ゾンビランドミカ 作:裏方さん
前回、突然ゾンビィとなってしまったオリヒロ。
それでもゾンビィとして生きていくことを決めて。
巽はそんなオリヒロに居場所を。
さてオリヒロは。
ではよろしくお願いします。
「いつになったら目覚めるんじゃい・・・・・・・・・・・・さくら」
・
・
・
”ブルブルブルブル”
「うううううううう・・・」
”ヒュ~、ガタン!”
「ひゃー」
”ガバッ”
え、なに!
ま、窓か~
ちゃんと閉めたはずなのに今晩は風強いから。
はぁ~、だめだ~怖い、怖い、怖い、怖い、怖くて眠れん!
だ、だってこの家にはさ、あの化け物・・・・・・ゾンビィっ娘達がいると思うと。
いやわたしも同じ化け物ってわかってるけど。
そ、そんでもさ・・・
『うう~、う、う、う゛う゛ー』
『あ゛~、あ゛、あ゛~』
”フラ~、フラ~”
『うがー!』
や、やっぱり怖いって!
ど、ど、どうしょう。
・・・し、し、仕方ない。
今日は、あ、あいつの部屋で寝ようかなぁ。
一人で眠るなんて絶対無理だもん。
そ、それにさ、いくら何でもわたしなんかに手出さない・・・と、思うし。
だって、わたしの身体、腕も胸もお尻も包帯だらけ。
それにこの顔・・・ゾンビィだし。
”ギィ~”
「ひゃー!」
”ダー”
・
・
・
”トボトボトボ”
ん~、どこ行ったんだろ。
あいつの部屋にもいなかったし、外にでも行ったのかなぁ。
人には外出禁止って言ったのに。
しっかしほんとこの家ってすごく不気味。
この廊下なんかも薄暗くて。
それにさ、なんかさっきの部屋、オリみたいなのあったし。
何なんだろうこの家。
ううう、やっぱ今にもなんか出そう・・・・・・
って出てるんですけど、ここに!
はい、わたしゾンビィ!
・・・でもさ、やっぱり怖いもんは怖いんだい。
うう、やだよ、こんなところであのゾンビィっ娘達に出会ったら死ぬほど怖い!
いや、もう死んでんだけど。
はい、わたしゾンビィ!
っておい!
でもさ、こんなバカなことでも言ってないと一人でいられないよ。
くそ、どこいったんだあいつ!
「お、お~い・・・・・・」
・・・あれ、あいつ名前なんて言うんだっけ?
そういえばまだ聞いてなかった。
”トボトボ、トボ、スタ”
・・・・・・名前・・・か。
わたし、名前なんていうんだろう?
うううん、名前だけじゃない、どこに住んでたの? いくつなの?
死ぬ前って何やってたの?
・・・・・・何もわからない。
はは、なんもわからないや・・・なんも。
知りたい! わたしは誰? 何者?
・・・はっ!
そうだあいつなら何か知ってるかも。
うん、きっと何か知ってる!
よ、よし!
「お~い、サングラスの男!
どこだ~、出てこ~い」
”スタ、スタスタ、スタスタスタ”
・
・
・
う~ん、あいつどこにもいないや。
あ、あと探していない場所は・・・・・・はぁ~あの部屋っか~
やだな~
”スタスタ”
ん、あ、電気ついてる。
やっぱりあいつ、あの娘達の部屋にいるんだ。
う~、あのゾンビィっ娘達は寝てるといいんだけど。
"ドン!”
「ひゃい!」
え、な、なに?
なんかあの部屋から、いますごい音が。
「・・・なんでじゃい」
えっとこの声って・・・やっぱりあいつここにいたんだ。
でもどうしたんだろう大声だして。
ちょっと覗いて・・・
”そ~”
ん、うそ!
あ、あいつ、あのリボンの娘抱きしめてる!
げっ、あいつゾンビィも守備範囲なのかよ。
あっぶなかったー
あのままあいつの部屋で二人きりになってたら、もしかしてわたしも。
い、いや、そんなことよりあの娘ってさ、まだ意識ないんだよね。
・・・なにもわからないことをいいことにあいつー
ケダモノ、女子の敵!
ぶ、ぶん殴ってやる!
「・・・さくら、お前はアイドルになりたかったんじゃなかと」
「えっ」
アイドル?
今あいつ確かアイドルって言ったの?
それにあの娘、さくらって言うんだ。
「お前をアイドルにするため、仲間も集めたんじゃい。
最高のアイドルグループをな。
だからこんなところで寝てる場合じゃなかろうが。
さっさと目覚めんかい。
・・・・・・俺が、俺がお前をアイドルにしてやるんじゃい」
「う、う、う゛う゛、あ゛ー」
やっぱりアイドルって言った。
それに仲間を集めたって。
なんかようわからないけど、あいつわたし達をアイドルにする気なの?
あの娘のために。
でもさ、あの娘ってあいつの何なんだ?
彼女、彼女さんなの?
・・・・・・ふぅ~、どっちにしろ今は何か訊ける雰囲気じゃないや。
名前、今度にしよう。
”スタスタスタ”
「おやすみなさい」
ーーーーーーーー
”ちゅんちゅん”
「ふぁ~あ」
はぁ~、結局昨日はほとんど眠れなかった。
風が強くて、窓とか物音がする度に目が覚めちゃってさ。
”トボトボトボ”
でもほんとはさ、物音がしなくても眠れんかった。
だってさ、昨日はあんな衝撃的なもの見ちゃったんだもん。
そっかー、あいつはきっとあのさくらって娘のことが・・・
へへへへへ、からかってやる!
あいつどこにいるかなぁ。
きっと朝ご飯だよね多分。
・
・
・
”ガチャ”
あ、いた!
やっぱ朝ご飯食べてた。
ぐへへへへ、そうやって平然としていられるのも今のうちだぜ。
いじりまくってやる。
”スタスタスタ”
「あ、あのさ」
「お早うございます」
「えっ」
「お早うございます!」
「あ、あ、あの、お、お、お早うございますです」
”ペコ”
「うむ、挨拶は基本だからな。
挨拶できん奴は認めてやらんからな」
”もぐもぐ”
「あ、う、うん。
へ、あ、あの何これ」
”もぐもぐ”
「ん? これは玄海漬けじゃい。
なんだ知らなんのか、このちょ~有名な佐賀の名物を」
”パクパク”
「・・・そんなもん知らない」
「なんも知らんのじゃの、この馬鹿ゾンビィ。
よくそんなんで生きていられるの。
・・・って死んでんのかお前。
まぁ、なんも知らんどうしょうもないお前に教えてやろう。
これはだな、クジラの 」
「う、うっさい!
そんなこと聞いてんじゃないやい。
この朝ご飯なんなのって聞いてんの!」
「なんなのってなんじゃい」
「あのさ!
朝ご飯ってとっても大事なんだよ。
眠っている間に消費したエネルギーをしっかり補充して、
そんで身体を目覚めさせるの。
それに健康にも影響あるんだからね!
それなのになんでその大事な朝ご飯がさ、ご飯とその何とか漬けだけなの」
「そんなもん、面倒くさいからに決まってるじゃろ」
「あ~ん、もう!
そんなんじゃダメじゃんか。
ちゃんとしっかり栄養摂らないと。
いいからちょっと待ってて」
”スタスタスタ”
「冷蔵庫のもの使わせてもらうね。
えっと、何があるかなぁ」
”ガチャ”
「ん~、卵と・・・」
「・・・・・・」
・
・
・
「るんるんるん♬」
”カタカタ”
よしで~きたっと。
ふむ、我ながら外見は美味しそう。
でも味のほうはちょっと心配。
だって・・・
「はいお待たせ。
卵とひき肉があったので、そぼろ丼にしてみました。
それと、かぼちゃと豆のスープ。
どうぞ召し上がれ」
「ちゃんと食べれるんだろうな」
”パク”
「ん!」
”パクパク、もぐもぐ”
「ん、んー!」
”ドンドン”
「あ、ほ、ほら、あんまり慌てて食べるから。
はいお茶、このお茶飲んで」
”ズズ、ズー”
「ふぅ~」
「大丈夫?
あ、それとさ、味の方はどう?」
「・・・・・・美味い」
「そう?
良かった、えへ。
なんかさ、味見しても味がわからなくて。
正直、ちょっと心配だったんだ」
「まぁ、ゾンビィだからな」
「ううう、それ言わないで。
ゾンビィ忘れようとしてるのに。
・・・・・・あ、そっだ。
あ、あのね」
”もぐもぐ”
「ん、なんだ?」
「あのさ、名前、何ていうの?」
「いぬ・・・・巽、巽幸太郎じゃい」
「いや、あんたのじゃなくてわたしの」
「へ?
・・・・・・わ、わかってたわい。
冗談、冗談じゃい。
お、お前はだな・・・」
「わたしは?」
”わくわく”
「・・・・・・みか」
「みか?」
「そ、そうだ、お前の名前はみかだ」
「えっと~、わたし何も憶えて無いんだけど、それがわたしの名前?
みか、みかか~
なんかいい!
えへへへ、みか、みか、みか・・・わたしはみか!
あ、あのさ、どんな漢字?
ね、どんなの?
やっぱ、みかの”み”って美しいの美だよね。
実っていう字もあるけど、やっぱ美しいだよね。
あとさ、”か”は華麗とかそんな感じ?
それとも花とか夏とか?
あっ、香っていうのもあったね。
ね、ね、どんな漢字なの?」
「・・・し、知るかそんなもん!」
「へ?」
「俺が今勝手につけた名前じゃい。
え~い、漢字漢字ってうるさいんじゃい。
そんなもんいちいち考えてられるか。
面倒くさいから、お前なんかカタカナで十分じゃい。
それでいいじゃろこのボケ~」
「い、今つけた?
・・・・・・そ、そっか、わたしの本当の名前じゃないんだ。
あんたも知らないんだねわたしの名前」
「本当の名前なんて知らん。
お前はある日突然この屋敷の玄関前に捨てられてた。
死んでな」
「・・・そ、そうなんだ」
わたし捨てられてたのか。
ははは、わたしって誰なんだろうね。
なんで死んだの?
なんで捨てられたの?
わからない、なんにもわからない。
う、ううううう。
”トボ、トボトボトボ”
「お、おい、どこへ」
「巽さん。
・・・・・・わたしって何者なんだろうね」
”ガチャ”
「う、うう、うううう、うわ~ん」
”ダー”
「何者っか。
教えるわけにはいかんのじゃい・・・・・・美佳」
・
・
・
”とぼとぼとぼ”
わたしって誰なんだろう。
死んで捨てられたって最悪じゃん。
なんか悪いことしたのかなあ。
”ワンワンワン””
え、あ、ロメロ。
そっかお前ここで見張っているんだっけ。
そうだよね、勝手にこの家の敷地から外に出るわけにはいかない。
それがあいつとの約束だった。
それに、こんな顔したのが町の中を歩き回ったら・・・パニックだよね。
「ワンワン」
わ、わかった、もどるから。
ちゃんと中にいるよ。
”スタスタスタ”
でも、今は誰にも会いたくない。
一人になりたい。
だって・・・・・・ちょっと辛い。
どこかにいい場所無いかなぁ。
もしあいつが探しに来ても見つからないような。
”ポツ、ポツポツ、ポツポツポツ”
ん、あ、雨降ってきた!
やば、ど、どっか雨宿りできるとこない?
・
・
・
”ザー、ザー”
本降りになっちゃったね。
でもいいや、ここ雨防げるしなんかすごく落ち着く。
狭くて暗くて、ちっとゲソ臭いけど。
なんにもないわたしにはちょうどいい。
ふぅ、な~んか落ち着いたら眠たくなっちゃった。
「ワンワンワ、ワン♬
・・・ワン?
ウー、ワン!」
ん、なに?
あ、ロメロっか。
門のところで番してたんじゃなかったっけ?
「ワンワン! ワンワン!」
なに、もしかしてどけって?
ほほ~、あんたこのわたしに喧嘩売ってんだ。
「うっさい、この犬小屋はわたしが占拠した。
あっち行け!
ヴー、ワンワンワン!
ガルルルル!」
「キャン!
キャンキャンキャン」
ふっ、勝った。
この犬小屋はわたしがもらった。
・・・・・・って何やってんだわたし。
はぁ~、なんか疲れた。
・
・
・
「スー、スー、むにゃむにゃ」
”ガチャ”
「まぁ焦らないことだ」
「はい」
ふぇ、な、なんだ?
ふぁ~、なんか寝ちゃってた。
えっと~、ん、誰、誰だあの人?
玄関であいつとなんか話してる。
”スタスタスタ”
あ、やば、こっち歩いてきた。
見つからないように隠れてなくちゃ。
「心が眠ったままというのなら、その心を揺さぶる何かが必要ということだな」
「心を揺さぶる何かですか」
「そうだ。
まぁ、それでも駄目なら、いっそのこと脳みそに直接刺激を与えるとかな。
あ、物理的な刺激じゃないぞ、なにかこう内側からな」
「刺激ですか」
「ああ。
それはそうと、えっと”元祖ゾンビィ村肥前夢街道プロジェクト”だったか?
あれ、お前は本気なんだな」
「ゾンビランドサガプロジェクトです。
・・・本気です」
「・・・そうか。
まぁいろいろ大変だけど頑張れや。
じゃあな」
”スタスタスタ”
なんだ今の話?
ゾンビランドサガプロジェクト?
そういえば、あいつ昨日さくらって娘になんか言ってたな。
確かアイドルがなんだかんだとか。
マジ? あいつマジでわたし達をアイドルに。
そっか、あいつが言ってたわたしの居場所ってそれなんだ。
・・・・・・アイドル、アイドルか~
ぐふふふ、わたしがアイドル。
あ、でももしアイドルになったら、わたしのことなんかわかるかも。
よ、よしこうしちゃいられない。
あいつに協力して、あのゾンビィっ娘達なんとか意識取り戻させなくっちゃ。
”ガシ”
「へ?」
”ガタガタ”
「あ、あれ?
んー」
”ガタガタガタ”
「・・・・・・こ、小屋から出れん!」
・
・
・
あ~、大変な目にあった。
手とか足外して何とか抜け出せたよ。
ゾンビィで良かった。
えっと、そんなことよりあいつあいつ!
えっと~、あっいたいた!
やっぱあの娘のとこにいた。
「う゛う゛~、う~、ううう゛~」
「あ゛ー、あ゛ー」
・・・・・・当然、この娘達もいるよね。
やだな~やっぱ不気味だし。
気が付かれないようあいつのとこに。
「・・・さくら」
「ねっ!」
「おわっ!
な、なんじゃい、いきなり俺の背後に立つんじゃない。
その顔、怖いじゃろうが」
怖い・・・ぐそ、その娘も同じゾンビィじゃん。
ま、まぁいい、ここはアイドルになるため我慢我慢。
「彼女・・・目覚めないね」
「・・・・・・そうだな」
でも、どうすれば彼女達って目が覚めるんだろう。
目を覚ましてくれないと、アイドルになれない。
ん~と・・・・・・あっ!
「ね、ね、巽さん、わたしはなんで目覚めたの?」
「え?」
「だってわたしもずっと彼女達と一緒だったんでしょ。
だったらなんでわたしだけ?」
「なんでって・・・・・・・・・・・・・・・・・・
は! ワ、ワサビじゃい!」
「えっ、ワサビ?」
「お前は目覚める前に大量のワサビチョコ食べたんじゃい。
そうしたら急にう゛がーって倒れて。
そうか、きっとワサビの刺激がお前の脳みそに刺激を与えて。
そ、そうだ間違いない。
ちょ、ちょっと待ってろさくら。
今、目覚めさせてやる」
”ダー”
「巽さん?」
・
・
・
「う゛ー、う゛、あ゛ー」
ひゃ~こ、こっちくんなー
や、やだよ~、巽さん遅いよ~
どこ行ったんだろう?
なんかすごい勢いでこの部屋を飛び出していったけど。
でもさ、ほんとワサビなんかで目覚めるのかなぁ。
”バタン!”
「はぁはぁはぁ。
さくらー、持ってきたぞ」
「え、で、でも巽さんそれチョコじゃ」
「あのチョコはもうない。
お前が全部食べたからな!
お前が」
「なんか、ご、ごめんなさい」
「それにあれは限定商品だったみたいで、どこにも売っておらんかった。
そこでだ、これじゃい!」
「それなに?」
「き、貴様!
これを知らんとか!
本当にな~んも知らんのじゃな。
これは唐津の名物、ワサビ漬けじゃ~い!」
「ワサビ漬け?
で、でも巽さん、いったいいくつ買ってきたの!」
「近所のスーパーにあったの全部じゃい」
「・・・・・・」
「これを食べさせれば、きっと目覚めるはず。
さっさとなんか皿もってこいかい。
なるべくでかいやつ、いや、この家で一番でかいのもってこんかい」
「え? あ、うん」
”タッタッタッ”
・
・
・
「はい、お待たせ」
「おお、これじゃこれ!
この皿にこのワサビ漬けをだな」
”ドサ”
「この皿にワサビ漬けを」
”ドサドサ”
「この皿に 」
「ちょ、ちょっと巽さん!
どれだけワサビ漬け載せるの」
「これ全部じゃい」
「全部って、それ50箱以上あるじゃん。
はぁ~、そんなに食べさせて大丈夫なのかなぁ」
”ドサドサドサドサ”
「よし、これでよか。
えっと~」
”キョロキョロ”
「おい、さくらはどこだ?」
「う~んと、どこだどこだ?
あ、いた!
ほら、あの窓のとこ」
「おお、いたいた
ちょっとこっちに連れてきてくれ」
「あ、うん」
”タッタッタッ”
「さくらちゃ~ん」
「う゛ー、う゛う゛、ううう、あ゛ー」
「ほ、ほら、巽さんが呼んでるからあっち行こ」
”ガブッ”
「ひゃ~、あ、頭噛まないで」
「う~、う゛、あ゛ー」
う~ん、取れない!
さくらちゃん、頭離してー
「巽さ~ん、頭噛まれた。
さくらちゃん離してくれない~」
「よかけん、そのままこっちにこんかい」
「う、うん」
”ズルズルズル”
あの~、さすがにこれちょっと重たいんだけど。
また頭もげそう。
巽さんがこっち来てよって、え?
「た、巽さんうしろ!」
「う゛、う゛う゛、う゛う゛う゛」
「うしろってなんじゃい?」
”ガブ、ガブガブガブ”
「お、おわー、たえ、お前何してんじゃい」
「う゛ー」
「はなせ、皿離せ。
ワサビ漬け食うな。
く、食うな、は、離せ!」
”ガブガブガブ、バリバリ”
げ、さ、皿食べてる!
い、いくらゾンビィでもそんなの食べたら。
「ね、皿は食べちゃダメ。
身体に悪いから、ほらこっちに頂戴」
「う゛ー」
「ぜ、全部食いおった。
ワサビ漬け全部食いおった」
”へなへなへな”
「た、巽さん、大丈夫?」
い、いや、そんなにへこまなくても。
「う゛ー、う゛ー!」
え、な、なに?
”ジタバタジタバタ”
な、なんかこの娘暴れてる!
すごく苦しそう。
やっぱあんなにいっぱいワサビ漬け食べたから。
「た、巽さんこの娘大丈夫?
えっと、確か名前は 」
「こいつは山田たえ、伝説の山田たえじゃい」
「おおー、この人が」
「お、お前知ってるのか?」
「うううん、知らない」
「知らんのか~い」
”ポカ”
「だ、だって~、伝説って言うから・・・」
「う゛がー!」
”どさ”
え、なになに?
あ、たえちゃん倒れた。
なんかピクピクしてる。
だ、大丈夫なのほんとに?
「仕方ない。
しばらくたえの様子を見てみるか。
もしたえが目覚めれば、今度こそさくらに食べさせよう」
”つんつん”
大丈夫かなぁ、たえちゃん。
なんか突っついても全然動かないんだけど。
・
・
・
”スタスタスタ”
「ルンルンルン♬」
「ん、なんだ、とても機嫌良さそうだな。
なんかいいことあったのか?」
「だ、だってさ、えへへへへ」
「な、なんじゃい、き、気持ち悪い」
「巽さん! わたし頑張るね」
「なにをだ?」
「なにをって、もういけずなんだから~
ア・イ・ド・ル♡
巽さんが言ってたわたしの居場所って、アイドルってことだったんだよね。
うん、わたし歌とかダンスとかいっぱい練習して頑張るから」
「お前どこで聞いてた!
・・・・・・言っておく、お前はアイドルじゃない家政婦だ」
「へ?」
「お前は家政婦じゃい!」
「は、はぁー!」
”ぷにゅ~”
「ふにゃ~、な、なにを。
ほ、ほっぺ引っ張らないで~」
「お前のどこがアイドルじゃい。
この地味~な顔のどこがアイドルなんじゃい、このボケ~
お前の居場所はこの家の家政婦に決まっとるじゃろが!」
「か、家政婦!
で、でも、ほ、ほら地味な娘が好きだって人も。
だからわたしもアイド 」
「そんなもんいるかい
いても小数点以下の誤差じゃい。
お前なんぞ地球がひっくり返ってもアイドルになんてなれんわい!
この地味女ー」
「ひどー!
うううううううう、うわ~ん
巽のバカー
うぇ~ん、あんたなんか大嫌い!」
”ダー”
「・・・・・・お前をアイドルにするわけにはいかんのじゃい」
・
・
・
巽の馬鹿、巽の馬鹿、巽の馬鹿!
「ワンワン!」
うっさい、ロメロあっち行け。
この犬小屋はわたしがもらったっていってるだろうが!
「ガルルルルー、ワンワンワン!」
「キャンキャンキャン」
ふん、思い知ったか!
くそ、なんでわたしだけ。
わたしだってアイドルやりたいもん。
それなのに家政婦だとー
くそくそ、巽の馬鹿。
人の顔、地味地味地味って言いやがって。
そんなもんゾンビィなんだからわからんだろうが。
・・・ゾンビィだから
・・・・・・ゾンビィ・・・わたし達ゾンビィ。
さくらちゃん達も顔とかこんなんなのに、アイドルなんて無理なんじゃ。
きっと怖がられて、あのビデオのように殺されるって。
頭グシャって!
絶対アイドル無理じゃん。
ーーーーーーーー
”ちゅんちゅん”
「なんだ、お前こんなとことで寝てたのか」
ふぇ~?
はっ、もう朝?
そっか昨日ここで寝ちゃったんだ。
えっと~なに?
げ、巽!
「風邪引くぞ」
「ふん、ほっといて!
わたし、ゾンビィだから風邪引かんし。
あ、あと家政婦なんか絶対やらないんだから!」
「・・・まぁいい。
ちょっと来い」
「え?
い、いや、絶対行かない」
「いいからくるんじゃい!」
”ぐぃ”
ぐへぇ~
そ、そんなに頭引っ張らないで。
か、身体が犬小屋に引っかかってるから出れない。
だ、駄目だって~
「ちょ、ちょっとま 」
”すぽっ”
「ひゃ~
ほら、そんなに引っ張るから頭もげたじゃんか!
いやちょっと待ってて、身体がまだ犬小屋に」
「お前の身体に興味はない」
「はぁ!
そんな問題じゃ。
・・・・・・えっと、なんか今すごく傷ついた気がするんだけど」
・
・
・
”スタスタスタ”
「まったく、頭もげるの癖になったらどうすんのさ」
「そん時はそん時じゃい。
接着剤でくっつけてやる。
二度と取れんようにがばい強かのでな」
「・・・・・・
で、たえちゃんの様子はどうなの?」
「ん、いや、まだ眠ってた」
「そう」
”スタスタ、ピタ”
「ほら入れ」
”ガチャ”
え、ここってあのゾンビィっ娘達の部屋だけど?
「う゛、う゛う゛う゛、う゛ー」
「あ゛ー、あ゛あ゛あ゛ー」
”フラ~、フラ~”
げ、やっぱ起きてるじゃん。
う~、いつ見ても怖いんだよ。
・・・あれ、たえちゃんいない。
巽さん寝てたって言ったのに。
どこに行ったんだ?
は、もしかして目覚めて、わたしの時みたいに外にいったんじゃ。
だとしたら、たいへ
”カブッ””
「へ?」
”カブカブ”
「た、たえちゃん!
やめて、わたしの頭噛まないで~」
「う゛う゛、う゛、う゛、う゛ー」
「ちょ、ちょっと巽さん助けて」
「はぁ~、駄目だったか」
「そ、そんなとこで落ち込んでないで助けて~」
「あっちいってろ、しっしっ!」
「う゛う゛、う゛~、あ゛~」
”フラ~、フラ~”
はぁ~、助かった。
なんかよく頭噛まれるんだけど。
ゾンビィってそんなに頭が好きなのかなぁ。
頭、頭
”ジー”
巽さんの頭・・・・・・
ごくり。
「な、何見てんじゃい。
お、お前、いま変なこと考えて無かったじゃろな。
まぁいい。
ちょっとそこに座れ」
「え?
あ、うん」
「さてと始めるか」
・
・
・
”ペタペタ、ぬりぬり”
「あ、あの~巽さん
いったいさっきからわたしの顔になにを」
「え~い、だまっとれ。
ほらみろ、また失敗しただろうが」
”ゴシゴシ、ゴシゴシ”
「ふ、ふぇー、や、やめれー
だから顔こすらないで。
ぷふえー」
・
・
・
「よし、こんなもんじゃろ」
「お、終わった。
もう!
さっきからわたしの顔で何を遊んで 」
「いいからそこの鏡台に座って鏡を見てみろ」
「え?
あ、うん」
”スタスタスタ”
うんしょっと
まったく人の顔で何して・・・・・・・・・・・・
えっ! こ、これって。
「た、巽さん、こ、これ 」
「これがお前の顔じゃい。
生きてた時のな」
こ、これがわたしの顔
レイヤーボブに奥二重、へへ、それにちっちゃい鼻。
・・・ほんと、なんかこれと言って特徴のない普通の顔だね。
「これがわたしっか」
「まだじゃい、ほれ」
”サッ”
「え、眼鏡。
この眼鏡って?」
「お前の死んでたところの近くに落ちてた。
おそらくお前のものだ。
そしてこの地味眼鏡をかけた顔、これがお前だ」
「そっか、これがわたしなんだ」
「わたしって何者なんだろうって、お前言ってたな。
お前がどこで何をしてたのか俺にもわからない。
だから、お前の問いに対して俺がしてやれる答えはこれぐらいだ」
「巽さん」
この人、結構いい人なんだ。
ときどきさ、なんかめっちゃ腹立つこと言われるけど、でもほんとはやさしくて。
それにわたしに生きろって言ってくれたし。
はっ、そういえばなんかよく見れば善人そうな顔して。
そうだ、謝らないと。
わたしそれなのに巽さんのこと馬鹿って、大嫌いって。
「あ、あの、巽さん 」
「撤収~、撤収じゃい!
ほれさっさとそこどかんか~い!」
「へ?」
「なにボケっとしてるんじゃい。
練習は終わったんじゃい。
今からが本番じゃい。
さっさとさくら連れこんかい!」
「へ?
れ、練習?
・・・・・・あ、あのわたしってもしかして練習台だったの」
「決まっとるじゃろ。
お前の顔、地味じゃから練習するにはちょうどよかったんじゃい。
その平べったーい顔、がばいメイクやりやすかったからの~
そんなことどうでもいいんじゃい、さっさとさくらを連れてこんかい」
・・・・・・や、やっぱこいつ嫌い!
やっぱどっから見ても胡散臭い顔してるし。
一瞬でもこいつのこと善人と思ったわたしが恥ずかしい。
「さっさといかんかい、この地味眼鏡ゾンビィ」
「・・・・・・」
き、今日のところはこの眼鏡に免じて許してやる。
でも、い、いつか仕返ししてやるからな!
く、くそー
えっと、さくらちゃんさくらちゃんと。
”キョロキョロ”
あ、いたいた。
あの壁のところ。
へへ、リボンしてるからすぐわかる。
「えっと、さくらちゃ~ 」
””ガブッ”
げ、またかー!
また頭噛まれた。
も、もう噛まれてばっかり。
これ、絶対頭に歯形ついてるよ。
はぁ~、わたしの頭ってそんなに美味しそうに見えるのかなぁ。
さくらちゃん離してくれそうにないし、仕方ないこのまま。
”ズルズルズル”
「巽さん、さくらちゃん連れてきたけど、先にこれどうにかして」
「また噛まれてんのかい。
え~い、さくら口開けんかい」
”かぽっ”
「うー、ううー、う゛がー」
「動かないよう、さくらを押さえていてくれ」
「え、やだー」
「いいから押さえんかい」
「だ、だって、きっとまたガブッって。
・・・も、もう!」
”だき”
「う゛、う゛がーう゛がー!、う゛がー!」
”ジタバタ、ジタバタ”
「え~い、ちゃんと押さえておかんかい」
「む、無理だってこんなの。
なんかめっちゃ力強いし」
”ガブッ”
「ぐぇー、また噛まれた」
「ち、仕方ないの。
さくら、これで食ってろ」
”パク”
「う゛? う゛が」
”もぐもぐもぐ”
げ、し、静かになった。
なにこれ?
え、えっと、ゾンビィってゲソ食べさせると静かになるの?
は、もしかしてだからこいついつも胸ポケットにゲソを。
「ね、巽さん。
ゾンビィってゲソあげれば静かになるの?」
「そうだ」
「だ、だったらはじめっからそうせんかい!
わたしまた頭噛まれたんだからね。
まったく!」
「いいから始めるぞ、ちゃんと押さえていろ」
「あ、う、うん」
・
・
・
”ペタペタ、ぬりぬり”
へぇ~可愛い。
これがさくらちゃんなんだ。
「た、巽さん」
「なんじゃい」
「可愛い♡」
「あ、あったりまえじゃい」
そっか、これならアイドルできるよね。
他のゾンビィっ娘達もさくらちゃんみたいに可愛いのかなぁ。
・・・・・・だったら敵わない、やっぱわたしには無理だ。
あ、でもあの小学生みたいな子もアイドルやるの?
「ね、巽さん、あのちっちゃい・・・・・・」
”ヌギヌギ”
へ、こ、こいつ、さくらちゃんになにしてんだ。
「お、おい!
あ、あ、あんた何してるの!
なんでさくらちゃんの服脱がせてるの!」
「何してるって、顔だけじゃアイドルできんじゃろ。
身体の方のメイクも必要に決まっとるじゃろが」
「や、やめ!
そ、それ以上は 」
「あ、ほれ、ヌギヌギ、ヌギヌギっと」
「え~い、やめんかい!
貴様、女の子を裸にして何をするつもりなのさ、このドスケベ!
身体の方はわたしがするから。
いいからメイクのやり方教えなさい!」
「お前なんかにできんわい。
俺がこのメイクの技術を習得するのに、ハリウッドでどれだけ苦労したことか」
「覚えるから!
必死で覚えるから、これは絶対ダメ」
「チッ」
あ、今、チッって言った、チッて!
まったくこの男は。
ん、あ、でもこうやって見ると、さくらちゃんも包帯だらけなんだ。
手とか足首、それとお尻とかも。
”ごく”
む、胸でかい。
このブラ、何カップなんだろう。
・・・・・・ん、ちょ、ちょっとまった。
・・・包帯・・・だらけって
わたしは・・・胸もお尻も・・・・・・包帯で・・・
「お、おい!
いいから正直に答えろ!
このさくらちゃんの包帯、き、貴様が巻いたのか」
「ああ、そうだ」
「わ、わたしのもか?
わたしの包帯も貴様が 」
「あたりまえじゃい。
他に誰がするんじゃい」
「き、貴様ー!」
”べし”
「ぐはぁ」
へ?
あ、なんかいい感じ?
チョップしたとき、なんだかすごく気持ちよくて。
なんだろう?
「な、なにをするんじゃい!」
は、そ、そんなことより、いまはこのドスケベを!
「なにをするんじゃいじゃないんじゃい!
よ、よくもわたしの裸を!
貴様わたしの裸見たな!
この馬鹿ー」
「仕方なかろう、その包帯には防腐剤が 」
「仕方なくなーい!」
”ベシベシベシ”
「ぐはぁ~」
あ~、快感。
ぐへへへ、日頃の恨み思い知ったか!
あ~すっきりした。
・・・で、でもわたしこいつに裸全部見られたんだ。
わたしだけでない。
このゾンビィっ娘達全員の・・・・・・
こ、このドスケベにもう一発天罰を。
「う゛がー!!」
へ?
さ、さくらちゃん?
どうしたのいきなり。
”ドタ!”
「さ、さくらちゃん!」
最後までありがとうございます。
オリヒロのアイドルの夢ははかなく消えて・・・・・・
・・・家政婦のミカ
ご、ごほん!
え、えっと、次話でようやくさくらが。
また次話でお会い出来たらありがたいです。
ではでは。
(不定期更新ですみません)
※す、すみません。
さくらちゃんの包帯、腕と足首、それにお尻と太腿でした。
胸は・・・
修正します。