祭りと言えばなんだろう?
たくさんの屋台、楽しい盆踊り、迫力のある太鼓
花火もあったか?
まぁ、こんな感じに祭りには多くの魅力がある
だが、俺にとっての祭りは......
蘭「__お、お待たせ、お兄ちゃん///」
裕也「蘭!」
妹の浴衣だ!
赤い浴衣に綺麗な花柄
そして、可愛い可愛い蘭!!
俺の祭りにこれ以上のものが必要か?
いや、必要あるわけない(断言)
俺は気づけば、携帯を取り出し
カメラを連射していた
蘭「ちょ、ちょっと!撮りすぎ!」
裕也「はっ!い、意識が飛んでた。なんてことだ......」
モカ「相変わらずだねー。」
リサ「無意識で連写するって何?」
裕也「俺にも分からん。なんだったんだ?」
ひまり「......変態お兄ちゃん?」
巴「ふっ。」
つぐみ「ふふっ。」
なんだろう、すごく心外な言葉が聞こえた気がする
まぁ、気にしなくていいな!
友希那「なんで、私まで......」
紗夜「私もです。」
裕也「2人も似合ってるぞ?」
あこ「裕也兄!あことりんりんはー?」
燐子「あ、あこちゃん......」
裕也「2人も似合ってるぞ!」
今の俺は最高に気分がいい
今ならユーラシア大陸を走って1周出来る気がする
裕也「ふんふーん。」
リサ「何やってるの?」
裕也「今日の写真の確認だよ。」
俺の写真フォルダの9割は蘭の写真だ
小学生の時持ってた携帯からデータを移してるから
昔の写真もたくさんある
裕也「今日の蘭は今までで2番目に可愛いな。」
リサ「え?2番目なの?あんなに盛り上がってたのに?」
裕也「あぁ、2番目だよ。」
蘭「なんの話してるの?」
裕也「なんでもないよ。」
蘭「そう?じゃあ、行こ、お兄ちゃん。」
裕也「おう!」
俺たちは屋台がある方に向かった
__________________
やっぱり、すごい屋台の数だ
裕也「__蘭は何か欲しいものあるか?」
蘭「えっと、りんご飴食べたい。」
裕也「そうか!じゃあ、買いに行こう!」
モカ「あー、モカちゃんも食べたーい。」
ひまり「私も食べたい!」
巴「あたし達も!な、つぐ!」
つぐみ「え?あ、うん!」
裕也「そうかそうか!じゃあ、みんな買ってやろう!」
俺はそう言って、りんご飴の屋台を見つけた
そして、人数分のりんご飴を買った
裕也「ほらー!りんご飴だぞー!」
俺は皆にりんご飴を配った
友希那「私達まで悪いわね。」
紗夜「お代は......」
裕也「いいっていいって!全く問題ないから!」
つぐみ「でも、10本も買ったら高いんじゃ?」
ひまり「そうですよ!」
裕也「こんなこともあろうかと、20万くらい持ってきてるから、大丈夫だ!」
あこ「なんで!?」
俺がそう言うと、皆が驚いたような顔をした
蘭「なんで、そんなにあるの?」
裕也「いや、引っ越してから蘭と再開した時の事を考えてずっと貯金してたんだ。」
リサ「流石、裕也だねー。」
皆はなぜか苦笑いをしてる
なんでだ?
裕也「まぁ、今日は何でも買ってやるぞー!」
蘭「いや、いい。」
裕也「なんで!?」
蘭「だって、お兄ちゃんを財布みたいに使いたくないもん......」
裕也「」
ひまり「あっ、意識飛んだ。」
蘭は、なんて可愛くていい子なんだろう
わざわざ、どうでもいい俺の心配をするなんて
天使だ。......
裕也(蘭、いい子に育って......)
友希那「......泣いてるわよ?」
紗夜「ど、どうしたんでしょうか?」
モカ「あれはー、裕君の発作みたいなものなので気にしなくていいですよー。」
燐子「発作......?」
巴「おーい、裕也先輩!」
裕也「はっ!」
意識が飛んでた
今日はよく意識が飛ぶな
蘭「楽しく遊ぼ。ね、お兄ちゃん?」
裕也「あぁ!そうだな!って、蘭?」
蘭が俺の腕に抱き着いてきた
裕也「このまま行くのか?」
蘭「うん。だめ?」
裕也「いや、いいんだけどな?もう少し、抱き着き方を考えた方がいいと思うんだよ。」
蘭の成長に伴って
存在感を表してきたあれが、俺の腕に確かな柔らかさを伝えてくる
モカ(珍しく、裕君が動揺してる?)
ひまり(これって、付け入る隙があるんじゃ?)
困った
蘭にそういう事を思うのはな......
リサ「裕也♪」
裕也「リサ?」
俺が脳内会議を開催してるとリサが反対側から抱き着いてきた
裕也「なんだ、リサもか。嫁入り前の子なんだから程々にしとくんだぞ?」
リサ「え?」
裕也「?」
俺がそう言うと、リサは不思議そうに首を傾げた
そして、俺から離れ皆の方に戻った
リサ「な、なんで......?」
モカ(裕君が動揺しなかった?リサさんのは蘭のそれよりも......)
ひまり「ゆ、裕也先輩!///」
裕也「ん?」
ひまり「し、失礼します!///」
ひまりも俺の腕に抱き着いてきた
なんだろう、流行ってるのか?
巴(行ったー!ひまりなら流石に裕也先輩も......!)
裕也「どうしたんだ、ひまり?歩きずらいのか?」
ひまり「......」
ひまりは静かに俺の腕から離れた
少し、暗い顔をしてる気がした
モカ(ま、まさか、ひーちゃんにも動揺しないなんて。これにはモカちゃんもびっくりだよ。)
つぐみ(ひまりちゃんでダメなら、私なんて......)
巴(どういう事だ?なんで、蘭だけあんなに動揺したんだ?)
リサ(ひまりでダメなんて、どーいう事?)
友希那「......何を見せられてるのかしら?」
紗夜「さぁ、分かりません。」
あこ「り、リサ姉が負けた?」
燐子(和田君って、まさか......)
皆はどうしたんだろう?
なんか残念そうな顔してるな
蘭「ねぇ、お兄ちゃん。」
裕也「どうした?蘭?」
蘭「早く行こ。」
裕也「そうだな。おーい!皆!行こうぜ!」
モカ「う、うんー。」
それから俺たちは色々な屋台を回った
例えば、たこ焼きでは......
蘭「お兄ちゃん、食べさせて。」
裕也「おー!いいぞいいぞ!」
蘭「......うん、美味しい。」
裕也「そうか!」
蘭「うん!」
モカ(まーた、イチャついてるよー。)
射的では......
裕也「当たるかねー。」
蘭「あっ、当たった。」
裕也「下の段はほとんど持って行ってやろっと。」
ひまり「お、鬼だ......」
はたまた、輪投げ
蘭「お兄ちゃん、久し振りにあれやってよ。」
裕也「あれか?まぁいいぞ。......ほっ。」
蘭「__これ、相変わらずどうやってるの?」
裕也「うーん、適当?」
リサ(適当で輪投げの輪、全部投げて全部成功ってなに?)
まぁ、こんな感じで皆と祭りを回った
そして、結構時間が経った頃
リサが口を開いた
リサ「みんなー!この後花火あるらしいよ!」
裕也「花火かー。」
蘭「お兄ちゃん、あそこあるよ。」
裕也「あぁ、いいな!」
巴(なんなんだろう。)
つぐみ(この以心伝心率......)
俺たちは花火を見る場所に移動した
__________________
花火を見る場所に来た
ここは、小学生の時、みんなで遊んでたところだ
ここはいい感じに花火も見えると思う
蘭「__あ、来た。」
俺たちが来るとすぐに花火が上がった
皆、花火の方を見た
モカ「きれーだねー。」
巴「あぁ!すっごいきれいだ!」
ひまり「写真撮ろうよ!」
つぐみ「うん!」
蘭「難しくない?」
蘭は幼馴染皆で花火を見てる
すごく楽しそうで、微笑ましい
裕也(うんうん、みんないい笑顔だな。)
俺は笑顔で5人の写真を撮った
裕也「__おぉ、ベストショット。」
花火を背景に5人がいい感じに写った
仲の良さも伝わってきて、いいなぁ......
リサ「うわ、すっごい笑顔。」
裕也「そりゃそうだろ。こんなにいい写真を撮れたんだからな!」
俺はそう言いながらさっきの写真をリサに見せた
リサは写真を見ると、優しい笑みを浮かべた
リサ「確かに、笑顔になっちゃうね。」
裕也「だろ?」
リサ「あ、横座っていい?」
裕也「いいぞ。」
リサ「じゃあ。」
リサは俺の横に座った
リサ「いやー!楽しかったねー!」
裕也「それならよかった。」
リサ「裕也はどうだった?」
裕也「俺は蘭が楽しければ楽しいよ。」
リサ「うん、知ってた。」
リサは苦笑いしながらそう言った
俺は蘭たちをボーっと眺めた
裕也「本当に皆かわいいなぁ......」
リサ「もう、裕也のシスコンにも慣れて来た......」
裕也「だろ?俺はこんな奴だ!」
俺は胸を張ってそう言った
俺はシスコンである事に誇りを持ってるからな
リサ「ねぇ、裕也?」
裕也「なんだー?」
リサ「裕也が今まで取った中で一番かわいい蘭の写真ってどんななの?」
裕也「お!気になるか!」
リサ「う、うん。すごい元気だね。」
裕也「まぁ、見てみてくれ。」
俺は社員フォルダからその写真を探した
大分、昔の写真だな
裕也「ほら、これ。」
リサ「わっ!可愛い!」
小学生の時の蘭の誕生日の日に撮った写真
いつもの5人で写ってて、蘭はケーキのクリームを頬に付けてて
太陽のような笑顔で、子供らしさが存分に分かる写真だ
裕也「蘭が一番かわいいのは、あの5人で笑ってる時だよ。」
リサ「まぁ、そうだよね。」
リサも納得したようにうなずいた
俺は携帯をポケットに入れた
そして、しばらく、花火を見ていた
リサ「__裕也。」
裕也「うん?」
暫く花火を見てると、リサが話しかけて来た
いつもより低いトーンの声だ
リサ「裕也はあの5人が大切なんだよね。」
裕也「あぁ、そうだけど。」
リサは何当たり前の事を聞いてるんだ?
そんな事を思ってると、リサは俺の手を握ってきた
裕也「リサ?」
リサ「あの5人が大切ならさ......」
裕也「?」
リサ「裕也は、あたしと付き合うべきだよ。」
裕也「!」
真面目な表情だ
リサは本気、なのか?
考えがまとまらない
リサ「__なーんて、冗談だよ!」
裕也「」
リサ「流石にあの5人がそうなることはないでしょ!」
裕也「そ、そうだよな。」
リサ「うん!大丈夫だから、裕也は焦らずに選んでね!」
そう言ってリサは立ち上がった
リサ「それじゃあ、みんなのことに戻るね!」
裕也「あ、あぁ。」
そう言ってリサはロゼリアの皆の方に行った
俺は大きなため息を吐いた
裕也(し、心臓に悪いな。全く。)
蘭「お兄ちゃん、大丈夫?」
裕也「大丈夫だぞー。」
蘭「そう?花火も終わったし、帰ろっか。」
裕也「あぁ。」
俺たちは皆で一緒に帰った
こうして、祭りが終わった