蘭とお兄ちゃん   作:火の車

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勉強会

 夏休みと言えば、そう聞かれれば皆はなんて答えるんだろう?

 

 俺たちが行ったプール?それとも海?夏祭りもあるな。

 

 他にも友達同士で遊びに行ったり、まぁ、色々あるよな。

 

 だが、学生の夏休みには逃げる事が出来ない試練がある。

 

 あるものは泣き、あるものは怒りのあまり叫びだす、地獄、それは......

 

ひまり「__あー!終わらないー!」

巴「なんだ、なんだよこれ......?」

蘭「......は?なんで、こんな数値を求める必要あるの?」

友希那「......勉強には興味ないわ。」

あこ「わかんなーい!りんりーん!」

 

 夏休みの課題だ。

 

 今、俺の家ではロゼリアとアフターグロウの皆が集まって、課題と熾烈な戦いを繰り広げている。

 

燐子「あこちゃん、ここはね......」

リサ「友希那?勉強はちゃんとしよ?」

裕也「あははー、皆、大変そうだなー。」

 

 俺は持ってきた飲み物をみんなに配りながらそう言った。

 

紗夜「和田さんは課題は終わったのですか?」

裕也「ん?俺は初日で終わらせたよ。」

友希那「そ、そんなに早く......?」

裕也「あぁ。これでいつでも蘭のヘルプに行けるからな!」

リサ「流石、シスコン。」

裕也「おいおい、リサ。見くびって貰っちゃ困る。」

リサ「え?」

裕也「俺はシスコンの中のシスコン、つまり、その辺のシスコンとはレベルが違うぞ!」

 

 俺は高らかにそう宣言した。

 

 正直、蘭なら何でも許せる。

 

蘭「お兄ちゃん、助けて......」

裕也「なんだ!蘭!」

 

 俺は蘭の隣に行った。

 

燐子「え......?」

あこ「今、一瞬で裕也兄が蘭ちゃんの横に行ったような?」

友希那「瞬間移動?」

つぐみ「あれは、裕也先輩の特技?ですよ?」

モカ「シスコンを極めると出来るようになる、らしいですー。」

紗夜「極めるって、限度があると思うのですが。」

 

裕也「それで、どこが分からないんだ?」

蘭「これ。」

裕也「ふむふむ。これなら簡単だぞ!まずはな__」

 

 俺は蘭に問題の解き方を説明した。

 

 教科書通りにすると、逆に分からなくなるな。

 

裕也「__まぁ、こんな感じだ。」

蘭「分かった。」

裕也「よしよし!頑張れよー!」

蘭「うん!」

 

 説明が終わったので、俺は立ち上がった。

 

 すると、蘭に服の裾を引っ張られた。

 

裕也「どうした?」

蘭「隣にいて。」

裕也「え?」

蘭「ダメ......?」

裕也「いいぞ!」

 

 可愛すぎる。

 

 元々、蘭は超絶可愛いのに、服の裾を引っ張ってきて、その上、少し涙目で上目遣い......

 

 もう少しで、意識が持っていかれるところだった。

 

裕也(決めた。俺は一生、蘭を守っていく。死んで霊になっても蘭だけは守る。)

蘭「お兄ちゃん?」

裕也「あ、なんでもないぞ!ちゃんと任せろ!(?)」

蘭「え?うん。」

 

ひまり(......ずるい。)

巴(なんでだろう、なんかモヤモヤするな。)

つぐみ(私も、裕也先輩と......)

モカ「......悪い子だねー、蘭ー。」

リサ(......あたしもあのくらいはアピールしないといけないのかな?)

 

 なんでだろう、皆から黒いオーラが見える。

 

 勉強が分からないのか?

 

紗夜「和田さんは進路はどう考えてるのですか?」

裕也「ん?進路?」

紗夜「もう3年生ですし、そろそろ時期ではないですか?」

裕也「んー、そう言えばそうだなー。」

 

 進路なー。

 

 蘭の事しか考えてなかったから忘れてた。

 

裕也「うーん、俺は進学するかなー?」

紗夜「それでは、どこの大学に行くのですか?」

裕也「もちろん、蘭と同じところだ!」

紗夜「......女子校だった場合は?」

裕也「性転換する。」

蘭「お願い。それはやめて。」

 

 蘭が真顔でそう言った。

 

 いや、半分は冗談だったんだがな......

 

リサ「そもそも、蘭は一個下だし、裕也が行くところに行けない可能性だってあるんだよー?」

裕也「なに!?」

紗夜「そうですね。和田さんは学力が高いですし。ついて来れなくなる可能性がありますね。」

裕也「......」

 

 そうだった。

 

 俺はたびたび、難関大学を進められる。

 

 そこに行けば、確かに蘭が来るのが難しいかも......

 

裕也「よし、留年しよう!」

リサ「とんでもない事言い出した!?」

裕也「だって、蘭に合わせて受験すればいいし。」

燐子「それは......やめておいた方がいいと思います。」

裕也「えー。」

紗夜「美竹さんが行けそうな大学に行くのは駄目なのですか?」

裕也「それはダメ。」

蘭「え?なんで?」

裕也「だって、それじゃ蘭の可能性を狭めちゃうだろ?蘭にはたくさんの可能性を探ってほしいからさ。」

 

 蘭には無限の可能性がある。

 

 なんにでもなれる、その可能性を俺なんかが狭めちゃいけない。

 

モカ「裕君は何のために生きてるのー?」

裕也「もちろん!蘭!」

巴「仮に裕也先輩が結婚したらどうするんだ?」

裕也「うーん......蘭は連れていく。」

ひまり「いや、それはだめでしょう!」

あこ「もし、蘭ちゃんが結婚したらー?」

裕也「え?」

リサ、友希那「あっ。」

 

 映像が流れて来た。

 

 目の前には、ウィディングドレスを着た蘭。

 

 そして、少し後ろに誰か知らない男が見える。

 

 蘭が離れていく、遠くにあの男の方に......

 

裕也「......」

リサ「ゆ、裕也?」

友希那「だ、大丈夫?」

裕也「......大丈夫、大丈夫。ノープロブレム。」

つぐみ「じゃあ、今の間は......?」

裕也「大丈夫、大丈夫。ノープロブレム。」

巴「リピートしてるぞ?」

燐子「目に、光がない......?」

 

 やばい、意識が飛んでた。

 

 何してたんだろう?

 

裕也「俺は、一体......?」

蘭「お兄ちゃん?」

裕也「蘭?」

蘭「どうしたの?」

裕也「こっちにおいで。」

蘭「うん?」

 

 蘭がこっちに来た。

 

 その瞬間、俺は蘭を抱きしめた。

 

蘭「お、お兄ちゃん!?///」

リサ、モカ、ひまり、つぐみ、巴「!?」

裕也「蘭は可愛いなぁ......」

リサ「ちょ、ちょちょ!何やってるの!?」

ひまり「ずるいよ!」

巴「そうだぞ!蘭!」

蘭「あ、あたし!?」

つぐみ「流石に蘭ちゃんでも許せないよ!」

モカ「蘭ー?」

蘭「やめて、モカの名前呼ぶだけが一番怖い。」

裕也「__よし、落ち着いた。」

 

 俺は蘭を放した。

 

裕也「いやー、なんか無性に抱きしめたくなった!驚かせて悪いな!」

リサ「いや、そういう事じゃなくて。(なんであたしに来ないの!?)」

裕也「?」

リサ「いや、なんでもいいよ......」

 

 リサが何だか元気がないな。

 

 うん?

 

裕也「あ、もうこんな時間か。」

蘭「お兄ちゃん?」

裕也「そろそろお昼ご飯の時間だな!食べよう!」

リサ「手伝おっか?」

裕也「大丈夫。もう準備してるから!」

 

 俺はお昼ご飯の用意のためにキッチンに行った。

__________________

 

 今日のお昼ご飯はカレーだ。

 

 今日のために準備しておいた。

 

裕也「__おまたせー。」

あこ「カレーだ!」

裕也「ふっふっふ、今日のは自信作だぞー。」

 

 俺はテーブルにカレーを並べた。

 

 そして、すぐに食べ始めた。

 

リサ「おー、美味しい!」

紗夜「そうですね。」

友希那「なんで、こんなに料理が出来るのかしら。」

燐子「食べやすいです......」

あこ「そうだよね!りんりん!」

ひまり「うーん!美味しい!」

巴「熱い味がするな!」

モカ「なにそれー?」

つぐみ「お母さんの味みたい。」

蘭「美味しいよ、お兄ちゃん。」

裕也「そうかそうか。」

 

 皆喜んでくれてるな。

 

 よかった。

 

ひまり「そう言えば、今日はお祭りの日ですね!」

巴「お!そうだな!」

裕也「あー、もうそんな時期かー。」

モカ「裕君は行くのー?」

裕也「うーん。」

つぐみ「行かないんですか?」

裕也「どうしようかなー。」

 

 祭りかー。

 

 考えてなかった。

 

リサ「じゃあさ、皆でこの後行こうよ!」

友希那、紗夜「え?私は__」

あこ「いいね!リサ姉!」

燐子「私も......人の多いところは苦手ですが......いいと思います。」

リサ「じゃあ!行こっか!」

裕也「俺はな__」

蘭「お兄ちゃん。」

裕也「ん?」

蘭「お兄ちゃんも、行こ?」

裕也「よし、行く。」

リサ「早い。」

 

 そうして、俺は皆と祭りに行くことになった。


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