ゾンビランドミカ 作:裏方さん
さて、前話にて洋館を出ていったミカはどこへ?
また、サキ達はどうする?
巽は?
そして千葉ではあの男が再び・・・
今回、ほぼ会話ばっかりです。
大変読みにくいと思いますが、ご容赦いただきたくお願いします。
「・・・・・・」
”すくっ”
「・・・・・・」
”ズカズカズカ”
「そこどいて!」
「どこに行く気だ、愛」
「決まってるじゃない。
あの馬鹿を連れ戻しに行くのよ!」
”スタスタ”
「そうだ、いいからそこどけグラサン!
愛、あたしも一緒に行く」
「・・・やめておけ。
今、お前らが連れ戻しに行って、あいつが素直に戻ってくると思うのか」
「けど!
・・・・・・わたしがあんなこと言わなかったら」
「いや、愛だけの所為じゃねぇ。
・・・・・・あたしもムキになってた」
「愛ちゃん、サキちゃん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
”ガシガシ”
「あ~くそ、面倒くせー!
確かにあいつ変なとこで頑固だからな~」
「あいつもそれなりの覚悟があって出て行ったんだろ。
そう簡単に戻ってくるとは思えん。
ならば、お前らが今やることは他にあるはずだ。
お前らは、お前らにしかできないことをしろ」
「「・・・・・」」
「いいな」
”スタスタスタ”
「・・・・・・なんでこんなことに」
「愛ちゃん」
「・・・愛、さくら、グラサンの言う通りだ。
今は、あたし達にできることをやるしかねぇ」
”こく”
・
”とぼとぼとぼ”
「・・・・・・」
どこ、行こうかなぁ~
行く当てなんかないもんな。
でも、でもさ、できるだけ遠くに行かないと。
そうでないと、わたし弱いから。
きっとみんなのところに帰りたくなって・・・
だからもっと遠くに。
・
・
・
「「届け、届け、熱いキモチ♬
刹那のソウルに Cut IN♬」」
”シュパッ”
「はぁはぁはぁ。
よし、次だ、次の曲やんぞ。
さくら、音楽スタートだ」
「あ、はい、ちょっと待って。
今スタートするから」
”タッタッタッ”
「・・・・・・こいつらは大丈夫そうだな。
さて行くか」
”ガチャ”
「あいつはメイクをしていなかった。
ならば、人に出会うわけにはいかないから、そう動けるものじゃない。
だとしたら、まだきっとこの近くにいるはずだ。
今なら近くに」
”スタスタスタ”
・
・
・
”とぼとぼ、とぼとぼ”
あ、千代田橋?
そういえば、ここって確か前に来たところだ。
目覚めて何が何だかわからなくて、あの家飛び出して。
へへ、またここに戻ってきちゃった。
”ピカ! ゴロゴロゴロ”
「キャー」
か、雷!
やば、それにあの雲、今にも雨も降りだしそう。
え、えっと、とりあえずこの橋の下に避難して。
”ズル”
「ひゃ」
ふ~、あっぶなかった。
ここの土手、結構急だから気を付けないと。
・
・
・
”ザー、ザー”
「くそ、雨、土砂降りになってきた。
パンツまでずぶ濡れじゃい。
う~気持ち悪い。
・・・そういえば、あいつも傘を持っていかなかったはずだ。
いつも使ってた傘、まだあったからな。
だったらこの雨できっとどこかで雨宿りしているはずだ」
”キョロキョロ”
「まったく・・・・・・どこにいるんじゃい、ボケが」
”バシャバシャバシャ”
ーーーーーーーー
”タッタッタッ”
「ヒッキー、ごめん待った?」
「おう、すげ~待った」
「む~、これでも優美子達との約束断ってきたんだからね。
急に今日の朝、電話してくるから。
今度からはちゃんと事前に言ってよね!
・・・・・・いろいろ準備とかあるんだから」
「す、すまん。
いや、そんなに待ってないんだ。
つ、つい」
「えへへ、でも安心した。
ヒッキーはヒッキーのままだ。
あの頃と何も変わってない。
・・・・・・正直、少し心配してたんだ」
「由比ヶ浜。
・・・・・・いや、変わったぞ」
「え?」
「今ではれっきとした正真正銘の社畜だ」
「そ、そうなんだ」
「じゃ、行くか」
「うん」
・
・
・
”ザー、ザー”
・・・・・・雨・・・やまないな~
ここ数日ずっと降ってる。
それも土砂降り。
これじゃどこにも行けない。
少しでも遠くに行こうと思ったのに。
・・・もっと遠くに。
「・・・・・・うそ・・・つき」
ち、違う、本当だもん。
だ、だけどさ、雨じゃ仕方ないじゃん。
うん、仕方ない。
雨が止んだらわたしは、わたしは・・・
・
・
・
”ガチャ”
「よう」
「ゆきのん、大丈夫?」
「いらっしゃい由比ヶ浜さん。
大丈夫よ、来週から出社しようと思っていたところだから。
えっと~、そちらの方はどなたかしら?」
「お、おい」
「冗談よ。
比企谷君、あなたにも迷惑かけたわ。
ごめんなさい」
「ああ、まったくだ。
佐賀の出張先から何も言わずいなくなって、いきなり長期休暇申請だもんな。
会社では、変な噂で持ちきりだ」
「ええ、姉さんから聞いたわ」
「ヒッキー、変な噂って?」
「あ、い、いや、ま、まあ変なやつだ」
「んん?
ゆきのん知ってるの?」
「・・・・・・比企谷君が、あ、あの、強引に私を・・・その・・・あ、あの」
「強引に?
・・・・・・えっ、うそ!
ヒ、ヒッキーの馬鹿!
ちゃんとゆきのんに謝って!」
”ぽかぽか”
「ば、ばっか、噂だって言ったろ。
そんなことがあるわけないだろう」
「ほんとう?
何もなかったの?」
「あたりまえだ
俺の理性を見くびるな」
「由比ヶ浜さん、この男にそんな度胸があると思って」
「そ、そだね。
ヒッキーにはそんな度胸ないもんね」
「お、おい!
まったく。
それより雪ノ下、東地グループとの打ち合わせって来月だったろ」
「ええ」
「来週、もう一度佐賀に行くつもりだ。
嬉野の方とか回れなかったからな。
お前はどうする?」
「わたしは・・・・・・行けないわ。
会議の予定が入ってるから」
「そっか。
じゃ今度は一人で行ってくるわ。
あ、そうだ、洋館の調査は終わってたのか?
まだなら俺が 」
「終わったわ!!」
「「え?」」
「あ、ご、ごめんなさい。
洋館の調査はもう終わってるから。
大丈夫、そこは行かなくていい」
「そ、そうか」
「・・・・・・」
・
・
・
”ぐぉ~、ぐぉ~”
「お~い、グラサン入るぞ」
”ガチャ”
「グラサン、ちょっと振付でわからないところが・・・・・・って。
てめぇ、また今日も昼寝してんのか!」
”ぐぅあ~”
「いい加減に目を 」
「寝かせておきなんし」
「ゆうぎりねえさん。
だがよ、こいつここんとこ毎日ずっと寝てるだけじゃねえか。
あたし達のレッスン全然見に来ないでよ」
「幸太郎はん、毎晩ミカはんを探しに行ってるでありんす。
いつも夜になると出かけて、朝方までずっと」
「マ、マジか」
「マジでありんす」
「・・・・・・そっか」
”ペコ”
「グラサン頼む、必ずあの馬鹿探し出してくれ」
・
・
・
「じゃ、そろそろ俺帰るわ。
由比ヶ浜、お前はどうすんだ」
「あ、あたしは・・・
ね、ねぇゆきのん、今日久しぶりにお泊りしていい?
いろいろお話したい」
「えっ。
ええ、いいわ」
「よかった。
じゃあヒッキーをエレベータのところまで送っていくね」
「い、いや一人で帰れ 」
”ぐぃ”
「いいから。
ほら行くよ」
・
”スタスタスタ”
「ね、ヒッキー」
「ん?」
「ゆきの・・・・・・」
「なんだ?」
「・・・・・・うううん、何でもない」
「そっか。
由比ヶ浜、今日はすまなかったな」
「え、あ、うん」
「さっき言った通り会社で変な噂がたってるからな。
一人で雪ノ下のマンションに行くわけには・・・・・・
まぁなんだ、何かお礼しないとな」
「じゃ、じゃあさ、出張のお土産お願いね」
「お、おう。
何か希望とかあるのか」
「う~ん何がいいかなぁ~
あ、ひこにゃんのキーホルダーか何か。
あんまり高いのもなんだし」
「ひこにゃん?」
「え、あ、ほら兜被ってる犬のゆるキャラあるじゃん」
「・・・・・・由比ヶ浜、それ滋賀のゆるキャラだろ。
俺が行くのは滋賀じゃねぇ、佐賀だ佐賀。
それに犬じゃない、あれは猫だ猫!」
「へっ?
あ、い、い、いいじゃん、滋賀も佐賀もなんか似てるし!」
「まったく。
まぁ佐賀のゆるキャラといったら」
”カシャカシャ”
「こんなのどうだ、壺にゃん」
「う~ん」
「じゃこの唐ワンくんとか」
「ちょっとスマホよく見せて」
”ぎゅ”
「お、おまえ、ちか 」
「ん?」
「い、いや、なんでもない」
「ふ~ん。
あ、ほらこのゆっつらくん可愛い。
これがいいかなぁ~」
「お、お、そ、そ、そっかわかった」
「・・・ね、ヒッキー」
「あん?」
「いまドキドキした?」
「ば、ばっか、ドキドキなんてしてねえし」
「えへへ。
あ、エレベータ来たよ」
「おう」
「出張・・・気をつけてね」
「ああ」
「行ってらっしゃい」
「・・・・・・お、おう、行ってくる」
・
・
・
”ポツ、ポツ”
あ、雨やんできた。
そろそろ暗くなってきたし、もう行かないと。
いつまでもここにはいたらいけないんだ。
”すく”
さてと、とりあえず橋のとこまで登ってっと。
うんしょっと
”スタスタスタ”
『あったまワル~
だからヤンキーなんて嫌なんだよ』
・・・サキちゃんにひどいこと言っちゃったなぁ~
謝りたい。
愛ちゃんにも嫌なこと言っちゃった。
さくらちゃんや純子ちゃん、リリィちゃん、ゆうぎりさんにも嫌な思いさせた。
みんなに謝りたい。
でも、戻れないんだみんなのところには。
あの場所にはもうわたしの居場所はない。
もうわたしにはどこにも居場所はなんてないんだ。
”トボトボトボ”
・・・・・・わたし、なんでゾンビィなんかになっちゃたんだろう。
そのまま死んでいればよかったのに。
そうしたらこんな思いしなくてよかったのに。
もう疲れたよ。
”ズル”
へっ?
”ズルズルズル”
あ、雨で土手が濡れてるから。
げ、やばい
”ズデン!”
「ひゃー」
”ゴロゴロゴロ”
げ、こ、転がる~
あっ、い、石ー!
”ゴツン!”
「ぐはぁ~」
・
・
・
”ガチャ”
「ただいま~」
「え、あ、あのお帰りなさい、由比ヶ浜さん」
「さてっと」
”ドサ”
「由比ヶ浜さん?」
”ポンポン”
「・・・・・・ゆきのん、ここ座って」
「え? ええ」
「ね、本当は何があったの?」
「え、な、何がって?」
「洋館で何があったの?」
「あ、あの、い、犬に追いかけられて」
「それだけじゃないよね。
さっきのゆきのん、すごく変だった。
なんかわかるよ。
ね、洋館で何かあったの?」
「・・・・・・べ、別に」
「そう。
じゃいい、もう聞かない」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・ごめんなさい」
「ゆきのん」
「洋館で犬に追いかけられたのは本当の話。
でもそれだけじゃない。
あの時 」
「あの時?」
「犬に追いかけられた時だけど」
『お~い、ロメロ 』
「聞こえたような気がしたの、彼女の声が」
「彼女?」
ーーーーーーーー
「さて行くか」
”ガチャ”
「ん?」
「・・・・・・」
「そんなとこで何してるんじゃい、愛」
「・・・今日も探しに行くの」
「なんだ知ってたのか」
「わたしも行く」
「いや、いい。
それよりお前たちは 」
「ちゃんとレッスンはするつもり。
あんた言ったでしょ、ゾンビィに睡眠はいらないって。
それに今回の件は元はといえばわたしが原因。
だからわたしが・・・・・・」
「・・・だがメイクしている時間はないぞ」
「大丈夫。
この帽子とマスク、それにこのジャージ、名前入りで恥ずかしいけど
あんたが買ってきたこのジャージ着ていくから。
これなら肌の露出少ないし、下を向いていれば気付かれない」
「そうか」
・
・
・
”スタスタスタ”
「今日は商店街を抜けていくことになるが、大丈夫か」
「だ、大丈夫。
ね、あの馬鹿、まだここら辺にいると思う?」
「わからん。
だが、あいつもメイクしていないから動けるとしても夜間だけだろう。
移動手段も足しか無い。
だからそんなに遠くには行ってないはずだ」
「そうよね」
”びゅ~”
「あ、帽子!
ちょ、ちょっと待って」
”ガヤガヤ”
「愛、ちょっと待て。
人が来る」
「で、でも、このままじゃ」
”だき”
「ちょ、ちょっと、何を 」
「いいから、しばらく静かにしてろ」
「・・・・・・」
”スタスタスタ”
「本当なんですって大古場さん。
唐津神社に幽霊が出るって噂があるんですって」
「そんなものいつものヤラセかガセネタだろ。
いちいち取材なんて行ってられねぇ」
「え~、よかやないですか。
どうせ特集のネタに困っとーやけん。
行きましょうよ取材~」
「時間の無駄だ。
ん?
ったく、最近の若いもんはこんな路上でいちゃいちゃと」
「う、羨ましか。
俺も彼女ほしか~」
「おい、行くぞ」
「あ、待ってくれんね大古場さん。
取材よかとですから、誰か紹介してくれんですか」
”スタスタスタ”
「ね、今の聞いた?」
「・・・・・・」
「ちょ、いつまで抱き着いてるつもり!」
”ぐぃ”
「なんじゃい、照れてんのか。
愛ちゃんおぼこいの~」
「馬鹿!」
”ボゴ”
「ぐはぁ」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。
ね、今の聞いた?」
「じょ、冗談だろうが。
ああ、唐津神社だったな」
「噂になっているのだったら急がないと。
さっ、行くわよ」
”テッテッテッ”
「愛、そっちじゃない、こっちだ」
「し、知ってるわよ」
・
・
・
「カァ~、カァ~」
”バサバサ”
「ひゃっ」
「案外ビビリ―じゃの」
「ビ、ビビッてなんかない。
ちょっと驚いただけよ。
そ、それよりミカいないわね」
”キョロキョロ”
「やっぱりガセネタだったのかもな」
「・・・・・・」
「もうちょっと裏の方まで行ってみるか」
「そうね」
”ガサガサ”
「ひゃっ!
・・・ち、違う、何でもないから」
「愛」
「だから何でもないって言っ 」
「違う。
あれを見てみろ、境内のところだ」
「え?」
「う゛~、う゛う゛う゛~、うがー」
「ミ、ミカ!」
「あ゛ー、あ゛ー」
”ふら~、ふら~”
「あれって」
「ああ、目覚める前の状態に戻ってる」
「な、なんで」
「わからん。
だがこのままここにいて誰かに見つかったらまずい。
とにかく連れて帰るんじゃい」
「ええ」
”タッタッタッ”
「ミカ、帰ろ」
「あ゛ー、あ゛ー」
”ガチャン、ガチャン”
「え、ねっ、これ。
ミカの足首のとこに首輪?」
「ああ、犬の首輪だ。
そこの木に鎖でつながれているようだな」
「だ、誰がこんなことを」
「わからん。
だが、」
”キョロキョロ”
「・・・誰もいないようだな。
急いで連れて帰るぞ。
それと、このことは誰にも言うな。
わかったな」
「ええ」
”ジタバタジタバタ”
「あ、暴れないでミカ。
今この首輪取ってあげるから」
「うがー、うがー」
”バタバタ”
「ミカ、大人しくして!
ちょ、ちょっとあんたも手伝いなさいよ」
「ほれ」
”パク”
「よしよし、いい子じゃい。
少し大人しくしてろ」
「あ゛ー」
”ガチャン”
「よし外れた」
「え、な、なんで?」
「決まっとるじゃろ。
ゾンビィにはゲソじゃい。
これ食べさせておけば静かになる。
ほら愛ちゃんも、あ~ん」
「馬鹿!」
”ボカ”
「ぐはぁ!」
「まったく」
「な、なんじゃい、もうやらんからな、ゲソ」
「いらないわよ!
ほら、さっさと帰る 」
”ギ~コ、ギ~コ”
「ちょ、ちょっと待って。
あれ、警察」
「ふむ、とにかくどこか隠れる場所・・・・・・」
””キョロキョロ”
「隠れる場所なんて。
・・・・・・!」
”バッ”
「これ貰うわよ」
「ゲソなんかどうするんじゃい?」
「ミカ、ほらゲソ、ゲソよ」
「あ゛ー」
「とってきなさい」
”ぽ~い”
「あ゛う、あ゛う!」
”ダー
「よし。
あとは」
”だき”
「ん、な、何の真似だ」
「いいから、さっきのように恋人のフリして」
「ん、あ、ああ」
”ぎゅ”
「ん、お~い、こんな時間に何してるのかなぁ~
さっさと帰らないと逮捕しちゃうぞ。
うん、これ逮捕だな逮捕」
「愛、こっちに来るぞ。
ミカを連れて逃げだ 」
”ドン!”
「へ?」
「きゃ~、お巡りさんこの人チカンです」
”へなへな”
「いきなり抱き着かれて、いろんなとこ触られて。
お願いです、逮捕してください。
うわ~ん」
「チ、チカン!
おいこら、お前逮捕だ。
これ現行犯逮捕だな」
「あ、い、いや、あの」
「うわ~ん、うわ~ん、ううううう」
「ほらこの娘、しゃがみこんで泣いてるじゃないか。
許せないんだなこれは!」
”ガチャン”
「げ、手、手錠」
「怖いです。
さ、さっさとこの男、交番へ連行してください。
お願い!」
「わ、わかった。
ほら、お前いくぞ」
”ぐぃ、ぐぃ”
「い、いや、ちょっと」
「うるさい。
話があるのなら交番でじっくり聞いてやる。
さっさとこい!」
「あ、あの、ち、違う 」
”ズルズルズル”
「ふぅ~、行ったわね。
さてと、今のうちにミカを連れて帰らないと」
・
・
・
”ドタドタドタ”
「愛! マジか、あいつ見つかったのか!」
「ミカさん」
「う゛う゛う゛、うが~!」
”ふら~、ふら~”
「な、なんだ、これどうなってんだ」
「愛ちゃん、これって」
「神社で見つけたらこうなってたの。
ミカ、目覚める前の状態に戻ってるって巽が」
「そんな」
「・・・さくら、あたし達はライブで目覚めたって言ったよな」
「あ、う、うん」
「なら、あたし達にできることは決まっとる」
「わたし達にできること?」
「行くぞ、愛、さくら」
「え、サキちゃんどこに」
「決まっとるやろうが。
・・・・・・ダンススタジオだ」
・
・
・
「みんな、円陣組むぞ。
さくら、さっさとCDプレイヤーおいてこっち来い」
「あ、うん」
”ガシッ”
「あのダンスバトル、間違いなくあたし達の負けやった。
あたしは、負けっぱなしのままなんて我慢できねぇんだ」
「サキちゃん」
「だから、だからあの馬鹿、あたし達のダンスと歌でぜってぇ目覚めさせてやる」
「わたしも!
好き勝手やって出て行ったミカには言いたいことが山ほどある。
だから必ず目覚めさせる!」
「愛ちゃん」
「・・・わたしは、ミカさんが淹れてくれた紅茶がまた飲みたいです。
それに美味しい紅茶の淹れ方教えてくれるという約束は必ず守ってもらいます。
だから、きっちり目覚めてもらいます」
「純子ちゃん」
「ダンス教えてくれた時のミカちゃん、すっごくやさしかった。
それにうまくできた時、たくさん褒めてくれたの。
とっても嬉しかった。
リリィ、ミカちゃんともっとお話ししたい。
だから、ミカちゃんに目覚めてもらいたい」
「リリィちゃん」
「あ゛あ゛あ゛、う、う、う」
「たえちゃん」
「わちきは一度ミカはんとじっくりお酒飲みたいと思ってたでありんす。
大人の女同志いろいろと話したいこともありましたからな。
だからミカはんにはきちんと目覚めてもらうでありんす」
「ゆうぎりさん」
「さくら、お前はどうなんだ」
「わたし、ミカさんのダンス見て負けたと思った。
わたしのアイドルになりたいって想いがまだまだ甘かって思い知らされた。
だからあれから今日まで絶対負けられんと思ってがばい練習した。
練習してわかった。
わたしは、わたしは絶対本物のアイドルになりたかって!
わたしのこの想い、ミカさんに伝えたい。
だから絶対に目を覚ましてもらうけん」
「・・・さくら」
「あ、それはそうと、ミカはんがこのまま戻らないのであれば、
今度から身体のメイクも幸太郎はんにやってもらうしかありませんな」
「「はぁっ!」」
「お、お、おい、絶対目覚めさせっぞ!」
「う、うん」
「絶対!」
「頑張りましょう!」
「巽やだー」
”ガチャ”
「あ、あ、あ、愛ー!!
お前、なんてことしてくれたんじゃい。
おかげで、おかげでひどい目にあったじゃろうが、このボケー!」
「グラサン、音楽スタート!」
「へ、あ、あの~」
「グラサン!」
「はい」
”カチャ”
「目覚めRETURNAER 願えばいいんだ♬」
・
「あ゛あ゛あ゛・・・う゛・・・あ゛ー」
”ふら~、ふら~”
「え~い、おとなしくあいつらのステージを見ろ」
”ガシ”
「うがー、うがー」
”ドタバタ、ドタバタ”
「本物のアイドルっていうにはまだまだほど遠いが、
あいつらなりに必死にお前を目覚めさせようとしている。
よくその目で見るんじゃい」
”ぐぃ”
「うが」
「目指せ目指せ、最上! 最良!
怖いものなどない! ナイ! ナイ♬」
”シュパッ、シュパッ”
「うがが・・・うが・・・う・・・うう・・・ううう」
「な、涙?
お前泣いてるのか、も、もしかして目覚め 」
”ガブ”
「うぉぉー」
”ガブガブ”
「ええ~い、頭を離さんかい!」
「うが」
・
「刹那のソウルにCutIN♬」
「はぁ、はぁ、はぁ」
「あ゛・・・う゛う゛・・・う゛う゛う゛・・・」
「お前にはあいつらの思いが伝わっているんだろう。
さっきから流してるその涙が証拠じゃろうが」
「う゛、う、う」
「なら、いつまでそうやって眠っているつもりだ!
え~い、いい加減に目を覚まさんかい三ヶ木美佳ー!!」
「・・・う?
・・・う゛・・・・・・う・・・うがー!!」
”ドタバタドタバタ”
「うがー!」
「お、おい何しやがったんだグラサン!」
「何もしとらん」
「そんなわけねえだろう。
こいつがばい苦しんでるやなかと!」
「・・・・・・」
「うが!、うが!、う゛がー!」
「ミカさん、落ち着いて」
「ミカ!」
「うが、うが・・・うが!!」
”バタ”
「「・・・・・・」」
「お、おい、さくら、もしかして、し、死んだのか!」
「ミカさん!」
「・・・・・・う゛」
「どうなんださくら!」
「いやもともと死んではいるんだけど、死んでないというか。
あ、でも死んでるから、え、えっと~」
「どっちなんだ」
「あ、あの、う、動いとる!」
「そ、そっか、死んでねぇんだな」
「いや死んでるけど」
「・・・・・・。
え~い、せからしかー
よし、みんな次の曲いくぞ」
・
・
・
”トボトボトボ”
あれ、ここどこだ?
なんかどっかでみたような景色。
あ、あれ、あの家!
”タッタッタッ”
うん、この家なんか見たことがある。
この綺麗に整理された花壇とか、補助輪のついたちっちゃな赤い自転車。
そして
『打ったー、ホームラン!』
家の中から聞こえてくる野球中継の声。
うん、なんか憶えがある。
”ガチャ”
へ、な、何してんのわたし。
勝手に家のドア開けて。
で、でも・・・
「お邪魔しま~す。
どなたか 」
『あ、おねえちゃ~ん!』
へ?
”ドタドタドタ”
ん、なに?
なんかちっちゃい子がこっち向かってくるんだけど。
え、おねえちゃん?
今、おねえちゃんって言った?
『おねえちゃん、お帰りなさ~い』
「あ、あの~」
『お帰り』
「う、うん、ただいま」
『ね、ね、おねえちゃんあそぼ!』
えっとやっぱりわたしのことおねえちゃんって。
あ、でもほら、ちっちゃい子から見たらわたしおねえちゃんだから。
きっとそうだ、そういうことなんだ。
『おねえちゃん?』
「あ、な、何でもないよ。
えっと~何して遊ぶ?」
『えっとね、プリキラーごっこ!』
「うん」
・
・
・
「ぐはぁ~、やられた~」
『やった、やった』
へへへ、なんかすごく楽しい。
それになんだか懐かしくて。
なんでだろう。
ずっとこうやって遊んでいたい。
”すぅ~”
え、あれ?
この子、なんか薄くなってきてない?
ほ、ほら、足なんか透けて床が見えるんだけど。
「あのさ、なんか身体が透けてきてるよ」
『え?
あっ!
・・・・・・そ、そっか、もう時間なんだ』
「え、時間?」
『うん、もうおねえちゃんが帰る時間』
「えっと~、帰る時間って?
わたしまだ帰りたくない。
ここで一緒に遊んでいたい」
『おねえちゃんは帰らないといけないよ』
「な、なんで?
だってわたしここが楽しい。
ずっとここにいたい。
こうやって一緒に遊んでいたい」
『・・・ここは死んだ人の世界。
おねえちゃんは死んだけど、まだ魂はこっちに来ていない。
きっと向こうの世界でやり残したことがあるから。
だから、まだこっちの世界にはいられないの』
「・・・やり残したこと、やり残したことって何?
わたしにはわからない。
ね、教えて。
わたし何をやり残したの?」
『大丈夫、おねえちゃんはわかってる。
何をやり残したのか、きっと思い出せる。
だから 』
「やだ!」
『おねえちゃん!』
「だって、だって・・・・・・
もうわたしに帰るとこなんてない」
『大丈夫、みんなは許してくれてるよ。
きっとおねえちゃんが帰ってくるの待ってる』
「・・・・・・で、でも」
『おねえちゃん、わたしはおねえちゃんのこと大好き。
いっぱいいっぱい大好き。
本当はもっとずっとずっと一緒にいたい」
「・・・・・・」
『でも、でも我慢して待ってる。
だって今のままじゃ、おねえちゃんいつまでも彷徨い続けることになるから。
だから、ここでいい子にしておねえちゃんのこと待ってるね』
「わたしも!
わたしも美紀のこと大好き!」
『おねえちゃん!
美紀のこと、美紀のこと思い出してくれたんだ。
うれしいー 』
「えっ?
あっ!」
そ、そうだ。
この子、わたしの妹。
どこに行くのも、なにもやるのもいつも一緒で。
わたしが学校から帰ると、さっきみたいに玄関まで全力で走ってきて、
そんでめいっぱいの笑顔で言うんだ、
『おねえちゃんお帰り。
ね、あそぼ』
って。
とってもとってもかわいくて大切だった妹。
でも、わたしの所為で、わたしの所為で・・・・・・
わたしが馬鹿だったから。
『ありがとう、おねえちゃん♡』
”すう~”
「ま、待って!
美紀、美紀ー!」
・
・
・
「「立ち止まった日々に笑顔で手を振り♬
新しい夢見よう♬
ヨミガエレ~♬
ヨミガエレ~♬ 」」
”シュパッ”
「「はぁ、はぁ、はぁ」」
”タッタッタッ”
「ど、どうだグラサン」
「・・・・・・」
「まだ目覚めねえのか。
よし、みんなもう一回初めの曲から」
”ズカズカズカ”
「ん、あ、愛?」
”ぐぃ”
「はぁ、はぁ、はぁ。
いい加減に目を覚ましなさいよ!」
”ゆさゆさ”
「愛ちゃん落ち着いて」
んん、ん~
へ、あ、愛ちゃんとさくらちゃん。
あ、サキちゃんやみんなも。
えっと、あれ、ここってダンススタジオ?
わたしなんでここに?
”フリフリフリ”
「どれだけわたし達が心配してると思うのよ」
愛ちゃん泣いてる。
・・・え、え~と、確かわたし橋のところで石で頭打って。
なんかよくわからないけど、みんな心配してくれてる。
・・・・・・謝らないと、うん、ちゃんと謝らないと。
だって、わたしはみんなと一緒にいたい。
で、でも、何て言えばいいんだろう。
目覚めたよ~
い、いや、そんな雰囲気じゃない。
なんかみんなすごく重い雰囲気だし。
”ブン!”
へっ?
「なんで、なんで目を覚まさないの!」
「あ、愛、お、落ち着けって」
”ブンブンブン”
あ、愛ちゃんそんなにゆすらないで。
頭が、頭がくらくらって・・・
うぷっ!
や、やば、なんか気分悪くなってきた。
も、もうやめで~
「あ、あの、も、もう、め、目覚まし 」
「このバカー」
”ブン!!”
「ひゃっ」
”スポッ”
「あ、頭!」
「飛んでった~」
「あらあら」
「ひぇ~」
”ひゅ~”
「幸太郎さん、そっちにミカさんの頭が。
キャッチして」
「任せんかい!
とぉー」
”ガシッ”
「ど、どんなもんじゃい」
「ナイス、グラサン!」
も、もうだめ、限界・・・・・・うぷっ。
「ぐうぇー」
「ぐわー、や、やめんかい、や、やめー」
・
・
・
”トントントントン、トントントントン”
げ、巽さん凄く怒っていらっしゃる。
さっきからあっち向いて机をトントンって。
うへぇ~話しかけにくい。
で、でも、
「あ、あの~」
”ギロ!”
ひゃ~、睨まれた。
し、仕方ないよね。
だって、我慢できなくてシャツの上に・・・・・・しちゃったもんね。
「・・・・・・え、えっと」
「このボケー」
「ご、ごめんなさい。
あんなに頭振り回されたから我慢できなくて」
「そんなことを怒ってるんじゃない。
なんで黙って家を出て行った」
「・・・・・・巽さん」
「お前の居場所はここだ、ここしかないんじゃい。
どれだけあいつらが心配してたと思うんじゃい」
「・・・・・・ごめんなさい」
「ここにはお前のことを真剣に心配してくれる仲間がいる。
お前のために必死になってくれる仲間がいる。
・・・お前のために泣いてくれる仲間がいる。
だから」
「・・・だから?」
「もうどこにも行くなミカ」
「う、うん」
「わかったらもういい。
あいつらが待ってる。
さっさと謝ってこい」
「はい。
・・・・・・巽さん」
「なんじゃい」
「ありがと。
じゃ、行ってくる」
「ああ」
”ガチャ”
「「うわー」」
”どたどた”
「サキちゃん、さくらちゃん、愛ちゃん」
「ば、馬鹿、だから押すなって言ったろ」
「だってリリィも心配だったんだもん」
「お怪我無かったでありんすか?」
「う゛う゛う゛」
「リリィちゃん、ゆうぎりさん、純子ちゃん、それにたえちゃんも。
・・・・みんな」
”ペコ”
「みんなごめんなさい。
・・・・・・ただいま」
最後までありがとうございます。
無事ミカも洋館に戻ることができ、また少しだけ記憶も。
一方、八幡がまたしても佐賀に。
次話、第一章最終話、嬉野温泉編です。
二人は出会うことができるのか、それとも・・・・・・
あっ! すみません、その前に番外編の予定です。
嬉野温泉編はその後で。
また見に来ていただければありがたいです。
ではでは。