蘭とお兄ちゃん   作:火の車

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最終回

 文化祭2日目の朝

 

 俺は部屋で天井を眺めていた

 

 こんなに気持ちのいい朝は久しぶりだ

 

 心が晴れやかで、爽やかで

 

 体も不思議に思うくらい軽い

 

裕也「__よっと。」

 

 俺はそんな声とともに体を起こした

 

 体に血が巡って行ってるのを感じる

 

裕也「......俺、生きてるな。」

 

 そんな事を呟いた後

 

 俺はベッドから降りた

__________________

 

 洗面、朝食を済ませ、俺は家を出た

 

 もう、何の心配もなく学校に行ける

 

 目に見える景色が輝いて見える

 

裕也(暦も、こんな風に学校に通えてれば......)

 

 後悔しても仕方ないって分かってても

 

 やっぱり、考えてしまう

 

 今、この世界に暦がいれば

 

 幸せだったんだろうなって

 

風花「__あ、裕也!」

裕也「ん?風花?」

 

 暫く歩いて、学校の近くに来ると

 

 風花がこっちに走ってきた

 

 最近、よくこっちに来るな

 

裕也「なんだ、こっちに来てたのか?」

風花「うん!蘭から招待された!」

裕也「あぁ、なるほど。」

 

 まぁ、2人は仲いいし

 

 招待されてても不思議じゃないな

 

風花「でも、蘭、なんか忙しいらしくて一緒にいられないんだよー。」

裕也「忙しい?」

風花「うん、なんかするらしいんだよね。」

裕也「そうなのか。」

 

 何かする?

 

 蘭はバンドしてるし、それか?

 

風花「だから、裕也が案内してよ!」

裕也「俺が?まぁ、いいぞ。」

風花「ありがとー!」

裕也「まぁ、行くか。」

 

 俺と風花は学校に向かった

__________________

 

 学校に着くと、俺は教室に鞄を置き

 

 出欠確認を済ませて

 

 風花のもとに向かった

 

 そして、文化祭周りを始めた

 

裕也「__どこ行きたい?」

風花「高級レストラン!」

裕也「文化祭って知ってる?」

風花「冗談だよ!」

 

 風花は笑いながらそう言った

 

 俺はため息をつきながら再度、質問を投げかけた

 

風花「まぁ、適当に歩こうよ!時間あるし!」

裕也「まぁ、そうだな。」

 

 そうして、俺と風花は適当に校内を歩くことにした

__________________

 

巴「__あれ?裕也先輩?」

裕也「あ、巴。」

 

 暫く歩くと

 

 2年生のフロアに来ていた

 

 そこで、巴たちに会った

 

ひまり「おはようございます!」

つぐみ「来てくれたんですね!」

裕也「まぁ、適当に歩いてただけなんだけどな。」

モカ「風ちゃんもこの間ぶりー。」

風花「うん!」

 

 そう言えば、5人は面識あったんだった

 

 夏休みの最終日だったっけ

 

裕也「って、あれ?蘭は?」

ひまり「蘭?そう言えば、朝から見てないような......」

つぐみ「どこ行ったんだろう?」

 

 蘭、いないのか

 

 何かするらしいし、それの準備か

 

モカ「裕君ってステージとか見に行くのー?」

裕也「ステージ?まぁ、風花が行くなら。」

風花「私は行きたいなー!」

裕也「じゃあ、行くか。」

モカ「モカちゃんのおすすめはこの後すぐにやる奴ー。30分後かなー?」

裕也「そうなのか?じゃあ、行ってみるよ。」

 

 モカのおすすめは外れないし

 

 何か買ってから行くか

 

裕也「モカ達のクラスって何してるんだ?」

ひまり「タ〇オカです!」

風花「え?ほんとに!?買いに行こー!裕也ー!」

裕也「まぁ、いいぞ。」

巴「まいどあり!」

モカ「モカちゃん達のは高いよ~。」

 

 それから、俺と風花はモカ達のクラスに行ってタ〇オカを買い

 

 ステージがある場所に向かった

__________________

 

 ステージのある場所に来ると

 

 異様に人が多くて、賑わっていた

 

裕也「__なんか、人が多いな。」

風花「そうかなー?」

裕也「いや、学校行事のステージだぞ?」

風花「うーん、注目度的には当たり前だよー。」

裕也「え?注目度?」

 

 風花の言い方が引っ掛かった

 

 なんで、注目度なんて知ってるんだ?

 

風花「そりゃ、この辺で人気あるボーカルちゃんだからねー。」

裕也「え?ボーカル?」

風花「裕也もよーく知ってる、かわいい子だよ。」

 

 風花がそう言ったと同時に

 

 ステージ上にある人物が出て来た

 

 俺はその姿を見て、目を見開いた

 

蘭『__おはよう、皆!』

観客「わぁぁぁぁあ!」

裕也「!」

 

 蘭だ、ステージ上に蘭がいる

 

 ギターを持って、堂々と立ってる

 

 でも、蘭一人?

 

蘭『今日はバンドから離れて、1人で歌います。』

 

 蘭はマイクに口を近づけ、そう言った

 

 観客はその様子を見て盛り上がりを見せた

 

蘭『今日はある人に向けて。』

裕也「!」

 

 蘭と目が合った

 

蘭『気持ちを込めて、歌います。』

 

 蘭はそう言って、ギターを弾き始めた

 

 アフターグロウの曲調とは違って

 

 かなり静かな立ち上がり

 

蘭(聞いててね、裕也。)

裕也「!」

 

 蘭の声で紡がれる歌詞は

 

 まるで、俺に語り掛けてくるようだった

 

 熱いようで、優しい歌声

 

裕也「蘭......」

風花「......」

 

 どんな過去があっても俺は俺

 

 後悔があっても、未来は繋がってる

 

 胸を張って、生きろ

 

 そう言われてるみたいだ

 

 これが、蘭の願いなんだろうか

 

風花(いい歌だね、蘭。)

蘭『__ありがとう、皆。』

 

 蘭の歌が終わった

 

 つい、目が潤んだ

 

 蘭は俺が思ってる以上に成長してた

 

 もう、俺は蘭の兄なんて名乗れないな

 

蘭『__裕也。』

裕也「蘭?」

 

 ステージの上にいる蘭は俺の名前を呼んだ

 

 俺は蘭の方を見た

 

蘭『今日の曲は裕也のために作ったんだよ。』

裕也「......」

蘭『お兄ちゃんって、呼べる関係は終わっちゃったけど。』

裕也「!」

蘭『あたしはまた、新しい関係を始めたい!』

裕也「新しい、関係?」

 

 蘭はマイクを握りしめ

 

 俺の方をまっすぐ見て

 

 口を開いた

 

蘭『あたしは裕也が好き!』

裕也「!」

蘭『今度は兄妹じゃなくて、恋人として、関係を築きたい!』

 

 蘭は力がこもった声でそう言った

 

 俺はその声を聞いて、その場に立ち尽くしていた

 

裕也(なんだ、これ......?)

 

 この気持ちは感じたことがある

 

 困惑して、どう答えるべきか分からない

 

 暦に告白されたときに、そっくりだ

 

裕也(体が、動かない......)

 

 足が震える

 

 蘭には深い情がある

 

 でも、それで付き合うのは......

 

裕也(俺にとって、蘭は......)

風花「また、後悔したい?」

裕也「っ!!」

 

 風花の言葉に

 

 俺は激しく肩を震わせた

 

 俺は風花の方を向いた

 

裕也「俺は......」

風花「裕也が他の子に告白されてて答えを待たせてるのは知ってるよ。」

裕也「!」

 

 ここで答えを出せ、そう言いたそうな目をしてる

 

 俺にとって、蘭は、皆は......

 

裕也(俺が、好きなのは......)

 

 蘭もモカもひまりも巴もつぐみもリサも

 

 皆、大切な気持ちで

 

 それの答えを今、出してもいいのか......?

 

裕也(俺は、俺は......)

モカ「__心のままに。」

裕也「っ!モカ......?」

モカ「裕君にとって誰が一番大事?」

 

 モカは優しい声でそう問いかけて来た

 

 誰が一番大事?

 

 そんなの......

 

裕也「......蘭。」

 

 俺は無意識にこう答えた

 

 すると、モカはこう言った

 

モカ「答えは、決まったね。」

風花「女の子が勇気出してるんだから......」

裕也「え?」

風花「男見せてよね、裕也!!」

裕也「っ!!」

 

 風花は俺の背中に蹴りを入れて来た

 

 俺は背中に痛みを感じながら

 

 ステージにいる蘭のもとに向かった

 

モカ「......ほんと、損だよね。」

風花「!(モカちゃん......)」

__________________

 

裕也「__蘭!」

 

 俺はステージの前に来た

 

 周りの視線が俺達に集まってる

 

蘭「来てくれたね、裕也。」

 

 蘭は優しい笑みを浮かべながらそう言った

 

 やばい、考えなしに来た

 

 なんて言えばいいんだ?

 

裕也「今日の歌、ありがとう。」

蘭「うん。」

裕也「それと、蘭に言いたいことがある。」

蘭「!」

 

 やばい、全身震えてる

 

 心臓動き過ぎて口から出そう

 

 ついでに全身から血かなんかが噴き出してきそう

 

 それでも俺は、言葉を絞り出した

 

裕也「俺も、蘭が好きだ。」

蘭「!///」

裕也「今までは妹としてだったけど、今は一人の女性として、蘭が好きだ。」

 

 なんとか、言いきれた

 

 蘭は、どんな顔してるんだ?

 

 そう思って俺は蘭の方をしっかり見た

 

裕也「!」

蘭「嬉しい、嬉しいよ、裕也......!」

 

 蘭は笑顔で泣いていた

 

 そして、ステージを飛び降りた

 

裕也「蘭!?」

蘭「......///」

 

 蘭は俺に抱き着いてきた

 

 少し戸惑ったが

 

 俺はすぐに蘭を抱きしめ返した

 

蘭「今日から、恋人なんだからね///」

裕也「......あぁ、分かったよ、蘭。」

 

 見てるか、暦

 

 俺、彼女が出来たよ

 

 その子は元々、俺の妹で

 

 髪を短くした暦にそっくりだよ

 

裕也(蘭は幸せにするから。絶対に後悔しないように。)

蘭「苦しいよ......?///」

裕也「ごめん、今はこのままで。」

 

 俺はそれからしばらく蘭を抱きしめた

 

 周りの目も気にしないで

 

 ただただ、蘭を見てた

 

風花「__いやー!お熱いねー!」

裕也、蘭「!?」

風花「皆さーん!新カップルの誕生ですよー!祝ってあげましょー!」

裕也「ちょ、風花!?」

風花「あはは!おめでとー!2人ともー!」

 

 風花何やってるんだ!?

 

 てか、ここがステージ前だって忘れてた

 

 俺はゆっくりと周りを見た

 

「いいぞー!」

「もっとやっちまえー!」

「素敵ー!」

風花「キスまでいけー!」

裕也「いや、何言ってんの!?」

蘭「そ、そんな、キスなんて......でも、裕也となら///」

裕也「ここではやめよ!?」

 

 こうして、俺と蘭は付き合う事になった

 

 文化祭のステージ前で散々いじられ

 

 中々に苦労したが

 

 年を取れば、いい思い出になってるんだろうな

 

 それで、その思い出を振り返るとき

 

 俺の隣にはきっと、蘭がいるんだろう

__________________

 

 

 

 

 

 

 ”一か月後”

 

 やっほー!風花だよー!

 

 裕也と蘭が付き合ってから一か月経ったよ

 

 その間にも色々あったりしたけど

 

 もう、何だかんだ、2人は定着したね

 

 それで、今日は皆で羽沢珈琲店に集まってるんだけど......

 

蘭「__はい、お兄ちゃん!あーん。」

裕也「お、ありがと。あーん。」

巴「いや、何で呼び方戻ってるんだよ!?」

 

 2人は絶賛、こんな感じで

 

 巴ちゃんがツッコミを入れた

 

 気持ちは痛いほど分かる

 

ひまり「しばらく、裕也って呼んでなかったっけ!?」

リサ「どうして戻ってんの!?」

裕也「いやー、色々あって。」

つぐみ「色々って!?」

蘭「なんか、落ち着かなかったと言うか、なんて言うか。」

モカ「まー、2人ならそうだよねー。」

 

 この2人には私含めて皆、苦笑い

 

 まぁ、そうなるだろうとは思ってたけどね

 

裕也「やっぱり、これがしっくりくるな。」

蘭「うん、しっくりくる。」

巴「全く......」

裕也「まぁ、許してくれよ。」

 

 裕也は笑いながらそう言った

 

 なんだかんだ、皆も納得してる辺り

 

 これも、いつも通りなのかなー

 

風花「そう言えば、2人って用事あるんじゃなかった?」

裕也「あぁ、そろそろ行こうかな。」

蘭「報告だよね?」

ひまり「報告ぅ!?」

つぐみ「もう、親御さん公認!?」

裕也「いや、親への報告はもう終ってるよ。」

蘭「うん。隠すものでもないし。」

 

 2人はサラッとそう言った

 

 まぁ、あの2人の両親なら泣いて喜んだだろうね

 

リサ「え?じゃあ、誰に報告行くの?」

裕也「暦のとこだよ。蘭の事もだけど、他にも色々あるからな。」

 

 裕也がそう言うと

 

 裕也と蘭は椅子から立ち上がった

 

 そして、つぐみちゃんに言って、会計を済ませた

 

裕也「じゃあ、行こうか、蘭。」

蘭「うん!お兄ちゃん!」

 

 2人はそう言って店から出て行った

 

 すると、モカちゃん以外皆、ため息をついた

 

巴「全く、あの2人は......」

ひまり「いつまでたっても、困っちゃうよ......」

リサ「ほんとに~。」

つぐみ「ま、まぁ、本人たちがいいなら、いいんじゃないかな?」

モカ「そうだよ~、いつも通りってやつ~?」

 

 私もそう思う

 

 本人たちがいいなら

 

 呼び方なんて何でもいいよね

 

 それが2人にとっていつも通りなんだし

 

 なんたって、あの2人は......

 

 蘭とお兄ちゃん、なんだからね!

 

 

 

 

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