ゾンビランドミカ   作:裏方さん

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見に来ていただきありがとうございます。
大変ご無沙汰いたしました。

今話から本駄作の第二章です。
前話にてとうとう美佳をみつけた八幡は・・・
一方、美佳の身の回りにも不穏な・・・

ではもしお時間がありましたらよろしくお願いします。



第二章 再会と・・・そして始まりと
それぞれの想い


「・・・・・・そこにいたのか」

 

”ガタッ!”

 

「やっと、やっと見つけた」

 

”スタ、スタスタ”

 

「待ちなさい!

 仕事中にどこに行く気なのかしら」

 

「・・・雪ノ下、やっと見つけたんだあいつを。

 俺、俺は 」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・ふぅ。

 いいわ、あとは私がやっておく」

 

”ガチャ”

 

「すまない」

 

”タッタッタッ”

 

「・・・・・・」

 

”カチャ、カチャカチャ”

 

「・・・・・・そう、あなたやっぱり佐賀にいたのね」

 

     ・

     ・

     ・

 

”シュパッ、シュパッ”

 

「「届け、届け 熱い気持ち♬

  奏でるソウルにCut IN♬ 」」

 

へぇ~、みんな歌もダンスもすっごく上手になってる。

ゲリラライブの時が嘘みたい。

ダンスの息もぴったりでさ、ほんと雰囲気が変わった。

みんなすっごくイキイキしてる。

・・・・・・ゾンビィなのに。

 

「「ビシッと変えたい このChanging♬

  ステップやめない このDancing♬ 」」

 

「・・・何かあったのかなぁ」

 

「・・・うががうががが」

 

「・・・・・・少し羨ましい」

 

「・・・・・・うが、うがががが」

 

「・・・・・・へ?」

 

「・・・・・・うが?」

 

「た、たえちゃん!」

 

「うが」

 

「いないと思ったら、ここでなにしてるの。

 みんなと一緒にレッスン  」

 

”ムシャムシャ”

 

「あ゛ー!

 ま、また勝手にゲソ食べてる。

 いつの間に取ってきたの、しかも袋ごと。

 駄目だって、勝手に食べちゃ。

 ほら、ゲソ返しなさい」

 

「う゛がー!」

 

「う゛がーじゃなくて。

 勝手に食べたら、またわたしが巽さんに怒られるんだからね」

 

「うが!」

 

”ガブッ”

 

「げ、袋ごと食べたー

 吐き出しなさい!

 袋ごと食べたら死んじゃうから」

 

「うがうが」

 

「ほ、ほら口開けて。

 う~ん」

 

”ぐぃ~”

 

「うががが、うががが」

 

「「刹那のソウルに Cut IN♬」」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、それじゃ少し休憩しましょう」

 

”スタタタタタ”

 

「はぁはぁ、今のどがんでしたミカさん」

 

「たえちゃん、袋出して~」

 

「ミカさん?」

 

「え、あ、さくらちゃん。

 ごめんね、ちょっとたえちゃんが。

 あ、うん、ダンスとか完璧、ばっちりだったよ。

 みんなの息もあってるし、動きもキレキレだったし。

 なにも言うことなかったよさくらちゃん」

 

「本当!

 よかった~」

 

「・・・・・・ね、さくらちゃん。

 なにかあった?」

 

「え?」

 

「あ、いや~気の所為かもしれないけど。

 なんかみんなの雰囲気が変わったような気がして」

 

「あ、うん。

 あのね、嬉野温泉のイベントの前にみんなでフランシュシュのこれからのことを

 話し合ったと。

 それでみんなでアイドルのトップ目指して頑張ろうってことになって。

 なんかさ、ああやってみんなで話し合ったの初めてで、がばい良かった」

 

「そうなんだ」

 

「お~いさくら、次の曲やんぞ」

 

「あ、は~い。

 じゃ、またあとで」

 

「うん、頑張って」

 

”スタスタスタ”

 

「・・・・・・みんなで・・・か」

 

「・・・・・・うが・・・が」

 

「・・・はぁ~」

 

「・・・うが~」

 

”ムシャムシャ、ゴクン”

 

「んっ!

 あ、たえちゃん、飲み込んだらだめー

 ほら袋吐き出して!」

 

     ・

     ・

     ・

 

「どういうつもりかしら。

 今日の当番は姉さんだったはずよ」

 

「えー、だってしようがないじゃん。

 お仕事もう少しかかりそうなんだもん。

 と、いうわけで雪乃ちゃん食事の準備よろしく」

 

”プー、プー、プー”

 

「あ、ね、姉さん!

 ・・・・・・まったく、昨日も同じこと言ってたじゃない。

 はぁ~、なにか食材買って帰らないといけないわね」

 

”コツコツコツコツ”

 

「・・・・・・今頃、もう大阪あたりかしら」

 

”コツコツコツ、コツ、コツ”

 

「・・・・・・これでよかったのよね、きっと」

 

”ブ~、ブ~、ブ~”

 

「え、由比ヶ浜さん?」

 

”カシャ”

 

「もしもし」

 

「やっはろー、ゆきのん。

 ね、もうお仕事終わった?」

 

「え、ええ。

 今、もうすぐ駅に着くところだけれど」 

 

「あのね!

 今日、会社の帰りに偶然いろはちゃんと会ったの。

 それで今からお食事に行くところなんだけど。

 ね、ゆきのんも一緒にどう?」

 

「え、あ、わ、わたしは 」

 

『と、いうことで雪乃ちゃん食事の準備よろしく』

 

「はぁ~」

 

「ゆきのん?」

 

「由比ヶ浜さん せっかくだけど 」

 

「雪乃先輩、お久しぶりでーす!

 お食事行きましょ。

 わたし、雪乃先輩といっぱいいろいろお話したいです」

 

「一色さん。

 ・・・・・・そうね。

 わかったわ、行きましょう」

 

「やったー

 あ、そうだ。

 雪乃先輩、もしかして先輩もご一緒ですか?」

 

「いえ、比企谷君は今頃

 はっ!」

 

「え、雪乃先輩?」

 

「・・・・・・ど、どうして?」

 

「もしも~し」 

 

「ごめんなさい。

 後から必ず連絡するわ」

 

”プー、プー、プー”

 

「・・・・・・」

 

”カツ、カツカツカツ”

 

「こんなところで何をしてるのかしら」

 

「え、あ、雪ノ下。

 い、いや、ま、まぁその、なんだ」

 

「あなた、佐賀に行ったんじゃなかったの」

 

「・・・・・・」

 

「比企谷君!」

 

「あ、あのな、ほ、ほら、東地グループとの打ち合わせって明後日だろ。

 や、やっぱり仕事を途中で投げ出すなんてって思ってな。

 それで 」 

 

「・・・そう。

 わかったわ」

 

「・・・」

 

「つまりあなたは上司の私を騙して仕事をさぼったというわけね」

 

「いや、さぼったわけじゃ」

 

「これは懲罰の対象になるわ。

 そうねお給料の30%カットってとこね」

 

「お、おい、別に騙したわけじゃ」

 

「あら、反省もしてないようね。

 それに無理やり上司に仕事を押し付けたって、そこも考慮する必要があるわ。

 ・・・50%カット」

 

「い、いや、それはお前が」

 

「それともクビがいいかしら」

 

「・・・・・・」

 

「クビが嫌なら本当のこと言いなさい」

 

「・・・・・・」

 

「比企谷君!」

 

「・・・・・・怖くなった」

 

「え?」

 

「怖くなったんだ、あいつに会うのが。

 はは、本当おかしいよな。

 あいつが急にいなくなって、その理由がわからなくて。

 ちゃんと会って、ちゃんと理由聞いて、それでちゃんと・・・・・・

 ずっとずっとそのことばっかり考えていたのに。

 それなのに、いざ居場所がわかったってなったら、

 やっと会えるかもしれないって思ったら急に・・・・・・怖くなったんだ」

 

「怖くなった?」

 

「あいつは、あいつなら俺は何も疑わず信じられるって思ってた。

 でもそれは俺の勝手な思い込みで、俺だけがそう思ってただけで、

 本当はあいつも他のやつと一緒で。

 ・・・・・・怖いんだ、あいつに裏切られったってことになるのが。

 はは、おかしいよな。

 希望を持たず、心の隙を作らず、甘い話を持ち込ませず、ボッチ道を極めた

 俺なのに、あいつと出会って、付き合って、一緒に暮らす中で、

 いつの間に人間強度がリア充並みに低下してしまってた。

 ・・・今の俺では耐えられないのかもしれない。

 だから、だったらやっぱり会わない方がいいんじゃないかって」

 

「・・・・・・」

 

「なぁ雪ノ下 」

 

”バシッ!”

 

「ぐはっ」

 

”どさ”

 

「雪ノ下、何を」

 

「あまり私の親友を貶めるようなこと言わないでいただけるかしら。

 あなたの目、その目はやっぱり死んだ魚の目なのね。

 三ヶ木さんのあなたへの想いを信じられない、そう思うなら思いなさい。

 そんなあなたは一生、誰一人信じることはできない。

 お望み通り、孤独の人生を歩みなさい」

 

「雪ノ・・・下」

 

「・・・ね、比企谷君。

 思い出してほしいの。

 彼女の行動には必ずなにかしら理由があった。

 そしてその理由はいつも大事な人を守るため。

 そのため進んで自らを・・・・・・

 だから私は、そんな彼女だったから・・・だから私は!」

 

「ゆ、雪ノ下」

 

「・・・そんなのあなたが一番よく知ってるはずじゃない」

 

「・・・・・・」

 

「いいから、佐賀に行きなさい。

 彼女に会いなさい。

 そして・・・理由を聞きなさい。 

 そうでないと、あなたはきっと後悔する」

 

「雪ノ下」

 

「私の親友を信じてあげて」

 

「・・・・・・わかった」

 

「そう。

 それなら今からでも 」

 

「いや、佐賀に行くのは東地グループとの打ち合わせの後だ」

 

「比企谷君、あなた 」

 

「打ち合わせ終わったら、少し休み取らせてくれないか?

 必ずあいつに会って、理由を確かめてくる」

 

「・・・あなた、入社してから有休をまったくとっていないって

 人事部で問題になってるわ。

 この際、こっちの問題も解消しなさい。

 申請は私がしておいてあげる」

 

「すまん。

 ・・・・・・雪ノ下」

 

「なにかしら?」

 

「ありがとう」

 

「・・・・・・馬鹿。

 あ、その代わり」

 

「その代わり?」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ドン!”

 

「まだ見つからないだと!」

 

「は、はい」

 

「あれからどんだけ経ってると思うんだこの役立たずが」

 

「し、しかし古怒田さん、この写真だけじゃ」

 

「ああん!」

 

「い、いえ、なんでも・・・」

 

「いつも大金渡してるんだ、それなりの働きをしろ」

 

「はい。

 ・・・・・・あ、あの~」

 

「なんだ?」

 

「この化け物は見つけられませんでしたが、ちょっと耳に挟んだことが」

 

「ん?

 なんだ言ってみろ」

 

「あ、はい。

 嬉野温泉で噂になってるんですが」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ゴクゴク”

 

「う~ん、美佳先輩といえばそう見えないこともないけど。

 この画像じゃ小さくてよくわからないですね。

 拡大してもぼやけてるし」

 

”パクパク”

 

「それにこの人眼鏡してないじゃん。

 美佳っちいつも眼鏡してたから、その印象が強くてちょっとわからないかも。

 ヒッキーはわかるの?」

 

「いつも眼鏡してたわけじゃないだろう。

 普通に寝る時は外してたし、あ、それに風呂入ってる時も眼鏡してなかったし。

 だからよくシャンプーとリンス間違えてな」

 

「「・・・・・・」」

 

「え、あれ?」

 

「・・・ヒッキー」

 

「・・・一緒にお風呂入ってたんですね」

 

「・・・馬鹿」

 

”ガシガシ”

 

「まぁ、まぁなんだ。

 ・・・・・・根拠なんてないんだ。

 だが、俺にはわかるんだ、これはあいつだってことが」

 

     ・

     ・

     ・

 

”キュキュ、キュキュ”

 

『あのね、嬉野温泉のイベントの前にみんなでフランシュシュのこれからのことを

 話し合ったと。

 それでみんなでアイドルのトップ目指して頑張ろうってことになって。

 なんかさ、ああやってみんなで話し合ったの初めてで、がばい良かった』

 

”ジャー”

 

・・・・・・みんなでってなんだよ。

わたしはみんなには入っていないのかよ。

 

「・・・・・・」

 

”ゴシゴシ”

 

・・・ほんとはさ、わかってんだそんなの。

わたしはアイドルじゃないから、みんなと同じ目標なんて。

・・・なら、わたしは、わたしの目標って。

わたしは何をやりたいんだ。

 

”スッ”

 

「あっ!」

 

”ガチャン!”

 

や、やっちゃった。

このお皿、巽さんのお気に入りだったのに。

 

「あ~あ、また怒られちゃう」

 

”カチャカチャ、カチャカチャ”

 

『お前にしか出来ないことがあるはずだ』

 

って、巽さん言ってたけど。

わたしにしかできないことってなんなんだ。

・・・・・・わかんないよそんもん。

第一、わたしってなにもんなのかもわからないのに。

ミカって名前も巽さんが。

・・・わたし、誰なんだよ。

 

「はぁ~」

 

兎に角、まずはお皿片付けないと。

 

”カチャカチャ”

 

「ん、あっこれ」

 

”ひょい”

 

へへ、ほんと禍々しいやこのデザイン。

マックスコーヒーっか。

めっちゃ甘くて、なんかすごく懐かしい味がしたんだ。

 

『これ、千葉の誇るソウルドリンクですので。

 俺も大好物です』

 

・・・千葉か~

あっ、もしかしたら千葉に行ったらなにか思い出せるかも。

そんで、もしかしたらわたしが何者で、そして何をしたいのかも。

それにもしかしたらあの人にもまた・・・ 

 

『ま、また会えるといいですね』

 

”カァー”

 

ま、まただ。

なんだろう、あの人のことを思うと顔がこんなに熱くなって、

そんで胸がドクンドクンって高まって、キュッって苦しくなる。

そう、この指輪を見ている時みたいに。

・・・・・・もう一度会いたい、あの人に。

だからわたしは

 

「行ってみたい、千葉に」

 

「千葉がどうかしました?」

 

「へっ!

 あ、じゅ、純子ちゃん。

 い、い、いや、べ、別に何でもない、何でもない。

 そ、そ、それよりどうしたの?」

 

「あ、あの、紅茶を 」 

 

「紅茶?

 うんわかった。

 お皿片付けてから淹れるからちょっと待ってて」

 

「いえ、そうではなくて。

 もしお時間よろしければ、美味しい紅茶の淹れ方教えて頂けませんか?」 

 

「え、紅茶の淹れ方?

 あ、そうだ約束してたっけ。

 いいよ、ちょっと待っててね」

 

     ・ 

     ・

     ・

 

「お客さん、タクシー来ましたよ」

 

「あ、すみません。

 ゆきのん、ほら帰るよ」

 

「う、うううう」

 

”ふらふら”

 

「由比ヶ浜、大丈夫か?」

 

「うん大丈夫。

 それじゃ、あたしゆきのん送っていくから、いろはちゃんをよろしくね」

 

「おう。

 あ、そうだ由比ヶ浜」

 

「ん?」

 

「これ渡しておくわ。

 頼まれてた出張のお土産。

 なんか渡しそびれてたからな」

 

「あ、ゆっつらくんのキーホルダー。

 憶えてくれてたんんだ。 

 ありがとうヒッキー」

 

「おう」

 

「・・・・・・あ、あのねヒッキー」

 

「ん?」

 

「・・・よかったね」

 

「ああ。

 じゃ、またな」

 

「うん。

 またねヒッキー、いろはちゃん」

 

「はい、結衣先輩もお気をつけて」

 

”スタスタスタ”

 

「さてっと、俺達も帰るか」

 

「う~ん」

 

「大丈夫か一色」

 

「大丈夫じゃないみたいです。

 少し飲み過ぎました。

 先輩、すみませんがおんぶして下さい」

 

「は? はぁー!

 断る、断じて断る」

 

「なんでですか!

 こんなかわいい後輩を置いてさっさと帰る気ですか。

 気分が悪くて動けない後輩を一人残して」

 

「いや、し、しかしだな」

 

「一人残されたわたしがどうなると思うんですか。

 きっとどこかに無理やり連れ去られて、あんなことやこんなことを。

 そうなったら、先輩、責任取ってくださいね」

 

「わ、わかった。

 ほら、さっさと乗れ」

 

「へへ、ありがとうございま~す♡」

 

”どさ”

 

「お、おも 」

 

”パシッ”

 

「いて」

 

「今何か言いました?」

 

「い、いや、なにも。

 じゃ帰るぞ」

 

「は~い」

 

”ゆさ、ゆさ”

 

”むにゅ”

 

「・・・・・・あ」

 

”ゆさ、ゆさ、ゆさ”

 

”むにゅ、むにゅ”

 

「・・・・・・う」

 

”ゆさゆさゆさ・・・ゆさ”

 

”むにゅむにゅむにゅ・・・むにゅ”

 

「・・・・・・」

 

「・・・先輩、わざと揺らしてますよね」

 

「え!

 あ、い、いや、そ、その 」

 

「・・・・・・いいですよ。

 このまま大人の関係になっても」

 

「お、大人の関係・・・」

 

”ごくっ”

 

「はっ!

 ば、ばっかお前」

 

「げ、本気にしたんですか。

 マジキモいんですけど」

 

「ち、くそ!」

 

「先輩」

 

「ああん」

 

「・・・・・・雪乃先輩のあんな姿、初めて見ました」

 

「・・・ああ」

 

「先輩、少しは雪乃先輩のことも気をかけてあげて下さいね」

 

「そうだな」

 

「それと結衣先輩のこともですよ」

 

「ああ」

 

「・・・・・・・・・・・・わたしのことも」

 

「え?」

 

「な、なんでもないです!

 あ、あともう一つお願いがあります」

 

「断る!」

 

「即答!

 いいんですか、わたしの胸の感触楽しんで、あんなことやこんなことしたって

 雪乃先輩と結衣先輩にチクっちゃいますよ」

 

「お、おい、なんだあんなことやこんなことって。

 ・・・・・・で、なんだ」

 

「先輩。

 ・・・美佳先輩、見つけたら一番に教えて下さい」

 

「一色」

 

「まったく、高校の時からいっつも好き勝手ばっかりやって!

 どれだけわたしが・・・

 だから、だからわたしは・・・・・・今度こそいっぱい怒ってあげるんです!」 

 

「・・・わかった」

 

「お願・・・い・・・しま・・・す・・・・・・ね・・・」

 

”す~、す~”

 

「へ、お、おい一色」

 

「くぅ、くぅ」

 

「マジか」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ゴクゴク”

 

「何か違います」

 

「へ、あ、いや、美味しいよ。

 これはこれで十分に美味しいから」

 

「いえ、ミカさんがいつも淹れてくれる紅茶に比べたらやはり何か違います。

 もう一回、初めからお願いします」

 

「う、うん。

 それじゃお湯を沸かすところから」

 

     ・

     ・

     ・

 

「それじゃ、その沸騰したお湯を勢いよく注いで。

 勢いよくがポイントね」

 

「はい!」

 

”ジョボジョボ”

 

「こ、こんな感じでよろしいでしょうか?」

 

「うん。

 そしたらすぐ蓋をして、あとはじっくりと蒸らすだけ。

 ほら、茶葉がポットの中で浮き沈みしてるでしょ。

 これが美味しい紅茶のコツ!」

 

「あ、はい。

 浮き沈みしてます」

 

”ジー”

 

へへ、純子ちゃんポットの中をじっと見てる。

なんかめっちゃ可愛い。

やっぱり昭和のトップアイドルはゾンビィになっても違うね。

昭和っか。

そういえば、純子ちゃんこう見えてわたしよりずっと年上なんだよね。

あ、でも確か純子ちゃん19歳って言ってたから、わたしのほうが年上?

えっと、この場合どうなるんだ?

う~ん。

 

「あ、あの~ミカさん、何か?」

 

「え、あ、なんでも」

 

「そろそろでしょうか?」

 

「あ、うん、そだね。

 それじゃカップに」

 

「はい」

 

”とぽとぽとぽ”

 

「あとは、この最後の一滴が大事なんですね」

 

「そうそう。

 これが大事なんだ、このゴールデンドロップが」

 

”ちょぽ~ん”

 

「それでは頂きましょうか」

 

「うん、いっただっきま~す」

 

”ゴクゴクゴク”

 

ぷはぁ~

うん、美味しい。

これはこれで十分美味しいと思うんだけどな~

それに、

 

”たぷたぷ”

 

さ、さすがに6杯目はきつい。

お腹が紅茶でたっぷたっぷ。

もうここらへんにしとかないと。

 

”ごくごく”

 

「ふぅ~」

 

「じゅ、純子ちゃんどう?」

 

「・・・・・・なにか違います」

 

へっ、う、うそ。

い、いやほんと美味しいって。

 

「ミカさん!」

 

「は、はい」

 

「もう一回お願いします」

 

「ひ、ひぇ~、も、もう飲めましぇ~ん。

 勘弁して~

 うっぷ!」

 

や、やばい、でちゃうでちゃう。

も、もう絶対無理。

 

「仕方ないですね。

 それじゃ今日はここまでにしておきましょう。

 ・・・・・・ところでミカさん」

 

「あ、はい」

 

「何かあったんですか?

 ミカさんがお皿を割るなんて珍しい」

 

「え、あ、あの・・・・・・」

 

「よかったら話してくれませんか?

 お力になれるかわかりませんけど」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

ど、どうしょう。

純子ちゃんほんと真剣に見つめてる。

マジで心配してくれてるんだ。

・・・・・・純子ちゃんなら。

うん、純子ちゃんならきっとわかってくれる。

サキちゃんに言ったら絶対からかわれるし、

愛ちゃんには怒られそうだし、さくらちゃんはこんなのあんまり経験なさそうだし。

ゆうぎりさんは経験豊富そうだけど時代が・・・

リリィちゃんはお子ちゃまだし、たえちゃんは・・・・・・

きっと、きっと純子ちゃんなら千葉にって。

 

「あ、あの、ごめんなさい、余計なことを 」

 

「違う、余計なことだなんて。

 純子ちゃん・・・・・・あのね」

 

「はい」

 

「あ、あの、こ、こ、この前、嬉野でね・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

「そうですか、嬉野温泉でそんなことが。

 それでミカさんはもう一度その人に会いたいと」

 

”こく”

 

「へへ、なんだろうね。

 なんでかよくわからないんだけどさ・・・・・・会いたい」

 

「・・・恋をされたのですねその人に」

 

「こ、恋!」

 

「ええ」

 

「い、いや、でも、だって、い、一回しか。

 その人にはそん時に一回しかあったことないのに。

 話したのも10分か20分ぐらいだよ」

 

「恋に回数や時間なんて関係ないといいます。

 出会った瞬間に恋に落ちることもあるとか」

 

「・・・純子ちゃんもそんな経験あるの?」

 

「い、いえ。

 ア、アイドルに恋愛は厳禁ですから、わたしは・・・」

 

「・・・・・・そっか恋っか~

 えへへへへ」

 

「ですがミカさん!!」

 

「あ、は、はい」

 

「わたし達はゾンビィです。

 だから恋なんてものは」

 

「・・・ゾンビィだから人を好きになってはいけない」

 

「当り前です」

 

「・・・・・・」

 

そうだ・・・よね。

わ、わかってる、わかってるけど純子ちゃん。

・・・でも、どうしてもわたしは。

だってこのままじゃ・・・・・・このままじゃ嫌なんだ。

わたしは、わたしだって!

・・・純子ちゃんならわかてくれると思ったのに。

 

「ミカさん、わたしたちはもう死んでいるんです」

 

「う、うん」

 

「わかってくれればいいんです。

 わたし達はゾンビィ、だったらゾンビィはゾンビィらしく」

 

「・・・ゾンビィらしくってなんなのさ」

 

「えっ?」

 

「純子ちゃんだって!!

 自分達だってゾンビィのくせにアイドルしてるくせに!

 そんでみんなでアイドルのトップとるって!

 みんなは、みんなはあんなにイキイキしてるのに!

 それなのに、それなのにさ、わたしは夢とか希望とか持っちゃいけないの。

 わたし生きてるんだよ。

 死んでるかもしれないけど、それでも生きてる。

 だからわたしも生きてるって感じたい!

 ・・・あの人のこと思うと、こんなにここが、この胸が痛いんだ、苦しんだよ。

 だから」

 

”ダー”

 

「純子ちゃんの馬鹿!」

 

”バタン!”

 

「ミカさん、ミカさん待って」

 

”ガチャ”

 

「あっ」

 

「・・・・・・」

 

「聞いていたんですか」

 

「ああ」

 

「・・・わたしは間違っていたのでしょうか」

 

「・・・」

 

「巽さん」

 

「純子、お前は間違ってはいない」

 

「・・・・・・そうですか」

 

”スタスタスタ”

 

「・・・だがな純子。

 この世の中、間違っていないってことが全て正しいっていうことじゃない。

 お前にはお前の、ミカにはミカの、それぞれの正解がある。

 いずれお前にもわかるだろう」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

”ガチャ”

 

「あ、お早うございます大古場さん」

 

「おう、お早う」

 

「あ、大古場さんこれなんすけど。

 なんかポストに匿名の投稿が入っとったみたいなんすよ」

 

「投稿?」

 

「ええ。

 なんか嬉野温泉に亡霊が出たって記事で。

 関係者のインタビューと写真とかもあるみたいで」

 

「どれ見せてみろ」

 

「あ、はい」

 

「・・・ふむ」

 

     ・

     ・

     ・

 

「なぁ、本当に俺達だけで良かったのか?

 せめて陽乃さんも」

 

「いえ、先方の古怒田課長さんから、まずは担当者同士で話を詰めましょうって

 ことだったから」

 

「そうか」

 

”スタスタスタ”

 

「・・・あの、比企谷君」

 

「ん?」

 

「一昨日はごめんなさい」

 

「いや、俺は何もしていない。

 お前を送っていったのは由比ヶ浜だしな」

 

「そう。

 一色さんはちゃんと帰れたのかしら。

 彼女も結構飲んでいたみたいだったけど」

 

「・・・・・・」

 

「比企谷君?」

 

「い、いや、な、何もしていない。

 あいつ寝てたから、そ、それで仕方なく家に 」

 

「・・・家に泊めた」

 

”こく”

 

「あきれた」

 

「い、いや、マジ何もしてないから。

 あんなこともこんなこととかも」

 

「あんなこと?

 ・・・そんなのわかってるわ。

 あなたに一色さんに手を出す度胸なんてないもの」

 

「・・・・・・」

 

「気をつけなさい。

 一色さんに変な噂でもたったらどうするの」

 

「ああ」

 

”スタスタスタ”

 

「・・・・・・私だったとしても泊めてくれた?」

 

「泊めない」

 

「え、そ、そう。

 まだアルコールが残ってるのかしら変なことを聞いたわ。

 忘れてくれると嬉しいのだけど」

 

”スタスタスタ”

 

「・・・一色の家は知らないからな」

 

「え?」

 

「お前のマンションは知ってる。

 だからちゃんと送ってやる」

 

「そう」

 

”スタスタスタ”

 

「・・・それに陽乃さん、こえ~し」

 

     ・

     ・

     ・

 

”スタスタスタ”

 

「すみません、雪ノ下建設の方ですか?」

 

「え、はい」

 

「お待たせしました、古怒田です。

 えっと 」

 

”スー”

 

「いえ、今着いたところです。

 雪ノ下建設企画部課長の雪ノ下です」

 

「あ、すみません頂きます。

 課長、あなたが・・・」

 

「どうかしました?」

 

「あ、いえ。

 わたしはちょっと今名刺を切らせてまして。

 担当の古怒田です。

 それでは、早速会議室に」

 

”スタ、スタスタ”

 

「・・・・・・あ、すみません古怒田課長」

 

「え?」

 

「あの、部下の比企谷です」

 

「あっ。

 すみません、お一人かと」

 

「・・・なんかすみません、比企谷です」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ムスー”

 

「なに不機嫌な顔してるのかしら」

 

「べ、別に」

 

「普段から存在感がないあなたが悪いんじゃないの」

 

「・・・・・・」

 

”ガチャ”

 

「お待たせしました。

 えっと、コーヒーでよろしかったですか?」

 

「あ、課長、課長自ら」

 

「気になさらないでください。

 すみません、今ちょっと手の空いてるものがいなくて」

 

”カタ”

 

「あ、いえ、ありがとうございます」

 

「君もすまなかったね。

 ちょっと急いでたから」

 

”カタ”

 

「いえ、慣れてますから」

 

「・・・それでは早速始めましょうか」

 

「ではまず私たちの企画案からご説明します。

 比企谷君、資料を」

 

「どうぞ」

 

「それでは当社の企画案をご説明します。

 今お配りました資料につきまして、詳しくご説明させて頂きますので、

 スクリーンをご覧ください」

 

     ・

     ・

     ・

 

「っというように、一部の施設の改築は必要となりますが、

 既存の施設の有効利用により、佐賀の魅力を高めることが可能と考えます。

 それとこちらが施設の買収リストです」

 

「・・・既存の施設の再利用か」

 

「はい。

 新たに施設を作らなくても、佐賀には魅力ある観光資源が溢れているというのが

 わが社の見解です。

 それらの有機的連携により 」

 

「失礼ですが、佐賀の都道府県の魅力ランク調査結果知っていますか」

 

「・・・45番目」

 

「そう。

 47都道府県の中の45番目。

 ちなみに去年は46番目。

 魅力ある観光資源に溢れているというなら、この結果はどう思われますか」

 

「それは」

 

「・・・・・・キラーコンテンツがない」

 

「そ、その通りだ。

 えっとヒキタニ君」

 

「・・・比企谷です。

 福岡なら博多ラーメン、大分なら別府温泉、熊本なら阿蘇山や熊本城、

 長崎ならグラバー園やちゃんぽん、そういった県をイメージするものが

 佐賀にはない」

 

「そうなんだ。

 有田焼や伊万里焼と聞いて佐賀をイメージするだろうか。

 だからこそ、だからこそなんだ。

 我々の企画案通りこの一大テーマ―パークを作って、佐賀のキラーコンテンツと

 する必要があるんだ」

 

「ですが」

 

「そのためには、当然雪ノ下建設さんにも大いに力になってもらいたいと思っています」

 

「・・・・・・」

 

「それではそういうことで」

 

「宇宙ワールドって知ってますか?」

 

「・・・ああ」

 

「それならよかった。

 すぐお隣の長崎には日本最大の面積を持つテーマパーク”ハウステンボス”がある。

 それに少し羽を伸ばせばUSJも。

 佐賀のキラーコンテンツにするには、少なくともハウステンボスに勝つぐらいの

 ものが必要となってくる。

 それに設備の老朽化対策やマンネリ打破のための刷新とかも必要でしょうから、

 そういった諸々のことを考えるととても莫大な費用になる。

 とてもこの企画でそれを回収できるとは思えない。

 それこそ宇宙ワールドの二の舞ですよ。

 失礼ですがお宅の企画案には乗れませんね」

 

「・・・」

 

「比企谷君」

 

「すみません、言い過ぎました」

 

”ガシガシ”

 

「・・・もしハウステンボスに勝てるものがあるとしたら?」

 

「えっ」

 

「古怒田課長、そんなものあるんですか」

 

「・・・・・・まぁいい。

 わかりました、基本的には貴社の企画案で進めましょう。

 最終的には年末の役員会の議案に上げたいと思います」

 

「はい」

 

「早速ですが、佐賀の支店に本件のプロジェクトチームを置くことになります。

 雪ノ下建設さんのご担当の方にも是非佐賀に来て頂きたいのですが」

 

「・・・わかりました。

 おってご連絡させていただきます」

 

「では」

 

「はい」

 

     ・

     ・

     ・

 

”スタスタスタ”

 

「ったく」

 

「すまない」

 

「もう社会人なんだから、少しは言い方に気をつけなさい」

 

「うっす」

 

「・・・でもありがとう。

 さすがにあの企画案では」

 

「ああ。

 陽乃さんからもお付き合い程度のものだから、

 お互いの傷が深くならないようにって釘刺されてるしな」

 

「ええ。

 父さんの選挙の件がなかったらお断りしていたはずよ」

 

「向こうの社長さん、後援会会長だもんな」

 

「ええ」

 

「・・・・・・なぁ」

 

「なにかしら?」

 

「いや、ちょっと気になることがあってな」

 

「気になる?」

 

「ハウステンボスに勝てるもの。

 あの古怒田って課長の態度なんか気になってな」

 

「・・・そうね」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ゴクゴク”

 

「ふぅ~」

 

「少し飲み過ぎじゃねえか」

 

「・・・・・・」

 

「会ってしまったんだな。

 それで記憶を思い出すため千葉に行きたいっか。

 そんなに言うなら行かせてやったらどうだ」

 

「あいつを一人で千葉に行かすわけにはいかないです」

 

「そうか。

 ・・・なら、あれを返してやったらどうだ?」

 

「あれとは?」

 

「お前が隠したあれだ。

 あれ見たら記憶戻るんじゃねえのか?

 あの娘も自分が死んだことはもう納得しているんだろう。

 だったら返してやってもいいんじゃねえか」

 

「納得しても、頭で納得していても、頭と心は別です。

 あいつはすごいさみしがりなんです。

 もし記憶が戻ったら、きっとあいつはさみしくて平気でいられなくなる。

 きっと・・・・・・」

 

「ならどうするつもりだ」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

ん~と、巽さんいるかなぁ~

 

”キョロキョロ”

 

リビングにもいないっか。

部屋にもいなかったし、どこ行ったんだろう。

お願いしたいことがあるのに。

ん?

 

”わなわなわな”

 

どうしたんだろうさくらちゃん。

なんか雑誌観て震えてるけど。

それに顔色が・・・・・・それはメイクしていないだけっか。

ふむ、それにみんなもなんか様子が変?

どれどれ、雑誌に何か書いてあるの?

 

”ひょい”

 

嬉野温泉の怪?

暴れまわる亡霊?

ボ、ボウリング生首?

え、えっと、これってもしかしてみんなのこと?

あ、巽さんがスポンサーがダメになったって言ってたのもこのことが。

 

「さ、さくらちゃん」

 

”のしのしのし”

 

あ、巽さん来た。

げっ、なんか、めっちゃ怒ってらっしゃる。

とても千葉に行きたいってお願いできる雰囲気じゃない。

ここは、君子危うきになんとかだ。

今は退散退散っと。

ごめんねさくらちゃん!

 

”ダー”

 

「あ、ああああ」

 

”わなわなわな”

 

「次やったら坊主」

 

「温泉行った時のだ。

 書かれちゃったね」

 

「どこの出版社だ

 締めに行こうぜ」

 

「ごめんなさい。

 次からはもっと慎重に行動します」

 

「まあまぁ、わっちらもみんな足湯に入ったでありんすから。

 あんなふうにみんなで語らうのは初めて。

 楽しかったでありんす」

 

「だね。

 仲良くなった分、きっとパフォーマンスもよくなるよ」

 

「ゆうぎりさん、リリィちゃん」

 

「それにわっちらは疲れ知らずでありんす」

 

「姉さんの言う通りだ。

 次で取り返そうぜ」

 

「うん」

 

「しゃ!

 気合入れて、活動資金稼ぐぞー」

 

「「おー」」

 

「活動資金はあくまで手段だからね」

 

     ・

     ・

     ・

 

”トボトボトボ”

 

『わたし達はゾンビィ、だったらゾンビィはゾンビィらしく』

 

ゾンビィらしくっか。

その通りだよね、あの時のわたしどうかしてたんだ。

はぁ~、純子ちゃんには悪いことしちゃったなぁ。

わたしのこと真剣に考えて言ってくれたのに。

ちゃんと謝らないと。

・・・でも、でもさ、やっぱりわたしは千葉に行きたい。

千葉に行ったらきっとわたしのことが何かわかる気がする。

だから巽さんにお願いしてバイトさせてもらうんだ。

そんで電車賃稼いで。

 

”トボトボ、ピタ”

 

・・・巽さん、いるかなぁ。

 

「ミカ?」

 

「え? あ、愛ちゃん」

 

「あなた何してるのこんなところで」

 

「え、あ、あの」

 

「巽に用事あるの?

 ちょうどよかったわ」

 

”カチャ”

 

「いいかしら」

 

「なんじゃい、ノックぐらいしろ。

 常識じゃろがい」

 

”トントン”

 

「これでいい?」

 

「・・・・・・」

 

「なにしてるの。

 あなたも用事があるんでしょ。

 ほら早く入りなさい」

 

「あ、あの~」

 

「ん?

 おお、いいところに来たなミカ。

 ちょっとそこに座れ」

 

「え、あ、はい」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ペタペタ、ぬりぬり”

 

・・・・・・な、なんなんだ?

いきなり巽さんメイク始めたんだけど。

今からどこか出掛けるのかなぁ。

それにメイク、なんかいつもと違うような気が。

 

”ジー”

 

げ、愛ちゃんさっきからずっとこっち見てるし。

な、なんなんだ、なんかめっちゃ怖いんだけど。

 

「あ、あの~巽さん、なんで今頃メイクを?」

 

「ふむ、こんなもんじゃろ。

 どうだ愛」

 

「ええ、いいんじゃない。

 これなら」

 

「それなら例のものを頼む」

 

「ええ」

 

む、無視―

でも例のものってなんだ?

あ、愛ちゃんなんか紙袋持ってきた。

そういえばさっき用事があるからって愛ちゃんのメイクしたけど、

どっか行ってきたのかなぁ。

 

「あ、あの愛ちゃん」

 

「いいからじっとしていて。

 あ、その前にこれ返しておくね。

 眼鏡の修理終わってたから」

 

「あ、さっき用事があるからってこのことだったんだ。

 わざわざ取りに行ってくれてありがと。

 へへ、これがないと落ち着かなくて。

 あ、でも、じっとしていてって何を?」

 

     ・

     ・

     ・

 

「これでいいかしら」

 

「ふむ、いいじゃろいいじゃろ。

 ほらもういいぞ、鏡を見てみろ」

 

ふぅ~、やっと終わった。

何だったんだ、夕飯の準備とかしないといけないのに。

あ、でもさっき愛ちゃんつけてくれたのってエクステ?

でもいったいなんで?

ま、とにかく鏡、鏡っと。

 

”スタスタスタ”

 

「え、あ、あれ?

 巽さん、何この顔」

 

「イメチェンじゃい。

 お前この前、日焼けしたメイクしていただろう。

 それに合わせてみたんじゃい。

 これからお前のメイクはこれでいく。

 どうだ、これなら今までの地味~なイメージと違って、

 お前でも少しは健康的で活発な感じがするだろう。

 今までのお前から360°反転じゃ~い」

 

「・・・巽さん、360°回転したら元に戻るから。

 でもなんでこんなメイクを?」

 

「いいか、お前には今日からフランシュシュのマネージャーになってもらう。

 そびためのメイクじゃい」

 

「・・・えっ、マ、マネージャー!

 わ、わたしが?」

 

「そうだ」

 

「無理無理無理無理無理、絶対無理!

 そ、そ、そんなのわたしできるわけないじゃんか。

 マネージャーなんてやったことないのに。

 そ、それより巽さん、わたし千葉に」

 

「お前だけが頼りなんじゃい。

 お前に俺を支えてほしい」

 

「わ、わ、わたしが頼り?」

 

「ああ、お前が頼みだ。

 俺の右腕として支えてくれ」

 

「頼み・・・・・・巽さんがわたしを?

 う、うんわかった!

 わたし、マネージャーやってみる。

 そ、そっか~、わたしマネージャーか~

 えへへへへ、し、仕方ないな~

 だ、だって右腕だって、支えてくれって。

 えへへへ」

 

”にこにこ”

 

「・・・ちょろいな」

 

「ちょろいわね」

 

「え、ちょろ?」

 

「いや、なんでもない

 早速じゃが、明日テレビCMの撮影がある」

 

「テレビCMの撮影!」

 

「そうだ。

 お前は明日、あいつらのメイクが済んだら現地に先乗りしろ」

 

「先乗りってわたし一人で?

 で、でもわたし何やったらいいのかわからないし」

 

「いつもの通りでいい。

 お前に初めから完璧なものなんて求めていない。

 いつものお前のままでいいんじゃい」

 

”スタスタスタ”

 

「あ、た、巽さん待って」

 

・・・いつものままでいいって言ったって。

アイドルのマネージャーってなにすればいいんだ。

はっ!

 

「あ、愛ちゃん」

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

”ギ~コ、ギ~コ”

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

や、やっとついた伊万里夢みさき公園。

CMの撮影って、ここで良かったよね。

えっと~

 

”ガヤガヤ”

 

あ、よかった。

あの人たち撮影の人達だ。

ほらカメラとかレフ版とか持ってる人いるし。

 

「・・・・・・ふぅ~」

 

よ、よし。

 

”スタタタタ”

 

ちゃんと昨日、愛ちゃんに教えてもらったんだ。

マネージャにとって大切なこと。

それは

 

『あ、愛ちゃん、だずげで~

 わ、わたしどうすればいいの?』

 

『はぁ~、まったくあの男は。

 仕方ないわね。

 いいミカ、まず一番大事なのは挨拶。

 明るく元気に挨拶しなさい。

 挨拶できない人は認めてもらえないから』

 

わ、わたしのマネージャーとしての第一歩。

頑張れミカ。

 

「おっはよーございまーす!

 今日はお世話になります。

 フランシュシュのマネージャーの・・・・・・」

 

「ん?」

 

「なんだ?」

 

「だれあれ?」

 

え、えっと、わ、わたし名前・・・・・・

名前なんて言うんだ―!

え~い、なんか適当に佐藤とか鈴木とか。

あ、で、でもどうせならなんかかっこいい方が。

そうだな~、如月、神楽・・・

う~ん、どうせなら外国人っぽいのもいいかも、ほらエリザベスとか。

あっ、クリスティーナとかもいいなぁ。

 

”ざわざわ”

 

げ、やば!

そんなこと考えてる場合じゃない。

えっと、

 

「あ、あの、フランシュシュのマネージャーのローレンス・ミカです」

 

「ローレン、へ?」

 

「お、おい、あの人って」

 

「ああ、もしかして可哀そうな人じゃね」

 

”ひそひそ”

 

げ、や、やばい。

やっぱ、ローレンスはさすがにまずかったかも・・・

 

「あ、あの~」

 

「ロ、ローレンスさん、よ、よろしくお願いします」

 

「よろしく、ローレンスさん・・・・・・ぷぅ、ぷぷぷぷ」

 

「し、しゃーす」

 

げ、やばいやばい。

み、みんなから痛い子を見る目で見られてる。

あの人大爆笑してるし。

う゛~

ど、ど、どないしょ~

ん~

 

「この機材、ここでいいすっか」

 

「お~い、テント立てるの手伝って~ 」

 

あ、そ、そっだ、そんなこと考えてる場合じゃない。

みんな準備で忙しそうだし。

 

『いいミカ、それと周囲への気配りを忘れないこと。

 現場の雰囲気をよくすることも大事な仕事なんだからね』

 

わたしも手伝わなくっちゃ。

え、えっと~、だったら何を。

 

”キョロキョロ”

 

「あ、それも運ぶんですか?

 わたし手伝いますね」

 

「あ、ロ、ローレンスさん、ありがとう。

 じゃ、テントまでお願いします。

 ・・・・・・クスクス」

 

「・・・はい。

 あ、あの、ミカでお願いします」

 

     ・

     ・

     ・

 

「あの鳥、可愛くない」

 

「てめぇちんちく!

 ドラ鳥の不死鳥コッコさんに失礼やろが」

 

「コッコさん?」

 

「なにやっとるんじゃいお前ら。

 こっちこんかい」

 

”ゾロゾロ”

 

「こちらがこのドライブイン鳥の社長さんじゃい」

 

「こんにちわ、初めまして」

 

「「こんに 」」

 

「ちやーっす!」

 

「うっさ」

 

「本日はありがとうございます。

 皆様には思う存分うちの宣伝をしてもらいたいと思います。

 まずは中に入って、当店自慢の焼き肉を食べてください」

 

「「うわ~」」

 

「「ありがとござい 」」

 

「ぁざーす!」

 

     ・

     ・

     ・

 

”わいわい、がやがや”

 

やっばいな~

そろそろ撮影始まりそうな感じだけど。

巽さん達まだ到着しない。

何してんだろう。

 

「マネージャーさん、カメリハやりたいんですが、

 フランシュシュさんはまだですか?」 

 

「あ、す、すみません。

 今確認します」

 

「はい、お願いしますね」

 

ほ、ほら怒られたじゃんか。

もう!

 

”カシャカシャ”

 

車混んでるんかなぁ。

時間忘れてることはないと思うから。

と、兎に角、電話しないと。

 

”プルルルル、プルルルル、カチャ”

 

「はい、もしもし」

 

「あ、巽さん!

 な、なんやってんの。

 もう撮影始まっちゃうよ」

 

「あー、たえちゃん、生肉は駄目だって!」

 

「純子はん、そのはちみつ黒酢カルピスどうでありんすか?」

 

「はい、すごく美味しいです!」

 

「あ、サキちゃんまたリリィの育てたお肉食べたー」

 

「あん!

 焦げてんじゃねえか」

 

”ワイワイ、ガヤガヤ”

 

「・・・・・・お、おい巽。

 お前ら何やってんだー、おら!」

 

「何ってドライブイン鳥への理解を深めるためにだな。

 って、お前ら食い過ぎじゃ~い」

 

「く、食いすぎ?

 ・・・てめぇ!

 いいからさっさと来い、この馬鹿!」

 

”プー、プー、プー”

 

く、くっそー

あいつら、肉食ってやがった。

ま、まったく!

 

「あの~マネージャーさん、フランシュシュさんは 」

 

「あ、あの、い、いまこっちに向かってます。

 それまで、わたし代わりにやります。

 7人分頑張りますので。

 えっと~、あ、あの着ぐるみ着ればいいんですね」

 

「着ぐるみ?

 え、あ、はい」

 

     ・

     ・

     ・

 

「ドライブイン鳥♬」

 

”ピシッ”

 

「はい、一応OKです」

 

はぁはぁはぁ、き、昨日絵コンテとかCMとかチェックしておいてよかった。

でも

 

”ちら”

 

へへ、結構この鶏の着ぐるみ似合ってんじゃない?

えっと鏡、鏡っと。

あ、あった。

 

「ドライブイン鳥♬」

 

えへへへ、このしっぽとか可愛い。

今度自分で作ってみようかなぁ~

 

「は~い、監督さん入ります。

 お願いしやーす!」

 

「「ご苦労様です」」

 

え、監督?

あ、あの緑の帽子のちょっと太めの人?

そっだ、こんなことしてる場合じゃなかった。

 

『それと、監督とスポンサーさんのご機嫌を損なわないこと。

 できるだけコミュニケーションをとって、顔を覚えてもらうこと。

 また次のお仕事頂けるかもしれないからね』

 

よ、よし。

 

”スタタタタ”

 

「監督さん、おはようございます。

 フランシュシュのマネージャの・・・・・・ロ、ローレンス・ミカです。

 今日はよろしくお願いします」

 

「ローレン・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「よ、よろしくね。

 でも、マネージャんさんがなんで衣装着てるの?」

 

「あは、あははは、いろいろとありまして」

 

「そう?

 それよりそろそろ始めようか」

 

「しゃーす」

 

げ、ま、まずい。

えっと~

 

”キョロキョロ”

 

ま、まだ来てないよね巽んさん達。

ど、どうしよう。

いないってわかったら絶対にマズイ。

なんとか時間稼がないと。

え、えっと~、あ、そうだ!

 

”ダー”

 

早起きして準備しておいてよかった。

 

”ダー”

 

「か、監督さん!」

 

「おわっ、び、びっくりした。

 どうしたの?」

 

「あの、これ作ってきたんですよサンドウィッチ。

 よかったら食べてください。

 ほら、戦の前の腹ごしらえっていうし、是非どうぞ」

 

「ふむ。

 どれ」

 

”パク”

 

「お、う、美味い。

 このツナとレタスのサンドウィッチ美味しいね」

 

「こっちの卵サンドも自信作なんですよ。

 あ、皆さんもどうぞ。

 いっぱい作ってきましたから」

 

「しゃーす」

 

「頂きま~す」

 

「あ、よかったら紅茶もどうぞ」

 

     ・

     ・

     ・

 

”カシャカシャ”

 

も、もう何やってんだ巽さん。

撮影、遅らせるのもう限界だって。

ほら、さっさと電話出ろってんだあの馬鹿。

 

「もしもし」

 

「もしもしじゃな~い!

 な、何やってんだ。

 もしかしてまだお肉食べてんのか!」

 

「仕方ないじゃろうがい。

 社長が次から次へとお肉出してくれるんだから、食べないと失礼じゃろうが。

 まぁ安心しろ。

 今ドライブイン鳥を出るところだ。

 そうだな、ここからならあと17分ぐらいで着く」

 

「じゅ、17分も!」

 

そんなの、もたないよ~

ほら、みんな集まってきたし。

どうすんだよ、撮影始まちやうよ~

・・・・・・ん?

あ、いま巽さん確か。

 

「ね、ね、巽さんもしかして 」

 

     ・

     ・

     ・

 

「君、そろそろ」

 

「あ、はい。

 それでは集合お願いしやーす!」

 

”ゾロゾロ”

 

「諸々準備よろしいでしょうか~

 まずは出演していただく・・・・・・

 あれ、そういえばフランシュシュさんは?」

 

「・・・・・・」

 

「まさかまだ来てないんじゃないだろうね!」

 

「マネージャさん?」

 

「ぐふ」

 

「ぐふ?」

 

「ぐふふふふ。

 監督さん、フランシュシュが遅れているのには、のっぴきならない理由が

 あるからなのです!」

 

「理由?

 ふむ、どんな理由かね?」

 

「それは」

 

「それは?」

 

「それは!」

 

”ごく”

 

「そ、それは」

 

「着いてからっということで」

 

「・・・・・・」

 

     ・

     ・

     ・

 

”イライライラ”

 

げ、や、やばい。

いくら温厚な監督さんでもそろそろ限界だよね。

巽さん、お願いだから早く来て―

 

「え~い、もう待てない。

 主演がいないのなら今日の撮影は」

 

「す、すみません。

 も、もうちょっとだけ 」

 

”キキキー”

 

「あっ、来た!

 き、来ました監督ー」

 

”バタン”

 

「おい、お前ら早く降りてこんか~い」

 

”スタスタスタ”

 

「お待たせしましたフランシュシュのプロデュ 」

 

「邪魔!」

 

”ドン!”

 

「きゃい~ん!」

 

「皆さ~ん、お待たせしましたー

 ドライブイン鳥の社長さんで~す。

 はい、拍手~」

 

「「おおー」」

 

”パチパチパチ”

 

「君、連絡してなかったのかね」

 

「い、いえ、確か」

 

「すみません、私が忘れていました。

 先ほどフランシュシュさんから言われて思い出して。

 一緒に連れてきてもらいました」

 

「そうですか。

 いやお待ちしてました。

 さ、さぁこちらへ。

 あ、君 」

 

「はいは~い。

 社長さん、椅子をどうぞ。

 フランシュシュのマネージャーやってます・・・・・・ロ、ローレンス・ミカです。

 よろしくお願いします。

 あ、紅茶どうぞ」

 

「ローレン・・・・・・

 あ、ありがとうございます」

 

”どさ”

 

「肩凝っていませんか?

 お揉みいたしますね」

 

「ど、どうも」

 

”ぐぃ”

 

「お、おい」

 

「あ、巽さんいたの?」

 

「さっき思いっきり突き飛ばしたじゃろが~い。

 それよりローレンスって、お前ローレンスなのか?」

 

「う、うっさい、いろいろあんだ。

 それより、ほらみんな準備準備、あのテントに衣装あるから。

 あ、さくらちゃん、たえちゃんお願い」

 

     ・

     ・

     ・

 

「「ドライブイン鳥♬」」

 

へへ、楽しかったなぁ~撮影。

たえちゃんなんてコッコさんに噛みついちゃってめっちゃ大変だったけど。

さくらちゃんや愛ちゃん、みんな頑張ってた。

鳥、最後は鳥になりきってたし。

 

「なんだ、まだそれ観てたのか?」

 

「うん、だって愛ちゃんが言ってたし。

 映像チェックするのもマネージャーの仕事だって。

 でもみんなすごいね、こんなに面白いCM作っちゃうんだもん」

 

「・・・あいつらだけの力じゃない」

 

「うんわかってる。

 監督さんや音響さん、照明さんとか現場の皆さんの力だよね」

 

「お前もじゃい」

 

「え?」

 

「このCMは、お前も含めて全員で作り上げた作品じゃい」

 

「わたしもみんなと一緒に」

 

「ああ」

 

「そ、そっか、そうなんだ。

 えへへ、わたしも一緒に」

 

「「焼き鳥1番、鳥めし2番、3はサラダで♬」」

 

「・・・・・・巽さん」

 

「なんじゃい」

 

「わたしね、今日なんかすごく楽しかった。

 そりゃ巽さん達、なかなか来ないから大変だったけど。

 でも、なんかすごく生きてるって感じがした」

 

「ゾンビィなのにな」

 

「へへ、わたし生き返っちゃいました。

 ・・・・・・あのね、わたし頑張ってみるマネージャー」

 

「そうか」

 

「どれだけできるかわからないけど、自分らしく精一杯頑張ってみる」

 

「無理はするな」

 

「うん。

 あ、それはそうと巽さん、今日お肉食べてたよね。

 お土産は?

 今日いっぱい頑張ったわたしへの、お、み、や、げ♡」

 

「わかっとるわい。

 ほら、ここに焼き肉用にちゃんとお肉を買って・・・・・・」

 

”ムシャムシャ”

 

「た、たえ!

 いつの間に」

 

「げ、たえちゃん!

 そ、それ、わたしのお肉だかんね!

 う゛がー!」

 

”がぶっ”

 

「あ゛ー、うががー」

 

”がぶがぶ”

 

「がうがう」

 

「がう―!」

 

「や、やめんかーい!

 お前ら生肉に齧り付くんじゃない。

 ミカ、お、お、お前、元のゾンビィに戻ってるやないかーい!」

 

「う゛がー、に、肉―」

 

     ・

     ・

     ・

 

”ガチャ”

 

「あ、古怒田さん」

 

「どうだ、何か情報あったか」

 

「ええ、サガジンの記事の効果もあって、ネットに結構入ってます」

 

「で、どうだ」

 

「面白い情報見つけましたよ。

 古怒田さん憶えてますか、商店街の深夜の発砲事件の件」

 

「発砲事件?

 ああ、あの唐津のやつか」




最後までありがとうございました。

すみません、前駄作の投稿を始めてから約4年間。
今回、ちょっと長期休暇頂いてしまいました。

これからも亀更新ですが、投稿を再開したいと思いますので
また見に来ていただけたらありがたいです。

今話にてフランシュシュのマネージャーに就任したミカ。
さて次回は・・・・・・

す、すみません、次回番外編です。
マッカン2本目、よろしくお願いします。

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