本作は書き溜めをしないで、都度都度出来上がり次第投稿しているので定期的な投稿にならず申し訳ございません。これも全部ストライキする警察が悪いんです。
余談ですが、現在YouTubeにて『特捜ロボジャンパーソン』第9話『パパは怪物だ!』公式無料配信中です。『ファルコン13』ちゃんも活躍してるのでぜひご覧ください!
さてさて、メインヒロイン回です。苦目のコーヒーを御用意してお読みくだされば幸いです。
「…よしっ」
暖かな日差しが降り注ぐ[D10-6]基地。相も変わらず平和な基地を、G&Kの制服に身を包み、キャリーカートを引いたヘリアンが、歩いては立ち止まり。また歩いては何かを決したように掛け声を出しつつ歩き始めては〜を繰り返していた。
それを見かけた人形たちは、心配そうにだったり興味深げにだったりと様々ながら一様に声を掛けていた。
その都度彼女は身振り手振りで大丈夫であることを伝えると、キャリーカートに載せた大きな紙袋から何かを取り出しお礼を言いつつ人形たちに手渡している。
手を振りながら人形たちが離れていくと、彼女は再び「はぁ…」とため息をつくと、司令室で聞いた『彼』のいる場所へと向かうのだった。
〜〜〜〜〜
様々な銃声が入り乱れる屋外射撃場。その端にある、以前SAAとオート9が早打ち対決を行った区画に、G41とオート9がいた。オート9は銃を構え、それをG41が後ろから眺めていた。
バン!バン!バン!
金属製のターゲットを次々に撃ち抜くと、ガンスピンを決め銃を仕舞
「おそーい!」
おうとしたが、G41の言葉でその手を止める。
「遅い。だろうか?。」
「射的をやってるんじゃないぞ、しんぺー!」
よく見ると M2HB に借りたであろう軍帽と、カリーナに借りたサングラスをかけパイプまで咥えている。
階級が中隊長に格下がっているとか国から何から違うとかツッコミどころはあるが、残念ながらここにツッコミ役はいない。
「もっとこう、すーっと狙ってばんばんばんだ!」
「すー。ばんばんばん。」
「そうだ!貴様のはすっばん!すっばん!だ!」
「すっばん。」
「ちょっとやってみるから!かわって!」
「申し訳ない。」
「お気になさらず!」
ダダダダダ
そんな二人を木の陰からそっと覗きつつ、ヘリアンは顔赤らめていた。
「厳しい指導に挑むマーフィ。良い…」
重ねてここにはツッコミ役はいない。
〜〜〜〜〜
「よぉ〜し!合格だしんぺー!G41ちゃんを褒めて良いぞ!」
「ありがとうGr G41。やはり、データだけでは、わからないことが多い。」ナデナデナデ
一通りの訓練を終えた二人を見て、ヘリアンは意を決したように、それでいてさり気なく声をかける。
「や、やぁ↑、精が出るな、ま、オート9。G41」
さり気なさのかけらもないヘリアンの挨拶だったが、それに対して前回と変わらずオート9は敬礼をし、G41は飛びついている。
「ヘリアンちゃん久しぶり!」
「ぐふぅ!じ、G41。今日は教官なのか?元気そうで何よりだ…」
「36日ぶりだ。ヘリアン。」
「お、覚えていてくれたのか…?」
なんだかポッと顔を赤くしながら、オート9の事を見ているヘリアンは、不思議そうにG41が自分を見ていることに気付くと、誤魔化すようにワシャワシャと頭を撫でる力を強めた。
「アハハ!ヘリアンちゃん、また『しさつ』にきたの?」
「え!?あ、い、いや今日はだな、この間の約束を」
そう言いつつ、ヘリアンは紙袋から細長い箱を取り出すと脇に避け、残りの紙袋をG41に渡す。
「ほら、約束の差し入れだ」
「差し入れ!?いい匂いがすると思ったら、ヘリアンちゃんのお菓子!?」
G41が嬉しそうに袋を覗き込むと、中には小袋にラッピングされたクッキーやパウンドケーキなどがいくつも入っていた。
「あぁ、今回はスプリングフィールドにも手伝ってもらってたくさん作ってきた。ライト指揮官には許可をもらっているから、皆にも後で配ってくれ」
「ハルちゃんも!わーい!」
両手に紙袋を持ったまま、満面の笑みで喜ぶG41。その姿を見つつ、オート9の方をチラチラと見つつ何かを言いたそうにしているヘリアン。
「そ、それでだな、オート9」
「なんだろうかヘリアン。」
「えぇっと!その…君にはこれを…」
「これは?。」
小躍りしているG41を横目に、おずおずと先程避けていた細長いキャリー箱をオート9に差し出したヘリアン。彼が箱を受け取ると、俯いてもじもじとしている。
「君がドーナッツが好きだと聞いたんだが、好みの種類がわからなかったからいくつか作ってきたんだ…」
「ワタシの為に。」
「あぁいやその!特にそのあのっ」
箱とヘリアンを交互に見つめるオート9と、手をわちゃわちゃと動かしながら焦るヘリアン。静と動、困惑の表現の両極を見せつつ、収集の付かない方向に転がりかけていた。
「ヘリアンちゃん!」
「はい!?」
G41から唐突に声をかけられ反射的に返事をするヘリアン。
「私これをみんなに配ってくるから、中庭でマーフィと待ってて!」
「え?うん、え?」
「じゃあふたりともまた後でね!ヘリアンちゃん頑張ってね!」
そう言って袋を持ったまま駆け出すG41。
残されたのはその後ろ姿を見つめるヘリアンと、箱を持ったまま固まるオート9だった。
〜〜〜〜
このD10-6基地は、宿舎などのある棟と、司令室や訓練施設の入っている棟に挟まれた中庭があり、そこから訓練場などにつながっている。
その中庭に置かれたベンチに、箱を持ったままのオート9と、緊張した面持ちのヘリアンが座っていた。
オート9はおもむろに箱を開ける。中にはいわゆるオールドファッションやチュロス。粉砂糖が降り掛かっているものやチョコが練り込まれたものなど、何種類もドーナッツが入っていた。
「素晴らしい。ワタシのデータで判断する限り、揚げ具合や造形など完璧としか言い表せない。」
「(べた褒め!?)そうか、喜んでくれたなら良かった」
褒められて嬉しい気持ちを(本人は)隠し(ているつもりだが鼻の穴が大きくなっている)持ってきた紅茶を入れたボトルに(震えまくった手で)口を付けると、1つ息をつく。
オート9は徐に、オールドファッションタイプのドーナッツを一つ手に取ると口に運ぶ。サクリと歯切れのよい音を立て、もぐもぐと咀嚼していく。
素知らぬ顔をしているが、チラチラとオート9の方を伺っているヘリアン。
「(何という生殺しだこれは…)」
前を向いたまま何も言わず咀嚼を繰り返しているオート9に、内心ドキドキのヘリアン。紅茶の味などわかるはずもない。
もぐもぐと咀嚼していたオート9だったが、オールドファッションを一つ食べ終え、ごくんと飲み込んだ。そのままヘリアンの方を向く。
「ヘリアン。実に美味だった。」
「そ、そうか!それは良かった!ぜひもっと食べてくれ」
ようやく聞かれたオート9からのポジティブな感想に、ヘリアンは胸をなでおろし笑みを零す。次を勧めつつ、情報をくれたペルシカに感謝をしつつ再び紅茶に口を付けた。
「ぜひ、毎日でも作って欲しいくらいだ。」
「そうか、それほど喜んでくれたなら良かっ」
毎日でも作って欲しい
自分の為に毎日食事を作って欲しい
毎日一緒にいて欲しい
結婚しよう
2つ目のドーナッツに手を付け食べ始めているオート9の横で、紅茶のボトルの蓋を締めると、ふうっと息をつくヘリアン。顔は穏やかであるが、額には多量の汗をかき、顔はこれ以上ないほどに真っ赤である。
ポスンっ
「とはいえ貴女も忙しいし…ヘリアン?。」
オート9の肩にもたれかかるヘリアン。オート9が声をかける。
が、
「はっはっはだめだぞ〜M4A1〜、それはただのメ○シルバーだぞ〜。ちがうちがうそれはジース○ッグだ。AR-15とM16じゃないぞ〜…きゅうっ…」
目をグルグルと回し、頭から湯気を上げてうわ言を呟きながら気を失ってしまったヘリアン。それはそれは良い笑顔なのだが、オート9の方はそのまま前を向き困惑しているように見える。
「マーフィ!ヘリアンちゃん!配って来…マーフィ?」
「シーッ。」
お菓子を配り終え戻ってきたG41に、自分の口元に指を添え、静かにするように伝えるオート9。そのままヘリアンの顔に手を添え…
〜〜〜〜〜
「(あ〜、冷たくて気持ちいい…頭もおでこもひんやりして…ひんやり…?)」
夢うつつだったヘリアンは、そこでゆっくりと目を開ける。木漏れ日の差す広場。顔の横には少し青みがかった金属板とタオル。目の上のあたりには、黒い手のひらのようなものが当てられている。
数刻の間を置き、ゆっくりと起き上がるヘリアン。
そこには、今まで額に当てていたであろう手を所在なさげに動かすオート9と、寝顔を見つめていたであろうしゃがみこんだニコニコのG41がいた。ヘリアンは自分の人差し指をおでこに添え、考える素振りを見せる。
「まだ体調が優れないのか。」
「お薬もらってこようか?」
「ん〜?いやいや、もう大丈夫だ。ちなみに、私はどのくらい膝ま、寝ていたのかな?」
「18分30秒だ。」
「お〜そうかそうかそこそこしっかり寝てしまったようだなそれじゃあ用事も済んだし今日は帰るとしよう」
ハタハタと膝を払うと、キャリーカートを畳みそそくさと帰ろうとするヘリアン。
「そうか。」
「みんな〜、ヘリアンちゃん帰るって〜」
「みんな…?」
そう呟きながらヘリアンが見上げると、そこには訓練棟と宿舎棟の殆どの窓。それに広場の各ベンチ等からこちらを見て、笑顔をこぼしている人形たちの顔があった。
スコーピオン等は明らかにニヤニヤしているし、MP5は顔を赤くして両手で顔を覆っているが、指の隙間からこちらを見ているのがバレバレである。
RFBとPP-19-01は何かを書き留めているし、ライト指揮官も隣りにいる見慣れないロボットと何やら話しながらコーヒー片手にこちらを見ている。
「じゃ↑あマーフィ、G41。また来るから、達者でな」
ヘリアンは顔を再び真っ赤にして、若干涙目になりながら小走りで去っていった。
手を振りながらニコニコと見送るG41と、残されたドーナッツを見つめるオート9を残して。
〜〜〜〜〜
『あ〜っはっはっは!ひっひ〜、息が、できない、あっはっは』
「やめてやんなさいよペルシカ」
「そうですよ博士。可哀想じゃないですかぷぷぷ。」
「エド…そっちサイドなんですか君も…?」
司令室の窓から先程までの様子を眺めていたライト指揮官とED-209 Jr.は、何故か丁度良いタイミングで連絡をしてきたペルシカと通信をしていた。
ED-209 Jr.は一連の顛末を何故か音声付きで記録しており、その録音録画を聞いた後先程の通信内容と相成ったわけだ。
「それにしてもあのヘリアンが、ねぇ?」
『意外だろう?マーフィも随分勘違いさせるようなことを言うが…ほんとチョロアントス…ふふふ』
「お二人共。女性はいつまでも女の子なんですよ?ト・キ・メ・キを忘れたその時、お終いなんです。」
『ぐっふぅなんだか私にダメージが!?』
「…君どっちの味方なんですか?」
「はてさて、ワタクシ市民の皆様の犬ですワン U^ェ^U。」
『チクショウ…』
「チクショウとか言わない」
『あ、今度はこちらが騒がしくなりそうだから切るよ。エド、さっきのデータ送っといて』
「承知しました。ペルシカ博士。」
『じゃあライト指揮官、マーフィとエドの事、よろしく頼むよ』
「了解しましたよ、非女子」
『えっ、いま最後なん』ブチッ
してやったりと言った顔で通信機のボタンから手を離すライト指揮官。その姿を黙って見上げているED-209 Jr.。
「どうかしましたか?エド君」
「お気遣い、痛み入ります。」
「いえいえ、なんのことやら」
お読みくださってありがとうございます。
いやぁ〜…自分で書いてて誰だこの可愛い子ってなる瞬間がついに訪れました。
一応出演キャラクター全員を魅力的に書きたいとは思っているのですが、何でしょう…ヘリアンだけは勝手に動いていく…
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