平民派DQN女オリ主がいくFFタクティクス   作:ひきがやもとまち

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序章と違ってサブタイトルに文章は無し!(苦笑)こういう点がメンタル落ちてる証と思って頂ければ幸いです…。
ちなみに今作内で『五十年戦争末期のベオルブ邸』は描写されません。


第1話

 私たち三人を含めた士官候補生一行が敗走途中の骸旅団敗残兵の一団と遭遇したのは、街の東側にあるスラム地区に到着してすぐのことでした。

 

「・・・なんだ、追っ手に先回りされたのかと焦ったが、ガキどもじゃねぇか! くく、ツイてるぜぇ!」

 

 見るからに悪人面で盗賊風の身なりをした、職業としてのジョブもおそらくはシーフなんだろうリーダー格らしき男の人が野卑た口調で私たちを見下しながら嘲笑い出します。

 

「いいか、野郎ども。このガキどもを倒せばいいんだ! そうすりゃ逃げることができるぞ! 気にするこたぁねぇ! 一人残らず殺っちまえ!」

 

 ――こうして、降伏勧告をおこなう余裕すら与えられないまま始められてしまった、『敵を倒すより逃げ延びることを優先しなくちゃいけないはずの敗残兵さんたち』との不意遭遇戦。・・・いくらなんでもメチャクチャすぎるでしょうがよ・・・。

 

 しかも言ってる内容が、『貴族のみを攻撃対象とするアナーキーな集団』である骸騎士団と合わないこと、この上ありません。誰がどう見ても正規隊員ではないことは一目瞭然です。

 大方、組織が大きくなるに従って大樹に寄りかかりに来ただけの寄生虫な元盗賊かなんかの皆さん方なのでしょう。

 相手が年端もいかぬ子供で、苦労知らずな貴族のお坊ちゃん方だと舐めきった想定が透けて見える発言なんか、如何にも過ぎる小物な方々ですけれども。

 

 ・・・実際のところ、彼らは運の良い人たちの部類に入る人間たちじゃありませんでした。むしろ運が悪い人たちと言った方が正しいかもしれないほどに。

 

 と言うのも、ガリランドの街は広く、街に逃げ込んできた彼らは少数です。

 守る側は必然的に固まったまま当てもなく敵を探し歩くわけにも行かない以上、何隊かに別れて担当地区ごとに巡回する手法を今回は採用するよう北天騎士の方から指示されていたからです。

 

 その中で私と兄様、『武門の頭領ベオルブ家の王子様とお姫様』をどこに配置して守らせるかという問題は容易に決めていいことではありません。

 いくら妾腹の子の末弟と、家督相続があり得ない妹とはいえベオルブ家はベオルブ家。できるだけ安全な場所に配置して厄介事を避けたい気持ちは、宮廷政治に参加せざるをない士官アカデミー執行部側として当然持っていたでしょうし、それでいて武門の頭領一族が後方から偉そうに指揮棒振ってるだけというのは外聞が悪いと、派遣されてきてた北天騎士さんから釘を刺されているところを目撃してしまった私だけが知る真実。

 

 板挟みになった結果としての、スラム地区担当。『貧しい人たちだろうと国民は誰でも北天騎士団が必ず守り抜きます!』・・・という政治的プロパガンダを兼ねた配置だったんだろうなーと予測しますけど、まさかピンポイントで来るとはねー。

 いやー、現実は小説より奇なりとはよく言ったものですね~。

 

「ラムザ、気をつけろよ! むやみに前に出て突っ込まないようにな!」

「侮るな、ディリータ! 僕だってベオルブ家の一員だッ!!」

 

 私のすぐ側で、ディリータさんがいつも通り兄様に対して過保護さを発揮して、兄様もまたいつも通りに気負った感じに家の名を持ち出して強気な返事を返しているのが聞こえました。

 こういういつも通りの注意事項を、いざという時も忘れないディリータさんは本当に参謀向きな男性ですよね。私も彼のように斯くありたいものです。自分的には頭脳派だと認識している私の願望としては特にね?

 

「むしろ、ディリータ。そういうセリフは僕じゃなくてラムダに対して言うべき何じゃないのかな? たとえ兄さんたちに及ばなくても僕は男で、彼女は女の子なんだよ?

 騎士としても男としても、こう言うときには一番に気をつかってあげるべき存在なんじゃないのかな?」

「いや、まぁ・・・うん。俺もそう思いはしたんだが・・・ラムダは俺が言うまでもないヤツだという考えが頭の隅から離れなくてな。結局実行できなかったんだ」

 

 ・・・ちょいと? ディリータさん、言うまでもないヤツってなんですか、言うまでもないヤツって。喧嘩売ってんだったら買いますよ?

 主席のあなたほどではなくても結構強いですからね? 転生してきた今の私はそれなりに強いのです、エッヘン。

 

「ベオルブ家だと!? あの“ベオルブ”の名を継ぐ者か!

 そうか、お前たちは士官アカデミーの候補生たちか! ふん、貴族のくそガキどもがッ!」

 

 あ、なんかリーダー格の盗賊っぽい人にまで聞こえたっぽい。

 

「大人しく投降しろッ! さもなくば、ここで朽ち果てることになるぞッ!」

 

 しかも兄様、律儀に反応してあげてますし・・・。礼儀正しい人だなぁ、本当に・・・。

 

「おまえたち、ひよっこどもに何ができると言うんだ! おまえたち苦労知らずのガキどもにオレたちを倒せるものかッ!!」

 

 盗賊風な身なりからは想像も出来ない勇ましいリーダー格さんからのご返答。

 ・・・・・・けどね?

 

 ザシュッ!!

 

「グハーッ!?」

「なにッ!?」

「・・・言った直後に、苦労知らずなガキどもの一人の女の子に殺される程度の腕しかないんじゃ、竜頭蛇尾も甚だしいんですよねぇー」

 

 私は今し方まで鍔迫り合っていた敵の剣士さんに、フェイント使った一撃を叩き込んで悠々と切り倒せてしまいました。

 

 ・・・この人たち、実戦で鍛えた我流剣術としてはそこそこですけど、正規の剣術習ったことがないのか騙しとか流しの技術に耐性なさ過ぎますね・・・。

 骸騎士団を母体とする組織の名前を名乗るぐらいなら今少し『訓練という名の苦労』もしておいて欲しいんですけれども。

 

「よっと」

 

 そして私は、先ほど倒した敵に近づいて、動けなくなってる間に止めを刺します。

 グサッとね。

 

「ガフッ!?(・・・・・・パタリ)」

「キース!? てめぇッ! よくも!!」

 

 激高するリーダー格さんに、私は肩をすくめてみせるだけで返事の代わりとさせて頂きました。

 

 騎士道基準で見れば卑怯、現代日本の基準で見れば冷酷で非情な手段に見えるだろうなとは思いますけど、戦いの渦中で敵を切り倒しただけで勝ったと思って済ませるのは、剣士として迂闊の誹りを免れない恥とするべき行為でしてね。一度は倒れた敵であろうとも、斬られたショックで昏倒しているだけだったケースが歴史上には多数記録されているからです。

 

 そういう場合、倒れた姿勢のまま意識を取り戻した敵が、その姿勢のまま反撃してくるという例は少なくない。それが本当の戦場であり、戦争です。

 

 したがって、時代劇でよくやる倒れた敵に止めを刺すという行いは、斬り傷で苦しむ敵を早く楽にしてあげようという仏心から来るものではなく、あくまで防衛的目的がメインでやる行為なんだという事実を、現代日本に再び再転生できる機会があったら持ち帰りたいものですね。

 ・・・誰も聞きたがらないでしょうから意味ないかも知れないなーとは思いますけれども。

 

「クソッ! クソッ! クソクソクソ糞ガキどもがッ! 苦労知らずの貴族の小倅どもがッ!

 なんの苦労もせずにヘラヘラ笑って生きてられるお前らみたいなガキどもにオレたちが倒せるわけねぇんだッ! 現実ってのはそんな甘くはできてねぇものなんだ! 死ね死ね死ねッ! 死んじまえ!!

 オレたちが働いた金で楽して食ってる貴族どもなんざ、オレたち平民のために一人残らず死に絶えろぉぉぉぉぉぉッ!!!!」

 

 なので、こうゆう現代日本人よりも性質の悪い貧乏人のひがみ根性丸出し貴族観で、現実を知った風な顔して語りたがる人を見ると・・・・・・なんて言うかこう、イラッとするんですよね。殺してやりたくなるほどに。

 

「・・・うるさいですねぇ・・・。そんなに死んで欲しいなら、自分の手で殺してみなさいよ。なに、敵が悔い改めて自殺するのを待ってるんですか。

 そこは『死ね』じゃなくて『殺す』って言うべきところですよ? いい歳して子供みたいな言い間違いをする他力本願なアダルトチルドレンの皆様こそ国民にとっては害以外の何物でもありません。死になさい。

 それが、この国の人たちに与える被害を少しでも減らせる役に立つのですからね」

 

 冷徹に宣言して以降、私は敵との対話を拒否して野盗退治の任務に意識を集中。

 もともと率いる兵の数の総数では同じであっても、戦術講義で1位、2位、3位の上位トップ3を独占維持し続けている気心知れた私たち三人が役割分担して指揮している士官候補生部隊とでは『指揮官の数』が違いすぎます。

 

 「船頭多くして舟山に登る」と言いますけども、その警句を警句として活かして準備して訓練しておけば、指揮官が多いというのは必ずしも欠点というわけではありません。

 無線とかレーダーとかある時代じゃないですからね。一人の指揮官が把握できる範囲に限りがある以上、役割分担による臨機応変な対応は意外なほど有効なのです。

 

 

「ば、バカな・・・っ。オレたちが・・・オレたちがこんな、苦労知らずの貴族のガキどもに負けるなんて、そんなことあるはずな―――ッ!?」

「・・・その罵り文句しか知らないんですか、あなた? 語彙が少なすぎるにも程があるでしょうよ・・・。

 同じ言葉しか言えないなら、あなたの代わりはオウムで事足ります。死になさい」

 

 ズバッ!!

 

「ギャァァァァァァッ!?」

 

 私が担当していた戦区に残った最後の一人を片付けてから、ディリータさんとも合流してラムザ兄様のもとまで戻ると、何やら一人でブツブツ言いながら考え込んでいるみたいでした。

 とりあえずソーッと近づいて、独り言に聞き耳を立ててみるといたしましょう。

 

「・・・盗賊などという愚かな行為を何故、続けるんだ・・・? 

 真面目に働いていれば、こんな風に命を失うこともないだろうに・・・」

 

 ――ふ~ん・・・。

 まっ、らしいと言えばらしいんで、いいんですけれども。

 

「本人たちが投降を拒否して選んだ結果なのですから、別に兄様が思い煩う必要も理由もないでしょう? 彼らの好きにさせてあげた結果なんですから、いいじゃないですかどうだって。

 どのみち三人以上殺してしまった犯罪者は死刑が妥当と、イヴァリースでも諸外国の法律でも決まっている大前提です。

 どうせ彼らには今更助かる道など残っていなかったんですから、拷問の後に処刑されるよりも、自分たち好みな殺され方で殺された方が彼らとしても少しぐらいはマシだったんじゃないですかね? 私だったらそう考えますが?」

 

 ハッキリとそう言い切る私と、困ったように苦々しい表情で黙り込む兄様。

 ――そして、「・・・やれやれ」と外国人みたいに大げさなジェスチャーで呆れてみせるディリータさん・・・って、やっぱあなた私に喧嘩売ってるでしょ? 買いますよ? そろそろ本気でノシ付けてでも。

 

「たしかに、そういう風に法律の講義では習っているけど・・・・・・特例がないってほどでもないんだし、少しぐらいは助かる可能性だってあるかもしれないし・・・」

「はんっ」

 

 苦悩に満ちた兄様の言葉に対して、鼻で嗤って返す私。

 そりゃ確かに特例はありますよ? それも結構沢山な数でね。

 

 たとえば、殺された被害者が『平民』で、殺した加害者が『貴族』であったりした場合には、問答無用で「事件ごと無かったことにされてしまうケース」が最近のイヴァリース犯罪史には山のように沢山ね。そういう腐った階級制度の国ですから、今更っちゃ今更ですよ、そんなもん。

 

 ただ逆に、平民同士の間でそれやった場合には特別扱いも依怙贔屓もする理由ないので、司法は法令で定められたとおりに公平で公正に正しくギルティーしてくれます。それもまたイヴァリースという国の特徴です。

 

「ありませんよ、そんなもの。どんな理由で盗賊行為を働こうと、盗みは盗み、強盗は強盗です。決して許されることではありませんし、許してしまえば『我も我も』と模倣犯を生み続け、結果的に被害の連鎖を産んでしまいます。

 そして、力弱き者たちが武器を持ったときに襲う相手は多くの場合、肥え太った力ある者ではなくて、身近にいる力弱き同類です。

 私たち子供を、北天騎士団の大人たちより与しやすしと見て問答無用で襲いかかってきたのと同じようにね・・・・・・」

「・・・・・・」

「彼らが何故、盗賊などという道を自ら選び取ったのか・・・その理由が私にはある程度予測はついていますけども、そんなものは彼らの都合であり、事情に過ぎません。

 殺す側に、奪う側にどんな理由があろうとも、奪われたり殺されたりした側に取ってみれば自己正当化目的での言い訳にしかなりようがありません」

「けど・・・・・・」

「彼らは真面目に働く道を捨てて、盗賊になる道を選択した。それが罪であり、悪とされている行為だと知った上でです。そして匹夫野盗の手から弱き民衆を守る責務を負った私たちの敵として現れた。

 ・・・・・・それが今回の全てですよ、兄様・・・。

 私たちが出会わなければ、別の隊に殺されて終わっただけのこと。彼らが生き延びられる道は、既に閉ざされていたのです。

 彼らがここで死んだのは、巡り合わせが悪かっただけのことです。兄様のせいじゃありません。

 だからそう、気を落とさずに・・・ね?」

「・・・・・・うん。ありがとう、ラムダ・・・・・・」

 

 いつも通りナイーブな兄様を慰めながらポンポンと肩を叩いていると。

 

「あー・・・、オッホン。お邪魔虫になるようで悪いとは思ったんだが」

 

 ディリータさんがわざとらしい咳払いをして見せて、私たち“ごく普通の兄妹”のことを白っぽい目付きで等分に眺めやり後頭部をかきながら意見されに来たようでした。

 ・・・って言うか、なんですかい。その目付きと口調は。なんか微妙に腹立つんですけども?

 

「もしかしたら、本隊とは別に街の中へ侵入してきていた敵の生き残りがいるかも知れない。本隊を撃滅した以上、これだけの部隊を維持したままでいる必要も無いのだし、家々を一軒一軒廻って怪我人が出てないかどうか確認させながら残敵掃討と発見に移行させるべきだと考えるんだが、如何かな? ご両人」

「そ、そうだね。気付かなかったよ、ありがとうディリータ。早速みんなに伝令を・・・」

「それでしたら先程やっておきましたよ。

 と言っても、戦闘中にポーション使い切っちゃってたんで今の時点じゃ何かあったときに対応できませんから、アカデミーに備蓄物資の一部を供出してくれるよう嘆願する伝令役を出したばかりで返事待ちの状態なんですけどね」

「・・・・・・さすがにラムダは用意周到だな、相変わらず。色々と」

 

 畏怖したような表情でつぶやきながら、何故だか目が笑っているように見えるディリータさん。

 だから、やめなさいってその目付き。なんかムカつくんですよ、前々からずっとその目付きだけは。

 基本好きなんですけどね、ディリータさんのことも、ラムザ兄様のことも。――でも、この目付きだけはなんか気にくわないです。昔から。

 

「・・・おっ、返事が来たみたいだな。わかりやすい答えをいっぱい引き連れて」

「そうみたいだね。――オ~イ! こっちだ! 早く来てくれ! 組み分けをして、担当箇所を指示したい!」

 

 走ってくる一人の後ろから、後方で負傷者が出たときのために待機していた下級生のアイテム士部隊が汗みずくになりながら大人数で駆け寄ってきてるのが私にも見えました。

 

 

「・・・敵がいる可能性も考えて、最低でも前衛として戦える二人とアイテム士一人という内訳でやらせたいんだけど・・・どうかな? ディリータ」

「難しいな・・・アイテム士の数は補充が来て余っているが、逆に剣士が足りなくなっている。俺たちが率いてた人数だけじゃ間に合わん。

 いっそ、俺たちの意思を上に伝えて大々的にやってもらった方が効率的かも知れない。一番近くの北東地区を担当しているラッセルに仲介してもらえば話も通りやすそうだしな。アイツは気配り上手ないい奴だから」

「なるほど、確かにその通りだね。じゃあ、学園長の指示でアカデミー全体が動き出すまでの間、僕たちだけでも出来ることがないか考えてみようか・・・誰か意見がある人は?」

 

 

 打てば響く反応と返しで、ディリータさんと兄様が事後処理をスムーズに進めていくのが聞こえてきました。

 兄様は、臨機応変さが重要となる戦闘指揮官としては教条的な部分が目立ちますけど、この手の教科書通りに進めればいい作業を指揮させたら主席のディリータさん以上な人なので問題はなく。

 

 ディリータさんはディリータさんで、部隊間の指揮も執れれば必要に応じて単独でも動くことができるフットワークの軽さが最も高く評価されているポイントな人。

 大将軍としては身軽すぎるとも評されていて、貴族生まれでないのは幸いだったと他人には聞かせられない独り言を漏らしていた教官もいたぐらいの人ですから、細々としたところで見落としに気付き易く対応策も柔軟。・・・ですが貴族じゃないので周りを説得させづらいという欠点持ちな人でもある。

 

 主君の短所を参謀が補い、参謀の能力を主君が最大限に活かせるよう意見を採用する。

 よい主従関係であり、理想的な人間関係でもあるこのお二人に、私が余計な差し出口を挟むことなど何一つありません。放っておいた方が順調に進むぐらいです。

 

 なので私は無視。仲間はずれらしく、輪から離れて遠ざかり敵に格好の餌として自らの身を生き餌に使いながら、ふと、倒れている死体の一つに目がとまりました。

 

 先程私が倒した敵さんの一人です。キースさん・・・でしたかね? 敵のリーダー格なシーフさんが呼んでた、この人のお名前は。

 がなり立てるばかりで、大した脅威にならなかった彼と違って、この人の言葉は一言も聞く機会がないまま殺してしまいましたが・・・・・・一体この人は、どの様な理由で『反貴族を掲げるアナーキー集団“骸旅団”』に入団して戦っていたんでしょうかね・・・?

 兄様にああ言っておきながら終わったことを気にするのは矛盾していると自分でも思いますが、どうしても戦い終わるとこういうことが気になりだす性分なのでね?

 

 

 私みたいな子供に殺されて人生を途絶させられた現実が理解できない、したくないとでも言うかの如く目は見開かれたまま、驚いた表情を浮かべて死んでいるその人の死体にソッと近づくと傍らに膝を突き。

 

 

「・・・『盗賊には三種類ある。暴力によって盗む者、知恵によって盗む者、権力と法によって盗む者』・・・・・・。

 ――あなた達は、一番普通で平凡でよくありふれた盗賊として世に害悪をもたらし、許される事なく罰されて死にましたが、最悪の盗賊が許してもらえる時代もそう長くは続かないことでしょう・・・。

 あなた達の犠牲が新たな時代の礎となり、次の世代へと続く道の一部であったことを、偽善を承知で切に願います。

 どうか私への憎しみから成仏できずアンデットになって、死して後も苦しまぬよう往生してくださいませね」

 

 

 目を閉ざさせました。

 そうすると不思議なことに、さっきまでとは別の感情を浮かべているように見えるのですから、人間の心というものは本当に自分勝手なものだと心の底から思います。

 

 それでもまぁ・・・やらないよりかはマシなのでね?

 自己満足とは言え、満足感を得られて感謝する気になれるのですから、敵として憎んだまま逝かせるよりかは少しぐらいはマシだと信じたい私がいますから。

 

 それでは、キースさん。お休みなさい。

 願わくば来世とやらがないまま、ゆっくり眠れるといいですね?

 

 

 ――でないと、平和な時代の平和な国から戦乱のイヴァリースへと生まれ変わって、あなたの命を奪った私みたいになっちゃいますのでね・・・・・・?

 

 

つづく

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