出れない。

だ、駄目だって~

 

「ちょ、ちょっとま 」

 

”すぽっ”

 

「ひゃ~

 ほら、そんなに引っ張るから頭もげたじゃんか!

 いやちょっと待ってて、身体がまだ犬小屋に」

 

「お前の身体に興味はない」

 

「はぁ!

 そんな問題じゃ。

 ・・・・・・えっと、なんか今すごく傷ついた気がするんだけど」

 

     ・

     ・

     ・

 

”スタスタスタ”

 

「まったく、頭もげるの癖になったらどうすんのさ」

 

「そん時はそん時じゃい。

 接着剤でくっつけてやる。

 二度と取れんようにがばい強かのでな」

 

「・・・・・・

 で、たえちゃんの様子はどうなの?」

 

「ん、いや、まだ眠ってた」

 

「そう」

 

”スタスタ、ピタ”

 

「ほら入れ」

 

”ガチャ”

 

え、ここってあのゾンビィっ娘達の部屋だけど?

 

「う゛、う゛う゛う゛、う゛ー」

 

「あ゛ー、あ゛あ゛あ゛ー」

 

”フラ~、フラ~”

 

げ、やっぱ起きてるじゃん。

う~、いつ見ても怖いんだよ。

・・・あれ、たえちゃんいない。

巽さん寝てたって言ったのに。

どこに行ったんだ?

は、もしかして目覚めて、わたしの時みたいに外にいったんじゃ。

だとしたら、たいへ

 

”カブッ””

 

「へ?」

 

”カブカブ”

 

「た、たえちゃん!

 やめて、わたしの頭噛まないで~」

 

「う゛う゛、う゛、う゛、う゛ー」

 

「ちょ、ちょっと巽さん助けて」

 

「はぁ~、駄目だったか」

 

「そ、そんなとこで落ち込んでないで助けて~」

 

「あっちいってろ、しっしっ!」

 

「う゛う゛、う゛~、あ゛~」

 

”フラ~、フラ~”

 

はぁ~、助かった。

なんかよく頭噛まれるんだけど。

ゾンビィってそんなに頭が好きなのかなぁ。

頭、頭

 

”ジー”

 

巽さんの頭・・・・・・

ごくり。

 

「な、何見てんじゃい。

 お、お前、いま変なこと考えて無かったじゃろな。

 まぁいい。

 ちょっとそこに座れ」

 

「え?

 あ、うん」

 

「さてと始めるか」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ペタペタ、ぬりぬり”

 

「あ、あの~巽さん

 いったいさっきからわたしの顔になにを」

 

「え~い、だまっとれ。

 ほらみろ、また失敗しただろうが」

 

”ゴシゴシ、ゴシゴシ”

 

「ふ、ふぇー、や、やめれー

 だから顔こすらないで。

 ぷふえー」

 

     ・

     ・

     ・

 

「よし、こんなもんじゃろ」

「お、終わった。

 もう!

 さっきからわたしの顔で何を遊んで 」

 

「いいからそこの鏡台に座って鏡を見てみろ」

 

「え?

 あ、うん」

 

”スタスタスタ”

 

うんしょっと

まったく人の顔で何して・・・・・・・・・・・・

えっ! こ、これって。

 

「た、巽さん、こ、これ 」

 

「これがお前の顔じゃい。

 生きてた時のな」

 

こ、これがわたしの顔

レイヤーボブに奥二重、へへ、それにちっちゃい鼻。

・・・ほんと、なんかこれと言って特徴のない普通の顔だね。

 

「これがわたしっか」

 

「まだじゃい、ほれ」

 

”サッ”

 

「え、眼鏡。

 この眼鏡って?」

 

「お前の死んでたところの近くに落ちてた。

 おそらくお前のものだ。

 そしてこの地味眼鏡をかけた顔、これがお前だ」

 

「そっか、これがわたしなんだ」

 

「わたしって何者なんだろうって、お前言ってたな。

 お前がどこで何をしてたのか俺にもわからない。

 だから、お前の問いに対して俺がしてやれる答えはこれぐらいだ」

 

「巽さん」

 

この人、結構いい人なんだ。

ときどきさ、なんかめっちゃ腹立つこと言われるけど、でもほんとはやさしくて。

それにわたしに生きろって言ってくれたし。

はっ、そういえばなんかよく見れば善人そうな顔して。

そうだ、謝らないと。

わたしそれなのに巽さんのこと馬鹿って、大嫌いって。

 

「あ、あの、巽さん 」

 

「撤収~、撤収じゃい!

 ほれさっさとそこどかんか~い!」

 

「へ?」

 

「なにボケっとしてるんじゃい。

 練習は終わったんじゃい。

 今からが本番じゃい。

 さっさとさくら連れこんかい!」

 

「へ?

 れ、練習?

 ・・・・・・あ、あのわたしってもしかして練習台だったの」

 

「決まっとるじゃろ。

 お前の顔、地味じゃから練習するにはちょうどよかったんじゃい。

 その平べったーい顔、がばいメイクやりやすかったからの~

 そんなことどうでもいいんじゃい、さっさとさくらを連れてこんかい」

 

・・・・・・や、やっぱこいつ嫌い!

やっぱどっから見ても胡散臭い顔してるし。

一瞬でもこいつのこと善人と思ったわたしが恥ずかしい。

 

「さっさといかんかい、この地味眼鏡ゾンビィ」

 

「・・・・・・」

 

き、今日のところはこの眼鏡に免じて許してやる。

でも、い、いつか仕返ししてやるからな!

く、くそー

えっと、さくらちゃんさくらちゃんと。

 

”キョロキョロ”

 

あ、いたいた。

あの壁のところ。

へへ、リボンしてるからすぐわかる。

 

「えっと、さくらちゃ~ 」

 

””ガブッ”

 

げ、またかー!

また頭噛まれた。

も、もう噛まれてばっかり。

これ、絶対頭に歯形ついてるよ。

はぁ~、わたしの頭ってそんなに美味しそうに見えるのかなぁ。

さくらちゃん離してくれそうにないし、仕方ないこのまま。

 

”ズルズルズル”

 

「巽さん、さくらちゃん連れてきたけど、先にこれどうにかして」

 

「また噛まれてんのかい。

 え~い、さくら口開けんかい」

 

”かぽっ”

 

「うー、ううー、う゛がー」

 

「動かないよう、さくらを押さえていてくれ」

 

「え、やだー」

 

「いいから押さえんかい」

 

「だ、だって、きっとまたガブッって。

 ・・・も、もう!」

 

”だき”

 

「う゛、う゛がーう゛がー!、う゛がー!」

 

”ジタバタ、ジタバタ”

 

「え~い、ちゃんと押さえておかんかい」

 

「む、無理だってこんなの。

 なんかめっちゃ力強いし」

 

”ガブッ”

 

「ぐぇー、また噛まれた」

 

「ち、仕方ないの。

 さくら、これで食ってろ」

 

”パク”

 

「う゛? う゛が」

 

”もぐもぐもぐ”

 

げ、し、静かになった。

なにこれ?

え、えっと、ゾンビィってゲソ食べさせると静かになるの?

は、もしかしてだからこいついつも胸ポケットにゲソを。

 

「ね、巽さん。

 ゾンビィってゲソあげれば静かになるの?」

 

「そうだ」

 

「だ、だったらはじめっからそうせんかい!

 わたしまた頭噛まれたんだからね。

 まったく!」

 

「いいから始めるぞ、ちゃんと押さえていろ」

 

「あ、う、うん」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ペタペタ、ぬりぬり”

 

へぇ~可愛い。

これがさくらちゃんなんだ。

 

「た、巽さん」

 

「なんじゃい」

 

「可愛い♡」

 

「あ、あったりまえじゃい」

 

そっか、これならアイドルできるよね。

他のゾンビィっ娘達もさくらちゃんみたいに可愛いのかなぁ。

・・・・・・だったら敵わない、やっぱわたしには無理だ。

あ、でもあの小学生みたいな子もアイドルやるの?

 

「ね、巽さん、あのちっちゃい・・・・・・」

 

”ヌギヌギ”

 

へ、こ、こいつ、さくらちゃんになにしてんだ。

 

「お、おい!

 あ、あ、あんた何してるの!

 なんでさくらちゃんの服脱がせてるの!」

 

「何してるって、顔だけじゃアイドルできんじゃろ。

 身体の方のメイクも必要に決まっとるじゃろが」

 

「や、やめ!

 そ、それ以上は 」

 

「あ、ほれ、ヌギヌギ、ヌギヌギっと」

 

「え~い、やめんかい!

 貴様、女の子を裸にして何をするつもりなのさ、このドスケベ!

 身体の方はわたしがするから。

 いいからメイクのやり方教えなさい!」

 

「お前なんかにできんわい。

 俺がこのメイクの技術を習得するのに、ハリウッドでどれだけ苦労したことか」

 

「覚えるから!

 必死で覚えるから、これは絶対ダメ」

 

「チッ」

 

あ、今、チッって言った、チッて!

まったくこの男は。

ん、あ、でもこうやって見ると、さくらちゃんも包帯だらけなんだ。

手とか足首、それとお尻とかも。

 

”ごく”

 

む、胸でかい。

このブラ、何カップなんだろう。

・・・・・・ん、ちょ、ちょっとまった。

・・・包帯・・・だらけって

わたしは・・・胸もお尻も・・・・・・包帯で・・・

 

「お、おい!

 いいから正直に答えろ!

 このさくらちゃんの包帯、き、貴様が巻いたのか」

 

「ああ、そうだ」

 

「わ、わたしのもか?

 わたしの包帯も貴様が 」

 

「あたりまえじゃい。

 他に誰がするんじゃい」

 

「き、貴様ー!」

 

”べし”

 

「ぐはぁ」

 

へ?

あ、なんかいい感じ?

チョップしたとき、なんだかすごく気持ちよくて。

なんだろう?

 

「な、なにをするんじゃい!」

 

は、そ、そんなことより、いまはこのドスケベを!

 

「なにをするんじゃいじゃないんじゃい!

 よ、よくもわたしの裸を!

 貴様わたしの裸見たな!

 この馬鹿ー」

 

「仕方なかろう、その包帯には防腐剤が 」

 

「仕方なくなーい!」

 

”ベシベシベシ”

 

「ぐはぁ~」

 

あ~、快感。

ぐへへへ、日頃の恨み思い知ったか!

あ~すっきりした。

・・・で、でもわたしこいつに裸全部見られたんだ。

わたしだけでない。

このゾンビィっ娘達全員の・・・・・・

こ、このドスケベにもう一発天罰を。

 

「う゛がー!!」

 

へ?

さ、さくらちゃん?

どうしたのいきなり。

 

”ドタ!”

 

「さ、さくらちゃん!」




最後までありがとうございます。

オリヒロのアイドルの夢ははかなく消えて・・・・・・
・・・家政婦のミカ
ご、ごほん!
え、えっと、次話でようやくさくらが。
また次話でお会い出来たらありがたいです。
ではでは。
(不定期更新ですみません)

※す、すみません。
 さくらちゃんの包帯、腕と足首、それにお尻と太腿でした。
 胸は・・・
 修正します。
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