ゾンビランドミカ   作:裏方さん

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遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

今話も見に来ていただきありがとうございます。
前話にて突然倒れたさくら。
さくらとオリヒロは・・・

ではよろしくお願いします。

※クロスですが、今話は俺ガイルキャラあまり(・・・ほとんど)でないです。
 すみません、ご了承願います。


ライブ?

「はぁ~、はぁ~」

 

”きゅっ、きゅっ”

 

「よしっと」

 

ふぅ~、やっと窓拭き終わった~

しっかしほんとにでっかい家。

お昼前から掃除始めたのに、まだ窓拭きしか終わらない。

もうすぐ晩ご飯作らないといけないのに。

う~ん、床の拭き掃除とか明日やろうかなぁ。

でもさ、こうやってお掃除とか食事の準備とかやってると、すごく気持ちが落ち着く。

その時だけはゾンビィだってこと忘れられるから。

・・・・・・ゾンビィ・・・っか。

 

「・・・・・・うぐ」

 

くそ、落ち込んだってしょうがない。

ほらほら、さっさと床拭きやっちゃおう。

・・・・・・うん、頑張れ。

よ、よし、んじゃまずはこの部屋から。

 

”ガチャ”

 

「・・・・・・」

 

ほんとに巽さん、さくらちゃん達をアイドルにする気なんだ。

この部屋見ればわかる。

板張りの広い空間に防音設備、それに壁一面のでっかい鏡。

ここはさくらちゃん達がレッスンするために作った部屋だよね、きっと。

 

”スタスタ”

 

この鏡に映った顔。

これがわたしの生きてた頃の顔なんだ。

へへ、ほんと地味な顔。

でも、でもさ

・・・うれしいい。

だって、自分のこと何もわからなかったから。

やっと、少しだけ・・・・・・

 

”ぎゅ”

 

そしてね、これがわたしの生きてた時の身体。

今朝、さくらちゃんの後、わたしにも巽さんがメイクしてくれたんだ。

でもね、こうやって抱きしめても何のぬくもりも感じない。

・・・死んでんだもんね。

ね、鏡の中のわたし教えて。

わたしさ、なぜ死んだの?

死ぬ前なにしてたの?

名前は?

年は?

もしかして好きな人とかいたの?

それでさ、この指輪ってその人にもらったの?

知りたい、わたしのこともっと知りたい。

だから教えて。

 

「・・・・・・」

 

はぁ~、なにやってんだか。

無理だよね、答えてくれるわけないじゃんか。

・・・でも思い出したい、いつかちゃんと思い出したい。

ほんとの自分が知りたい。

 

”ポロ、ポロポロポロ”

 

「ううう」

 

”バシ、バシ”

 

駄目だ駄目!

しっかりしろわたし。

泣いたって仕方ないだろう。

ほんとちょっと油断するとすぐこれだから。

頑張るって、いつも笑顔でいるんだって決めたんだ。

だからちゃんとしないと。

 

”にこっ♡”

 

うん、笑顔、笑顔。

 

「うし!」

 

あ、でもさ、この特殊メイクほんと凄い。

巽さんっていったい何者なんだろう。

ハリウッド仕込みだって言ってたけど、これってさどこから見ても人間。

誰もゾンビィなんて気が付かないよ。

顔だけじゃない、身体も・・・・・・

で、で、でも、身体のメイクは自分でやれるようにならないと。

だってさ!

 

『ほれヌリヌリ、ペタペタっと』

 

『うっ』

 

『ん、なんじゃい?』

 

『な、なんでもない、なんでもないです。

 あは、あは、あはははは』

 

『・・・・・・なんじゃいまったく。

 あっそれ、ヌリヌリ、ヌリヌリっと』

 

『あ~ん』

 

『おわ! な、なんて声出すんじゃい』

 

『だ、だ、だって~』

 

う、うううう。

は、早くメイク覚えよう、自分で出来るようにならないと。

じゃないとまた・・・・・・

くそ、あのバカ! 変なとこ触りやがって。

・・・・・・う~

あ、そういえばさくらちゃん大丈夫だったかなぁ。

顔のメイクした後、急に倒れちゃったから。

身体のメイクしてる間もピクリとも動かなかったし。

掃除終わったら様子見に行って来なくちゃ。

 

”ふきふきふき”

 

・・・でも、さくらちゃんでかかったなぁ~

くそ、ゾンビィのくせにうらやましい!

 

     ・

     ・

     ・

 

”ごそごそ”

 

「ふむ、免許証に書いてある住所は千葉っか。

 あいつ千葉に住んでたのか。

 えっとあとリュックに入ってたのは財布とハンカチ、お弁当箱?

 お弁当箱入っていたのか」

 

”パコ”

 

「げっ!

 ・・・・・・に、臭うと思ったら。

 まっ、仕方ない、このリュックずっと放置していたからな。

 あ、あと他には、ん、手帳っか。

 何書いてあるんだ?」

 

”パラパラ”

 

「ふむ、こいつ保母さんだったんだな。

 園児のこといっぱい書いてある。

 それにしても、好きなものや嫌いなもの、良いところ、注意することとか

 一人一人のこと細かく記録してある。

 ・・・・・・いい先生だったんだな」

 

”パサッ”

 

「ん、写真?」

 

”ひょい”

 

「ふ~ん、この腕組んで一緒に写ってる奴、これが指輪の相手か。

 しかしこの目・・・・・・まるでゾンビィだな」

 

”ドタドタドタ”

 

「ん?

 は、やばっ。

 ど、どこかリュック隠すところは」

 

”ガチャ”

 

「巽さ~ん、ご飯できたよ~」

 

「なんじゃい。

 ド、ドアを開ける時はちゃんとノックしろと言っただろうが!

 常識知らん奴はもうメイクしてやらんからの」

 

「あ、ごめんなさい。

 あのさ、ご飯できたから冷める前に来てね」

 

「わかった、今行く」

 

「うん」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、危なかった。

 このリュック、ここに置いておくのはやばいかもな。

 あいつに見つからないようにどこかに隠さないと」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ザー、ザー”

 

「はっ!」

 

”きょろきょろ”

 

「・・・・・・はぁ?」

 

”すく”

 

「・・・・・・」

 

”ギィ~、ギィ~”

 

「・・・・・・」

 

”トボトボトボ”

 

「・・・・・・」

 

”ガシャーン”

 

「はぁっ?」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

「あぁ!」

 

「うがぁ~」

 

「はぁ!」

 

”ダー”

 

     ・

     ・

     ・

 

”スタスタスタ”

 

あ~なんか今日はすっごく疲れた。

だって、この家無駄にでかいんだもん!

結局、掃除終わらんかったし!

もう、なんか身体中の骨がギシギシいってるよ。

ゾンビィでも疲れることってあるんだ。

ふぅ~

 

”ザー、ザー”

 

しっかし、今日はずっとすごい雨。

これじゃ外の水道使えないや。

仕方ない、今日は洗面所で身体だけ拭いて終わろうっと。

あー、わたしもお風呂入りたいよ~

あったかいお風呂にザブーンって入りたい。

それにさ、この服ずっと着っぱなしだし。

 

「・・・・・・」

 

”クンクン”

 

う~、なんか匂うかも。

はぁ~、服ほしい。

 

”トボトボトボ”

 

ん、あれ、なんでここの窓、ガラス割れてるんだ?

朝掃除したときは何ともなかったのに。

げ、あっちの窓も割れてる。

な、何があったんだ?

・・・あ、も、もしかして。

 

”ダー”

 

「さ、さくらちゃ~ん」

 

”ガチャ”

 

え、えっと~

 

”キョロキョロ”

 

い、いない!

この部屋に寝かせておいたはずなのに。

・・・・・・さくらちゃん目を覚ましたんだ。

 

     ・

     ・

     ・

 

”ドタドタドタ”

 

どこ? どこ行ったのさくらちゃん。

 

”キョロキョロ”

 

いないいないいない、どこにもさくらちゃんいない。

他のゾンビィっ娘達は二階でうろついてたけど、さくらちゃんだけいない。

家の外に出て行ったのかも。

だとしたら、ヤバッ!

 

     ・

 

”タッタッタッ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

あ、玄関が開いてる。

やっぱりさくらちゃん、家の外に行ったんだ。

まずい、誰かに見つからないうちに早く連れ戻さないと。

傘、傘っと。

 

”タッタッタッ”

 

で、でも、もし家の外に行こうとしてもロメロが見張ってるはず。

今日は、ロメロ吠えていない。

だったもらまだ家の中に。

そうだよ、きっとまだ家の中に・・・・・・・

 

「ぐぉ~、ぐぉ~」

 

「ロ、ロメロ!」

 

「ワン?」

 

「き、貴様ー、なに爆睡してんじゃ~い、このボケー!」

 

「ギャワン、キャンキャンキャン」

 

く、くそ、番犬のくせして。

でもやばいな、だったらやっぱり外に行ったんだ。

だとしたら、早くさくらちゃん探しに行かないと。

 

「何してるんだ?」

 

「あ、た、巽さん!

 え? な、なんでスコップ?

 この雨の中で何してたの?」

 

「な、何でもいいじゃろ。

 それよりどうしたんだ?」

 

「ん、あ、そうだ。

 大変なの、さくらちゃんが外に出ちゃたみたい」

 

「家の中にはいないかったのか」

 

「うん、探したんだけどどこにもいない。

 それに玄関も開いてたし」

 

「さくら!」

 

”ダー”

 

「あっ、待って。

 わ、わたしも行く」

 

”ダー”

 

     ・

     ・

     ・

 

「来るな~」

 

「ひゃっ」

 

「なんだお前は!」

 

「えっ、なん?」

 

”くる”

 

「あっ、ふぇ!」

 

     ・

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

どこ行ったんだろうさくらちゃん

この雨でメイク取れてなかったらいいんだけど。

もしゾンビィってわかったら、きっとあのビデオのように殺されちゃう。

 

”きょろきょろ”

 

「巽さん、どこにもいないね」

 

「・・・ふむ。

 もしかしたら反対の道だったかもしれん。

 お前一度戻ってみてくれ」

 

「う、うん」

 

「あ、ちょっと待て。

 これ持っていけ」

 

「え、スマホ?」

 

「お前、使い方わかるだろう」

 もしさくらが見つかったら電話してくれ」

 

「えっと~

 うん、なんとなくわかると思う。

 あ、でも電話番号は」

 

「ちょっと待ってろ」

 

”カシャ、カシャ”

 

「発信、ポチッとな」

 

”ブ~、ブ~”

 

「この番号だ」

 

「わ、わかった。

 じゃ 」

 

”パーン”

 

「た、巽さん!

 今のって」

 

「ああ、向こうだ」

 

「うん」

 

”ダー”

 

     ・

 

「ゾンビィ?」

 

”ギロッ”

 

「ひゃっ」

 

”ゴン!”

 

「・・・・・・」

 

”タッタッタッ”

 

「はぁはぁはぁ、あ、さくらちゃん。

 げ、お巡りさん、し、死んでるの?

 巽さん、あんたまさか」

 

「大丈夫じゃい。

 気絶してるだけじゃい」

 

「そ、そう?」

 

”つんつん”

 

ほんと?

ピクリともしないけど、だ、大丈夫だよね。

あ、でも雨ひどいし、こんなとこに置いておくわけには。

 

「おい、なにしてる。

 ちょっとさくらをおぶるの手伝え」

 

「あ、ごめん、ちょっと待って。

 うんしょ、うんしょっと」

 

”ズル、ズルズル”

 

「何してるんだ?」

 

「だってお巡りさん、このままにしておくわけにいかないじゃん。

 せめて雨のかからないとこにおいてあげないと」

 

”ズルズル”

 

ふぅ~、ここならあんまり雨かからないね。

 

”ペコ”

 

ごめんなさい。

あ、傘かけておきますね。

返さなくてもいいですから。

風邪ひかないでください。

ほんとにごめんなさい。

よしっと。

 

「巽さんお待たせ。

 えっと、さくらちゃんをおんぶさせればいいんだね」

 

「ああ。

 それとスコップと傘を頼む」

 

「うん、じゃ乗せるね。

 うんしょっと」

 

”ドサッ”

 

「・・・・・ぐぅ」

 

「え、どうしたの?」

 

「な、なんでもない」

 

”スク”

 

「か、か、帰るぞ」

 

”ふらふら”

 

「巽さん大丈夫?

 なんかふらついてるんだけど」

 

「なんともないわい」

 

”ふらふら”

 

「あ、待って」

 

”パサッ”

 

「はい、傘」

 

「お、おう」

 

”ふらふら、ふらふら”

 

「ね、巽さん」

 

「なんじゃい?」

 

「よかったね、さくらちゃんの意識戻って」

 

「・・・・・・これからじゃい」

 

「うん」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

”ジリジリジリ”

 

よしっっと、焼き魚完成。

ふふふ、うまく煮崩れせずに焼けた。

この最後の塩が大事なんだよね。

あとはジャガイモと人参のお味噌汁。

どれどれお味は。

 

”ごく”

 

美味い・・・・・・はず!

だって、味わからないんだもん。

でもさ、なんだろう。

不思議とお料理憶えてるんだ。

 

”カサ”

 

へ?

 

”カサカサ”

 

「ぎゃー!」

 

ご、ご、ゴキちゃん!

G、G、Gが出やがったー

ど、ど、どうしょう。

え~い、このスリッパでも食らえ!

 

”バシ”

 

”サッサッサッ”

 

げ、外れた、こ、この野郎!

 

”バシ、バシ、バシバシ”

 

”サッサッサッ”

 

く、くそ、すばしっこい。

 

”ブゥ~ン”

 

ひゃ、こっちに飛んできたー

い、いやー

 

”ブンブン”

 

「あ、あっちいけー」

 

”スポッ”

 

げ、ぐわぁー、服、服の中入ったー

 

”ドタバタドタバタ”

 

「い、いや、いや、いやー」

 

”ガチャ”

 

「なんじゃい、うるさい。

 なにやってんじゃい」

 

「た、巽さん、助けてー

 G、Gが服の中に。

 と、とってー」

 

「ば、馬鹿者、服の中に手を入れて弄るわけにいかんじゃろ」

 

「だ、だって」

 

”ガサガサ”

 

「いゃー、中で動いてるー

 い、いいから、弄ってもいいからGとって」

 

「服を脱げ」

 

「えっ・・・・・・スケベ」

 

「ば、馬鹿そんなつもりじゃないわい。

 服脱げば出てくるじゃろう」

 

「ううう、み、見ないでよ」

 

「見ても包帯だらけじゃろうが」

 

「うっさい」

 

”ぬぎぬぎ、ぱさっ”

 

「ね、G、身体についてない?」

 

”もぞもぞ”

 

「ほらそこ、服の中でうごめいているのがそうじゃろう。

 スリッパでホイ」

 

”グシャ”

 

「ほれやっつけたぞ、これでいいだろう」

 

”べし!”

 

「な、なにすんじゃい」

 

「き、貴様ー

 な、なにした、い、今なにした!」

 

「なにってゴキブリを退治したんじゃろうが」

 

「バカー

 服、服が、うわーん!」

 

”ベシ、ベシ、ベシ”

 

「や、やめ~い」

 

     ・

 

”ゴシゴシ、ゴシゴシ”

 

あ~あ、汚れはとれたけど、なんかこれ着るのやだ。

でも、服これしかもってないし。

う~、着替えほしい。

あ、それとエプロンも。

・・・・・・そうだ。

 

     ・

 

”もぐもぐ、パクパク”

 

「ふむ、美味い。

 あいつ、料理はマジ美味いな。

 味はよくわからないって言ってたけど」

 

「ねぇ~巽さん、えへ♡」

 

「おわ、な、なんじゃい。

 だから急に背後に立つんじゃないって言ってるだろう。

 まじ、その顔、怖いだろうが。

 心臓に悪いんじゃい、このぼけ~」

 

「う~」

 

くそ、思いっきり可愛い子ぶったのに。

決めポーズも、か、鏡見て練習したのに。

・・・・・・ま、まぁいいけど。

 

「・・・で、なんじゃい」

 

「あ、あのね、一生のお願い」

 

「一生って、お前もう終わってるけどな」

 

「・・・・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ピョンピョンピョン”

 

「スキップ、スキップ、ルンルンルン♬」

 

へへ、やったー

前借り成功!

今月分の家政婦のお給料、前借りしちゃった。

どんな服買おうかなぁ~

めっちゃ可愛いのにしようかなぁ~

それとエプロンも欲しいし。

・・・でも、ちょっと心配。

ゾンビィなってから人前にでるの初めてだし。

大丈夫かなぁ、ほんとバレないかなぁ。

あ、トイレ。

ちょっと確認してこよっと。

 

”スタタタタタ”

 

どれどれ

ふ~、顔は大丈夫だよね、さすが巽さん。

でも身体のほう大丈夫かなぁ。

自分でやったからちょっと心配。

それとさ。

 

”くんくん”

 

だ、大丈夫だよね、臭くないよねわたし。

消臭スプレーいっぱいかけてきたから。

・・・・・・よ、よし、行こう。

 

     ・

     ・

     ・

 

”ムク”

 

「はぁ?

 なんやたっけ?

 あっ」

 

”スタタタ”

 

「なんなんこれ?

 なんでわたし・・・

 思い出せん、なんもわからん。

 わたしは?」

 

「お前は源さくらだ」

 

「あっ、さっきの」

 

     ・

     ・

     ・

 

”キョロキョロ”

 

う~ん、目移りしちゃう。

あれもこれもほしい。

ほんと、この商店街って結構品揃えいいんだもん。

それにいろんなお店あるし。

へへ、あの喫茶店のケーキ、美味しそうだったなぁ~

今度行ってみたい。

よし、次お給料もらったら、

 

「あっ!」

 

”タッタッタッ”

 

かわいい。

こんなエプロンほしかったんだ。

これ何のゆるキャラかなぁ~、鳥、緑色の鳥だよね。

まぁ、なんでもいいや。

とにかくこの目の感じがたまらなくいい。

うん、これにしよう。

えっと、あとは~

 

”キョロキョロ”

 

ん?

あ、あれっ!

 

”ダー”

 

これさくらちゃんのと同じブラウスじゃない?

確かこんな感じだった。

・・・さくらちゃん、昨日撃たれちゃったんだよね。

 

     ・

     ・

     ・

 

「アイドルとしてサガを救うんじゃい」

 

「無理です。

 ちょっと考えたいことがあるので一人にしてください」

 

「・・・・・・」

 

”ガチャ”

 

「・・・意味わからない。

 なんなのアイドルって」

 

”スタスタスタ”

 

「そんなのできるわけなかやろ」

 

”ガチャ”

 

「ただいまー」

 

「え?

 あ、ひゃ」

 

「あっ、だ、大丈夫だよさくらちゃん」

 

「え、わたしのこと知っとるんですか」

 

”ニコ”

 

「こんにちわ、さくらちゃん。

 わたしミカっていいます。

 この家で家政婦やってるの。

 えへ、これからよろしくね♡

 でもよかった、ほんとによかったね意識が戻って」

 

「・・・・・・」

 

「え、あ、あのさくらちゃん」

 

「怖くないんですか?

 わたし、顔こんなんですよ。

 普通、こんなの見たら驚くんじゃなかと!」

 

「あ、い、いや、別に。

 あ、あの、だって」

 

「よかった?

 あなた本当にそう思っとると?

 こんなになって生き返って、あなたは本当によかったねってそう思っとるんですか。

 信じられん」

 

「あ、い、いやそういう意味じゃなくて。

 えへへ、あ、あのね、わ 」

 

「あなたにはわからんとです。

 わたし、ゾンビィなんですよゾンビィ!

 それだけやない!

 なんも記憶がない、なんもわからない。

 それなんにアイドルやれなんて。

 ・・・へらへら笑ってなんかいられる状況じゃなかと。

 あなたみたいに笑ってられないんです!」

 

「あ、いや、あの 」

 

「いいです。

 どうせあなたにはわからんじゃろけん。

 もう二度とわたしに話しかけんでください。

 いいえ、もうわたしの前に現れんでください!

 ・・・マジウザイ」

 

”ガチャ”

 

「あ、そこわたしの部 」

 

”バタン!”

 

「あ、あのさ、さくらちゃん」

 

「・・・・・・最低」

 

「・・・さくらちゃん。

 ごめん、聞いてほしい。

 わ、わたし、わたしもねゾンビィなんだ。

 なんかさ、死んでこの家に捨てられてたんだって。

 これね、この顔は外出するんで巽さんがメイクしてくれたの。

 だからさこうやって」

 

”ゴシゴシ”

 

「ほら、メイク落としたら・・・化け物なんだ。

 それとね、わたしも同じだよ。

 生きてた頃のことなんてなにも憶えて無い。

 ・・・名前すらわからない。

 ミカって名前はね、巽さんがつけてくれたんだ。

 だからほんとの名前・・・知らないんだ」

 

「・・・・・・」

 

「・・・わたしも目覚ましてこの顔見た時、もう死にたいって思った。

 だって、だって・・・・・・こんなのやだもん。

 でも、でもね、わたしこのままじゃ死ねない。

 巽さんが拾ってくれたこの指輪。

 この指輪を見ると、いつも”ぎゅっ”て胸が締め付けられるんだ。

 きっと何か特別な想い出があると思うの。

 どうしてもそれを思い出したい。

 だから、それまでわたしは死ねない」

 

「・・・・・・」

 

「でもさ、実際どうしたらいいのかわからないんだ。

 どうすれば記憶が戻るのかわからない。

 ・・・だから、今は笑うしかない、笑って頑張らないと。

 だ、だってそうしないと、笑っていないとわたし・・・・・・う、ううう」

 

「・・・・・・」

 

「ぐす。

 あ、ご、ごめんね。

 えへへへ、変な話しちゃった、この話はおしまい。

 あっ、ここにブラウスと替えの服置いておくね。

 あんまりお金なかったからそんなに選べなくて。

 気にいらないかもしれないけど我慢してね。

 じゃ、じゃあね。

 ・・・・・・ごめん、もう話しかけないね」

 

”トボトボトボ”

 

「・・・・・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ロメロ~、ご飯だよ~

 ごめんね、いつも驚かして」

 

「ウー、ワンワンワン!」

 

「ごめんっていってるじゃん。

 そんなに吠えないでよ~

 ほら、いままでのお詫びにドッグフード買ってきたんだよ。

 それもちょ~お高いやつ。

 奮発したんだからね。

 はい、どうぞ」

 

”クンクン”

 

「美味しいよ~

 ほら食べな」

 

”プィ”

 

「え?

 食べないの?

 これ高かったんだよ~、ほらここに国産原料のみ使用って書いてあるし。

 ほら、食べなって」

 

”プィ”

 

「な、なんで~」

 

”スタスタスタ”

 

「なにやってんじゃい」

 

「あ、巽さん、お帰りなさい。

 ロメロがさ、ドッグフード食べてくれなくて。

 折角買ってきたのに」

 

「ふ~ん。

 ロメロ、ほらゲソだ」

 

”ポイ”

 

「ワンワンワン♬」

 

”ムシャムシャムシャ”

 

げ、ロメロ、めっちゃ美味そうに食ってる。

このドッグフードよりそっちがいいの?

う~、マジ高かったんだよこれ。

とほほ。

 

「ん、お前服買いに行ったんじゃないのか?

 なんでいつもの服のままなんだ?」

 

「あ、え、えっと、まぁ~いろいろあって」

 

「まぁいい。

 それよりちょっと段ボール運ぶの手伝え。

 あと一つ車に積んであるから」

 

「え、あ、うん。

 でもこれ何入ってるの?」

 

「うん?

 ああ、これじゃい。

 ジャジャ~ン」

 

「おおー、Tシャツ、Tシャツだ。

 あ、なんか番号書いてある。

 こっちはスカート。

 うわ~かわいい。

 ね、ね、これわたしのもある?」

 

「・・・・・・」

 

「あははは、無いよね。

 これきっと衣装だよね、さくらちゃん達の」

 

「お前のもあるぞ」

 

「え、うそ、ほんと?

 あ、ありがと巽さん♡」

 

「そうだ。

 今、俺が着せてやろう」

 

「え、やだ、こんなとこで服脱ぐの」

 

「大丈夫だ、その上からでも着れる」

 

「え、あ、大きいサイズのやつ?」

 

「ほら、ばんざ~い」

 

「あ、うん。

 ばんざ~い♡」

 

”ばさ”

 

「おおー、すごく似合う。

 思った通りじゃい。

 めっちゃ似合ってるじゃないかい」

 

「・・・・・・・」

 

”わなわなわな”

 

「・・・なんだこれは」

 

「なんだってなんじゃい」

 

「こ、これは何だって言ってんだ!」

 

「お前本当になんも知らんのじゃな。

 まったく世話のかかるゾンビィじゃい。

 これは割烹着って言ってな、」

 

「知ってるわ!」

 

”ベシ”

 

「ぐはぁ」

 

「な、な、なんでわたしは割烹着なんだ!」

 

「うるさいわい。

 お前は家政婦だろうが。

 それにすごくよく似合ってるだろうが。

 そうだ、そんなお前に伝説をつけてやろう。

 今日からお前は伝説の割烹着マスター、給食のおばちゃんミカだ」

 

「いらんわいそんな伝説!」

 

”ベシ、ベシ、ベシ”

 

「おわ、や、やめ~い。

 なんじゃい、折角伝説つけてやったのに。

 もういい。

 ほらさっさと段ボール家まで運べ」

 

「ううう、くそ~」

 

「あ、そうだ。

 後でそこの車、公園に止めておいてくれ」

 

「え?

 わ、わたし、車なんて運転できるの?」

 

「・・・・・・・で、できるんじゃないか。

 ちょっと運転席座ってみろ。

 俺は助手席座るから」

 

「あ、う、うん」

 

”ガチャ”

 

「うんしょっと」

 

”バタン”

 

「いいか、まずこのサイドブレーキを解除する」

 

「うん」

 

「それでその左側のペダルがブレーキだ。

 ブレーキを踏みながら、このレバーをDにいれてみろ」

 

「うん」

 

「それで左足をペダルから離して、右足の方のペダルをゆっくり踏め。

 いいか、ゆっくりだぞ」

 

「あ、はい」

 

”スー”

 

「あ、う、動いた」

 

「よし、じゃブレーキ踏んで、レバーをPに入れろ。

 あとはバックしたいときはレバーをこのRに入れろ。

 以上が基本だ。

 あとはこれが方向指示器、道を曲がる時に使え。

 まぁ、大体これが基本だな。

 どうだ、お前でも運転できるじゃろ」

 

「う、うん」

 

「それじゃ車は公園の端にでも止めておいてくれ」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、う、うんやってみる」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガチャ”

 

ふぅ~、結構時間かかった。

でもまぁ何とか停められたし。

えっと~、巽さんどこかなぁ。

車のカギ返さないと。

え~と。

 

”スタスタスタ”

 

     ・

 

あ、ここにいた。

・・・さくらちゃんも。

あと他のゾンビィっ娘達も。

 

”ガチャ”

 

「あの~巽さん、車停めてきたけど。

 って何してるの?

 なんでメイクを?」

 

”ペタペタ、ぬりぬり”

 

「なにボケ~とみてるんじゃい。

 さっさとメイク手伝わんかい。

 時間が無いんじゃい」

 

「あ、うん。

 でもさ、さっきの衣装といいメイクといいどうしたの?

 それに時間がないって」

 

「今からライブに出るんじゃい」

 

「あ、そうなんだ・・・・・・ライブ?

 ・・・・・・はぁー、ライブ!!

 ラ、ラ、ライブするの。

 だ、だってさくらちゃん以外の他の娘は」

 

「大丈夫じゃい。

 ほら顔のメイク終わったやつから、身体の方を頼む」

 

「大丈夫ってほんとかなぁ。

 あ、でも身体のメイク、わたしがやってもいいの?」

 

「ああ。

 まぁ、そこそこセンスあるようだしな。

 それに今日、買い物行っても気付かれなかったんじゃろ」

 

「う、うん」

 

「ほれ、まずこいつから」

 

えっと、このポニーテールの娘は誰ちゃんだっけ?

そういえば、さくらちゃんとたえちゃん以外は名前って聞いてないや。

 

「えっと~」

 

「この人は伝説の特攻隊長、二階堂サキちゃん」

 

「えっ。

 あ、さくらちゃん」

 

「えへ。

 あ、あの~ミカさん。

 さっきはごめんなさい」

 

”ペコ”

 

「わたし、ミカさんのことなんも知らんのに勝手なこと言って。

 本当にごめんなさい」

 

「・・・さくらちゃん。

 わたしなにも気にしていないよ。

 わたしも最初そうだったもん。

 どうしたらいいのか、どうすればいいのかな~んもわからなくて。

 すっごく不安で、不安で、めっちゃ不安だった。

 だから、だい 」

 

”だき”

 

「さ、さくらちゃん?」

 

「ミカ・・・さん」

 

「・・・お互い、早くなにか思い出せるといいね」

 

「はい」

 

さくらちゃんも不安だったんだよね。

わたしもそうだった。

だからわたしは何も気にしてない。

・・・・・・ん、あれ?

おかしい、わたし達ゾンビィなのに。

こうやって抱き合ってると不思議にあったかい。

あったかいや。

・・・・・・でも!

さくらちゃんやっぱり胸でっかい、くそ!

 

     ・

     ・

     ・

 

”キキキー”

 

「ついたぞ。

 さくら、今ドアを開けるからみんなを降ろしてくれ」

 

「あ、はい」

 

「ミカ、お前は車を駐車場に停めておいてくれ」

 

「え、た、巽さん、無理だって」

 

”ガチャ”

 

「俺はこいつらを控室に連れて行かないといけないからな。

 頼むぞ。

 スマホ、持ってたろ。

 なんかあったら連絡しろ」

 

”バタン”

 

「い、いや、ム、ムリだって

 ちょ、ちょっと待って、た、巽さ~ん」

 

”ゾロゾロゾロ”

 

「げっ、い、行っちゃった。

 ど、どうする、も、もう知らないからね!」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ノロノロノロ”

 

えっと~、駐車場どこかなぁ。

なんかすごく狭い道に入ってきちゃったんだけど。

あ、あそこやっと広い道に出られる。

広い道に出れば何か標識があるかも。

なんとか一度会場に戻らないと。

それじゃここを右折して。

 

”パキッ”

 

へっ?

あ゛ー、か、鏡、ドアミラー取れた!

 

”キキキー”

 

やばいやばい、ドアミラーが。

 

”ガチャ”

 

うんしょっと。

えっと、ミラー、ミラー、ミラーはどこだ、どこに落ちた?

 

”きょろきょろ”

 

あ、あった。

 

”ひょい”

 

えっと、これくっつくかなぁ

ね、念じれば必ずくっつく・・・・・・はず!

だ、だってわたしゾンビィだもん。

超常現象だもん。

 

「くっつけ、くっつけ、くっつけ、うりや~アンデッドパワー!」

 

ど、どうだ。

く、くっついたよね。

 

”ぽろ”

 

げー!

ど、どうしよう、どうしょう、巽さんに怒られる。

 

”ブッブー”

 

へ、あ、ト、トラック!

 

”ブゥオー”

 

「ひゃー!」

 

「気をつけろー、ぼけーと突っ立ってんじゃねぇ、このバカヤロー」

 

「・・・・・・・」

 

”がくがくがくがく”

 

「・・・・・・いや、いや、いや」

 

”へなへなへな”

 

「うう、ううううう、い、いやー!!」

 

     ・

     ・

     ・

 

「だからライブなんて無理って言ったやないですか!」

 

「なにがじゃい。

 なかなか盛り上がっていたじゃないか」

 

「あれのどこが盛り上がってたって言うんですか!

 たえちゃん達が暴れてただけやなかとですか。

 それに会場の人にがばい叱られて、もう出入り禁止って言われたし」

 

「そんなち~さいこと気にするな。

 それよりさっさと帰るぞ。

 ん? 車はどこじゃい?」

 

”キョロキョロ”

 

「あいつどこに車停めたんだ?

 ち、えっとスマホスマホ」

 

”カシャカシャ”

 

「・・・・・・」

 

「おー、俺じゃい。

 今から帰るぞ。

 車どこに停めたんだ?」

 

「・・・・・・」

 

「おい?」

 

「・・・・・・・ううううう」

 

「どうした、なにかあったのか?」

 

「・・・ト、トラックが。

 こわい、こわくて身体が動かない」

 

「いまどこにいるんだ?」

 

「わ、わからないよ!

 こんなとこ来たことないし。

 周り真っ暗だし。

 も、もうやだよ!!」

 

「・・・わかった、このままスマホ切らず置いておけ。

 今、お前を探し出してやる」

 

「・・・・・・た、巽さん」

 

「お前がどこにいようと、きっと俺が探し出してやる。

 だから安心しておとなしくそこで待ってろ」

 

”きゅん”

 

「・・・・・・うん」

 

な、なんだろう。

胸がなんか変。

・・・巽さん。

もしかしてわたし巽さんのこと・・・・・・

 

「こ、幸太郎さん!

 純子ちゃんがいない、リリィちゃんも」

 

「はぁ!

 さ、探せ、とっとと探さんかい」

 

「あ! サキちゃん拡声器持ってきちゃったの。

 だ、だめー、うるさいから怒鳴らないで」

 

「止めろさくら

 こんな夜分に、通報されるじゃろうが」

 

「拡声器、離してサキちゃん。

 ん~、離してくれない。

 ちょ、ちょっと待って愛ちゃん、愛ちゃんまでどこにも行かないで」

 

「おわ、た、たえ、頭にかみつくんじゃない。

 ミ、ミカ、ちょ、ちょっと待ってろ。

 必ず 」

 

”プ~、プ~”

 

「巽さん?

 ・・・巽さん!」

 

た、大変だ、みんな暴れてるんだ。

だってみんなゾンビィだもん、言うこと聞くはずない。

このままだとお巡りさん来て撃たれちゃう。

みんな撃たれちゃう。

ど、どうしょう。

で、でも身体が震えて。

 

『ミカ・・・さん』

 

さくらちゃん。

 

”バシッ”

 

な、何やってんだわたし。

しっかりしろ!

さくらちゃんが、み、みんなが大変なんだ!

わたしが、わたしが行かないないとみんなが。

 

”ガチャ”

 

待っててみんな。

 

”バタン”

 

い、今行くから。

 

”キュルル、ブゥオー”

 

とにかく、いま来た道を急いで戻って。

 

「うぉりゃー!」

 

”ガリガリガリ”

 

     ・

     ・

     ・

 

”ブロロロンー”

 

や、やった、会場見えてきた。

あ、駐車場!

駐車場って、会場のすぐ横にあったんだ。

 

”キョロキョロ”

 

えっと~、あっ、巽さんいた!

 

「巽さ~ん」

 

”キキキー”

 

「お、おうここだ。

 身体、大丈夫か?」

 

「あ、うん、ごめんなさい」

 

「いや、身体が大丈夫ならそれでいい。

 さくら全員いるか?

 さっさと撤収するぞ」

 

「あ、はい」

 

”ガラ”

 

「ほらみんな車のって」

 

「まったく。

 さくら、お前がゲソを全部食べさせてしまうからこんなことになったんじゃい」

 

「だ、だって、みんな控室で暴れるけん」

 

「ご苦労だったなミカ。

 よし運転代わろう。

 いまそっちいくから、助手席に移れ」

 

「あ、い、いや、巽さん、わたし運転して帰ろうかなぁ~

 ほ、ほら巽さん、疲れたろうから」

 

「いや、大丈夫だ。

 お前のほうが疲れただろう。

 今そっちに・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・あ、あの~、巽さん」

 

「・・・おい」

 

「えへ♡」

 

「ミラーはどうした」

 

「は~い、ここにありま~す。

 あの~、なんか取れちゃったみたい。

 な、な、なんでだろう、わからないな~」

 

「この横の傷は」

 

「へ、傷?

 いや~暗くて見えないな~

 傷なんてある?

 た、巽さん、目が悪くなったんじゃ 」

 

「このボケー!

 傷だけじゃない、ここ、凹んでるやないかい!

 はっ、バ、バンパー外れとる!」

 

「だ、だって~」

 

「こ、こ、こ、この大ボケー!!」

 

「ひゃ~、ご、ごめんなさい」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

”スタスタスタ”

 

「あ、ミカさん、ベランダにいたんだ。

 昨日はご苦労様でした」

 

「・・・・・・」

 

「あのねミカさん。

 わたし、昨日のライブの時、不思議な気持ちになったの。

 心が揺さぶられるようなすごく幸せな気持ち。

 わたしそれをどこかで感じたような気がして。

 わたしもそれがなんなのか確かめたい。

 だから、わたしアイドル続けていこうと思う。

 きっとアイドル頑張っていれば、それがなにか思い出せるって

 そんな感じがして」

 

「・・・・・・」

 

「え、えっと、ミカさん?」

 

「ううう、うわ~ん、うわ~ん」

 

「えっ、ミカさんどうしたの?」

 

「巽が、巽が」

 

「幸太郎さん?」

 

「巽が車壊したから、一生ただ働きだって!」

 

「え、あ、そ、そうなんだ」

 

「やだー、お給料ほしい!」

 

     ・

     ・

     ・

 

”カチャ、カチャ、カチャカチャカチャ”

 

「ふぅ~、大分プレゼンの資料できた。

 あと一息だな。

 さて、さっさと終わらせ 」

 

”ヌ~”

 

「お昼休みまでお仕事?

 ご苦労様」

 

「うわー

 だ、だからいきなり顔近づけるのやめてください」

 

「え~、頑張ってる君にお姉さんからのご褒美なのに~」

 

「褒美っていうのなら形あるものにしてください」

 

「ブ~、相変わらずだね君は」

 

「それより何の御用ですか。

 何か用事あるんでしょ」

 

「あのさ、君は有休まったく使っていないんだって。

 土曜も会社来てるっていうし」

 

「まぁ、家にいても無意味な時間を過ごすだけですし。

 それなら仕事してた方が有意義ですから」

 

「ふ~ん、社畜にはならないって公言していた君がね~」

 

”つんつん”

 

「だ、だから頬つっつくのもやめてください」

 

「ね、このデータ保存した?」

 

「え?

 ええ、一応自動保存は三分に設定していますけど」

 

「さすがマメだね~

 じゃぁ」

 

”プチ”

 

「げっ!

 あ、あ、あんた何するんだ」

 

「いいじゃん。

 それよりさ、君に特別業務を与えてあげる」

 

「きょ、拒否します」

 

「ざんね~ん、これは部長命令で~す。

 だから君に拒否権はないんだなぁ~」

 

「お、横暴だー

 くそ、で、な、なんですか」

 

「あのね、比企谷君 」




今話も最後までありがとうございます。
更新が大変遅くすみません。
次話、八幡に下った命令とは?

また不定期ですが、また見に来ていただいたらありがたいです。

ではでは

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