俺は/私は死にたくない!~死亡√は断固拒否です~   作:黒三葉サンダー

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そろそろアリシアがバグるので初投稿です。


覚醒と呼ばれてしまうもの

なんかとてつもなく壮絶な夢を見た気がする。

黒髪の少女が織り成した人生だ。所々場面が欠如している所もあったが、それを抜いても重い話だった。

 

あれは一体なんだったんだろうか。どうにも他人のようには感じられず、あり得ないことに夢の中の少女と視線すら合った気もする。その時に何か言っていたようだが、それは分からなかった。

 

しかも体が妙にスッキリしてる。いや、変な意味じゃなくてね?

なんというか、開放的?鎖が外れた感じ?そんな感じのものだ。

体を動かしたくてしょうがないぜ!

 

「……あら?」

 

とりあえずベッドから降りようと起き上がったら、真っ先に右手が虚空を掴もうとしていた。でも伸ばした先にはもちろん何もなく、銀色の手をニギニギするだけである。

今の動きは完全に無意識だった。まるでそこに当たり前に置いてあったものが無い時のような寂しさを感じる。

 

間違いなく、俺の体に異変が起きている。

あの夢を見てからこれだ。確実に普通の状態ではないと思われる。

 

「うーん……あの夢と関係が?」

 

取り敢えず起きて朝食を食べよう。んで、その後に少し体を動かしてみよう。

そう決めた俺はベッドから降りて、おもむろに姿鏡に写った自分に視線が誘導された。

そこには何時もの金髪碧眼の美少女───ではなく、黒髪赤眼の美少女だった。

 

「……は?え?」

 

予想だにしてない光景に唖然とし、瞬きをした時には元のアリシアとしての容姿に戻っていた。

 

今の姿って……夢の中の……?

 

「アリシアー?起きてる?」

「あっ……お母様!起きてますわ!」

 

ドアがノックされた音とお母様の声にハッと我に返り、慌てて返事を返す。

え、ええい!よくわからんが確認は後だ!

 

『嘘……どうしてあの娘が……』

 

この時の俺は、そんなラムの呟きに気付くことは出来なかった。

 

 

 

─────

───

 

 

 

 

時は無情にも早いもので、バアルと魔物の襲撃から既に一ヶ月が経過していた。

当時戦いに出ていたメンバーはお父様とフラッドさんの二人だけだった。俺と仲良くしてくれたデヴィットさんや、村のムードメーカーだったダムさん、他にも沢山の人が殺されてしまった。

 

魔力欠乏症から回復した俺は、その話をお父様から聞いて年甲斐もなく泣いてしまった。

デヴィットさんやダムさん達は、いや村の人達みんな仲が良かったのだ。

それこそ村全体でひとつの家族のようなもの。そしてその家族が奪われてしまったのだ。

そのショックはとても大きいものだった。亡骸にすがり付く子供の姿に、夫を亡くした妻の悲痛な泣き声。

その光景は俺の胸を大きく抉るものだった。

 

村の皆が総出で行った葬式も、ついぞ誰も涙が枯れることはなかった。

お母様は俺とお姉さまを力一杯抱きしめながら、お父様は血が滴るほど強く拳を握りこみ、ティオとソフィアさんは静かに黙祷してくれていた。

 

それから一週間後、ティオとソフィアさんは一度王都の家に戻る事となった。

元々この村に滞在する期間は三週間程だったからだ。

流石にティオとお別れとなると寂しくなったが、ティオは俺の心情を察してか、両手で俺の手を取り真っ直ぐこちらを見つめてくる。

 

「私ね、アリシアが羨ましかった。魔法の才能は負けてないつもりだったのに、あなたの魔法は凄く素敵だった。だから私はあなたと一緒に魔法の練習をしていて、少しだけ劣等感を感じてたの」

「えっ……ティオ」

「聞いて、アリシア。この前の魔物の襲撃の時、あなたが真っ先に飛び出して行った時、あなたの姿がとても眩しかった。危険だと分かっていても、村の人達の命の危機に迷わず飛び出したあなたに憧れたわ」

 

でも、とティオは口を一度結ぶと俺の手をギュッと握ってきた。その瞳は当時を思い出したせいか揺れていた。

 

「あなたが倒れて運ばれてきた時、生気を感じられないあなたを見た時、私はとても怖かった。アリシアが死んじゃうって…そして後悔したわ。私も一緒だったら、何か変わったかもしれないって。そんな事あるわけ無いのにね」

 

ティオは自嘲するように呟くと、瞳を閉じた。そして一息つくと今度こそ力強くこちらを見つめてきた。

その青い瞳はまるで星が落ちてきたかのように輝いていた。

 

「アリシア。私、もっと強くなる。沢山魔法の勉強して、沢山知識を付けて……あなたの隣に立てるようになるから!あなたと一緒に戦えるようになるから!だから、また会おうね!」

「ティオ……えぇ!えぇ!ティオならあっという間ですわ!それこそわたしなんかじゃ届かないところまで行ってしまいそう!」

「ふふ、その時は無理矢理にでもアリシアも連れていくからね」

「望むところですわ」

「「ふふ、あははははは!」」

 

その後は二人で思う存分笑いあって、再会の約束を交わしたのだ。

次に会う時はきっと、原作の舞台である【オルトリンデ騎士学園】になるだろう。

こうして一時的にティオと別れることになった。

 

 

 

そして今現在。俺は途方に暮れていた。

何故かって?はっはっは。そりゃ目の前の大木がへし折れてるからさ!

 

 

悲報、魔法少女から撲殺少女へとランクアップした模様。

 

 

 

 

 

 




アガートラーム「おう、そろそろ俺の出番かい」
アリシア「マジやべぇ」
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