蘭とお兄ちゃん   作:火の車

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スケジュールが空いた!

リサのフラグのフラグが出来ました


リサの恐怖

 六月。

 天気は梅雨真っ盛り、外は目が降りしきり、空はどんより雲がかかっている......なんて事はなかった。

 

日菜「__体育祭だー!」

 

 今日は体育祭だ。

 空はもう快晴も快晴、梅雨はどこに行った?と聞きたくる。そんな中、日菜を始めとしたクラスメイト達は激しい盛り上がりを見せていた。

 

裕也(やばい。とうとう体育祭になっちまったよ。)

 

 体育祭の日までの期間、俺は何度も蘭に今井の事を話そうとした、したんだ。でも、話を振るたびにあんなにキラキラした目で見られたら、話せないじゃん?それで日が過ぎていくじゃん?今日になるじゃん?......胃が痛い。

 

裕也「......やっばい、どうしよ。」

日菜「へいへーい!裕也君、表情が暗いよー!」

裕也「なんかキャラ変わってないか?」

日菜「いつも通りだよー!」

裕也「あ、はい。」

麻弥「二人とも、そろそろ時間ですよ。」

日菜「はーい!じゃあ、行こっか!」

 

 俺は多大な不安を抱えつつ、体育祭の所定の時期に向かった。

________________________

 

 体育祭はグラウンドで行う。

 まずは開会式。これは生徒会のつぐみが司会として進行している。

 

つぐみ『それでは、生徒会長の話です』

日菜『はいはーい!おはよー!皆ー!』

 

 司会に呼ばれると日菜は元気に出てきた。

 日菜のスピーチはおおよそ常人には理解できないものだ、るんっ♪バーン!などの独特な表現がそれの大まかな原因になってる。日菜のスピーチは3分ほどで終わった。

 

つぐみ『__あ、ありがとうございました。』

 

 つぐみも日菜のスピーチにかなり引き気味である。

 見てるだけで苦労が見えてくる。

 しばらくして、体育祭の競技が始まって行った。

 

蘭「__お兄ちゃん!」

裕也「ん?蘭じゃないか、どうした?」

蘭「見かけたから声かけたの。」

裕也「そうかそうか!」

蘭「それでね、お兄ちゃん///」

裕也「ん?」

蘭「この後さ、あたし200m走出るの。」

裕也「そうかー、頑張れよ!」

蘭「だ、だからさ!頑張れるように頭、撫でてほしいな.....って///」

裕也「そんな事か?別にいいぞー。」

 

 俺は蘭の頭に手をのせて撫で始めた。

 蘭の表情はみるみるふやけていく。

 

裕也(__うん。蘭は可愛いな!)

蘭「......もう、いいよ。」

裕也「了解。」

蘭「ありがとう、お兄ちゃん。これで頑張れるよ。」

裕也「そうかそうかー。」

蘭「しっかり見ててね、一番になるから!」

裕也「おーう。」

 

 そう言って蘭は集合場所に走って行った。

 見る限り蘭はとてもうれしそうだった。

 そして俺は観戦席に行った。

________________________

 

 観戦席に行くとちょうど、200m走が始まった。

 蘭は第2走者だ。第一走者がスタートした。皆速いなーと思った。そして、蘭の番になった。

 

蘭(あ、お兄ちゃん!)

裕也「?」

 

 蘭の方を見てると蘭と目があった。

 蘭はとても笑顔だ、うん、可愛い。

 そう思ってると蘭が走り出した。小さいときにも蘭が走ってるのを見たが、普通に早いと思う。走り終えれば蘭の順位は1位だった。

 

蘭「__お兄ちゃん!一番だったよ!」

裕也「おー、よく頑張ったなー!」

 

 俺は蘭の頭を撫でた。

 蘭は嬉しそうな顔をしてる。

 

モカ「おー、イチャついてますなー。」

リサ「情熱的だねー!」

蘭「!?///」

裕也「あ、モカと今井じゃないか。って、別にイチャつてないぞ。」

リサ「え?そうなの?」

裕也「あぁ。蘭と俺は家族みたいなものだからな、これは家族のスキンシップだ!」

蘭「......」

モカ「あー(察し)」

蘭「う、うん。あたしとお兄ちゃんは家族みたいなもんだし、だからイチャつてない......」

裕也「だよな?」

モカ「......これだから裕君はー。」

リサ「和田君は鈍感さんなのかな?」

裕也「鈍感?なんでだ?」

モカ、リサ「やれやれ......」

 

 なぜか、モカと今井に呆れられた。

 それから、そんなこんなで体育祭は進行していった。

 俺の競技?そんな事はどうでもいいだろ?

 皆の競技を紹介しよう!

 モカは案の定、パン食い競争。巴はハンドボール投げ。ひまり、つぐみは100m走だった。

 みんなすごく頑張ってた、後でご褒美をあげよう。

 そして、体育祭も終盤、その時俺はある異変に気付いた。

 

裕也(今井がいない?)

モカ「どうしたのー?」

裕也「モカ、今井を見なかったか?」

モカ「リサさんー?うーん、そう言えば見てないなー?」

裕也「ちょっと探してくる。」

モカ「うんー。」

 

 俺は今井を探しに入った。

 

裕也(嫌な予感がする、どこに......あ、あれは!)

 

 俺は見覚えのある人物を見つけた

 

裕也「湊!」

友希那「和田君?どうしたの?」

あこ「裕也兄!こんにちは!」

裕也「今井を見なかったか?」

友希那「リサ?......そう言えば、離れてから戻ってきてないわ。」

裕也「やばい。」

友希那「どうしたの?」

裕也「説明する時間はない。俺は今井を探しに行く、もし見つけたら連絡してくれ!」

友希那「ちょっと!和田君!?」

あこ「行っちゃいましたね?」

友希那「......私も和田君を追うわ。」

あこ「え?」

友希那「少し、嫌な予感がするの。」

あこ「友希那さーん!あこも行きますー!」

________________________

 

裕也(どこだ。どこにいる。)

 

 俺は校舎内にいる。

 グラウンド周辺は今井を目撃した人はいなかった。

 その時、俺は不自然なものを見つけた。

 

裕也「__なんで、ここが空いてるんだ?」

 

 目の前には立ち入り禁止の札が雑に外された階段がある。

 日ごろ誰も使わないからか、おどろおどろしい雰囲気を醸し出している。

 

裕也(ここは聞く話じゃ誰も使ってない。じゃあ、なんで札がこんなことになってる?)

 

 俺は迷いつつ、その階段を上がって行った。

________________________

 

 ”リサ”

 

リサ「__ん......ここは?」

男子「起きたようだね。」

リサ「昨日の!」

男子「そう、君に貶められた男子さ、今井リサ。」

 

 あたしの目の前には、昨日告白してきた男子がいる。

 ここは多分、学校内のどこかだけど、来たことはない。

 

リサ「なんで、あたしはこんなところにいるの?」

男子「それは、僕の復讐のためさ。」

リサ「復讐?」

男子「そうさ!」

 

 ドン!!!

 

リサ「きゃ!」

 

 その男子はあたしを押した。

 あたしはたまらず尻もちをついた。

 

男子「お前にフラれ、生徒指導で味わった屈辱、お前にわかるか!?」

リサ「そんなの、あたしなんもしてないじゃん!」

男子「お前が!大人しく告白を受け入れていればよかったんだろう!」

リサ「そんな!あたしだって__」

男子「うるさいうるさい!口答えするなぁ!」

リサ「!」

 

 その男子はあたしに覆いかぶさってきた。

 目は完全に血走ってる、怖い。

 

男子「心が得られないなら、せめて体だけでも得る!」

リサ「や、やめて!」

男子「うるさい!!」

 

 段々、服が脱がされていく。

 あたしは男子の力に抵抗できない、思うがまま。

 あたし、こんなところで......

 

男子「心配しなくても、子供が出来れば飼ってやるさ、今井リサ!」

リサ「いや......いや......やめて......」

 

 逃げたい、でも、逃げられない。

 もう、ダメみたい。

 

男子「脱がせずらいな。......おら!」

リサ「!!」

 

 ビリビリ!!!

 あたしの体操服の上が破られた。

 もう、終わりみたい。

 男子の手が迫ってきてる、足に力が入らない、怖くて声も出せない。

 

リサ(......せめて、あの時の男の子に一言、好きって、ありがとうって言いたかったな)

 

 あたしは目を閉じた。

 これなら、薄ら笑いを浮かべてる男子も見えないし、時間も勝手にすぎて、くれるよね。」

 

男子「諦めがいいじゃないか。やっと僕に従う気になったようだね。」

リサ(早く、終わって__)

裕也「__今井ー!」

男子「!?」

リサ「わ、和田、君?」

裕也「そこにいるのか!今行くぞ!」

 

 そう声がすると、和田君は鍵が閉まってるドアをこじ開けた。

 でも、部屋に入ってきたとき一瞬、和田君だと分からなかった。だって__

 

裕也「君、昨日の奴だったよな?」

 

 だって、今の和田君はいつもの優しそうな雰囲気からは考えられないくらい冷ややかな目をしてる。今の和田君から温度が感じられない。あたしも、今の彼の目には震えてしまった。

________________________

 

 ”元の視点”

 

裕也「俺、生きてるものが好きなんだよね。」

男子「は?」

裕也「皆、面白くて、楽しくて、それでいて美しくてさ。」

男子「だから、何だって言うんだ?」

裕也「......俺は出来る限り生きてるものを傷つけたくないんだ。そして、傷つける奴を俺は絶対に許さない。」

男子「ふん、何を言うかと思えば__」

教師「__ここで何をしてるっ!!!」

男子「!?」

裕也「ここにいました、先生。」

教師「あぁ、助かったよ和田。」

男子「な、なんで!?」

裕也「ここに来る前、偶々、そこで会ってな。ここに侵入した生徒をとっちめるって。」

教師「お前、この前も問題起こしてたよな?そして今回は......。口には出さないが、お前、タダで済むと思うなよ?」

男子「ま、待ってくれ!俺はどうなるんだ?」

裕也「そうだなー、今の状況的に犯罪だし、警察に捕まるんじゃね?」

 

 俺はそんな事を言ってみた。

 男子の顔はみるみる青くなっていく。

 

男子「待ってくれ!警察なんかに捕まったら僕の人生は__」

裕也「終わりだな。」

男子「お、おい、ほんとに警察に突き出したりしないよな?だってお前、生きてるものが好きだって__」

裕也「ごめん。」

男子「え?」

裕也「俺の中でお前という人間は終わった、つまり死んだ。だからさ......」

 

 俺は男子に近づいて行った。

 もう終ってる気もするが、とどめを刺そうかな。

 

裕也「___生きてないんだから、どうなろうがどうでもいい。」

教師「こい!警察と親を呼ぶ!」

男子「」

 

 男子は教師に連れていかれた。

 多分、あいつの人生は終わりだろう。

 拾ってくれる会社も大学もなくなるし、生きる道は警察署くらいだろうな。

 

リサ「わ、和田君......?」

裕也「大丈夫か、今井?」

リサ「!(いつもの優しい雰囲気に戻ってる?)」

裕也「ほんと、ひどいな。俺ので悪いけどこれ着てくれ。」

リサ「え?......あ///」

 

 俺は目をそらしながら体操服の上を渡した。

 今井の状態はまぁ、あれだ、服が破れてる。

 

リサ「あ、ありがと///」

裕也「別にいいよ。」

 

 今井がいいよ、というと俺は今井の方を見た。

 

リサ「それでさ、気になったんだけど。」

裕也「?」

リサ「なんで、助けに来てくれたの?」

裕也「なんでか?そうだな、今井がいないと思ったら嫌な予感がしてな。」

リサ「えっと、そうじゃなくてね?」

裕也「ん?」

リサ「なんで助けに来ようと思ったのかなって。」

裕也「え?いや、あたりまえだろ?」

リサ「え?」

裕也「今井は友達だからな。友達が危ないと思ったらさ絶対に助けに行くだろ?」

リサ「!」

裕也「本当に今井が無事でよかったよ。」

リサ「和田君......」

裕也「今井?___!?」

 

 俺が今の方を向くと、俺の肩に今井がもたれかかってきた。

 いや、抱き着いてきたというのが正しいのか?

 

リサ「......怖かった。」

裕也「!」

リサ「力じゃかなわなくって、服も破られて、もう、ダメかと思って......」

裕也「そうか。」

リサ「ありがとう、和田君......」

 

 今井は目に見えて弱ってる。本当に怖かったんだろう、体はかすかに震え、目には涙も浮かんでる。

 俺は今井を撫でた。

 

リサ「和田君?」

裕也「大丈夫。俺が絶対にどんな時でも助けるからさ。」

リサ「わ、だくん......」

 

 今井は今までこらえてた分の涙を流した。

 日ごろはお姉さん、でも、本当は今井もか弱い女の子なんだ。

 俺はそれを受け止められる存在にんっていきたい。

________________________

 

 しばらくして、俺たちは学校を出た。

 その頃には後夜祭も終わってて、校舎は静かだ。

 俺は今井を家に送り、家に帰ろうとした。

 

蘭「お兄ちゃん。」

裕也「あ、ら、蘭。」

蘭「リサさん、助けられた?」

裕也「え?あ、あぁ。」

蘭「そう、よかった。」

裕也「ごめんな、後夜祭行けなくて。」

蘭「別に、いいよ。」

裕也「蘭?」

蘭「助けたんでしょ?仕方ないよ。」

裕也「ごめんな。お詫びに何かするよ。」

蘭「じゃあ、お兄ちゃんの家でご飯食べたい!」

裕也「そんなのでいいのか?じゃあ、行こうか。」

蘭「うん!」

 

 俺たちは楽しく話したりしながら家に帰って行った。

 こうして、体育祭の日は終わりを告げた。

 

 

 

 




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