平民派DQN女オリ主がいくFFタクティクス   作:ひきがやもとまち

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長らく更新止まってしまって申し訳ありません。ようやく更新です。ただ余りにも長く空きすぎましたため更新することを優先したせいで内容が前書いて削除したものと近いものになってしまいました。

予定していたダイスダーグ視点メインの話は次話に回して、シッカリ書かせて頂くつもりです。ダイスダーグ視点で見たベオルブ家の麗しい肖像を楽しめるよう頑張ります。

また、1章が終わるまでにオムドリアⅢ世メインの話も書きたいと思ってます。作中では出番のなかったイヴァリース王宮内の裏事情とか超好みです故に♪


第10話

 雨が降り続けている盗賊の砦からミルウーダさんたち三人が撤退していく中、

 雷鳴とともに、アルガスさんの罵声と文句が響き続けておりました。

 

「気でも狂ったのかラムダ!?お前は俺たちを・・・貴族を裏切るつもりなのか!!」

「・・・・・・」

 

 私は黙ったまま彼の言葉を背中で受け続け、穏やかな視線で去りゆくミルウーダさんたちの後ろ姿を見送ったまま微動だにせず、ただ沈黙するばかり。

 

「骸旅団殲滅はダイスダーグ卿からの命令なんだぞ!? それをお前は無視しようって言うのか!? たかが平民の反逆者どものためにお前は貴族の誇りを捨てて見逃しちまったんだぞ!? こんな事してタダで済むと思ってんのか!? ええ、オイ!?」

「・・・・・・」

 

 あらん限りの声量で響く怒声。それを抑えようとする兄さんとディリータさんの声まで掻き消すほどの大音量で木霊し続ける悲痛なまでの怒りと屈辱に満ちた「見習い騎士」からの非難と弾劾の言葉の数々。

 

 それらを私は、ただただ礼儀正しく無視し続けていました。無視している私にアルガスさんはさらに声を高めていきます。

 無視しているからこそ、無視されている方は声を高めてなんとか自分の主張に耳を傾けさせようと躍起にならざるを得ない。

 

「お、おいアルガス。ラムダもなにか考えがあって言ったのだろうし、とにかく落ち着けよ・・・」

「落ちつけだと!? これが落ちついてなんていられるかッ!?」

 

 見るに見かねたらしい気遣いのディリータさんが仲裁に入ってくれようとしたみたいですが、軍人としては比較的正しい理屈を言ってガン無視され続ける今のアルガスさんには届くわけもなく火に油を注ぐだけ。その後に兄さんからも何か言っていたようでしたが、成果らしい成果が出るわけもなし。

 

「・・・・・・」

 

 それでも私は黙ったままミルウーダさんたちの背中を見守り続け、アルガスさんが余計な手出しをしないよう立ちはだかり続け、傷ついた彼女たちの背中がゆっくりゆっくりと遠ざかっていくのを見送り続けたまま言葉を発しようとはせず、アルガスさんの苛立ちを加速させることだけに貢献し続けます。

 

「どうせ奴らに逃げ延びる道なんかない! ここで逃げられても奴らは北天騎士団の手で皆殺しになる! アイツらは死ぬんだよ、一人残らず地獄に落ちるんだ! そんな連中とお前まで一緒に心中してやる義理なんて少しもないんだ! わかるだろ!?」

「・・・・・・」

 

 響き続ける怒声。無視し続ける私。かつての貿易都市ドーターで骸旅団の捕虜相手におこなわれていた尋問が場所と相手を変えて再現されていましたが、あの時と今とでは致命的に違う点が一カ所だけありました。

 

 【身分の違い】です。

 

 私は大貴族、骸旅団捕虜は平民、そしてアルガスさんは下っ端の騎士見習い。正論や規則だけでは埋めがたい生まれの違いが彼の行動をあのときと同じにしないよう、見えない鎖となって彼の足をその場に縛り続けていたのです。

 平民相手ならば力尽くで突破して追いかけていって首を撥ねることができる“手柄たち”を、貴族の特権乱用で逃がしてしまって正当な非難の声には聞こえないフリして黙り込む。

 イヤな上位者が、ムカつく偉そうな態度を取るときの定番を私は再現しておりました。それ故アルガスさんの声量も、額に浮かぶ青筋の量とともに増えていかざるを得なくなっていたわけです。

 ですが・・・・・・今回はそろそろ我慢の必要性もなくなってきたようですね。“お互いに”

 

 

 傷口を押さえながら、負傷した部下二人をかばいながら、背後から気が変わったか罠でしかなかった私たちから追撃の刃を受ける危険性を意識しながら、ミルウーダさんたちの背中が一歩一歩、盗賊の砦から離れていって雨のカーテンが彼女たちの姿と足音を完全に拭い去って、私の耳元にはアルガスさんの罵声以外には何一つとして聞こえなくなった瞬間。

 

 風向きが変わったのでした。

 雨粒の落ちる方向が明らかに変化した次の瞬間、私は即座に控えていた策の発動を指令する決意を固めたのです。

 

 

「どいつもこいつも、いい加減にし―――」

「――テッドさん、来てもらってますか?」

「あいよ」

『・・・っ!?』

 

 突然、横合いから割って入ってきた男の人の声に、アルガスさんだけでなく兄様たちまで驚いたように一歩後ずさり、とかく『影が薄い』と言われがちな士官候補生学校での級友に驚愕の視線を向けたまま言葉を失って大人しくなってくれたようでした。

 ・・・考えてみると、クラスメイトに対して失礼極まりない対応だったように思えますが・・・今は都合がいいのでとりあえず無視です無視。友人関係でもいざこざ問題は権力闘争が終わった後でしましょう。

 

「さっき頼んできた要件だよな?」

「ええ。彼女たちの後をつけて欲しいのです。

 あの身体では北天騎士団の包囲を突破して骸旅団本隊と合流することは不可能でしょうし、自決するには白魔道士二人が足枷となるはずですので、おそらく幹部のみが知る抜け道か何かを使うはず。そこを見つけて報告してください。殲滅作戦本番で討ち漏らしがないよう念のためにね?」

 

 わざと具体的に長ったらしい解説口調でアルガスさんにも聞こえるよう、テッドさんへの任務を説明してあげていると背後から鼻白んだような気配が感じられてきましたが・・・・・・文字通り念のためです。もう一声いっときましょう。

 

「もっとも、それを使って脱出しなかったところをみても少人数しか使うことのできない獣道かなにかなのでしょうし、北天騎士団で攻め込むときには使えないかもしれませんけどね。潜入部隊を突入させるだけなら使えないこともないでしょう」

「了解。いっそのこと敵の本拠地まで道のりを調べてくるか?」

「必要ありません。抜け道に入ったのを確認したら即座に引き返して撤退してください。

 仮に尾行に気付いても、精神力を使い果たした白魔道士二人がいる間は気付かぬ風で無視してくれるとは思われますが、狭い隠し通路に入った後はその限りではありませんからね」

 

 クドクドと『白魔道士の部下二人と一緒に生きて帰す必要性』について口に出して説明し、私に詰め寄り肩を掴もうとしていた距離にあるアルガスさんが背後で完全に沈黙してしまったことを雰囲気でもって察しながら、私は彼の方を見ることなくテッドさんだけを見ながら釈迦に説法とは承知しつつも念を押すように含みを持たせることを忘れません。

 

「言うまでもないでしょうけど・・・・・・情報は持ち帰ってこそ意味があるものです。正確な情報を得ようと深入りするあまり、殺されて情報を齎せなくなったのでは全くの無駄死にです。浅くてもいいので手に入れた情報だけは絶対に持って帰ってください。そこは本気でお願いしますね?」

「あいよ、任せときなって。俺は『一命に代えても』とかの格好いいセリフを大事にしたがる騎士と違って斥候志望だからな。そこら辺は弁えてるから安心してくれや」

 

 軽く請け負って、素早く走り出す軽装の見習い剣士であるテッドさん。

 こういった細々とした依頼を色んな生徒たちから引き受けては少しずつ貯めてきたお金で、先日ようやく貿易都市ドーターで購入できたらしい『バトルブーツ』に新調した彼の足取りは軽く、負傷した上に足の遅い白魔道師を二人も連れたミルウーダさんたちに後発で追いつく分には大した問題もないように思われます。

 

「んじゃ、生きて帰ったら報酬の方よろしくな~♪」

「勉強させてもらいますので頑張ってくださ~い」

 

 軽く手を振って、偵察役を一人だけ送り出していく私。

 暢気な会話をしていようとも、『向かい風』に風向きが変わっている今の状態では、ミルウーダさんたちに聞こえたとしても、細かいところまでは無理だったでしょう。

 

 時期は十分。後は『後始末をする』だけが残っているのみ・・・。

 

「さて、と。―――アルガスさん」

 

 前を向いたまま私が言葉を発したとき、背後から一瞬「ビクッ」とした雰囲気と人一人分が纏った甲冑が鳴る音がしたような気がしました。それが私には酷くバカらしい。

 

「――先ほどは協力して頂き、ありがとうございましたね。おかげで彼女たちは私たちの嘘を完全に信じ込んでくれたと思います」

「なん・・・・・・ハァ?」

 

 一瞬、なにかを言おうとして口を開いた堅い表情が崩れ去り、相手が何を言ってるんだかわかっていないようなポカンとした間抜けな表情を浮かべられ、彼の後ろで兄様も不思議そうな表情のまま「・・・?」と疑問符を浮かべながら小首をかしげられ。

 

 唯一ディリータさんだけが「・・・・・・あっ!」と、遅まきながら私たちの置かれていた政治的状況と、今私がやろうとしている事を理解したらしい表情を浮かべられて―――微妙に苦そうな瞳で睨まれてしまいました。いつもながら、なんでだよぅ・・・。

 

「あなたが私の猿芝居に付き合ってくれて、平民たちへの誹謗中傷を大声で叫び続けながら、私たち貴族側にも意見対立や不和があるかのように見せかけてくれたからこそ、私の言葉にも説得力を付与させることができたのです。心からお礼を言わせてください、ありがとうございました」

 

 そう言って、頭を下げて見せた私の頭上において。

 おそらく全てを理解した彼は顔色を、青くしてるか赤くしてるか信号みたいになっているのでしょうけど、知ったこっちゃありません。

 これだけで、ディリータさんの問題発言が「猿芝居の一環」ということに変換できて、有耶無耶にしてしまえるのであれば安いもの。

 

「今回の成果は全部あなたあってこそのものです。ベオルブ家を代表して、今回の功には厚く報いることをお約束いたしましょう。あなたのお手柄です。

 どうか私からの感謝をお受けくださいませ、騎士サダルファス。貴方こそまさに先ほどの戦いの英雄です」

「・・・・・・っ、」

 

 軽く頭を下げながら、舞踏会でエスコートを求める貴族令嬢のように手の平の甲を差し出す私の仕草を見て、ラムザ兄様も『あ・・・・・・ああっ!?』と遅すぎながらも下手な演技の意味と目論見に気付いてくれたようでした。

 ・・・本当に遅すぎましたけどね。アルガスさんの方はとっくに気付いていて、だからこそ苛立ってもいる。

 苛立ってるから、女でしかないベオルブ家令嬢の私が『ベオルブ家を代表する』などという越権行為を働いていたことにも気付くことなく、ただただ手の平の上で踊らされることしかできない自分の立場への憎しみを募らせていく。

 

 

 ――今のイヴァリース貴族社会において平民擁護の言質を取られることは、たとえ法律的に問題がなくても自分か、その身内に危険が迫ってしまう可能性を秘めている言動。

 いえ、むしろ“法律的に問題がないからこそ”“自分と身内の身に問題が起きやすくなっている”そう言い換えた方が正しいのかもしれません。

 

 公明正大に表立って裁けぬ者たちに罰を与える私的制裁。身内に潜む裏切り者を始末して後顧の憂いを絶たんとする天誅。法で裁けぬ悪を討つ主観的正義のテロ思想。

 名前や言い方は何でもいいですし、どれだって意味するところは同じな代物ですけど、だからこそこの手の失言問題は理屈も道理も通じない。感情と情理だけがものを言う。

 

 だからこそ【巻き込む】

 この場で起きたことに問題があるとするならば、誰一人として例外はいない状況に追い込んでしまうまでのこと。

 

 ディリータさんの放った「平民擁護」の言動に問題があったとするならば。

 この作戦の勲功第一位に奉ってあげたアルガスさんの手柄にケチがつき、大貴族ベオルブ家のご令嬢から頭下げて受け取って欲しいと『オ・ネ・ガ・イ★』してあげてることを謝絶する権利と自由なんて階級制が法として敷かれている今のイヴァリースじゃ絶対に許されません。貴族の特権行使して、貴族の裏切り者アルガスさんを貴族社会的に抹殺です。

 

「・・・・・・・・・・・・光栄であります、ラムダ・ベオルブ嬢。不肖の身に過分なお言葉を賜りましたること、無上の喜びで御座います。

 報いるに、我が騎士としての忠義と献身の全てを捧げさせて頂くことをお約束いたします・・・・・・っ」

 

 歯を食いしばるような喜びの笑顔を浮かべられながら私の手を取り、手の平の甲に口付けをして上目遣いに睨み付けてくる相手をニッコリ微笑みと共に見返して。

 

 私はこの作戦最後の総仕上げである『後始末のための前準備』を、完全に終わらせるための言葉を放ったのです。

 

 

「これからご活躍を期待していますよ、騎士サダルファス卿。

 “私たち貴族に”貢献するために―――」

 

 

 果たして、私の言葉を正しく“誤解してくれた”のか否か。それは顔を伏せたまま騎士の礼をとり続けている彼の仕草からは察しようがありませんでしたけれども。

 まぁ、気付いたでしょう。普通に考えて。

 

 私が彼を『所詮は騎士で』『貴族ではない』と断言したことを。

 貴族にとって、騎士が『家来でしかない』という傲慢な貴族思考の典型例を分かりやすく伝えてあげたことに気付くぐらいの頭は間違いなく持ってる人ですから確実に気付くはず。

 

 

「ラムダ・・・? えっと・・・ディリータ、彼女は今いったい何を言って・・・・・・」

「――後で説明してやる。今はとりあえず、イグーロスに作戦終了の報告が先だ」

「・・・わかった」

 

 

 兄様もまた、私の放った私らしくない差別発言に気付かれたようでしたが、生来そういうタイプの考え方をする人ではないため目的までは理解できず、ディリータさんに補足してもらっているご様子でした。

 

 そのホノボノとした光景を見やりながら、当事者である私が考えていたことは全く別のこと。

 

 ――そろそろアルガスさんには、本気で出て行ってもらわないと危ないですからねぇ。

 ―――そうしないと多分、私たちが死ぬ。殺されます。

 

 ・・・味方の切り捨て時がきたことを知る、貴族らしい薄汚れた方法論だったのです。

 それは誠に逆説的ながら、『骸旅団の殲滅が確定してしまった現在の戦況』にこそ起因するもの・・・。

 

 

 実のところ貴族たちにとって、この骸旅団殲滅作戦は『既に終わってしまった出来事』になっているのが、貴族視点で見た私にとっての政治的実情です。

 既に骸旅団は戦力の大半を失って、残りも北天騎士団に包囲されたまま拠点に籠もって最後の抵抗を示しているだけの状態。袋のネズミな状態にあります。

 ミルウーダさんたちには悪いですが、追い詰められたネズミが覚悟を決めて猫に噛みついても痛いだけで猫が殺せることはありません。窮鼠が小石を投げたところで負け惜しみとしか映らないのが現実の戦争です。

 

 今やっている戦争に終わりが見えたのならば、『次の為の布石』として利用できる要素を探すようになるのが政治というもの。

 戦いを主導している貴族たちにとって、既に『論功行賞』という名の戦いの舞台は宮廷内へ戻ってしまっており、現場の下っ端たちが「思い上がった平民たち」を相手に雑草駆除するのに勤しんでる作業とは関係なく『次の戦いのための準備』に励み出しているころのはず。今さら血生臭くて泥臭いステージなんか見ちゃいなくなってることでしょう。

 

 

 ですが、戦いの価値は勝者と敗者だけでなく、味方同士であっても立場により異なるものです。

 特に敗残兵狩りは、下っ端に取ってこそ楽に手柄を立てられる戦場として最も喜ばれる類いのもの。次の戦いの準備を宮廷内でおこなえない者たちにとって、次の戦いでもっと上の地位に就いて始められるようにするためには、今この時の戦でどれだけ手柄を立てれるかがポイントになる。

 

 ・・・・・・さて、そうなると厄介になるのが今のアルガスにとっての立ち位置。

 『ベオルブ家の居候』であると同時に『ラムザ兄さんの仲間の一人』というお立場です。

 どう足掻いても、どんなに功績を立てても上司であり貴族でもあるラムザ兄様に全て持って行かれてしまうしかなく。

 兄様の側近の地位を得ようとしてたのか、追い出そうとしていたっぽいディリータさんへの誹謗中傷も然程は上手くいかなかったみたいですしねぇ。

 

 雑兵の首を討ち取ろうにも、『北天騎士団が包囲している骸旅団』を相手に、エルムドア侯爵配下のランベリー近衛騎士団の騎士見習いさんが勝手気ままに敵と戦えるわけもない。

 

 

 要するに、出会った直後は『幸運だった』ラムザ兄様との出会いは、今の彼にとって足枷にしかならない要素ばかりに状況によって変化してしまっているということ。

 彼としては、新しい就職先を探し始めている心境になっても全然おかしいところはなく、むしろ自然。

 

 そして―――

 

 

(私とか兄さんが下手に手柄立てて出世しちゃうと、ダイスダーグ兄上様から危険視されて抹殺の対象になりかねませんけど、彼の場合は根っからの余所者です。

 騎士の棟梁ベオルブ家の一員とはいえ、妾腹の末弟と、家督継承する可能性皆無な長女を捨てて、長男は無理でも次男に渡りをつけるのに利用するぐらいのことは躊躇いなくやっても不思議ではない。

 気に入った他人のために献身するのは好きですけど、気にくわない他人のために利用されてやるのは御免です。それぐらいならさっさと切り捨てるため、自主的に出て行きたくなるよう促した方が余程いい)

 

 そう判断したが故の今回の措置。

 なんか色々とゴチャゴチャして面倒くさいですが、それが貴族というもの。なれるより他に道はなし。

 

 そう思ってアルガスさんの処分方法を頭の中で数通りほど思いつきながら帰路に就いていた私でしたが・・・・・・その後思わぬ凶報に驚愕させられ、今まで進めていた思惑を完全に放棄することになる直近の未来を今の私は知らずにいました。

 

 

 

 ―――ディリータさんの妹、ティータさんが骸旅団にベオルブ家の一員と間違えられて誘拐されてしまっていたことを、今この時の私はまだ知らずに済んでいました。

 ・・・・・・今は、まだ。

 

 

つづく

 

 

オマケ『今作イヴァリースの政治的勢力図の解説』

*今話の中身が薄くなりすぎましたのでオマケとして急きょ書かせて頂いたものです。

 

 

【北天騎士団】

 自領内のガリオンヌに骸旅団の拠点があり、彼らの活動の中心地でもあることから最も積極的に戦い、戦果を上げている部隊。

 一方でザルバッグの差配により、他の騎士団たちも上手く配分して“南天騎士団以外には”適度に手柄を立てさせてやってもいる。これは将来的な敵勢力たちに自領内の地理や施設の内情などを知られないためという側面も兼ねてのもの。

 政治面ではダイスダーグがグレバドス教会やバリンテン大公に対して『戦火で家を失った戦災孤児救済のための義援金』を要請し、支払われた金を『ダイスダーグ閣下の決定によって』戦災孤児だけでなく家族を含めてガリオンヌ中にばらまくことで人気取りに励むと同時に“次の戦いのための志願兵集め”に忙しい。

 

 

【南天騎士団】

 現在進行形でも政敵で、将来的には宿敵となる勢力のため完全に邪魔者扱いされている。

 ガリオンヌ領内に軍を入れることは滅多になく、領地の外周地域に逃げ延びてきた残敵掃討のみが役割となってしまっていることから騎士団内には不満や怒りが高まってきている。

 ゴルターナ公自身は宮廷工作に忙しく、ゼルテニアの守りを腹心のオルランドゥ伯に一任し、自ら騎士団を率いて『かつての戦友ラーグ公を救援するため』ガリオンヌ近くまで出陣。以後は配下の騎士団に軍務を委ね、王都ルザリアに居住する有力者や議員たちの邸宅を飛び回るなど“軍政”に励んでいる。その成果は後の歴史が証明してくれることだろう・・・。

 

 

【ライオネル教会所轄領】

 グレバトス教会の所轄領であることからガリオンヌ領内へ軍を入れることは自主的に避けているものの、領内に逃げ込もうとする残党や賊たちに対して断固とした対応を取ることで協力の姿勢を示している。

 また、ダイスダーグからの要請に応えるため教会から指示を受けて支援物資を送っているのもライオネル領。

 ・・・ただし、その際に政治的配慮から輸送業務を委託されている民間の貿易商【バート商会】が、戦時下での混乱に紛れて何をやっているかまでは不明。

 ドラクロワ枢機卿がいつルカヴィになっていたかは解らないものの、悪魔に付け入られる欲望が生まれていたとすれば、この頃あたりからが妥当かもしれない・・・。

 

 

【フォボハム地方】

 先の戦争では唯一被害を免れている地方であることから、今回の骸旅団殲滅戦でも戦力温存に努めており、自領内からの賊追放には積極的だったものの以降は資金提供などでの協力に徹している。

 その反面、物と金の流れる過程で情報網構築にも励んでおり、公の趣味でもある希少武器収集を実益も兼ねてコネ作りなどにも活用するなど裏工作には意外と優れた手腕を発揮している。

 ・・・最近では、有名な貿易商のバート商会による『画期的な新兵器の開発計画』という噂を耳にして興味を持っているらしいが・・・・・・?

 

 

【ランベリー侯爵領】

 自分たちの主を骸旅団に誘拐されたことへの怒りと、主の窮地をラーグ公と北天騎士団に救ってもらえたことへの恩義により、“今の時点では”北天騎士団に最も好意的で協力的な他領の騎士団。

 エルムドア侯爵自身は療養中で、まだ前線に復帰しておらず配下の騎士たちだけが純粋に悪党退治に勤しんでいる。

 その純粋さが真実を知らされた後には諸刃の刃になることを、彼らはまだ互いに知らない・・・・・・。

 

 

 ――余談だが、ラーグ公の側近であるダイスダーグは、若い貴族や家臣たちに『功績の際立っていた者を妹の配偶者にと考えている』という噂が一部で流布しており、若い弟や子弟を持つ中級貴族たちの“権力欲”を刺激して発破掛けになっている。

 ただし、噂が真実か否かは本人自身が曖昧な微笑みを浮かべるだけのため不明。

 一説には、噂を流布させたのはダイスダーグ自身だとも言われているが、それもまた真偽不明の噂でしかない・・・。

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