俺は/私は死にたくない!~死亡√は断固拒否です~ 作:黒三葉サンダー
この作品はコメディです(鉄の意思)
お姉さまと姉妹でイチャついていたところをお父様に捕まって、村の教会へと向かっている俺氏。護衛としてお姉さまも付いてくるということで道中も安心だ。
いや、そもそも護衛が無くともこの辺りにはそんな凶悪な魔物とかは出てこないから安全だ。この妹から離れたくないから護衛だと言い出した感じある。
「なぁアリシア。や、やっぱり止めないか?アリシアはまだ六歳だ。騎士を目指さなくとももっとやってみたいこととかあるんじゃないか?」
「お父様ったら、そんなに心配なさらないで下さい。わたしとて誇りあるユーストラス家の一人ですもの。騎士を目指すことに迷いはありませんわ」
「父上、アリシアの事は私にお任せください。この身に代えてもアリシアは守ってみせます」
「う、うむ。ルクシアがそう言うのであれば……ぐぐ…」
「もう!お姉様まで!」
お父様とお姉さまの過保護っぷりにプリプリと怒る俺氏。良いぞ、自分で言うのもなんだが女の子らしく振るまえてるぞ!たまにボロが出そうになるが……。
そんなことよりも今回行う儀式である!これは〈princess knight〉における重要なイベント、アーティファクトの入手イベントである!
アーティファクトとは簡単に言うとその人物専用の武器の事だ。このアーティファクトは持ち主を武器が選び、所有者足り得る人物の魂と繋がることで初めて使用することが可能となる。この儀式を行うのは人生で一度きりで、契約出来るタイミングは体内魔力の覚醒時期である六歳頃だ。これを逃すと一部の例外を除いて契約は金輪際出来なくなる。それに必ずしもアーティファクトに選ばれる訳では無いらしい。
しかも何故か契約対象は女の子ばかり。アーティファクトはロリコンばかりか!?
因みに主人公ことクレストがさっき言った例外であり、彼の場合は騎士学園の地下に封印されていたアーティファクトに引き寄せられて契約するというイベントだ。これはゲーム内では強制イベントの為、クレストは必ずと言って良いほど物語の中核を担ってくれるだろう。
そうなれば後のチート兵器であるクレスト君が頑張ってくれるさ。
その為にも俺は自分の身を一人で守れるくらい強くならねばならない。そしてそれを達成する一番の手段こそがアーティファクトだ。
アーティファクトは基本的に剣や槍、斧といった武器の姿を象っている。しかも強力な特殊効果や属性を持っているのだ。使い手と共に成長もしてくれるし、アーティファクトがあるかないかで大分生存力が変わってくる程。
そんなすげぇ武器を狙わない筈がないよなぁ?この天使のようなロリータボディで気になるあの子(アーティファクト)もイチコロだ!
「……着いたぞ。ここが教会だ。この教会の中に数多のアーティファクト達が眠っているのだ」
「これは……」
「アリシアにも伝わるか。この濃い気配が、これこそが眠れるアーティファクト達が主を求める気配なんだ」
こんな辺境の村にあるとは信じられないくらいの神々しさを感じる教会に、はたと疑問が浮かぶ。
はて?何故ここまでの威圧感さえ感じさせる建物を今の今まで見てなかったのか。つかここって前まで只の更地だったよね?何なら一年前にここら辺で遊んだことあったぞ。こんなん無かったよ絶対。
「あぁ、アリシアにはまだ話してなかったか。この教会はね、生きているんだよ。アーティファクトを持つに相応しい人物の元へ引き寄せられるかのように、特定の場所に出現する」
「教会が……生きているんですの?」
はぇー。まるで意味が分からんぞ!
確か教会ってゲーム内ではアーティファクトの強化とか属性変質、ステ振りとかが出来るエリアだった。それが何?建物が生きててしかも出現て何?
不味い。不味いぞ!早速ゲーム内容とかけ離れた設定をブチ込んできやがった!
これはちゃんと話を聞けばよかった!
「さぁ行こうアリシア。ここまで来たなら父さんも覚悟を決めるぞ……!」
「父上…これはアリシアの儀式です。父上が覚悟を決める事は必要ありません」
「ルクシア!なんか最近冷たくないかい!?」
「そんなことはありません父上。決してアリシアとの至福の時間を邪魔されたことを恨んでいる訳ではありませんとも」
「いやいや!がっつり恨まれてるじゃないか!?父さんだってルクシアやアリシアと遊びたいんだよ!?」
「あーもう!早く行きましょう!」
てんやわんやが止まらねぇ!もう一人で進んで良いですかねぇ!?
───────
────
──
「ふわぁ……これは壮観ですわ……!」
「そうだろう。私もこの光景を観た時は心が震えたものだ」
「うーむ、父さんはアーティファクトに選ばれなかったから少しだけ羨ましいな……」
教会の中に足を踏み入れると、中にはアーティファクトと思われる武器が無数に安置されていた。
硝子細工のような儚くも力強く輝くそれらはステンドグラスから射し込む太陽の光を浴びて更にキラキラと反射し、幻想的な空間を作り出している。カメラがあれば是非とも写真に納めておきたいくらいだ。
にしても、なんだ。なんかさっきから頭がポヤポヤしてきてるな。こう、何かに呼ばれてるかのような……。
「教会はアーティファクトの墓場とも呼ばれることがあるんだ。それは所有者が死んでしまった場合、契約が破棄されてこの場所へと戻ってくるからと言われているかららしい」
「そう、ですか」
「アリシア?」
だんだん思考がボヤけていく中、知らず知らずのうちに部屋の中央へと歩いていく。お父様とお姉さまが声をかけてくれた気がするが、思考がまとまらない。
心臓が、魂が熱くなる。早鐘を打つ音が脳内に鳴り響く。
間違いない。ここには俺を求める相手がいる。それが心で理解出来る。俺は、確かに呼ばれている。
「わたしを呼ぶのは………誰?」
部屋の中央へたどり着き、確かめるかのように右手を虚空へと伸ばす。そしてそれは唐突に起きた。なんの前触れも無く。
「え───」
「っ!!逃げろ!アリシアぁ!!」
お姉さまの悲鳴にも似た声が聞こえ、その意味を理解したときには既に手遅れだった。
伸ばしていた右手が何かに触れた時、瞬時に右腕丸々一本が凍りづけにされた!それどころか凍りついた腕が作り替えられているような、掻き回されるかのような感覚に襲われる!思わず左手で右腕を押さえると、瞬く間に左手にも白銀の氷が侵食してくる!
「あぁ……あぁぁぁぁ!!」
「アリシア!?今いくぞ!!」
「待ちなさいルクシア!!危ないっ!!」
お姉さまが駆け寄って来ようとするが、遮るように無数のアーティファクト達がお姉さまとお父様を囲うように突き刺さる。そのアーティファクト達からはわたしの邪魔をさせないと威圧感が放たれていた。
遠目からだが、お姉さまが自身のアーティファクト〈エリュシオン〉を出そうとしているのが見えた。しかしエリュシオンは一向に出てくる気配を見せない。
俺の身体は徐々に白銀の氷によって侵食されており、両足と両腕は完全に凍ってしまっている。この速度ならあと数分もしないうちに全身が凍りついてしまうだろう。
まさかここまで危険だとは思っていなかった。もうこの世界に馴染んだものだと思い込んでいたが、まだまだ覚悟が足りてなかったみたいだ。
そりゃそうだ。ゲーム感覚が抜けて無かったんだから。
本当に己の不甲斐なさに涙が出そうだ。
(あぁ、マジか……本編始まる前にリタイアとか……俺のバカ野郎……)
せめて最後に、六年間俺にありったけの愛情を込めて育ててくれたお父様とお姉さまに笑顔を向けて。
「お父様。お姉様。大好き────」
「アリシア……?アリシアぁぁぁぁ!!」
お父様、お姉さま。俺はちゃんと笑えてたでしょうか?お母様、ごめんなさい。貴女にも最後に会いたかったです……。
こうして俺は泣きながら手を伸ばしていたお姉さまと悲痛な顔をしていたお父様を見ながら氷像となったのだった。
前書きが無ければ即死だった…!
早めに学園編を書くべき?
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ササッとゲーム本編にいこう
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ゆっくり幼少編やってこう
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お前の信じたシナリオを行け!
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アリシアちゃんのイチャイチャはよ!