バビル・イン・ザ・ブラッド   作:橡樹一

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2020/6/5 用語集追加


5話 メイガスクラフトにて

 〝仮面憑き〟に対しての完全敗北から一夜明けた土曜の朝、古城と雪菜はモノレールに揺られていた。結局あれから一睡もできなかった2人は、朝一番で凪沙から猫のためと偽って夏音の住所を聞き出し、話をするために向かっているのだ。

 

「メイガスクラフト?」

「はい。凪沙ちゃんから聞いた叶瀬さんの住所は、そこの社宅でした」

 

 手書きのメモを見ながら、雪菜は降りる駅を確認している。古城は、うろ覚えの記憶から該当する名前を引っ張り出した。

 

「たしか、清掃ロボットの会社だっけ? 最近業績を伸ばしてるって、ニュースでやってたな」

 

 数日前のニュースで、メイガスクラフト社のV字回復と銘打った特番が組まれていたのだ。古城としては興味が無かったために聞き流していたのだが、こんなことならばしっかりと見ていればよかったと歯噛みする。

 

「そうですね。産業用機械人形(オートマタ)の製造業を主力としている企業で、研究施設が絃神島北地区(アイランド・ノース)にあって、そこに叶瀬さんの現在のお父さんが勤めているみたいです」

「で、その施設近くの社宅が現住所ってわけか。

 今の父親ってことは……」

「はい。修道院が閉鎖された後、叶瀬さんは今のお父さんに引き取られたと聞いています」

 

 雪菜は少し困ったように目を伏せた。彼女も幼少期に獅子王機関へ引き取られたのだ。境遇からして似ている夏音は、同情というよりは共感の対象なのだろう。

 丁度モノレールが目的の駅に到着し、古城は降りながら渋い顔になって頭を掻いた。

 

「それだけ聞けば、いい話なんだけど……昨日のあれを見た後だと、どうにもな……」

「同感です。少し引っかかりますね」

 

 後に続く雪菜は堅い表情で頷き、ふと不安そうな表情で古城を見上げた。

 

「あの、先輩。叶瀬さんのこと、南宮先生には?」

「俺からは話してない。でも、浩一さんが話してる可能性は高いと思うぞ」

 

 古城の顔が苦悩に歪む。古城とて、自分の判断がグレーゾーンであるということは理解している。被害を食い止めるためにも、本来であれば知る限りの情報を那月に渡し、特区警備隊(アイランド・ガード)に動いてもらうことが一番なのかもしれない。自分が感傷で話をしなかったために、結果として生まれたタイムラグが被害を広げる可能性もある。それに古城が黙っていたとしても、あの時浩一も夏音の顔を見ているのだ。彼が情報の共有を怠るとは考えにくい。

 だが、それでも古城は見知った後輩を、何の事情も知らないまま管理公社へと引き渡すことはできなかった。

 

「まあ、那月ちゃんも強引な所はあるけど、決めつけで動く人じゃないからな。あの人が動くための下調べが済む前に、なんとか直接話せるといいんだけど」

 

 古城のぼやきに対して、意外にも雪菜は仕方のない人だと呟いただけだった。

 

 

 

 それから数分後、夏音の住所に到着した2人は、少しの間立ち尽くすことになる。

 

「姫柊、本当にここで合ってるのか?」

「聞いた住所では、ここでいいはずなんですけど……」

 

 古城たちの目の前には、殺風景なオフィスビルが建っていた。2人が立ち尽くした理由は、壁全体を覆う鏡面加工された硝子が生む、温かみや生活感を削ぎ落としたような雰囲気と、夏音が住む建物と言うイメージが一致しなかったためだ。社宅ではなく、研究施設に住み込んでいると言った方が正しい表現になるだろう。

 

「とりあえず、入ろうぜ」

 

 古城が先陣を切り、ビルの中へと入る。

 内部は一般的な企業の入口と似通った形をしており、入ってすぐの受付に待機していた女性が古城へと近づいてきた。

 

「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「あ、すみません。こちらに住んでる、叶瀬夏音さんに会いたいんですが」

 

 ぎこちない愛想笑いに対して、受付嬢は無機質な笑みを浮かべた。どこか人形を連想させる、堅い笑みだ

 

「申し訳ありません。叶瀬夏音はただ今外出中となっております」

 

 なんの資料も確認せずに返答され、古城は面食らう。

 

「いつ帰ってくるかとか、わかりますかね?」

「わかりかねます」

 

 表情を一切変えない受付嬢に、古城はどこか違和感を抱く。同時に、何故か眼前の女性に嫌悪感を抱いていることに気が付いた。

 

「叶瀬賢生氏は、ご在宅ですか?」

 

 不快感から押し黙った古城に変わり、雪菜が口を開いた。夏音の父親らしき人物の名を挙げている。

 

「失礼ですが、どのようなご用件でしょうか」

「私は獅子王機関の姫柊です」

 

 受付嬢に、雪菜が自らの所属組織を告げたことに古城は驚いた。あくまでも私的な行動中である今、獅子王機関の名前を出すことは、雪菜の生真面目な性格らしからぬ行動だったからだ。

 数秒の沈黙の後、受付嬢は雪菜に向き直る。解答は、古城たちの予想を外れたものだった。

 

「承っております。こちらで少々お待ちください」

 

 受付嬢が来客用のソファに先導し、古城と雪菜は困惑して顔を見合わせる。

 

「承ってるって、どういうことだ?」

「わかりませんが、好都合です。何か聞き出せそうですよ」

 

 とりあえずこの場は大人しくしておこうと、古城と雪菜は座って待つことにした。

 

 

 

 座り始めて10数分後、古城が退屈を覚え始めた頃に、エレベーターの扉が開いた。視線を向けると、ワインレッドのスーツに身を包んだ外国人の女性が此方に歩いてくる。金髪の華やかな美女であり、スーツから窺える体のラインが肉欲的だ。

 

「親父さんじゃないのか」

 

 訝しげな古城の呟きは、隣の雪菜が肘打ちで中断させた。

 

「登録魔族ですね」

 

 言われて手首に視線を向ければ、金属の腕輪(ブレスレット)がはめられていた。人工島管理公社から支給される魔族登録証だ。

 これをつけている限り、肉体の監視や特殊能力の発動制限を受けるが、代わりに普通の人間と同じ権利が与えられる。

 魔族特区で暮らす古城にとっては珍しいものではない。それよりも古城の目は女性の肉体が放つ存在感に吸い寄せられていた。

 

「先輩、見すぎです。失礼ですよ」

「いや、ゴージャスな人だと思っただけで、べつに言われるほど見てないだろ!」

「目つきがいやらしいです。犯罪ですよ」

 

 そこまで言われるかとショックを受ける古城を後目に、どこか不機嫌そうな雪菜は立ち上がり、眼前で足を止めた女性と向き合った。女性は蠱惑的笑みを浮かべる。

 

「お待たせしてしまい申し訳ありません。」

「いえ……こちらも突然訪問してしまったので」

 

 獅子王機関の名を出した以上弱みを見せられないと判断したのか、雪菜の表情は真剣そのものだ。一切の気おくれをせず、堂々と向き合っている。

 そんな雪菜の顔を見た女性は、僅かに表情を崩した。

 

「あなたたち、昨日の……」

「はい?」

「いえ、ごめんなさいね。獅子王機関の方が、こんなにお若いとは思わなかったもので」

 

 お茶を濁すような社交辞令を述べ、女性は事務的な口調で続けた。

 

「あらためまして、開発部のベアトリス・バスラーです。叶瀬賢生の、そうですね……秘書のようなものです。

 そちらの受付用機械人形(オートマタ)に不備はありませんでしたか?」

 

 ベアトリスの言葉に、古城は勢いよく振り返った。彼女が示しているのは、古城たちをここまで案内した受付嬢である。

 

「え、機械人形(オートマタ)なんですか!?」

「はい。わが社の新開発したモジュールを使用した最新型となっています」

 

 そう言われてよく見てみると、瞳がカメラになっていることに古城は気がついた。声も口内に仕込まれたスピーカーから発せられているのだろう。古城は元より雪菜ですら気が付かなかったのは、一般的な機械人形(オートマタ)とは一線を画した動作のためだろう。

 古城は、自分が感じていた嫌悪感の正体に気が付いた。人工的に作られた人型の物体が、人間そっくりに振る舞っている状況を無意識に感じ取っていたのだ。この会社全体を取り巻く雰囲気とよく似たそれは、古城にとっては決して好ましいものでは無かった。

 

「ああ、申し訳ありません。開発品の事になると意見を聞きたくなってしまうのは悪い癖です。

 本日は、叶瀬にどのようなご用件でしょうか?」

「申し訳ありませんが、ご本人に直接お話しする類のものですので、今は言えません」

 

 雪菜の返答に、ベアトリスは困ったように眉を下げる。

 

「そうでしたか。しかし困りましたわね、本日、叶瀬は不在となっています」

「不在、ですか?」

「ええ、叶瀬はただ今島外におりますの。弊社は〝魔族特区〟の管理区域に、独自の研究施設を持っておりますので、そちらに」

「絃神島の外に? ひょっとして、娘の夏音さんも一緒ですか?」

「はい。そのように伺っておりますわ」

 

 ベアトリスは、微笑みと共に肯定した。

 海洋を流れる龍脈の上に浮かぶ絃神島は、魔術的優位と共に人工島ゆえの欠点も併せ持っている。精密部品製造等の天敵である揺れは潮流から生み出される以上打ち消しきれないことに加え、大地への直接干渉を前提条件とする魔術は一切の使用が不可能だ。

 故に絃神島に本拠地を置く企業の多くは、付近の無人島を借り上げて〝管理区域〟とすることが認められている。ベアトリスの言う研究施設も、そう言った無人島の1つにあるのだろう。

 

「あの、2人が絃神島にいつごろ戻ってくるのかわかりますか?」

 

 緊張を滲ませた古城の質問に、ベアトリスの返答は無情だった。

 

「申し訳ありませんが、未定となっております。叶瀬が現在関わっているプロジェクトについての詳細は、私たちにも知らされていない機密事項ですので」

「そう、なんですか……」

 

 落胆する古城に、彼女はおかしそうに笑って続けた。

 

「お急ぎのご用件でしたら、研究施設へ直接向かっていただいた方が早いと思いますわ」

「そんなことが可能なんですか?」

 

 古城が目を丸くする。

 

「ええ。1日に2往復、連絡用の軽飛行機を飛ばしていますので、そちらに同乗していただければ問題なく。今からならば、まだ午前の便に間にうはずですので」

「では、同乗許可をお願いできますか?」

「かしこまりました。では、こちらへ」

 

 古城たちを先導して、ベアトリスが歩き出す。それに続いた古城は、背後で雪菜がこわばった表情をしていることに気が付かなかった。

 

 

 

 人工島である絃神島において、飛行機は非常に身近な移動手段である。とはいえ飛行場の数は6ヶ所と限られており、大型の飛行機が発着できるのとなれば中央空港のみだ。その他の空港は、最低限の設備のみの民間飛行場なのだ。古城たちが案内された北地区産業飛行場も、例に漏れず小規模の飛行場だった。

 飛行場の敷地内には、薄汚れた4人乗りの軽飛行機がぽつりと止まっているだけだった。その横で、革ジャンを着た長髪の男性が待機していた。

 

「まさか、あれが社用機か?」

 

 古城は自分の予想が外れるよう祈ったが、現実は非情だった。

 

「よう、あんたらが今回のお客様か? 俺はロウ・キリシマ。ベアトリスの使いっ走りみたいなもんだが、まあよろしくな」

 

 メイガスクラフトのロゴが入ったジャケットを見て、古城はこの機体に命運を託すことになる事を知った。眼前の男が醸し出すだらしなさが、不安に拍車をかける。

 差し出された手を握り、古城は男のはめた腕輪に気が付いた。ベアトリスと同じく、この男も登録魔族だ。おそらくはL種――獣人だ。

 

「ところで、そっちの嬢ちゃんは大丈夫か? すごい顔色だが」

 

 キリシマの視線の先には、顔を紙のように白くした雪菜が立っていた。不安そうに眉を顰め、祈るように両手を握り合わせている。普段の凛々しい雰囲気が嘘のようだ。今までの敵対者たちと対面した時でも、ここまでの取り乱したことは無かったはずだ。

 いや、古城には1つだけ心当たりがあった。ナラクヴェーラとの戦いで、バビル2世のしもべを使って戦場へと移動した時だ。

 

「姫柊、そういえばお前、飛行機が……というよりも、高い所が苦手みたいだったな」

「そんなことはありません! わ、わたしは獅子王機関の剣巫ですから!」

 

 姫柊の稚拙な言い訳に、古城は思わず苦笑する。意外な弱点を必死で隠そうとする雪菜を、古城は馬鹿にする気にはなれなかった。

 選択の余地なく剣巫として生きる事を強要された少女。例え仲間であろうとも弱音を吐くことが許されない孤独を、古城はバスケ部時代の経験から知っていた。その孤独に耐え切れず逃げた身として、古城はある種の共感を覚えたのだ。

 

「……そういや凪沙も飛行機苦手だったな。ほら」

 

 古城が震える雪菜の手を取った。驚いた雪菜は古城の顔を見る。

 

「せ、先輩!?」

「いや、こうすると安心するって凪沙から聞いた事があってな。嫌だったか?」

「そんなことは言ってません!」

「おうバカップル! そろそろ出発するから、乗ってくれや!」

 

 いつのまにか飛行機のエンジンをかけていたキリシマの声に、2人は慌てて機体へと走ることになった。

 

 

 

 空港から出発し、数分もすれば絃神島は水平線に消え、見渡す限りの大海原となった。海上ゆえの強風で機体は揺れ、それが旧式機体の薄っぺらさを助長させる。雪菜の不安が伝染(うつ)ったのか、古城は改めて無事に帰れるのか不安になった。

 

「姫柊、ちょっといいか?」

 

 古城は開いている手でジェスチャーをし、雪菜はその意を汲んで呪符を光らせた。これで、こちらからの声は遮断される。

 

「叶瀬の親父さんの研究って、やっぱり〝仮面憑き〟と関係あるのかな」

「状況的に見ても、その可能性は高いです」

 

 雪菜の口調は重い。夏音や戦っていた少女の全身に浮かび上がっていた紋様は、高度な魔術儀式が関連している。また、大企業の魔導技師である賢生が、共に生活してる夏音の魔術的変化に気が付かないとは考えにくい。

 

「自分の娘を改造して、殺し合わせて何がしたいんだ」

 

 古城の呟きに、姫柊は悲壮感の籠った表情で首を振った。

 

「多分、順序が逆です」

「え?」

「自分の娘を改造したのではなく、改造するために引き取ったとは考えられませんか?」

「そんな……」

 

 絶句する古城だが、状況証拠がその仮定を裏付ける。孤独な少女が、やっと引き取られた先で実験体とされる。一度希望を持っただけに、その悲しみと絶望は想像を絶するだろう。

 怒りに身を震わせる古城の横で、雪菜は目を伏せた。

 

「私と叶瀬さんは、どこか似ているんです。だから……」

 

 雪菜の漏らした呟きで、古城は彼女の本心に気が付いた。

 霊媒としての体質ゆえに獅子王機関に引き取られた雪菜の境遇は、たしかに今の夏音に重なるのだ。一歩間違えれば、雪菜も魔術の実験台にされていてもおかしくなかった。らしくない獅子王機関の名前を出したことも、彼女なりに夏音を救おうと必死だったからなのだ。

 

「……昨日の夜、叶瀬は俺達の事を助けてくれたよな」

 

 昨日の戦闘を思い起こしながら、古城はぼそりと確認する。つないだままの手が握りしめられ、雪菜は顔をあげた。

 

「今度は、俺達が助ける番だ」

 

 決意に染まった古城の表情に、雪菜は力強く頷いた。

 

「ようバカップル。見えてきたぜ!」

 

 そんな雰囲気に横槍を入れるように、キリシマが機体を傾け始めた。ゆっくりと旋回する機体の窓から、ぽつりと浮かぶ島が見える。研究所があるという無人島だろう。三日月状の小さな島で、上空から民家の類は確認できない。

 

「あれが俺達の島だ。勝手に金魚鉢と呼んでる」

「金魚鉢?」

 

 古城の疑問をよそに、飛行機は高度を下げ始めた。だが、古城の目に滑走路らしき場所は見当たらない。

 

「そろそろ着陸するが、舌噛むなよ!」

 

 キリシマの言を最後に、機体は無人の原野へと突っ込んでいく。異変に気が付いた雪菜が古城にしがみつくが、それに照れる余裕すらない。

 ろくに整備されていない原野で跳ねながら、機体はゆっくりと速度を落としていく。そしてがけっぷちぎりぎりて制止し、古城は胸をなでおろした。

 

「ほら、抱き合ってないでとっとと降りろバカップル。後の予定がつかえてるんだ」

 

 慣れた手つきで扉を開けるキリシマに促され、古城は雪菜を支えながら機体を降りる。堅い地面が、これほど頼もしく感じたことは無かった。

 

「で、この島のどこに研究所があるんだ? 上からはそれっぽいものも見えなかったけど」

「さあな。そのうち誰かしら来るだろ。生きてればな」

「……キリシマ?」

 

 意味ありげなセリフに振り向くと、キリシマが飛行機の扉を閉めるところだった。そのままプロペラが回りはじめ。機体が進み出す。

 

「悪いなバカップル。恨むならベアトリスの奴を恨んでくれや。俺は命令されただけだからな」

 

 窓越しに手を振りながら、キリシマは嫌味な笑みを浮かべ、次いで表情を驚愕に歪めた。

 

「待ちやがれこの野郎!」

 

 学生とは思えない俊敏性で動いた古城が、操縦席の扉に取りついたのだ。よく見れば四肢に雷を纏っていることがわかるが、それに気が付くだけの余裕はキリシマにはなかった。

 

「機体を止めろ! さもないと……」

「さもないとなんだってんだ? 舐めるなよガキが!」

 

 窓越しに腕を突きだす古城に対し、なんとキリシマは扉を開け放った。あっけにとられる古城の腹目掛けて、キリシマの蹴りが叩き込まれる。

 たとえ人間体であろうとも、獣人の脚力は脅威だ。まともに喰らった古城は弾き飛ばされ、異物を排除した飛行機はあっという間に島から飛び去ってしまった。

 獣人の脚力と飛行機の加速で地面に叩きつけられた古城は、なんとか受け身を取ることで致命傷から免れていた。咄嗟に動けただけ、浩一との訓練は成果が出ていると言えるだろう。とはいえ骨が数ヵ所折れており、吸血鬼の再生能力をもってしてもしばらくは動けない。

 

「まったく、勘弁してくれ」

 

 仰向けになった視界で、慌てた雪菜が駆け寄ってくる姿を見ながら、思わず古城は呟いた。




 ストライク・ザ・ブラッド 用語集

 人物

 叶瀬賢生 かなせ-けんせい
 本編登場まで、解説は控える。

 ベアトリス・バスラー
 メイガスクラフトに勤める吸血鬼の女性。
 派手な外見と物腰柔らかな人当たりを併せ持つが、古城たちを無人島へ置き去りにするよう指示するなど本性は冷酷。

 ロウ・キリシマ
 メイガスクラフトに努める獣人の男性。
 獣人らしく粗暴だが、どちらかといえば体育会系の気のいい男。
 しかし、その気質のまま少年少女を無人島へ放置する計画を何のためらいもなく実行する、ある意味で恐ろしいしい性格をしている。

 施設・組織

 メイガスクラフト
 掃除用の自動人形を製造する中堅企業。
 技術競争の遅れで経営が危ぶまれていたのだが、最近業績を回復させ新たな産業にも手を伸ばしていると噂されている。

 金魚鉢
 メイガスクラフトが所有する無人島であり、絃神島に存在する多くの企業が所有する管理区域の1つ。
 実態は人の手がほとんど入っていない孤島であり、外部への連絡手段は皆無の理想的な隔離施設となっている。

 種族・分類

 機械人形 オートマタ
 人間を機械のみで再現した存在。
 人工生命体との最大の差はまさしく命が存在するか否かであり、機械であるが故に過酷な条件下でも問題なく活動できる長所を持つ。
 反対に、事前にプログラムされた行動以外に対応できない脆弱さも併せ持つため、状況に応じて大量の個体を投入する運用法がよくとられる。
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