バビル・イン・ザ・ブラッド   作:橡樹一

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2020/6/20 用語集追加


8話 王女登場

 深夜の森を奥へ奥へと古城は走る。すぐ後ろを雪菜が続き、間を置いてメイガスクラフトの兵隊が追う形だ。鎧に身を包んでいるはずの兵隊は、意外なことにかなり素早く移動している。直線状の道であれば引き離すことはもとより、距離を保つことすら難しかっただろう。

 

「先輩、伏せて!」

 

 雪菜の警告に従い頭を下げると、そのすぐ上を何発もの弾丸が通過していった。牽制替わりに放たれる弾丸は、確実に古城たちの移動速度を下げている。木々の密集具合からか、足元を狙われていないのは幸いだ。

 

「問答無用かよ!」

「先ほどから数回斉射されましたが、すべて実弾でした。私たちを生け捕るつもりは無さそうです」

 

 雪菜の冷静な分析に、古城は叫び出したい衝動に駆られた。〝第四真祖〟となってからは多くの厄介ごとに関わってきたが、武装した群体に襲撃されるのは初めてである。つい先日テロリストに襲われたが、それと比べても状況が圧倒的に不利だ。

 

「くそっ、眷獣じゃ皆殺しになっちまう」

 

 真祖の眷獣は、手加減とは無縁の破壊装置なのだ。兵隊が身につけている鎧程度では、気休めにすらならない。

 兵隊たちは森林の移動に慣れてきたのか、徐々に古城たちとの距離が縮まりだした。弾丸も断続的に放たれ続けており、そう遠くない内に追いつかれるだろう。雪菜の顔が決意に染まった。

 

「先輩、少しだけ耐えてください」

「え、おい姫柊!」

 

 困惑する古城を無視し、雪菜は頭上の枝へと飛び移った。音で居場所を把握されたのか、古城めがけて弾丸が撃ち込まれる。死なないとはいえ、痛いものは痛い上に再生するまではただの傷なのだ。古城は慌てて身を伏せ、近場の木の影へと身を滑り込ませた。

 無遠慮に撃ち込まれ続ける弾丸は、永遠に続くかもしれないと錯覚するほどだったが、雪菜が兵の隊列へと猛禽のように飛び込んだことで終わりを告げる。

 

「――鳴雷!」

 

 勢いそのままに兵士の後頭部を蹴り飛ばす。呪力で増幅された衝撃は人一人を軽く吹き飛ばし、数人を巻き込んで地面へと転がった。その隙を逃さずに槍が振るわれ、ライフルが次々と切り裂かれる。無力化された兵士にも容赦せず、石突きで急所を突きあっという間に隊列を組んでいた兵隊は全員地面へと倒れ伏した。

 

「姫柊、無事か!?」

 

 古城が駆け寄るが、一瞬で4人の兵士を無力化した雪菜は警戒を解いていない。

 

「避けてください!」

 

 叫びに従って飛び退いた古城の足元に、棘つきの鉄球がめり込んだ。船から降りてきた、異様な兵士の片割れた。それが合図だったかのように、次々と倒れ伏した兵士が起き上がる。首が曲がり、腕が折れているにもかかわらず、痛みを感じさせない動きは不気味の一言に尽きる。

 

「くっ……土雷!」

 

 立ち上がった兵士の脇腹へ、雪菜の肘打ちが突き刺さった。鎧が持つ構造上の弱点を突いた攻撃は、装甲をすり抜け兵士の身体をくの時に折り曲げる。剣巫の使う格闘術の例に漏れず呪力で増幅されている打撃は、内部に浸透し内臓へと直接衝撃を伝える。たとえ獣人が相手だとしても、まともに入れば骨を砕くだけの威力を誇るのだ。

 だが、それにもかかわらず兵士は動きを止めない。歪んだ身体を無理矢理動かし、雪菜の脚を掴んで宙吊りにした。

 

「きゃあああっ!」

 

 雪菜は思わず悲鳴を上げるが、槍を旋回させ脚を掴む腕をへし折った。そのまま猫のように着地する。

 

「姫柊――ぐっ!」

 

 着地の僅かな隙を狙い、雪菜目掛けて再び飛来した鉄球を古城は真正面から受け止めた。魔力で強化した膂力でも受け止めきれないそれは、腕のガードを弾き飛ばして古城の胴体に直撃した。棘が肉体に突き刺さり、血が噴き出す。

 

「先輩!」

 

 雪菜が悲鳴を上げるが、ゾンビのように起き上がる兵士の処理で近寄ることができない。鉄球が引き戻され、古城が膝立ちに崩れ落ちる。吸血鬼の回復力ならば数秒で癒える傷だが、今はその数秒が惜しい。

 

「うおおおおっ!」

 

 古城は痛む身体を無視し、雷を纏った四肢で雪菜を囲む兵隊を一息に弾き飛ばした。手加減など全く考えていない全力の攻撃に、兵士たちは紙切れのように吹き飛ぶ。

 

「嘘だろ、不死身かよこいつら!」

 

 そして、兵士たちは何事も無かったかのように起き上がった。歪んだ身体を無理矢理動かし、どう見ても折れている足で立っている。いつの間にか合流していた新手の兵士たちと並び、古城たちに銃口を向けた。周囲から聞こえる足音からして、苦戦している間に2人は完全に包囲されてしまったようだ。

 

「すみません先輩、私の判断ミスです」

 

 雪菜が悔しそうに顔を歪める。彼女の想定よりも、異常なまでに兵士が頑丈だったことが招いた結果だ。予想外が過ぎた結果なのだが、生真面目な雪菜としては耐えられない失態なのだろう。

 

「こうなったら……」

 

 古城が手に力を込める。人間程度一瞬で消し飛ばす力を持つ眷獣ならば、この程度の兵士が何人いようと本来は無意味なのだ。宿主である古城がただ攻撃を命じれば、地形ごと蹂躙されておしまいだろう。

 だが古城がそれを選ばない以上、死なないように眷獣の力を抑えるしかない。理論上ではあるが、力の制御さえできれば殺さずとも気絶で済ませることも十分に可能であるはずだ。今見せられている兵士たちの耐久性から、多少の暴走ならば死なないと古城は判断した。

 万が一の暴走。その可能性が古城の行動を縛り僅かに逡巡させる。

 直後。

 

「な、なんだ!?」

 

 閃光が奔り、古城の周囲一角にいた兵士たちが爆散した。どす黒いオイルと金属片が撒き散らされ、包囲網に穴が開く。

 

「先輩!」

 

 反射的に駆けだした雪菜が、古城の手を引いて包囲網からの離脱を計った。後を追おうとする兵士たちは、再び飛来した閃光が纏めて薙ぎ払う。兵士たちは瞬時に散開するも、数体は避けきれずに爆散し、生き残りも余波で大きく体勢を崩している。

 

「2人とも、無事ですか?」

 

 緊張感のない、おっとりとした声が響いた。古城が視線を上げると、付近にあった岩の上に銀髪の女がいた。古城が泉で遭遇した叶瀬夏音に似た顔立ちの少女が、ブレザーに似た儀礼服を纏い立っている。手には、金の装飾が成された美しい拳銃が握られている。

 単発式と思わしき拳銃に黄金の弾薬(カートリッジ)が装填され、無造作に引き金が引かれると銃口から凄まじい閃光が放たれる。掠っただけでも兵士たちを薙ぎ倒した閃光の正体は、弾丸だったのだ。

 

「呪式銃!?」

 

 銃の正体に気が付いた雪菜が、驚愕する。

 

「2人とも、こちらへ」

 

 少女の手招きに従い、古城たちは岩場へと駆け込んだ。兵士を容赦なく撃ち抜いた相手を信用はできないが、今は他に選択肢が無い。

 

「また会えましたね、暁古城?」

 

 突然名前を呼ばれ、古城は驚きに目を見開いた。

 

「どうして俺の名前を? あんたはいったい?」

「日本に現れた第四真祖で間違いないようですね。わたくしはラ・フォリア・リハヴァインです」

 

 マイペースに話を進めるラ・フォリアに、古城と雪菜は顔を見合わせた。

 

「今のが最後の呪式弾(たま)でした」

 

 戸惑う古城たちを放置し、ラ・フォリアは話を進める。自分のペースに相手が合わせることを当然と思っているようで、雰囲気もあいまって育ちのいい令嬢のようだ。

 

「あの兵隊は自動人形(オートマタ)です。わたくしを追ってきたのでしょう」

自動人形(オートマタ)? どおりで」

 

 古城の脳裏に、先程オイルと金属片を吹き出して爆散した兵隊の姿が浮かぶ。人間であれば動く事すらままならない衝撃を受けても、自動人形(オートマタ)ならば内部機構が無事である限り行動を続けることができる。兵士たちが見せていた不死身の秘密は、案外と単純なものであった。

 

「あの船は無人です。母船から遠隔操作され、内部には未だ多くの自動人形(オートマタ)が収納されているでしょう。あなたの眷獣ならば沈められますね?」

 

 ラ・フォリアの視線の先にでは、鉄球を持つ自動人形(オートマタ)の片割れが守護する揚陸艇の前で新手の兵隊型自動人形(オートマタ)が整列を始めていた。

 

「先輩、来ます」

 

 雪菜の視線の先では、呪式銃で薙ぎ払われた生き残りの自動人形(オートマタ)が列を組み直し、鉄球の自動人形(オートマタ)を置いてこちらへ向かってきている。迷っている時間は無い。

 無防備に姿をさらした古城に対し、自動人形(オートマタ)が一斉射撃で迎え撃つ。しかし、弾丸は古城へ一発たりとも届かなかった。古城が解放した魔力が雷の壁となり、触れる傍から焼き尽くされているのだ。

 

「悪いな。恨むなら命令を出してる操縦者を恨んでくれ。

 ――疾く在れ(きやがれ)、〝獅子の黄金(レグルス・アウルム)〟!」

 

 古城の腕から魔力が迸り、雷の獅子を形成する。咆哮と共に駆け出した巨体に、あっさりと自動人形(オートマタ)の兵隊は蹴散らされた。いかに自動人形(オートマタ)が頑丈であっても、天災に匹敵する真祖の眷獣には無意味だったのだ。

 勢いのままに獅子は揚陸艇へと突撃し、立ちはだかる自動人形(オートマタ)ごと跡形もなく粉砕した。満足そうな咆哮が周囲に響くが、古城は自らの眷獣が引き起こした惨劇に頭を抱えた。

 美しかった森は抉り取られたように焼け焦げ、揚陸艇が乗り上げていた砂浜はクレーターが刻まれている。制御する努力を怠ったつもりはないが、後ろから雪菜の責めるような目線に若干の後ろめたさを感じるのだ。

 

「……せ、先輩」

「いや、これは俺としても最大限の努力はしたうえでのことであって、ほら戦場でもコラテラルダメージとかいうあれと考えれば」

「先輩、見てください」

 

 古城が反射的に並べ立てた言い訳を、まるで聞こえていないかのように雪菜は遮った。その震える指先を古城が追うと、黒焦げになり、もはや鉄くずと呼んでもいい自動人形(オートマタ)が一体倒れ伏していた。

 

「嘘だろ……場所からして直撃してなかったのかもしれないけど、原形を保ってるのか?」

 

 体格からして、あの鉄球を扱う自動人形(オートマタ)だろう。他の自動人形(オートマタ)は例外無く爆散しており、直撃したらしい揚陸艇の前にいた同型のものは他の自動人形(オートマタ)と同じく原型すら残さず破壊されていることから、偶然残っているだけのようだ。

 だが、偶然とはいえ真祖の眷獣の攻撃から原形を保っている時点で異常だ。古城の目にも警戒の色が強まる。

 

「……念のため、破壊するか。

 ――疾く在れ(きやがれ)、〝双角の深緋(アルナスル・ミニウム)〟」

 

 緋色の双角獣(バイコーン)が放った咆哮混じりの衝撃波で、至極あっさりと残骸は崩れ落ちた。だが、古城たちの言いようのない不安感は拭い去れていない。

 

「〝第四真祖〟の眷獣の力、見せていただきました。〝獅子の黄金(レグルス・アウルム)〟に〝双角の深緋(アルナスル・ミニウム)〟……アヴローラ・フロレスティーナの眷獣、その5番目と9番目ですね?」

 

 堅い表情の2人を気にかけた様子も無く、銀髪の少女は満足げに微笑んでいる。古城はため息をつき、胡乱気な目でラ・フォリアを見る。

 

「で、あんたは何者なんだ?」

 

 古城の疑念は最もである。ただのお嬢様が、無人島でメイガスクラフトの戦闘用自動人形(オートマタ)に追われているはずがない。さらには先代の〝第四真祖〟アヴローラの名まで口にしたのだ。古城の背後では、構えこそしていないものの雪菜が油断なく槍の柄に手を添えている。

 古城の誰何(すいか)に、ラ・フォリアは氷河の瞳で見つめ返した。透き通る碧は、どうしても叶瀬夏音を思わせ、古城の警戒心を鈍らせる。その瞳を見て、雪菜がはっと息を呑んだ。脳内で心当たりを見つけ出したのだ。

 

「ラ・フォリア・リハヴァインと名乗りました。

 北欧アルディギア国王ルーカス・リハヴァインが長女ラ・フォリア――アルディギア王国で、王女の立場にある者です」

 

 悪戯っぽい笑みと共に明かされた正体に、古城は絶句するしかなかった。

 満足そうな笑みを浮かべ、ラ・フォリアは短いスカートの裾をつまみ、肩書に相応しい優雅さを持って一礼をした。

 

 

 

 古城が驚きから復帰し、ラ・フォリアの先導で森を抜けると、王女が使用する救命ポッドが打ち上げられていた。外壁には金箔が張られ、王家の紋章が大きく刻印されている。

 

「あんた、本当に王女様だったんだな」

 

 王族が使うにふさわしい豪華な救命ポッドを見て、古城がどこかひきつった表情を浮かべた。聞くに外部の純金は装飾では無く、落雷や腐食対策とのことだったが、古城からすれば対策のために金を使う時点で王族の発想である。

 

「で、あんたの事はなんで呼べばいいんだ?」

「そうですね、異国の友人くらいには堅苦しい呼び方で呼んでほしくはありません。2人ともですよ?」

 

 不意に視線を向けられ、雪菜が慌てて首を振る。

 

「え、いえ、そういうわけには……」

「そうですね、愛称というのはどうでしょう。こう見えてわたくし、日本の文化には詳しいんですよ?」

 

 話を聞かず、ラ・フォリアは1人で段々とテンションを上げていく。こうなると何と呼ばされることになるのか予想もつかない。

 

「僭越ながら、御尊名で呼ばせていただきますラ・フォリア」

 

 先んじて名を呼ぶと、どこか不満そうではあるが、なんとかラ・フォリアは納得したようだ。

 

「じゃあラ・フォリア、聞かせてくれるか。なんであんたはこんなところにいるんだ?」

 

 古城の問いかけに、どこか浮ついていたラ・フォリアの雰囲気が引き締まった。真剣な表情で、事のあらましを離し始める。

 

「わたくしが絃神島に向かう途中、使用していた飛行船が撃墜されたのです。おそらく、わたくしを拉致するためにメイガスクラフトが襲撃したのでしょう」

 

 一度言葉を区切り、犠牲となった乗組員に哀悼するように瞳が閉じられた。高度千メートルへの急襲で、同行していた騎士団は戦力の大半を喪失。不利を悟った従者の手でラ・フォリアはこの救命ポッドに詰め込まれ、有無を言わさず射出されたのだ。

 

「メイガスクラフトの連中は、なんであんたを攫おうとしたんだ?」

「彼らの狙いはわたくしの身体――アルディギア王家の血です」

「血?」

 

 古城は眉を顰めた。彼の知識では、吸血鬼でもなければ血を利益にする者はいない。たかが血のために、王族襲撃などというハイリスクな行為を企業が容認するとは考えられない。

 納得したように頷いたのは、隣で話を聞いていた雪菜だった。

 

「アルディギア王家といえば、ほぼ例外なく強力な霊媒です。効果的に使用する魔術を扱えるのであれば、襲撃をする価値はあると考える者も出てきます」

 

 雪菜の推察に、ラ・フォリアは深く頷いた。

 

「その魔術を扱える者がメイガスクラフトにいます。かつてアルディギアの王宮に仕えていた宮廷魔導技師、叶瀬賢生です。

 彼の知る魔術奥儀は、ほとんどが霊媒として王家の血を必要とします。危険を冒してでも、襲撃をするだけの理由にはなるでしょう」

「叶瀬賢生って、叶瀬夏音を引き取った男か?

 なあ、あんたと叶瀬夏音はどういう関係なんだ。いくらなんでも似すぎてる」

 

 古城の疑問に、ラ・フォリアは目を見開いた。

 

「似ている、ですか。そこまで知っているのならば、かえって話さない方が後々問題になりそうですね」

 

 僅かな沈黙の後、思い切ったようにラ・フォリアは話し始めた。

 

「叶瀬夏音の本当の父親は、わたくしの祖父です」

「そふ……お祖父さんってことか?」

「はい。15年前に、祖父が当時アルディギアに住んでいた日本人女性との間に作った娘が、叶瀬夏音です」

「ちょっと待て、あんたの祖父が父親ってことは……」

「彼女は私の叔母、ということになります。王位継承権こそありませんが、立派な王族の一員です」

「だからあんたは絃神市に行こうとしてたのか。叶瀬夏音を迎えるために」

 

 後輩が異国の王族だった。スケールが多きすぎたためか、一周回ってか古城は冷静を保っていた。

 隣で静かに会話を聞いていた雪菜が、交代するように口を開いた。

 

「叶瀬賢生が使う魔術には、アルディギア王族の力が必要とおっしゃいましたね。ラ・フォリア、あなたは今叶瀬賢生が行っている術に心当たりはありませんか?」

「叶瀬夏音を助けたいんだ。どんな術かはわからないけど、今叶瀬は……羽の生えた化け物みたいな姿にされて、同族と殺し合ってた」

「そうですか……やはり賢生は模造天使(エンジェル・フォウ)を」

模造天使(エンジェル・フォウ)?」

 

 禍々しい術式名に、古城と雪菜の眉間に皺が寄る。

 

「賢生が研究していた魔術儀式です。人間を霊的に進化させ、より高次の存在へと生まれ変わらせることを目的としています」

「あれが、高次への進化だと?」

 

 歪な羽を生やし、同族を貪る姿と、高次存在という言葉は似ても似つかないだろう。冗談にしても質が悪い。

 重苦しい沈黙の中、雪菜が突然立ちあがった。槍の穂先が展開し、刃が顔を覗かせる。

 

「姫柊?」

「先輩、船です」

 

 メイガスクラフトのロゴを刻んだ揚陸艇が、水しぶきを上げて接近してくる。

 

「また自動人形(オートマタ)か?」

 

 古城が右手に力を込める。上陸されるよりも、海上で攻撃してしまう方が破壊の痕跡は少なく、制御にも気を使わずに済むのだ。

 ラ・フォリアの救命ポッドには救難信号の発信機も備え付けられていた。居場所発覚の危険から使っていなかったらしいが、古城たちと合流しここに戻った時点で起動している。古城がいる以上、自動人形がいくら来ようとも脅威にはならないと王女が判断したためであり、今まさにその証明が行われようとしている。

 

「先輩、待ってください!」

 

 いざ眷獣を放とうとした瞬間、雪菜から待ったがかかった。彼女が船上を指差し、その指先では大きな旗が振られている。

 それは無地の白い布旗。停戦を示す白旗だった。




 ストライク・ザ・ブラッド 用語集

 人物

 ラ・フォリア・リハヴァイン
 ストライク・ザ・ブラッドヒロイン。
 アルディギア王国の王女であり、美の女神の再来とも呼ばれる美貌を持つ女傑。
 黙っていれば王族特有の雰囲気から凛々しく冷静な印象を受けるが、実際は楽しげなイベントを優先する享楽主義の一面を持つおてんば娘でもある。

 種族・分類

 模造天使 エンジェル・フォウ
 本編登場まで、解説は差し控える。

 呪式銃 じゅしきじゅう
 呪力が封じられた弾丸を打ち出す魔具の一種。
 骨董品として美術館に収められるほど貴重な品だが、その性能は現行の魔術兵器に劣らない破壊と射程を持つ。

 土雷 つちいかづち
 獅子王機関に伝わる体術の一種。
 肘打ちと共に対象の体内に呪力祖衝撃を打ち込む業であり、体表が堅い相手でも有効な攻撃手段となる。

 鳴雷 なるいかづち
 獅子王機関に伝わる体術の一種。
 足技に呪力を纏わせて打撃力を上げるシンプルな業だが、それだけに増幅率が高く侮れない一撃を放つことができる。
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