うちの新人は色々うるさい   作:リリマル

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お読みくださっている皆様に多大なる感謝を。
初めてのお気に入り登録、そして感想を頂きました。嬉しいです(小並感)

リクエストを出しておきながら我慢できず自分で書いちゃう指揮官がいるんだってよ…ヴィチャスちゃん可愛いから仕方ないね! いろいろ様( https://syosetu.org/?mode=user&uid=92543)、先走りました申し訳ございません!(スライディング土下座)

ちなみにうちのマーフィーはベビーフード以外も飲食できます。アメリカンポリスですからね、もちろんあれも


うちの新人は、動きがうるさい

〜オート9着任から数日後〜

 

 

 [D10-6地区]の市街地は、今日もいつもの日常と変わらない朝を迎えていた。

 

 戦闘地域からは大分離れたとはいえ、まだまだ再建の見通しは遠く、かつて自動車産業で栄えたというこの地域には、巨大な工場跡地や廃ビル。戦闘で崩れた建物や無駄に広い道が一帯に広がっていた。

 しかし近くにあるPMC基地のおかげで、生活するに当たっての安全性は高く、物流の要所でもあるため避難民や企業も戻ってきており、活気が溢れていた。

 

 そんな町中を、セダン型のパトロールカーが1台走っていた。全体を艶のない黒いカラーリングて覆い、前後にはプッシュバンパー。頭上のパトランプからはアンテナが一本伸び、左右のドアには I.O.P.社のロゴが白抜きで入れられている。

 左ハンドルの運転席には、ピカピカと太陽光を反射するシルバーのヘルメットを被った大柄な男性、助手席では金髪の少女が、外を流れる景色と手元を行ったり来たり視線を泳がせている。ゴムで纏め上げた前髪をイジったりしつつ、心ここにあらずといった感じで若干表情は曇っている。

 

 

 

「(左からの光の反射がすごくて読めない…)」

 

 

 ため息を一つつくと、PP-19-01 は手元の本を閉じた。

 

〜数時間前〜

 

「パトロールですか?」

 司令室に呼ばれた01は、司令官の提案に疑問符を持って答えた。

「えぇ、彼と。これはまぁ建前…と言う訳ではないんですが」

「建前…?」

 そう言って彼女は指揮官の横に控えるオート9を見上げる。

 顔は正面を向いているし、バイザーのせいで、彼が何を見ているのかわからない。表情も読み取れないのでそもそも起動しているのかどうかすら怪しいレベルだ。

「01、あれから任務以外ほとんど部屋にこもっているらしいですが、まだ気分は晴れませんか?」

「えっ、あの…はい…」

 指揮官からの問いかけに、01はたじろぎ俯いてしまう。

「何度も言っていますが、貴女は間違った事などしていません。その子もきっと解ってくれますから。少し彼の案内がてら気分転換にドライブでもしてくるのはどうでしょう?」

 立ち上がり01の前まで行くと、指揮官はそう言って優しく頭を撫でる。それでも彼女は俯いたままだ。

 

 

「PP-19-01。」

 

 

「うわっ!?」

「は、はいっ!?」

 唐突にオート9が微動だにしないまま01の名前を呼んだため、指揮官と01はビクリと体を震わせ彼の方に向き直る。

 すると彼は、ガシュン ガシュンと足音を響かせながらドアに向かい歩き出す。

「行こう。案内を頼む。」

 ドアを開きながらそう言うと、そのままオート9は出て行ってしまう。

「え、ちょ、ちょっと待って下さい!」

 01はそのまま部屋を出て行きそうになるが、一度指揮官に振り返りペコリとお辞儀をすると、足音を追いかけるように駆け出していった。

 指揮官は所在なさげに椅子に座り直すと、撫でていた掌を見つめながら

 

「頑張ってください、Vityaz」

と呟いた。

 

〜〜〜〜〜

 

「…次のブロックまでが工業地域。そこからが

商業区画、居住区画、あとはダウンタウンと言いますか、廃ビル郡です」

「了解した。」

 そういったわけで、パトロールという体のドライブをしている二人だが、特に会話らしい会話があるわけでもなく、たまにこうやって案内をしては返事を返すというのを繰り返している。

 基地の地下駐車場から発進するときに、車体の下をこすって火花を出しながら走り始めたときにはどうなるものかと思ったが、そこからは至ってスムーズな運転が続いており、01は本を読む余裕もあるくらいの時間であった。おそらく無意識なオート9からの反射光という妨害がなければ、ではあるが。

 

「本が好きか。PP-19-01。」

「え?」

 彼からの意外な質問に、01は顔を上げた。相変わらず前を向いたまオート9の表情は変わらない。

「ずっと本を手にしている。本が好きなのか。」

「…貴方も本を読むんですか?えっと、オート9さん?」

 聞き様によっては失礼に聞こえなくもないが、メカメカしい彼からの質問に戸惑ってしまったのだろう。

「読書をしたことは、ない。だが、データラーニングで済む筈の戦術人形である君が、態々紙媒体でデータをインプットしている。興味深い。」

「ふふっ。はい、古書はまるで古い知識の墓場みたい。これを見てると人類の化石を見ているような気持ちになります」

 大真面目に聞いてくるオート9に、少し可笑しくなった01は笑顔で答える。

「人間の化石。」

「そうなのです。この古い辞書には、人形の資料庫にもない色々な死語が載っていて、面白いです」

 手にした本の表紙なぞりつつ、01はどこか誇らしげに語っていく。少し元気が出たようで、表情は明るい。

「あ、一つ前の交差点を曲がったところに、マーケットが出ていて、古書を取り扱っているお店もあるのですよ?」

「マーケット。」

「はい! 近くに人気のあるスナックの屋台もあって、そこのドーナッツが絶ぴっ!?」

 

 急に体を横に振られた01。車が急激なスピンターンを決めたと気付くのに数秒を要した。

 

「な、ななな!?」

「休憩だ。」

「えぇえ!?」

 鮮やかなドライビングテクニックを魅せつつ、オート9は変わらぬ調子でそう答えた。ハイレベルな戦術人形でなければ頭を打っていただろう。

 

「休憩だ。」

「こんな運転は、私の辞書に載っていませんー!」

 

今度は鮮やかなドリフトで交差点を曲がっていくパトカーを、通行人は呆気にとられて見ていた。

 

 

〜〜〜

 

 マーケットにある飲食ができるテーブルスペース。その一角に周囲の視線は否応なしに集まっていた。

 一人はよくこのマーケットでも見かける金髪の、青い瞳の美しい少女。サブマシンガンをいつも下げていることから、戦術人形であることは周知の事実だ。

 

 問題は対面に座っている巨躯の全身を金属で覆った戦術人形だ。

 

 テーブルの真ん中には茶色い山が出来ている。遠目にはオニオンリングフライに見えるそれは、全てドーナッツ。

 

所謂オールドファッションタイプのドーナッツを一個ずつ、だが着実に食べ続けているのは、先程華麗な運転をしていたオート9。向かい側に座ったPP-19-01は、呆気にとられた表情で崩されていく山を眺めていた。

 

「…ドーナッツ、好きなのでs「興味深い。」あ、はい」

 もっぐもっぐと食べ続けるオート9を見つつ、01は先日の一件のことを回想していた。

 

 このマーケットの古書店を散策する中で出会った少女。

 

 本の事を話しながらここでお茶をするのが休日の楽しみになっていた。

 

そんな時に出くわしてしまったバイクを使ったひったくり。

 

戦闘モードに移行し、一瞬で走り去ろうとするバイクに追いつくと、奪われたカバンを取り返し勢いはそのまま体をひねり地面に犯人ごと蹴り倒した。

 

犯人が気絶しているのを確認し、少女の所に戻ったとき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど。過去犯罪データで確認した。」

「つい体が動いてしまったのですよ。何も蹴り倒すことなど無かったのですが…」

「確保。そして周囲の安全を考察した場合、無力化させるには最善の行動だ。可能ならワタシもそうしただろう。逃走犯も、軽症だと。」

 コーヒーを飲みつつ、オート9はそう答えた。01はココアの入ったカップを両手で持ったまま苦笑いをしている。何故か彼に話を聞いて欲しくなり、回想していた内容をポツリポツリと話していた。

「最善が最良とは限らない。と言うことなのです」

「最良?。」

 小首をかしげるオート9。見た目とあまりにギャップのある動きだ。

「そうです。少なくとも私は、友人を怖がらせてしまった。そして私は。そんな自分が怖いのです…自分すら恐れる私は…」

 01は、まるで懺悔をするように呟いた。

 

 

 

「私は 勇者 失格です」

 

 

 

 

 

 

「君は、本ではなく、人間が好きなのだな。PP-19-01。」

 

「…えっ?」

 

 いよいよ涙も零れそうな01だったが、またもや唐突なオート9の言葉に顔を上げた。変わらず彼の表情は口元以外が見えないため、感情は読み取れない。

 

 だが向かいに座る01には、彼が微笑んでいるように見えた。

「辞書を読み、言葉を知り、本を読み、そして友人ができた君は、ワタシの演算では計れないほど、豊かなメンタルモデルをしている。それ故、豊かに傷付いているのだろう。」

 

「だが、私のデータ上の『勇者』とは、困難に挑み、傷付いても立ち上がる者。となっている。」

 

「そして君は今日、立ち上がり、ここへ来た。」

 

「勇者は。立ち上がり続ける限り。勇者だ。」

 

 

 

 

「オート9さん…私は…」

 

 目の前で淡々と語りかけるオート9を、青い猫科の動物を思わせる瞳で見つめる01。するとその時、

 

 

「あ、ぜろわんお姉ちゃん!」

 

その声とともに、01に一人の少女が抱きついた。手に絵本を持っている。

 

「ミシェルちゃん?」

 そう言いながら01は、しゃがみつつミシェルと呼ばれた少女と視線を合わせる。ニコニコと笑いながら、今度は首に手を回し01にしっかりと抱きついた。

 

「あの…ミシェルちゃんこの間はご」

 

 

 

「お姉ちゃんどこか怪我してない!?」

 

 その言葉に、今日何度目かの驚いた顔で少女の顔を覗き込む01。

 

「この間は、いつも優しいお姉ちゃんがあんなカッコいいなんてビックリしちゃった!でもそのまま急に帰っちゃって、全然お買い物にも来なくなっちゃったから、どこか怪我したのかと思って心配しちゃったよ!」

 紅潮した頬のまま興奮気味にまくしたてる少女。

 

「お店の人たちと、みんなで凄いねってお話してたんだよ!」

 

「お姉ちゃんは私の英雄(ヒーロー)なのって!…あれ、お姉ちゃんやっぱりどこか痛いの?」

 

 

 

 

 ポロポロと涙を零し、大丈夫。大丈夫と呟きながら、少女を強く抱きしめる01。決して壊してしまわぬよう。それでも決して離さぬよう。

 

 

 

 

「PP-19-01。」

 そう言いながら01の横に立ち、頭に優しく手を置くオート9。

「か、髪をいじらないでください!」

 色々と恥ずかしくなったのだろう、顔を赤らめながらそう叫ぶ01。

 

「すまない。ライト指揮官にされていたとき、何も言っていなかったものなので。」

「いえあのそれはあのっ…」

「お~ロボットさんデッカイ!お姉ちゃん抱っこー!」

 

 そう言われ、少女を抱きかかえると、しっかり 立ち上がる 01。オート9と目線が合うと、嬉しそうにヘルメットの頭頂をペチペチと叩く少女。

 

「あは〜、どうだ〜、お姉ちゃんはすごいでしょう!」

「PP-19-01はすごい。すごい。すごいから、やめてはくれないか。」

 

 

笑いながら頭を叩き続ける少女と、直立したまま叩かれ続けるオート9のやり取りを見て満面の笑みになる01。

 

 

 

「どうです? これこそ勇者の力です!」

 

 

 




お読みくださりありがとうございました!

あれコイツ今回運転してドーナッツ食っただけだな……オカシイ、なんだか勝手に動いてくれるせいで話が(苦笑)

感想・評価などお待ちしております!お待ちしております!お待ちしております!!!

後できれば、フレンド申請してくれると小躍りします。ドルフロID=1878494
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