俺は/私は死にたくない!~死亡√は断固拒否です~   作:黒三葉サンダー

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修正:ルビ振り


契約と呼ばれてしまうもの

目が覚めると白銀の世界にいた。

 

いや、ごめんよ?説明が足りんかったわ。俺も取り乱してるから、ちょこーっとだけ整理させてくれ。

 

先ず俺はアーティファクトと契約するためにお父様とお姉さまと一緒に教会へ向かった。

そんで教会の中に入ったらだんだん頭がボヤけてきて、呼ばれるままに手を伸ばしたら凍りつけにされたと。

 

…うん。これ死んだよね俺。普通全身凍りつけにされて人間生きれるわけないもんね。

くそー……マジかー……早すぎだろ人生リタイア。まだ本編始まっても無ければヒロインにすら会ってねぇよ!

ルクシア?お姉さまは家族だから。

にしてもこれ、絶対お父様とお姉さまにトラウマ植え付けたよね?俺が二人の立場だったら、可愛がってる妹が目の前で助けられずに氷像にされたらガチ泣きする。絶対する。まだ生き返る方法はないだろうか?無いですよねー(涙目)

 

「つか、これどうしよう……」

 

冒頭に戻るが、今俺の眼前に広がっているのは遭難でもしたのかと疑うレベルの雪山の光景である。絶賛猛吹雪である。こんな極寒な地にいるわりに俺の服装は変わらずである。

 

しかし吹雪の鬱陶しさはあるものの寒さは感じないのが幸いだ。いやそもそも幽霊なの?俺。

実体ではないと思うけど、あれか?よくある精神体ってやつか?

 

「はぁ、なんか喧しいのが来たわね。なんでこう、毎回毎回こんな癖が強い奴ばっかり選ぶのかしらね?まぁたどり着けた子は久し振りだけどさ」

「だ、誰ですの!?」

 

咄嗟に声のした方へ体を向けると、そこには美少女がいた。見ただけでわかるフワフワな長い銀髪にあどけなさの残る童顔。そして気の強さを露にするような鋭い視線。

 

俺には分かる…この子にはツンデレの才能があると!!ツインテールじゃないのは少し悔やまれるが、これはこれでクるものが────

 

「あんたぶっ飛ばすわよ?」

「ヒエッ」

 

銀髪美少女の射殺すような視線に身が竦む。

な、なんだ?何故バレている?まさか心を読まれているのか!?

 

「あんたの心なんて駄々漏れよ。それにしても見た目に反して中身がこれとはねぇ」

「これって、酷い言い種ですわ」

「いや、もうあんたの中身分かってるし普通の喋り方に戻しなさいよ」

「あ、そう?なら遠慮無く」

 

促されるまま口調を崩す。俺としても久し振りのお嬢様口調からの解放はありがたい。

どうしても家族の前では淑女らしく振る舞わないと怪しまれるからな。

 

「ふーん。それよりここで話すのもなんだし、とりあえずそこの洞窟の中にでも移動しない?吹雪もウザったいし」

「それには同意だな。寒さは感じなくても鬱陶しいことこの上ない」

 

そんなわけで俺は銀髪美少女の誘導の元、洞窟へと移動を開始したのだった。

 

 

 

───────

─────

───

 

 

 

「さて、色々聞きたいことがあると思うけど何から聞きたいかしら?」

 

何処から途もなくテーブルとイスを取り出した美少女がイスに腰掛け、足を組ながら優雅に紅茶を嗜んでいる。

確かに色々聞きたいことがある。

 

「そのテーブルとイスは一体何処から出したのかが気になって仕方ないぞ」

「企業機密よ」

「紅茶が空中から注がれたように見えたんだけど」

「あんた疲れてるのよ」

「俺にもイスが欲しいんだけど」

「あんたは地べたで充分よ」

「パンツ見えそうだぞ」

「どこ見てんのよ!」

「ふぎゅっ」

 

事実を告げた瞬間黒ニーソな御御足で頭を踏んづけられた。流石に女の子(中身おっさんだけど)の頭を靴で踏むような少女では無かったのが嬉しいです。しかもそんな強く踏んでる訳じゃない所も優しくて惚れそう。

 

「な、なにいってんの!中身がそんなんでも一応女の子なんだし、顔とか傷付けちゃったら不味いじゃない!それだけよ!」

「ありがとうございます!」

 

少し赤くなりながら早口で捲し立てる少女にほっこり。可愛いかよぉ!

 

「うっさい!このまま消えるわよ!」

「マジですんませんでした」

 

待って待って!真面目にやるから許して!

 

「全く、こっちだって暇じゃないのよ。一応制限時間もあるしね」

「え、何それ初耳。早く言ってくれよ。それじゃあここは何処なんだ?」

「ここは心想世界と呼ばれる場所。大雑把に分かりやすく言うならアーティファクトの中よ」

「アーティファクトの中?なら俺は取り込まれたってことか?」

「まぁそれに近いかしら。後あんたは死んでないから勘違いしないように」

「え!?まだ生きれるの俺!?」

 

思わぬ情報に座りながら物理的に飛び上がる俺。その光景に一瞬ビビる少女。

すまぬ。嬉しくてつい飛び上がってしまった。

 

「あんた器用ね…そんで、この心想世界に入れる人間は極少数よ。つまり心想世界に入れた人間はそれだけアーティファクトと波長が合うってこと」

「はぁ…」

「いまいち分かって無さそうね。まぁそのうち嫌でも分かる時が来るわ。というか慣れるわ」

「慣れるのか」

「慣れるわよ。あたしがそうだったもの」

 

妙に疲れたような顔でため息を吐く少女。彼女にも中々難儀なことがあったのだろう。

いや待て。ってことは俺も難儀なことが起きるってことじゃねぇか!

 

「そこはあんたが頑張りなさい。少しくらいならあたしも手伝ってあげないこともないし。あたし以外にこの心想世界にたどり着いたのはあんたで二人目だし、貴重な人材はなるべく殺したくないしね」

「待って待って。別に俺より前にたどり着いた人がいるのは別に気にしないけどさ、ここって君しかいないよね?確証があるって訳じゃないけど、何となく君と俺以外の人間はいない気がするんだけど」

「あら?意外と勘が良いわね。あんたの言う通り、この心想世界にはあたしとあんた以外の人間はいないわ。だって────」

 

 

 

 

 

 

────あたしが殺したんだもの

 

 

 

 

 

 

「っ……マジかよ……!」

 

ニッコリと可愛らしく笑う彼女から濃密な死の気配を感じ、ジットリと汗が背中を伝う。

先程までのツンデレ少女の面影は無く、否応にも心臓がバクバクと高鳴り脳が危険信号を出す。

間違いなく目の前の少女は強者であり、戦う術を持たない俺は蹂躙されるしかない。

 

「あはは!そんなにビビらなくても大丈夫よ。あんたが理に反しない限りはあたしもあんたを殺そうとはしないから」

「こ、理?」

 

少女がフッと力を抜くと、息苦しさが消えていき元の緩い空気へと戻っていた。

洒落にならんよあれ。死んだと思ったもん。

 

「そ、理。契約内容とも言えるかな」

「契約内容…」

「ここにたどり着けたもう一人の子は残念ながら契約に反してしまった。だからあたしが始末したの。あたしだって理に反して死にたくないしね」

 

そう呟くと、少女は立ち上がると洞窟の入り口へと歩みを進めた。そしてこちらを振り返る。

その目には今までにないくらい真剣なものだった。

サファイアのような綺麗な瞳に吸い込まれそうになる。

 

「本題に入るわ。あたしと、アーティファクトと契約しなさい。あんたはあたしたちに選ばれた、三人目の逸材よ。契約するのなら、あんたにはあたしたちの力が継承される。云わばアーティファクトが使えるようになる」

「…契約内容は?君の言う理って一体……」

「契約内容は至って単純よ」

 

少女は組んでいた腕を解き、得意気に笑いながらビシッと人指し指をこちらに向けてきた。

 

「どんなことがあっても生きなさい!生きることを諦めるのはどんな理由があれど許さないわ。例え親を失おうが、例え恋人を失おうが、例え友人を失おうが、例え自分の命を犠牲にしないといけない場面であろうが、絶対に生き残る方法を考えなさい!足掻いて足掻いて、それでもどうしようも無いなら死ぬことを許してあげる」

 

少女の契約内容はなるほど、確かに単純明快だ。生きることを諦めなければいいのだから。

だけど重い契約とも言える。それこそどんな理由であれ生きることを諦めてはいけないのだから。

 

どれほど残酷な運命であろうとも、それを受け止めて生きねばならないのだから。

 

「さぁ!あたしの手を取りなさい!あんたをどんな過酷な運命をもはね除ける、最強のアーティファクト使い(ファクター)にさせてあげる!何よりも生きることに貪欲になれるあんたとなら、今後ともやっていけると思うし!」

「……はは。なんじゃそりゃ。でも、そうだな。俺は死にたくないなんかない。好きな子とイチャつけてもなければ会えてすらいないんだからな!だから受けるぜ、その契約!」

 

差し出された手を掴むと、少女は嬉しそうにグイッと俺を引き寄せると────

 

 

 

「はむっ♪」

「んむ!?」

 

 

 

 

────俺のファーストキスが奪われていた。

 

 

 

 

「んっ、ちゅ……ぷはっ」

「な、なななな!?!?」

 

ディープではなかったものの、その衝撃は計り知れない。身体全身が痺れるような甘い感覚に襲われる。

顔を真っ赤にしてプルプルと震える俺を余所に、本人は全く気にしてはいない様子。

 

「ん……はい、これで契約完了よ。あとは現実世界に帰るだけ。あっちに戻っても驚いちゃだめよ?右腕には何も異常は無いからね」

「何もアクション無しかよ!?ふぁ、ファーストキスだったのに!?」

「なによ?別にキスくらいでそんなに慌てる必要はないでしょ。そもそもあたしとあんたじゃ生きてる時間も違いすぎるんだから、今更あたしがキスくらいで羞恥心が刺激されるとでも?」

「やだ!この子男らしすぎる!?」

 

アワアワと突っ込みを入れていると、俺の身体がどんどん薄くなってきているのに気付いた。彼女が言っていた制限時間ということだろう。

 

「あはは!あんたほんとに面白いわね!ま、精々あたしたちの力を引き出せるように励みなさい。あんたは先ずそこからよ」

「うぐぐ、覚えてろよ!絶対に仕返ししてやるからな!えーと……」

「ラム。あたしの名前はラムよ。それじゃまた会いましょう。アリシア」

「絶対だぞ!絶対だからな!ラム!」

 

 

完全に身体が消える直前に見えたのは、本当に楽しげに笑いながら手を振ってくれていた銀髪美少女だった。

 

 

 

 




アーティファクトのヒントしかない。
不思議だなぁ(すっとぼけ)

早めに学園編を書くべき?

  • ササッとゲーム本編にいこう
  • ゆっくり幼少編やってこう
  • お前の信じたシナリオを行け!
  • アリシアちゃんのイチャイチャはよ!
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