蘭とお兄ちゃん   作:火の車

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過去編
出会い


 高校2年生の時

 

 俺は成績もよく、クラスの中でも常に中心にいて

 

 人望はある方だった

 

裕也「__ふぁぁ......」

 

 周りは最近の流行りのファッションとか

 

 このドラマは見たかとか、放課後遊びに行こうとか

 

 そんな話を毎日ループしてて、正直つまらなかった

 

A男「なぁ、裕也。」

裕也「なんだ?」

B男「なんだって、話聞いてなかったのか?」

裕也「悪い、考え事してた。なんだっけ?」

A男「それがな、北川に好きな奴がいるみたいなんだよ!」

裕也「北川に?」

 

 俺は少し驚いたような声を上げた

 

 北川と言えば、市議会議員の娘で

 

 女子の間ではリーダー的な存在で

 

 男なんて選り取り見取りなのにそんな噂を聞いたことはなかった

 

裕也「まぁ、北川も人間だし、そう言う時期も来るだろ。」

A男「俺、ずっと狙ってたのになー!」

裕也「まだ、お前って可能性もあるだろ。」

B男「まぁ、一応、噂ではこのクラスらしいけど、なぁ?」

A男「おい待て、なんで俺を見た?」

B男「だって、筋肉バカだし。」

A男「おい!筋肉を馬鹿にするなよ!」

裕也「あはは。」

 

 それにしても、北川にねぇ

 

 想像が付かないな

 

 c男とかか?

 

 顔良し、家柄良しで人気だし

 

A男「それにしても、裕也は興味なさそうだな?」

裕也「まぁ、ないからな。」

B男「裕也も裕也で変だよなぁ。高身長で顔もそこそこいいのに、なんで、彼女の一人も出来ないんだよ。」

裕也「うーん、興味がないから?」

A男「ほんと、惜しいよなぁ。俺の外見がお前なら絶対に彼女作ってるぞ。」

 

 A男は恨めしそうにそう言ってきた

 

 別にあげられるならあげてもいいんだけど

 

 てか、彼女がいるってそんなに重要な事なのか?

 

 俺は心底疑問に思った

 

B男「てか、そろそろ移動しないとヤバくね?」

裕也「そう言えば、次移動か。道理でいないわけだ。」

 

 俺はそう言って椅子から立ち上がった

 

 そして、A男とB男と一緒に教室を出た

__________________

 

 教室を出て、俺達は廊下を歩いていた

 

 すると、気になるものを見つけた

 

裕也「__あれは?」

?「......っ」

 

 確か、あれは、同じクラスの加那原暦だ

 

 イメージ的にはクラスの端で一人でいる感じ

 

 でもなんで、あんなに荷物持ってるんだ?

 

 俺はそんな事を考えながら加那原に近づいた

 

裕也「なぁ、君、加那原だよな?」

暦「......はい。」

 

 俺が後ろから呼ぶと

 

 加那原はゆっくりと振り返った

 

 俺はその顔を見て、衝撃を受けた

 

 この子は小さい時の俺の妹、蘭にそっくりだ

 

 気弱そうで、潤んだ眼をしてる

 

裕也「なんで、そんなに荷物を持ってるの?次の授業、そんなにいらないと思うけど。」

暦「これは......北川さんたちの......」

裕也「北川たちの?なんで、それを加那原が?」

暦「えっと......用事があるからと......」

裕也「そうなのか?」

 

 こんな大人数が一斉に用事か

 

 まぁ、グループだし、そういう事もあるか

 

裕也「それ、持とうか?」

暦「え......?」

裕也「教科書もそんな数もってれば重いだろ?」

暦「......!」

 

 俺はそう言って、加那原の持ってる教科書をひったくった

 

 加那原は目を見開いて驚いてる

 

暦「あ、あの......」

裕也「気にしないでいいって。ほら、行こう。」

 

 俺はそう言って、移動先の教室に向かった

 

 加那原は慌てた様子で後ろをついてきた

__________________

 

 移動先の教室に着いた

 

 なんだか、賑やかな話声が聞こえる

 

裕也(__あれは、北川?) 

 

 教室に真ん中では北川たちが楽しそうに話していた

 

 俺はその集団に近づいて行った

 

裕也「荷物、持ってきたぞ。」

カリナ「え?和田君?」

A子「なんで?和田君が持ってんの?」

裕也「流石にこの数は重いだろうから、俺がひったくった。」

 

 俺はそう言って、机に荷物を置いた

 

 そして、北川たちの方を見てこう言った

 

裕也「用事があったから仕方ないけど、こういうのは俺に頼んでくれ。女子一人で持つには重いから。」

B子「うん、ありがとうね!」

c子「次からは気を付けるよ!」

裕也「なら、いいよ。」

カリナ「和田君って優しいね!」

裕也「?」

 

 北川は突然、そんな事を言い出した

 

 俺は首を傾げた

 

カリナ「わざわざ、人の荷物を持ってあげるなんて!」

裕也「重そうだったからな。」

カリナ「いいよねー、そう言う男子!モテるでしょ?」

裕也「そんな事はないよ。俺は普通だから。」

A子(あれ?和田君って、すごいモテてなかったっけ?)

c子(和田君って、カリナの......)

裕也「?」

 

 女子たちが変な目を向けてくる

 

 何かおかしいこと言ったかな?

 

裕也「まぁ、いいや。俺は行くよ。」

カリナ「うん!ありがとう!」

裕也「あぁ。」

 

 俺はそう言って女子の元を離れた

 

 そして、男子の方に行った

 

裕也「__ただいまー。」

A男「あ、戻って来たのか、裕也。」

裕也「いやー急に離れて悪かった。」

B男「いや、いいって。てか、女子と何話してたんだ?」

裕也「お礼言われてただけだよ。」

D男「てか、なんで、裕が教科書持ってきたん?」

裕也「それは__」

暦「__あ、あの......」

裕也「!」

 

 会話の途中、加那原が近づいて来た

 

 俺は声のした方に振り向いたが

 

 男子に目線をふさがれた

 

裕也「なんでそんなとこに立ってるんだ?」

D男「いやー、あ、ちょっと向こう行こうぜ!」

裕也「え?なんでって、引っ張るなよ!」

暦「あっ......」

 

カリナ「......」

 

 俺はそれから、授業開始時間まで教室の外に貼り付けられ

 

 結局、加那原と話すことはなかった

__________________

 

 昼休みになった

 

 俺はいつも通り、クラスの男子と一緒に弁当を食べていた

 

 話の内容は記憶をリセットしてるのかって位同じだ

 

カリナ「ねぇ、和田君!」

裕也「ん?」

男子たち「!!」

 

 弁当を食べ終えたころ

 

 北川が俺に話しかけて来た

 

裕也「何かな?」

カリナ「実はね、今日の放課後、校舎裏に来てほしいの!」

裕也「校舎裏?」

カリナ「うん!お願いね!」

裕也「ちょ__」

 

 俺が口を開く前に北川は女子の方に戻って行った

 

 不思議に思いながら、姿勢を元に戻した

 

A男「おいおい、裕也!」

裕也「ん?なに?」

D男「何じゃないっしょ。」

B男「羨ましいぞ!」

裕也「だから、何の事だよ。」

 

 何をそんなに盛り上がってるんだろう

 

 何か特別なことあったか?

 

E男「あの北川に呼ばれたんだぜ!勝ち確じゃねぇかよ!」

裕也「勝ち?俺は何と戦うんだ?」

A男「朝、話したろ?北川の。」

裕也「あー、好きな人ってやつ?」

B男「それが、裕也だったんだよ!」

裕也「ふーん。」

 

 なるほど、だからわざわざ校舎裏に

 

 でも、意外だねぇ

 

A男「それで、どうするんだよ?」

裕也「何が?」

A男「返事だよ!返事!」

D男「いや、それは決まってるっしょ。学校でも人気の2人だしお似合いだし。」

E男「だよなー!俺もあんな彼女ほしいよー!」

裕也(なんで、受け入れる前提なんだろう。)

 

 それから、クラスは異様な盛り上がりを見せていた

 

 もう、俺と北川が付き合う事は確実みたいに

 

 おめでとうムードが充満していた

 

 俺は疑問を感じながら、放課後までの時間を過ごした

__________________

 

 放課後、俺は言われた通りに校舎裏に来た

 

 てか、同じクラスだから一人で来る必要あったのか?

 

 そんな事を考えながら、まだ来てない北川を待った

 

カリナ「__ごめーん!」

裕也「あ、来た。」

 

 俺が来てから10分後に北川は姿を現した

 

 呼び出してるのに遅れるってとか思ったけど

 

 別に文句言う意味もないので、黙っておくことにした

 

カリナ「それで、今日呼びだした理由は、もう分かってるのかな?」

裕也「まぁ、大体。A男とかに聞いた。」

カリナ「そっか。あはは、なんか困っちゃうよね!」

 

 北川は照れくさそうに頬を掻いた

 

 そして、北川は話を進めた

 

カリナ「分かってるかもだけど、私、和田君が好き!付き合ってください!」

裕也「ごめん。」

 

 俺は北川の言葉にノータイムで答えた

 

 すると、北川は信じられないと言う顔をした

 

カリナ「な、なんで!?」

裕也「俺、北川の事好きじゃない。」

カリナ「っ!」

裕也「中途半端に付き合うのも失礼だし、キッパリと断っておくよ。」

カリナ「そ、そっか。う、うん、じゃあね。」

 

 北川は動揺した様子で走って行った

 

 こんな感じで告白してくる女子はたくさんいたし

 

 断るのにはかなり慣れてる

 

 だから、北川を特別に思う事もない

 

裕也(帰ろ。)

 

 俺はそう思い、校門の方に向かった

 

 ガンッ!!!

 

裕也「!?」

 

 体育倉庫前を通り過ぎる瞬間

 

 中から大きな物音がした

 

 体育倉庫の鍵はしまってる

 

裕也(間違って閉めたのか?)

 

 俺はそう思って、倉庫の鍵を開けた

 

 そして、建物内を覗いた

 

暦「__わ、和田君......?」

裕也「加那原?」

 

 体育倉庫の中にいたのは

 

 涙目で端に座り込んだ、加那原の姿だった

 

 これが、俺と加那原の出会いだった 

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