失われし時を求めし者は....... 作:バーバラすこすこ侍
日曜日にデレマスの名古屋でのライブがあって、チケットを格安で譲っていただいたので行ったのですが、初現場で満足度も高く、泣いたり笑ったりテンション上がって暴れたりととても楽しかったです。スペシャルゲストのDJ K〇〇さん(一応伏字です笑)の盛り上げ方が半端なく、暴れすぎて筋肉痛です汗
遊んでたら書き溜めが尽きたのでこれから頑張ります!!
では、本編へどうぞ!!
「そうでしたか。サマディー王国にてそのようなことが……」
サマディーでシルビアと話した後にサーカスにも誘われたが、それを断ってすぐにファナードのいる聖地ラムダに来た。今はラムダの中心の広場で話をしている。正直なところサーカスも観たかったが、それどころではない。喫茶店でシルビアが言った言葉が俺たちの中で引っかかって気になるからだ。俺とセーニャとカミュがシルビアの言葉に反応し、サーカスに誘われて行く気満々だったマヤにも俺たちが気が付いたことを伝えた。まだ幼いながらも状況をしっかり理解して判断を下せるので、マヤもすぐにラムダに来ることを了承してくれた。宿をとっていたがそれはキャンセルするほかなった。
シルビアにそんなつもりはなかったはずだが、ファナードの夢見について聞いた内容とシルビアのウマレースを喩えた言葉の重なりがどうにも気になった。俺たちの反応が変だったことにシルビアはすぐに気が付いたので、夢見のことを説明した。心底不思議そうにしていたが身に覚えのあることだったので腑に落ちる部分もあったようだ。何の気なしに放った言葉でこのようになるとは思わなかったようだが。とりあえずはシルビアにはサーカスの方に行ってそこで様子を見てもらうことにした。何かあればすぐにクレイモランの王宮に来るよう伝えてある。
「目立った被害があったりしたわけではありません。俺も何となく城下町に入ってから町の住人の歩くのが遅いなと感じていましたが、こうなってくると偶然にしてはどうも同時に起きすぎている気がしなくもなくて……」
ただの偶然といってしまえばそれまでだが、なにか引っかかる。
「クレイモランで暮らしながら情報収集とかって考えてたけど、もしかしたら長老さんの夢見の出来事ってのは世界規模なのかもしれない。それに、サマディーの国で何かが起こってるって考えるのはまだ早い。だけど、何かが起きるかもしれないのは確かなはずだ」
「私たちにできることがあればなんでもやりますわ」
カミュもセーニャもファナードに思ったことを言う。勝ち取った平和を享受している今、再び世界に脅威が訪れようとしている現状にただ指をくわえているだけでは嫌なのだろう。
「事態はもしかすると急を要するのかもしれません。ですが焦っても何も始まりません。古い書物を読み返してみてもこちらの方で得られた有力な情報は何一つなかった以上、今は皆さんの情報が最も有力なものとなっています。私共でもっと文献を参照するので、皆さんは世界を回って情報と、再び仲間集めてくださいませんか?」
「そういうことならお安い御用だぜ」
事態の規模が分からない以上、とにかくしらみつぶしに世界を回るしかないのかもしれない。サマディー以外にもこの現象が起きている国や地域がある可能性もあるからだ。どうなるのか分からないのであれば、勇者の仲間もいたほうがいいのは納得だ。情報を共有してそれぞれ各地に散らばって調査をすれば効率も格段に跳ね上がる。
「俺たちは旅に慣れてるけど、レイ、お前はどうするんだ?」
「俺は……」
ゲームの中の世界ではないのでどれほどの規模なのか想像もつかない。基本的な街の移動はキメラのつばさで済むが、どうしても魔物と対峙したり野営をすることだってあるかもしれない。前者はともかく、後者のパターンは役に立てる予感がしない。確実に足を引っ張ることになる。
前の世界での事務処理といった仕事内容的には、文献をあさって情報を整理していたほうが身の丈に合っていていいのかもしれない。だが。
「世界を回る、か……」
この世界を見てみたいという欲もある。通常では来ることなど無理な世界。クリエイターによって作られた架空の世界。自分の生き写しの主人公で歩いたものとは似て非なる広大な世界。それを自らの足で旅してみたい。
「戦闘においては前線に出る必要性はございません。ですが、サマディー王国で違和感に最初に気が付くほど感覚と観察眼が鋭いレイ様が一緒に来てくだされば心強いです」
「俺たちはこの世界の魔物とはだいたい戦ってるんだ。1人を守りながら戦うのなんて余裕だぜ?」
セーニャもカミュも、そう言ってくれている。
「レイはさ、この世界とは違う世界から来たんだろ? だったら自分の目で世界を見てみたいとは思わねぇのか?」
悩んでいると、マヤから思わぬことを言われた。見くびっていたわけではないが、まさかマヤにそんなことを言われるとは思わなかった。言っていることは完全に俺の心の中で考えていることそのままである。
「……オレは自分の目でこの世界のすべてを見てみたい。そして、お宝もこの手に収めたいんだ。レイがいかないのならオレが行く。いや、レイが行くとしてもオレもついていくからな!」
「え、おい! マヤ!」
すかさずカミュが反応した。俺とセーニャ、長老までもが驚いている。それはそうだろう。まだ幼い妹が危険な旅についていきたいといっているのだから。5年も黄金化していたことで成長が止まっていた期間分、カミュと年齢が離れている。旅に出れば年齢関係なく辛いこともあるのは間違いのないことだ。それを知ってマヤはついていこうとしている。
「オレだって世界が危ないって時にじっとしてられないよ! それに、オレは前にウルノーガのせいでクレイモランのみんなに迷惑をかけちまってる。みんな俺が原因だって知らないし、知ってる人だって何にもなかったようにオレに接してくれる。前に兄貴に慰めてもらって吹っ切れたと思ったけどやっぱり罪悪感が捨てきれないんだよ!」
「マヤ……」
今まで溜め込んでいたのか、自分の胸の内を吐露している。やはり幼いながらもしっかりと自分のやってしまったことを受け止め、反省できるのだ。しかし、その反省できるほど成熟した精神だからこそ、罪悪感に押しつぶされそうになっているのもまた事実である。
「オレは罪滅ぼしがしたい。そして、助けてくれたみんなの役に立って恩返しもしたいんだ。いつかオレも旅に出る時が来るってわかってたから、王宮の兵士に頼んで秘密で特訓もしてもらってたから魔物相手でも十分戦える」
「お前、いつの間にそんなことを……」
「兄貴が雪原の小屋にいる間だよ。そうじゃないと絶対止められるだろ? 兄貴が城下町でオレと一緒に暮らしてる期間は時間を見つけて合間合間に自主的に特訓してた。バレないかどうか気が気じゃなかったけどな。それくらいオレは本気だ。兄貴風に言えば、これはオレの"贖罪"なんだよ」
そう、マヤは言葉を結んだ。カミュを含めた、マヤの話を聞いていた人は皆何も言えない。沈黙が場を支配する。マヤがそこまで考え、行動していたとは思わなかったからだ。春が近づいてきていてもなお冷たく肌を突き刺すような風が、俺たちの間を吹き抜けていった。
「……そうか」
「オレを連れて行ってくれるのか?」
沈黙を破ってカミュが小さくつぶやいた。その反応にマヤが嬉しそうに反応した。しかし、カミュの声色は、先ほどと変わっている様子はない。
「そこまでマヤが考えてくれてたのは、兄として素直にうれしい。だけど……やっぱり連れていくことはできない」
「どうしてだよ! オレが足手まといだっていうのか!?」
「違う! お前のことが心配だからに決まってんだろ!」
「え……?」
カミュが声を張り上げた突然のことにマヤは驚いて声が震えている。兄妹2人の話に口をはさむつもりはないので、俺もセーニャも長老も静かに見守っている。
「俺は、マヤが黄金化した時、もう2度とお前の声は聞けないんだと思ってた。俺があげた首飾りのせいで黄金化して動けなくなって。何も考えたくなくてその場から逃げ出して、エルバと出会って、ウルノーガに支配されていたマヤを救って、もう聞けないと思ってたマヤの声を聞くことができた。やっと、マヤと2人で暮らしていけると思ってたんだ。……俺は、もうお前を危険な目に遭わせたくない。2度と声が聞けなくなるなんてことが起こってほしくないんだよ」
「おにい、ちゃん……」
「お前の気持ちは本当にうれしい。でも、ここは俺の言うことを聞いてクレイモランに残ってくれ」
互いの意見がぶつかっていても、その本心は互いを思うが故である。どちらが正しいとか、間違っているとか、そんなちゃちな問題ではない。
「……ごめん。それでもオレは、行くよ。心配してくれるのも分かる。だけど、オレだっていつまでも守ってもらうだけは、嫌なんだよ……!」
「っ!?」
マヤが言い終わるや否や、その身体が黒い瘴気に包まれる。何事かわからない俺たちはその場で身構えた。
「オレにはこの力がある。守ってもらうだけじゃない。自分の力で戦える。ちゃんとやれるんだ」
「マヤ、なのか……?」
身体を包んでいた瘴気が晴れたと思ったら、そこにはかつてウルノーガの手下として勇者の仲間たちと対峙したキラゴルドの姿のマヤがいた。正確にはキラゴルドのような黄金の姿ではなく、マヤとカミュの髪色と同じ、綺麗な青色をしている。
「ああ」
「どうして、そんな姿に……?」
「……オレだって最初は驚いたよ。まだ黄金化の呪いが残ってたのかって怖くなった。だけどなんともなかったんだ。それに、この力は自分の意志で操作できる。身体能力だって上がるし自我だって保てるんだ。ずっと秘密にしてたのは謝る。だけど、兄貴に言ったってまた余計な心配かけることになるかと思って言えなかったんだ。でも、今なら言える」
キラゴルドの姿のまま、マヤは話し続ける。今こうして会話を続けていられることが、マヤの発言の何よりの証拠となっている。人間1人くらいであれば簡単に引き裂けそうなほど鋭利な爪、背中から生えた大きな角、透き通る海を思わせる青色をしたその大きな身体は、普段のマヤの姿とはかけ離れている。
その姿を解いてもとのマヤに戻って、続ける。
「だからさ、オレも一緒に連れて行ってくれよ、な?」
今までで一番穏やかながらも強い意思がこもった声色。マヤが本当に本気であることが伝わってきた。
「……分かった。そこまで言うならマヤも連れていく」
「本当か!?」
「ただし! 泣き言は言わせないからな? それに、戦闘で危ないと思ったらすぐに他の人を頼ること、いいな?」
「ああ! もちろん!!」
年相応といった様子で嬉しそうにはしゃぐマヤを見て、しょうがねぇなと呟いているカミュ。それを見て、やはり兄なんだなと思った。妹が成長しているのが感じられて嬉しく思っているのは間違いない。
妹を第一に考える兄と兄を第一に考える妹。この2人は、互いを思うがあまりに意見が対立していたのだ。素晴らしい兄妹愛だと思う。最終的に兄が折れて丸く収まるといったあたりがこの兄妹らしい。
「レイも、もちろん行くよな?」
そんなマヤが俺のほうを向いて聞いてきた。マヤの話で有耶無耶になっていたが、俺はまだ結論を出していなかった。しかし、2人の話を聞いて俺の中ではもう決まっている。
「うん、俺も行くよ。この世界を見てみたい。足手まといにしかならないとは思うけど、いいかな?」
「ああ! 兄貴もセーニャもいるし、オレだっているんだから大丈夫だ。何かあったら守ってやるよ。いししっ」
「2人より3人のほうが魔物との戦いも迅速ですし、レイ様を守るのもぐっと楽になるはずですわ。これから仲間も増えればもっと楽になります」
皆の気持ちが嬉しい。本当に、この人たちと知り合えてよかったと心の底から思った。
「どうやら、話はまとまったようですね。今日はもう夜になってしまいますし、今日1日、多くのことがあってさぞかしお疲れでしょう。疲れは何をするにも天敵です。ぜひともラムダの宿屋に泊まっていってくださいませ。宿の主人には話を通しておきますので」
「ありがとうございます」
そう言ってファナードは宿屋の方に歩いて行った。
サマディーへの旅行はもともと一泊二日の予定だったが宿をキャンセルしてしまっていた。クレイモランに戻っても良かったが、ここは長老のご厚意に甘えることにした。聖地を散歩するのもいいかもしれない。
せっかく慣れた道具屋の仕事を放棄することになってしまうが、それはリーズレットには謝っておこう。きっと彼女であれば許してくれるに違いない。旅から帰ってきたら必ずまたあの店で働こうと心に決めた。
「改めて、これからよろしくね」
「ああ、よろしく頼むぜ」
「よろしくお願いしますわ」
「よろしくな!」
旅の仲間だけでなく、日常の一部になりつつあった身の回りの人々にも沢山迷惑を掛けることになるかもしれない。この埋め合わせは無事に帰ってきてからしっかりやる。
自分勝手な考えかもしれないが、それでもいいかもしれないと思った。
「本当は初めて世界を巡るなら兄貴と2人だけがよかったけど、こういうのもいいよなっ」
誰に聞かせるでもなく、小さな声でマヤは呟いた。
ありがとうございました! マヤの変身は「ドラゴンクエストⅥ」のアモスみたいな感じと説明すればお分かりいただける方もいらっしゃるかと思います。「アモスもだしマルティナのデビルモードがあるならこれもいけるじゃん」って感じで思いつきました笑
前書きでも触れましたが、書き溜めが尽きたので時間があるときに頑張っていこうと思います。前回の話で急激にお気に入りが増えたり、評価バーに色がついてニッコリオタクスマイルになったので、より一層気を引き締めていきます!! 次回以降もよろしくお願いいたします!
引き続き、感想、お気に入り、高評価等お待ちしております!