俺は/私は死にたくない!~死亡√は断固拒否です~ 作:黒三葉サンダー
先ず始めにハッキリと言おう。俺には剣の才能がなかったと!!
事の始まりはアガートラーム反抗期事件から数日後のことだ。未だにアガートラームを具現化出来なかった俺は敬愛せしお父様に連日ボコられ───じゃない剣術指南を受けている。
なんでも、「アーティファクトを使えない今、頼れるものは己の剣の腕だ!」とはお父様談。
実のところお父様は家族の事になるとポンコツ気味なものの、剣の腕は国王様に認められる程の腕前を誇るのだ。飛んでくるTUBAMEを斬り落とせるレベルで。
いやぁあれは度肝を抜かれたよ。まさか身近に燕返しをお手軽に打てる人物がいるとか思わないじゃん?
でも今よく考えてみると、そもそもあのお姉様に剣を教えていたのはお父様だ。同年代どころか年上相手にも圧勝してしまう程の実力をお姉様に付けさせたのは正真正銘お父様なのだ。そのお父様が凄くないわけないんだよなぁ?
今度から認識を親バカからスゲー人に変えようと思う。
お父様TUEEEEEE!!
余談だが、実践後はお母様が早急にTUBAMEに回復魔法をかけて自然に帰してあげていた。そしてその後お父様はお母様に自然動物を傷付けた事でお叱りを受けてしょんぼりしていたのが印象的だった。
そんな訳でお父様から剣の持ち方から学び(無論子供用の小さい刃を潰した物だ)、山の中を走り回され、魔物に追いかけ回され、素振りをこなし、直接稽古をし、勉強を教わり、泥のように眠る。こんな生活が延々と続けられている。
死ぬ。そろそろアリシアちゃんの心と身体が死んじゃうよ。でも契約のせいで死ぬレベルまでは至れないのでギリギリ生き延びている。もういっそ殺せ。
あっ!待って!いだだだだ!?なにこれ呪い!?右腕がミシミシいってる!?いってるからぁ!?冗談だから許してぇ!
内側から押し潰されるような痛みに懲りて謝ると、スッと痛みが引いていく。ちくしょう、これ絶対ラムの仕業だろそうに違いない!
うっ、いたた……こんな呪い聞いてないぜ……。加減しろばか!ばーかばーか!
ふぅ、失礼。取り乱しました。
でもなーんかおかしいんだよなぁ。剣術はともかく身体を動かす事に関してはここまで音痴な訳はないのだ。
何故って?そりゃお外で元気に走り回ってたレベルですし。
それにこう、なんと言うか身体に違和感があるのだ。
なんつーんだろ?右手と右足が同時に出る感じ?いや違うか。うーん。
とにかく身体の中でごちゃごちゃと物が散らかってる感じだ。うん、これ伝わらないな。つまり身体に異常をきたしているに違いない。それ以外に思い付かん。
そんな俺は現在何をしているかと言いますと、手の中で氷の鶴をパタつかせています。
いやはや、まさか剣は使えずに
魔法自体はこの世界に存在しているし、使える人も勿論いるがそう多くはないのが実態だ。
でもヒロインの一人も
「お母様?お母様。どうされましたか?」
「アリシア……ごめんなさい!私は!私達はずっと勘違いしていたわ!本当にごめんなさい!」
「え?……え!?勘違い?何が勘違いなのですかお母様!?」
「あなたは天才よ!確かに剣の才能は無かったかもしれない。けれどあなたにはそれ以上に魔法使いとしての才能があったのよ!」
「ふぇ!?」
───とはいかないようで、まるで宝石を見たかのようなキラキラした眼でガッチリと俺の肩を掴むお母様に少しビビる。
普段はおっとりとしたほんわかお母様なんだが、今ばかりは子供のようにはしゃいでいるのが分かる。
つかほんとにどうしたお母様!これだってお母様がやって見せてくれたのをパクっただけだぞ!?寧ろ俺の方がビックリだわ!
「あのね、アリシア。魔力で動物とかの複雑な形を形成するのは本当に難しいことなの。それこそ10年以上掛かる人が大半よ。ましてやそこまで動かせるのであれば、それは魔法使いとしての天性の才能があるってことなの。これでも私も名のある魔法使いだったけれど、アリシア程の年頃にはそこまで複雑な形成は出来なかったわ。実際私が出来るまで5年は掛かったしね」
俺の手の中から宙に羽ばたき始めた氷鶴を目を細めて眺めるお母様。そして純粋に恐怖する俺。
いや、お母様や。あなた他の魔法使いよりも半分近く早く出来るようになってますやん。それって充分天才の領域だと思うんですがこれは。確かに俺がやったことはスゲーことって分かったけどさ。この親あってこの子ありとも言えますよね?
それにお母様に悪いが、これ多分俺の力じゃなくて右腕のせいだと思うんですよ(名推理)
だってこの氷鶴だって右腕から作れたものですし。
「アリシア!これからは魔法中心で覚えていきましょう!あの人にも私から話は通しておくから!」
「え?あの、お母様?これは恐らく右腕のせい……」
「うふふ、ルクシアはあまり魔法が得意じゃなかったから教えられなかったけれど。アリシアになら私の知識や技術を教えられるわ。それは今後絶対にあなたの強い力になるわ!一緒に頑張りましょう!」
「アッハイ」
本当に楽しそうにしているお母様の可愛らしい姿に、結局俺は真実を告げることが出来ず魔法のお勉強へと力を注ぐ事になったのだった。
……これ、どうしようかな(震え)
ア「アーティファクトってスゲー」
レ「やだ!?うちの娘ったら天才!?」
悲しいすれ違い……
早めに学園編を書くべき?
-
ササッとゲーム本編にいこう
-
ゆっくり幼少編やってこう
-
お前の信じたシナリオを行け!
-
アリシアちゃんのイチャイチャはよ!