うちの新人は色々うるさい   作:リリマル

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お読みくださる皆様のストレス解消の一端を担えれば幸いです。

無沙汰をしております。なにはともあれ、本編スタートです!

入院している間にYou Tubeでの特捜ロボジャンパーソン無料配信終わっちゃってた…(´・ω・`)


うちの新人は、侘び寂びがうるさい

〜[D10-6地区]基地 屋外広場〜

 

 

 春。年末年始の慌ただしい日々もいつの間にか過ぎ去り、暖かな陽気の[D10-6地区]基地。基地内に何本も植えられた『桜』という木が満開の花を咲かせ、舞い散る花弁と共に目にも鮮やかである。

 しかし、視線を落としてみればそんな穏やかな風景とは相反する様に、混沌とした光景が広がっていた。倒れ伏せる戦術人形達、腹部を抑え蹲る AN-94 とウェルロッドMk.Ⅱ、睨み合うG41とオート9を顔が真っ赤になる程必死に止めようとしているヘリアントス。そしてそんな様子を呆然とした表情で見つめるライト指揮官と一〇〇式。

 一体どうしたことだろうか。それを知るには数刻、時間を巻き戻すことになる。

 

 

〜〜〜〜〜

 

〜〜〜

 

 

 

「マーフィ、こっちこっち!」カチャカチャ

 

「了解した。」ガッチャガッチャ

 

 基地内にある広場を軽い足取りのG41と、いつもただでさえ大きい歩行音に輪をかけて大きい音を立てながら歩いているオート9。

それもそのはず、彼は所謂ビールケースを五段ほど重ねて両手に抱え運んでいた。とはいえG41も料理の乗ったお皿を何枚も持っているのだが。

 二人が向かっているのは、広場の端の方にある『桜並木』。そちらの方からは何やら楽しそうな喧騒が聞こえてくる。目を向ければ、ワイワイと樹の下にシートを広げ食べ物や飲み物を囲んでいる人形たちの姿。

 

「皆、待たせた。」ガッチャガッチャドスン

 

「マーフィさん、G41さん。ありがとうございます、それで最後ですね」

 

「ではそちらは吾輩達が配りますので」

 

 オート9の運んできたビールケースの中から何本かずつ瓶を取り出し、他の人形たちに渡していくのは 四式 と 89式 の二人。ケースの中にはビールだけでは無く、ジュースにワインやウオッカ等色々な瓶が入っており、各々好みの飲み物を確保しつつ回していく。

 

「お肉お肉うふふふふ」ジュルリ

 

「G41、垂れてる垂れてる」

 

「フガフガ!(ありがとう!)」

 

 荷物を運んできた二人を労いつつ、ハンカチでG41のよだれを拭いているのは、白いリボンに真っ赤なタイツ。ロールの巻かれた黒髪にクールな表情が凛々しい 64式自 だ。お皿を受け取りこれも配っていく。すでに座っている人形たちは各々呑んでいたり、既に置かれているお皿の上の軽食やお菓子などを食べながら歓談に花を咲かせていた。

 

「これが『花見』という物なのか。」

 

 頭上に咲き誇る桜の木を見上げつつ、オート9は誰となく呟いた。そう、この集まりは日本勢の戦術人形たちが企画した『お花見』であった。元々この基地には一〇〇式と64式自の二人しか日本銃は在籍していなかったのだが、最近立て続けに二人赴任したため、せっかくだから基地内に日本の文化を広めたいと提案されたものだった。

 それならばと宴好き(酒呑み&食いしん坊)の人形達が挙って飲み物や料理を手配し、ついでにとばかりにオート9を含めた新人歓迎会もまとめて行おう。という運びになったのだった。

 

「式自ちゃん、ご主人さまは?」

 

「一〇〇式が呼びに行ったんだけど、ちょっとトラブルがあって遅れるから先に始めててって」

 

「そっかならしかたないいただきます!」ヒュバッ

 

「…あたし、貴女のそういう素直なところ好きよ」

 

 キラキラとした目で料理を見つめていたG41だったが、式自の言葉を聞くと素早くシートに座り、骨付きのチキンに満面の笑みで齧りついた。周りに座っていた人形達も彼女の姿を見ると待ってましたとばかりにお皿にどんどん料理を盛って渡していく。式自は苦笑いとため息を一つこぼしつつも、その輪の中に混ざっていった。

 

〜〜〜

 

 打って変わって落ち着いた雰囲気の一角では、一人の女性が人形たちの話題の中心になっていた。

 

「そ、それで。その後どうなったのですか?」

 

「そのままそっと頭を撫でていたわ」

 

「素敵でしたわ〜」

 

「わーっ!わーっ!///」

 

「ほほぅ、それは興味深いでありますな」カキカキ

 

「…あれ?このワインこんなグルジアワインみたいな甘さでしたっけ…?」

 

「ヘンデルマイヤーですねこれ、本格的だ〜」

 

「塩むすびが甘い…酒粕かな?」

 

「コーラがジャリジャリするよぅ…」

 

 等と言った感じに、話題の中心になっているのはワタワタと狼狽えているお馴染みみんなのアイドル(玩具)ヘリアントス。そんな周りには最近この基地に赴任した AN-94 や四式、89式といったメンツに加え、彼女の恋路(?)を最初期から応援(見せ付けられ)しているウェルロッドやカリーナが我関せずといった顔で語っていたり、他にもMP5や01にSAA達が当時を思い出し吐糖していた。

 新人人形達は、この頭から湯気を上げつつ俯きお酒をチビチビと呑んでいる女性は誰なんだろうと自らの電脳のエラーを確認したくなる思いだった。

ヘリアントス上級代行官といえば、いつもきっちりと制服を着込み、クルーガー社長の片腕としてバリバリと働いている、キャリアウーマンといったイメージが強かった。だがどうだ、目の前にいるのは可愛らしい恋に悩む普通の女性。しかもこの並べられたお菓子や料理の一部は彼女が持ってきたものだというではないか。

 

「ヘリアントスさんはこう…聞いていたイメージと違いますね」

 

「ぐぬぬ…」

 

「乙女ね」

「乙女ですのよね」

「乙女なのですね」

「乙女だよね〜」

 

「ぐぬぬぬぬ…///」

 

「(捗るであります…)」

「(わかりますよ…描けたら読ませてくださいね先生…)」

「(01殿!?)」

 

〜〜〜

 

「ワタシも座らせてもらってもいいだろうか。」

 

「マーフィ!?」

 

「あら、噂をすれば」

 

 皆でこの可愛げのある上官をイジっていると、いつもの駆動音をさせ桜を見上げつつ話題のもう一人の主役が現れた。カリーナはニコニコとしながらスッと立ち上がり場所を譲るように手招きをする。自分が座っていたヘリアントスの横へと。

 

「(カリーナァ!?)」

「(グッドラック、ですわ!)」

 

「ありがとう。」ガシャン

 

 存外似つかわしくない美しい正座でヘリアントスの横に腰掛けるオート9。カリーナは小さくサムズアップをしつつ他の人形たちの方へと歩いていった。

 

「やぁマーフィ。久しぶり、元気だったか?」

 

「ワタシは問題ない。ヘリアン、貴女は今日も幾分顔が赤いような気がするが。」

 

「陽気とアルコールのせいだ。問題ないさ」

 

「そうか。」

 

 さっきまでとは打って変わった爽やかスマイルで対応するヘリアントスを、周りの人形たちは暖かく(ニヤニヤ)見守っている。

 

「オート9殿、まぁまぁまずは一献。せっかくですのでヘリアントス殿も」

 

そう言いつつ、四式は小さい陶器の器を二人に渡し透明な液体を注ぐ。

 

「これは。」

 

「『ニホンシュ』かな?米を原料にした日本の『サケ』だな。初めて飲むよ」

 

「やはり花見といえばこれでありましょう。では、皆さんも。改めて乾杯!」

「「「かんぱ〜い!」」」

 

「カンパイ。」

 

 周りで見ていた人形たちも各々の手元の飲み物を掲げ四式の音頭に合わせてグラスを合わせる。オート9も手元のお猪口をしげしげと見ていたが、ぐっと煽り盃を空ける。ヘリアントスもその様子を見つつ飲み干すと、ホウッと息を吐く。

 

「ほう、これは旨い。フワッと華やかな香りと優しい口当たりだ」

 

「これが『サケ』か。興味深い。」

 

「おっ、オート9殿。ヘリアントス殿。イケるくちでありますな?さぁさぁどうぞもう一杯い」

「同志マーフィ!!!」

 

 四式が次を注ごうとした時、突然大きな声が聞こえた。その声に皆が振り向くと、顔をピンク色に染めた人形が仁王立ちしていた。見ると、その人形の後ろでは

 

「勘違いしないでよね!スコーピオンちゃんの事なんて全然好きじゃないんだからね!!」

「グッフゥ」バタッ

 

「パンツだけど恥ずかしくないもん!」

「キタ━!」ドサッ

 

「抱っこしてギュッ」

「…」トサァ…

 

「G41!?なんて破壊力のある連続攻撃を…!」

「あぁ式自さん…音もなく…」

「ちょっと!!G41に何したの!?」

 

 G41が素早く的確な攻撃(愛)を叩き込み、歴戦の戦士たちを葬っている。見ると彼女は輪をかけて顔が真っ赤で、目がグルグルと渦を描いている。

 

「OTs-12!どういうことだ!?」

 

「…ヒック」

 

「えっ…ティス…?」

 

 そう、頬を膨らませ仁王立ちしているのは OTs-12 通称『ティス』。いつも秘密兵器を自称し、もの静かに過ごしているタイプの彼女だが、どうも様子がおかしい。というより原因は愛銃の反対の手に握られた瓶であることは火を見るよりも明らかで。

 

「貴女…その『ウォッカ』、G41に飲ませたの!?」

 

「うるさいわねぇ…こんなの水よみず!ねぇたいちょう!?」

「ひゃっはー!おみずだーっ!」

 

「ね?ヒック…」

 

「何が、ね?よ!貴女も弱いのに無茶して!」

 

「そーんなことより!」

 

 ウェルロッドの必死のツッコミも虚しく、大量殺戮兵器(G41)を解き放った犯人(ティス)は、殆ど減っていない酒瓶を持ったままオート9を勢いよく指差す。

 

「同志マーフィ!秘密兵器同盟のわたしを放っておいて、どういうことですか!?」

 

「秘密兵器…同盟…?」

 

「…。」

 

 ヘリアントスは唐突な謎組織の名前に、隣に座るオート9を見るが、彼はティスの方を見つめたまま微動だにしていない。

 

「そうです!秘密兵器であるわたしたちは謂わば同志!同志ならば盃を交わすのが当然でしょう!ураaa!」

 

「そんなことよりおしゅぺっつれたべたい」

「はいG41とりあえずヴィーナーとお水ですよ」

 

 もうなんだかわけがわからなくなっているG41は、素早く駆け寄ったMP5が介抱している。もぎゅもぎゅと大人しくソーセージを齧っている様は完全に小動物だ。

そちらは任せておいて、とりあえず目下はこの足元が覚束ない秘密兵器をなんとかしなくてはと向き直る。

 

「…ティス…要は寂しかったの?」

 

「ура…さいきんは…たいちょーも…楽しそうだったし…」

 

 なんだか下を向いていよいよ睡魔にすら襲われている様子のティス。彼女は秘密兵器を自称するだけあって、一歩引いた物静かな性格ではあるのだが、特に期待に答えようと頑張ってしまう性質がある。G41と同じ第1戦闘部隊で昔から活躍してきた彼女だ。平和になったとはいえ、出撃の減った今、溜まってしまう整理できない気持ちというのもあるのだろう。

 

 

「OTs-12。」ズシン

 

 突然、地鳴りのような振動がその場の皆を襲った。驚いたようにヘリアントスが見上げる先のは彼女の横。

そう、今まで黙って聞いていたオート9が片膝を立てて立ち上がる所だった。そのまま大地を踏みしめるように力強く一歩一歩とティスの元に歩み寄っていく。フラフラとしたまま見上げてくる彼女の前に立つと、無表情のまま何も言わず彼女を見下ろし視線を交わす。

 

「同志…」

 

 ティスはそう呟くと、手に持った瓶をオート9に差し出す。それを黙って受け取った彼は、栓を抜くとぐいっと煽った。それを見たティスは小さく微笑み

 

「Молозец…Благодарю вас…」

 

そのままオート9の腕の中に倒れ込んでいった。彼はそれを受け止めつつ

 

「問題ない。」

 

とだけ静かに呟いた。

 

 

〜〜〜

 

 

「いや、今のなんだったの?」

「Zzz…」

 

「ま、まぁ。こういう場だから気が昂ぶったのでは?」

 

 89式の膝枕でスヤスヤと眠るティス。オート9から彼女を受け取り、そのまま89式に押し付けたウェルロッドは苦笑交じりにそう呟いた。AN-94も困惑しながら、受け取ったウォッカの瓶をどうしたものかと持て余しながら答えた。

 

「大丈夫か?マーフィ」

 

ヘリアントスは、あのまま立ち尽くしているオート9に声をかける。彼もなにか思うところがあるのだろうか?などと考えながら。

 

 

 

 

「絶好調!素晴らしい気分だ!」

 

 

 

「そうか、それは良かっんん?」

「は?」

「え?」

 

 今まで聞いたこともないハイテンションな返答。思わず聞き間違いかと気の抜けた疑問の声が上がりつつオート9に視線が集まる。

 

「おいおいどうしたんだ?オレっちの顔になにか付いてるかい?ベイベェ。」

 

「べ、べいべぇ?」

 

 何だか華麗なターンを決めながらヘリアントスの方を向き直ったオート9。だが明らかに様子がおかしい。バイザーの奥の瞳が光っている気がする。物理的に。

 

「もしかして酔っているのか?マーフィ」

 

「ハッハッハ!これが酔っぱらうという事なのか!」

 

「なぜそんな良くないメリケンキャラになっているでありますか…」

 

「キャロルー!!!」

「だれよそのおんな!?」

 

 どうやら最初の日本酒ですでに酔っていた所に、ウォッカの追加攻撃で完全に良くない方向に傾いてしまったらしい。それもそのはずで、彼が此の方口にしたアルコールの類と言ったらブランデーケーキくらいなもので、アルコールの分解プラントがまだ慣らし運転すら終わっていなかったのだ。

なんだか変な元暗殺ロボットの電波まで拾っているし、MP5のことを陥落させたG41まで参加し混沌が極まっていく。

 

「ねぇAN-94」

 

「何ですかウェルロッド」

 

「それ、頂戴」

 

「勿論。ではご一緒します」

 

やいのやいのとしている仲間達を静かに見守っていた二人だったが、何かを諦めたようにAN-94の手にある瓶からお互いのグラスに並々と透明なそれを注ぐと

 

「「乾杯」」

 

と呟き、カチャンッと合わせ一気に呷った。

 

 

〜〜〜

 

 

 基地内の中庭を、広場に向け二人の人影が歩いている。ライト指揮官と彼を呼びに向かった今回の花見の立案者である一〇〇式だ。桜といえばやはり彼女のトレードマークで、夜戦時の苛烈な銃剣特攻からは打って変わった穏やかな笑みを浮かべていた。

 

「いやはや、遅くなってしまって申し訳ありませんでした。お待たせして」

 

「いえいえ、指揮官お気になさらず。お仕事優先です。それに桜は逃げませんよ」

 

「(これ若いヤツだったら勘違いしそうですね…)できた部下を持って私は幸せですねぇ…」

 

「それで先程の『税理士』さんというのはどういった…」

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

〜〜〜

 

 

 

 

 そして冒頭に戻るわけである。

 

巻き込まれないよう遠巻きに桜と共に喧騒を楽しんでいるカリーナと人形達以外はそんな状態で、よくよく見ると倒れているのはG41の被害者、AN-94とウェルロッドは苦しんでいる訳ではなく

 

「シクシク…ゴメンなさい情けない新人で…シクシク…」

 

「あっはっは!もうど〜にでもな〜れ!」

 

と酷く両極端なモードに入っているだけであり、揉めているように見えた3人も

 

「つぎのお休みは私とおかいものに行くの!」

 

「オレと出かけるんだっての!」

 

「アノホント…ヤメテ…」

 

という唯の『お母さんの取り合い』状態であり、結局のところは

 

 

 

「ふふ、皆さんお花見を楽しんでくれているみたいですね」

 

「…一〇〇式は、ほんっっっとに良い子ですねぇ…とりあえず皆にお水配りましょうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なお数十分後、正気を取り戻した酔っぱらい達(G41含む)が綺麗な『DOGEZA』を披露し、一〇〇式がオロオロとするのだがそれはまた別のお話。

 




お読みくださった皆様に、今年初の感謝を


ご無沙汰をしております!!何とか帰ってまいりました!!

創作活動から離れていた理由は簡単で、両目の手術を何回かしていたため作品を創作できる状況に無かった。というところでありまして…回復してみたら世の中は大混乱でまぁ…クリスマスやバレンタインのお話が吹き飛んでしまいました(苦笑)

またゆっくりと再開できたらと思っておりますので、よろしければ遅筆にお付き合いいただければ幸いです。


視力が安定しないため誤字脱字等多々あるかもしれませんので、お気づきの点がございましたらお知らせ頂きたく存じます。

また世界が混沌とする中、少しでも皆様の笑顔に貢献できたら。そんな思いでおります。一緒に苦境を乗り越えましょう!

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