川崎大志の初恋の人がブラコンだった件   作:ヒラメもち

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完結後の続きだったり、俺ガイル結だったり、ゲームの移植版だったり、俺たちの俺ガイルは終わらない。



第36話 クリスマスをみんなと(前編)

 

『お久しぶりです。年の瀬が近づいておりますね。』

『24日(土)の夜はご家族でお過ごしになられるとお聞きしました。ご多忙なお母様と過ごすクリスマスイブを小町さんは楽しみにしている様子でした。』

 

 お、すぐに既読ついた。

 さてはネットサーフィンでもしていたな。

 

『さて、小町から、最近知らない女の匂いがするとご相談を受けております。私といたしましては、お相手が誰であろうと、お兄さんの幸せは何よりも嬉しいものです。』

 

   『や、お兄さんじゃねぇし』

 

『つきましてはお兄さんもクリスマスは女子とご予定が入っていることと存じ上げます。俺も彼女の小町に水入らずのクリスマスのお誘いをしたいのですが、25日(日)にご家族でのご予定はありますでしょうか。』

 

 比企谷家お父さんも、家にいると思うしなぁ。

 お母様的にも、小町は受験生だし許可が出るかどうか。

 

   『ごめーん☆その日奉仕部でクリパやるんだわ☆

    うちの小町ちゃんも来るし大志君もおいでよ☆』

 

『エセ結衣先輩!?』

 

   『エセ平塚先生』

 

 スマホをやさしく布団に放り投げた。

 いろいろ気にした時間がもったいなかった。

 

 いや、先輩たちと久しぶりに会えるの嬉しいけどさ。それに、期末テストも終わったし、クリスマスプレゼント考えなきゃな。

 

 

 先輩たち、ちゃんと3人で奉仕部つづけてるんだ。

 

 

 

*****

 

 昨日は姉弟でけーちゃんの幼稚園のクリスマスイベントに行っていたのだが、先輩たちや小町も来ていた。けーちゃんがはーちゃんに会ったとは聞いていたのだが、当日は準備から後片付けまでみっちり働かされた。

 

 確かに、小町が言っていたように、知らない女子先輩がいたのだけれど、忙しそうに動いていたから特に話はしていない。

 

 さて、今年は土日がクリスマスということもあって、年末で多忙な両親は朝から、けーちゃんと一緒に炬燵でぬくぬくしている。普段会えない時間が多いこともあって、うちの両親の仲は非常に良い。弟か妹がもう1人できるって言われてもおかしくないくらい。

 

 姉さんもクラスメイトに引っ張られて出かけたらしいが、たぶん女子だろう。普段からイケメンでクールだが、物腰が以前よりだいぶ柔らかくなったから、最近女子友達に囲われ始めている気がする。以前は着せ替え人形にされたって嘆いてたし。

 

 まあ、男だったら見定めさせてもらうつもりだけど。

 これ千葉の兄弟姉妹の風習だと思う。

 

「大志君とはデートでしょー、雪乃さんと結衣さんとショッピングしてー、そのあとパーティーでしょー、プレゼント交換してー、イッセキニチョーでテンションあがるよ~」

「やだこの子、玉縄さん予備軍かしら」

 

 受験勉強疲れの反動による、テンションの上がり具合もあって、セットしたアホ毛がぴょこぴょこ跳ねている。そして、あの人は女子と歩くときは基本やや後方なのだが、妹と一緒ならばちゃんと隣り合っていて、人によっては高校生カップルにも見えるかもしれない。

 

「大志くんお待たせー!」

 

 転ばないように慎重に、トコトコ駆け寄ってくる。

 よいしょと隣に座り込み、寄りかかってきた。

 

「今日は大人っぽいな」

「でしょー」

 

 私服で会うのは久しぶりということもあって、どうにも緊張する。クリーム色のもこもこ萌え袖の手のひらは、置き場所を探していた俺の手のひらで遊び始める。

 

 そして、グリーンでクリスマスカラーなロングスカートから伸びる足を包むピカピカの黒いブーツを見せびらかすようにお辞儀させた。

 

「クリスマスプレゼント?」

 

「そ。お母さんとお買い物したときに!」

 

 八重歯を見せながらニコニコした。

 天使だ。

 

 雪乃さんに憧れている節もあって、おとなのレディーってやつを目指しているところがある。俺とか身長しか変われないのに、成長期ってすごいな。

 

 さて、手持ち無沙汰だが、どこか浮わついている先輩にも話しかけるか。

 

「あっ、昨日ぶりです、お兄さん」

「お兄さん呼ぶなし」

 

 たぶん小町におしゃれさせられたのだろう。しわがほとんどない黒のジャケットで、寝ぐせも極力抑えられている。顔は良いのに、夏はアイラヴ千葉のTシャツで街をうろうろする人だしな。まあ、甲斐性なお二人はそういうとこ、しょうがないって言ってくれるし、例えばネクタイを正してくれそうだ。

 

んー、小町もお姉ちゃんほしいけどー、沙希さんは沙希さんって感じだしなー 姉御って感じだし あー、どっちかお姉ちゃんになってくれないかなー

はぁーちまぁ-ん!

 

 この、店内に響く、イケボは。

 

「我、参上!」

 

 いつもの茶色のコートと指ぬきグローブは、冬には適しているようだ。いまだ平成をわすれていない材木座先輩は、ノリと勢いがあって見覚えのあるポーズで登場した。中2先輩を一瞥したほかのお客様もいるので、先輩も小町も少し目をそらした。

 

「みんな、おくれてごめんね!」

 

 男性服のサイズというのはなかなかアバウトなこともあり、その紫色のゆったりとしたパーカーは少し萌え袖になっている。戸塚先輩に計算されたあざとさはなく、天然の萌えを感じさせ、より一層中性的な魅力を放っている。

 

「い、いや、今来たとこだから」

「くっ、ま、まぶしいっ!」」

 

 先輩たちはおろか、小町ですら、まるでスカウターでどんどん上昇していく戦闘力に驚愕するようなフリーザー軍の顔をしている。

 

 そして、もはやピンクに見える茶髪と、腰まで届くきれいな黒髪が目に入った。

 

「やっはろー!」

 

「結衣さん! やっはろー!

 雪乃さんも! やっはろー!」

 

 小町は席を立って、コートの下に赤いセーターを着ている結衣先輩へ抱きついていった。赤と緑が揃ってクリスマスカラーな美少女たちに、白く上質なコートのこれまた美少女が追いついてきた。

 

「や、やっはろ……こほん」

 

 サコッシュを手にしていないほうの手のひらを、こちら側にもそっと見せたあと、恥ずかしそうに一度咳払いした。そして、俺たち男子がいるところへ近づいてくる。

 

「……なに、結局お泊まりしたの?」

「……そうね」

「うん! ゆきのんに泊めてもらったの!」

 

 俺は、再確認できて安心した。

 材木座先輩や戸塚先輩も頬がゆるんでいる。

 

「みてみてこれ写真!」

「きゃーかわいー!」

 

「お風呂とかもいっしょに入ったんだよ」

「えー!いいなー! 小町もいつかご一緒させてください!」

 

 結衣先輩が小町にスマホを見せているが、ちょっと先輩が気になって目を泳がせているとこ、男子的にもかわいく見える。雪乃先輩は、なんだか恥ずかしそうだ。

 

「んで、クリスマスのほうってなにすんの? もう皆チキンもケーキも食べただろ」

「え、ええ。なにをするのかしらね」

「えー、ケーキいいじゃん。おいしいし。おっきいやつ買お!」

「プレゼントでも買いにいきましょう! そのあといろいろ買い出しですね!」

 

 ナイス小町。

 先輩も雪乃先輩も、たぶんクリスマス素人だし。

 

「例えば、雑貨屋とかでしょうか。それかヴィレヴァン?」

「ちょうどザラスもあるぞ!」

 

 トイザらスのことか。

 そう略すのか。

 

 パーティーグッズもありそうだということで、俺たちは親子で賑わう店内へ向かっていく。クリスマスグッズが店頭にあり、そういうbgmも流されているようだ。

 

 いつか小町に、サンタ服着てもらえないかな。

 いつぞやにメイド服は拝むことができたけれど。

 

「プレゼント、プレゼントなー」

「みんなと交換するんだから、へんなもの選ばないでよ」

 

 小町は唸る先輩にそう伝えたが、俺も結構プレッシャーを感じる。特にこのグループだと、男女どちらに当たっても問題なく、その上でセンスも問われるし、だいたいの相場というものを察しなければならない。

 

 決してどうでもよくなくて、大切だからこそ、こういうサプライズな贈り物をすることは難しいのだ。欲しいものさえ教えてくれればそれを渡せばいいのだけれど、試練を与える彼女というのは少なくないのだろう。ていうか、欲しいものをあざとくねだってくることをしてこない彼女も少なくないのかもしれない。 

 

 っていう一般論は今は関係はないか。

 隣を歩いてくれる小町の欲しいものを見つけないと。

 

「あれ、もしかして」

「たぶん。そうよね」

 

そして俺たちは店内で、見覚えのある人を見つけた。

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