蘭とお兄ちゃん   作:火の車

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番外編
一幕


 日中、地元の人たちで賑わう図書館

 

 そんな場所も夜には静かな空間になる

 

 そんな誰もいない図書館で俺は仕事中だ

 

裕也(そろそろ来るかな。)

蘭「__来たよ。」

 

 噂をすれば何とやら

 

 俺しかいなかった静かな空間に

 

 綺麗な着物に身を包んだ蘭が入ってきた

 

 俺は蘭の方に顔を向けた

 

裕也「いらっしゃい、蘭。」

蘭「うん。遅くなってごめんね。」

裕也「大丈夫、俺も仕事中だったから。」

 

 蘭は大学を卒業後に正式に家を継いだ

 

 今は華道の家元として様々な方面で活躍してる

 

 今日もどこかで仕事があったんだろう

 

裕也「じゃあ、俺も帰るかな。ちょっと待ってて。」

蘭「うん、分かった。」

 

 その後、俺は帰る用意を済ませ

 

 蘭と一緒に図書館を出た

__________________

 

 俺と蘭は家に帰るため

 

 夜の街を歩いてる

 

裕也「__今日の夕飯はどうしようか。」

蘭「うーん、和食とか?」

裕也「じゃあ、そうしよう。」

 

 結婚してしばらくたっても

 

 手を繋ぎながら家に帰って

 

 こんな話をしてる

 

 幸せだなぁ

 

蘭「ねぇ、腕組んでもいい?」

裕也「別にいいよ。」

蘭「ありがと。」

 

 蘭はそう言うと

 

 腕を組んできた

 

 これは、偶にある事で

 

 かなり疲れてる時にある

 

蘭「安心する。」

裕也「よかった。まぁ、早く帰ろうか。」

 

 俺と蘭は帰りの道を急いだ

 

__________________

 

 家に帰ってきた

 

 蘭は着替えに部屋に行って

 

 俺は風呂と夕飯の用意をしてる

 

 そしてしばらくして、蘭が降りて来た

 

蘭「__何か手伝うことある?」

裕也「皿出してくれるか?」

蘭「うん、分かった。」

 

 それから俺は夕飯の用意を急ピッチで進めた

 

 そして、少しすると夕飯が完成し

 

 皿に盛って、テーブルの上に並べた

 

蘭、裕也「いただきます。」

 

 俺達は夕食を始めた

 

 蘭は美味しそうにご飯を食べてる

 

 俺はその様子を見て食事を始めた

 

裕也「今日はどうした?何か、疲れてそうだけど。」

蘭「それがさ、今日、仕事で行ったとこでさ。」

裕也「うん。」

蘭「変なおっさん達がうるさくて......」

裕也「どんな風に?」

蘭「まぁ、後継ぎと結婚してくれが多いかな。」

裕也「!」

 

 蘭は心底めんどくさそうにそう言った

 

 まぁ、こんなに若い家元だし

 

 華道の家系からすれば優良だよな

 

蘭「ほんとさ、こっちは既婚者なのに。毎度毎度しつこい。」

裕也「まぁ、そういう事もあるよ。」

蘭「それで、その時なんて言われたと思う?子供もいないでしょとか言われたんだよ!?」

裕也「あー......」

 

 これに関してはぐぅの音もでない

 

 結婚して4年くらいたったけど

 

 特にそういう事を考えることもしてないし

 

裕也「まぁ、そう言う人もいるよ。」

 

 そうは言うものの

 

 俺は実害に遭ってない

 

 対して蘭は実害に遭ってるわけで

 

 言うだけならいくらでもいえるんだよな

 

蘭「これはもう、飲まないとやってられないよ。」

裕也「あはは、持って来るけど、ほどほどにな?」

 

 俺はそう言って席を立ち

 

 冷蔵庫からお酒を出した

 

 そして、それを蘭の前に置いた

 

蘭「ありがと。って、お兄ちゃんは?」

裕也「俺まで飲んだら誰が蘭の介抱するんだ?」

蘭「あ、そっか。じゃあ、いただきます。」

 

 そう言って蘭はお酒に口をつけた

 

 そして、見る見るうちにグラスの中身が減って行った

 

蘭「あー......美味しい。」

裕也「すごい飲みっぷり。」

蘭「ストレス溜まってるからだもんー......///」

裕也「はいはい、お疲れさま、蘭。」

 

 これは蘭が疲れてる時に決まってあることだ

 

 お酒も基本、こういう時にしか飲まない

 

 そして、酔った蘭は凄くかわいい

 

蘭「普通さ、既婚者に結婚迫る?」

裕也「まぁ、常識的に考えればないな。」

蘭「あたしもう26だよ?アラサーだよアラサー。」

裕也「まだまだ若いよ。」

蘭「お兄ちゃんはどうなのー?///」

裕也「ん?」

蘭「子どもとか、興味あるのー?///」

 

 蘭は突然、そんな事を言ってきた

 

 まぁ、あるかないか聞かれるとある

 

 でも、俺の意見はこうだ

 

裕也「別に焦る事でもないよ。」

蘭「でもー、そろそろほしいし......///」

裕也「ふーむ。」

 

 これは新パターンだ

 

 いつもはこう言えば

 

 じゃあ、いいかなって言うのに

 

 今日はやけに粘るな

 

蘭「つぐみ、子供出来たらしいよ。」

裕也「えぇ!?マジで!?」

蘭「一昨日分かったみたい。」

裕也「へー、そうかー。またお祝い持っていくか。」

蘭「そうじゃなくて!」

裕也「?」

 

 俺がそう言ってると

 

 蘭は机をバン!と叩き

 

 顔を近づけて来た

 

蘭「あたし達も、そろそろじゃない?///」

裕也「いや、でもな......」

 

 これに関してはどうなんだろう

 

 俺はそんなに焦ることないと思ってるけど

 

 でも、蘭が言ってるしな

 

裕也「ふーむ。」

 

 きっちり貯金はしてるし

 

 子育てをする費用は問題はない

 

 でも、俺も蘭も仕事を休むのは難しいし

 

 そこをどうするか

 

裕也(どうしたもんかな。)

蘭「むぅ......///」

裕也「蘭__ん!?」

蘭「んっ......///」

 

 俺が考え事をしてると

 

 蘭は急にキスをしてきた

 

 いや、違う、これ

 

裕也(酒、移してる!?)

 

 これは所謂、口移しか

 

 まさか、この齢にして経験することになるとは

 

蘭「お兄ちゃんは難しく考えすぎ///」

裕也「うーん、そうかな?」

蘭「そうだよ。あたし、子育てできるし。無駄使いしなかったら全然大丈夫だし。」

裕也「まぁ、言われてみれば。」

蘭「だから、いいよね?///」

 

 蘭は顔を赤らめて迫ってきてる

 

 非常にまずい

 

 俺、酒弱いから結構回ってるんだけど

 

裕也「......じゃあ、蘭の言う通りにしようか。」

蘭「!///」

裕也「まずは風呂な。」

 

 明日は俺も蘭も休みだし

 

 大丈夫だろう

 

 俺は椅子から立ち上がった

 

裕也「じゃあ、俺は洗い物してるから、蘭は先に入ってていいぞー。」

蘭「やだ///」

裕也「んー?」

蘭「一緒に入る......///」

裕也「!?」

蘭「いいでしょ?そっちの方が早いし......///」

裕也(き、今日の蘭はやけに積極的だな。)

 

 こんな事、初めてだ

 

 まぁ、そう言う日もあるんだろう

 

蘭「んふふ~///」

裕也「......(可愛い。)」

蘭「早く行こ、お兄ちゃん!///」

裕也「いや、あの洗い物......」

 

 蘭は俺の話を聞くことなく風呂場に引っ張って行った

 

 これは明日しないといけないな

 

裕也(まぁ、蘭が嬉しそうだし、いっか。)

蘭「~♪」

 

 これが、俺達夫婦の

 

 ちょっと普通じゃない一幕だ

 

 これからの事は、想像してくださいな


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