Monster FrontLine   作:ストレート

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Day1. 前線指揮官と後方指揮官

 姉妹たちは人間不信だった。

突如、生まれ育った境遇が奪われ、周りの人間全員の悪意に襲われ続けるという非日常へと変貌した世界で人間という存在が汚らしいモノという認識へと変わってしまったのも必然とも言えた。

故に、襲い来る悪意に対抗するために持ったこともない銃を握りしめて殺しに手を染めるのも当然のことだった。

 

最初は罪悪感があったが。相手が悪意に塗れた連中しかいなかった事もあって短期間で罪悪感は薄れていった。

姉妹はゴミ漁りや強盗のようなことをしてでも日々の飢えを凌ぎ、殺した相手から奪った銃やナイフで傭兵仕事をこなしてって戦闘技術もそこらの民兵よりは満足に戦えるようにまで成長した。

姉妹をここまで成長させたのは核戦争による環境破壊やの崩壊液(コーラップス)によるパンデミックなどによって人類圏が縮小されて荒廃しきった世界の残酷さに抗うという気持ちが彼女たちを強くした。

 

姉妹たち。

姉の『ハヅキ』と妹の『ナオキ』は互いだけが唯一無二に信頼し合える存在であり、血のつながった最後の家族だった。

どんな時も二人の知恵と行動力を合わせて困難に立ち向かってきた。

 

故に、唯一の家族であり妹のナオキの左腕が事故で大怪我をした際に触れた崩壊液の影響で『変異して』周りの人間たちから『バケモノ』と忌み嫌われても変わることなく愛し続けた。

 

人間たちが愚かな行為を繰り返してきた結果がこのような世界にしたのだと分かり切っていた姉妹は他者の助けなど最初から期待などしていなかった。

世界が崩壊液の影響によって人間が死に損ない(E.R.I.D)に変貌し、その対応に追われ続ける政府は主要都市以外の地域の管理をPMCに委託するという形で世界秩序が保たれてる世界で、人の親切など期待した所で無駄なだけだと割りきっていた。

 

だが、そんな人間不信だった姉妹にも信頼できる者たちが出来た。

傭兵仕事で大きな成果を上げた姉妹たちに、G&K(グリフィン&クルーガー)という民間軍事会社の社長。

『ベレゾヴィッチ・クルーガー』から戦術人形の指揮官としてスカウトを受けたのが始まりだった。

 

勧誘された当初はナオキの事もあってか、人の下に就くのは真っ平御免だと言い放って話を蹴ったハヅキだったが、クルーガーの熱心な勧誘と彼からの幾つかの妥協案に折れた形で戦術人形指揮官としてG&Kに所属することになった。

クルーガーから提案された妥協案として、姉妹たちは同じ基地で指揮官として勤務すること、自分と妹の二人に指揮官権限を与えることだった。

 

姉のハヅキが基地で配下の戦術人形の部隊をまとめて指揮をする後方指揮官して、妹のナオキが前線でハヅキの目という役割として部隊と共に戦場に立ちながら、配下の人形たちがきっちり仕事をしているかを監視する前線指揮官というスタンスでS09地区の基地指揮官として仕事を始めた。

 

最初の頃は人間不信だった姉妹が人間に近いメンタルモデルを有する人形たちにも心を開くことはなかった。

所詮、戦術人形はただの兵器であり物という認識で接していたし、対する人形たちも自身たちは人間の命令通りに動く兵器であると分かりきった部分もあって、まともな運用をするのであれば特に不満を出すことなく従った。

 

無論、ナオキの異常性についても人形たちの間には隠すことなく知れ渡り、その異常性ゆえの戦闘能力の高さに驚き。

その異常性の所為で人と関わらずに言葉もあまり発しない姿を見て、今までどのような不遇な境遇で過ごしてきたのだろうと関心を抱き、その境遇に心を痛める者もいた。

 

だが、ナオキの持つ異常性を自身の強大な武器として鉄血を相手に果敢に戦う姿を見た人形たちは下手に詮索するようなことは不毛だと理解し、彼女の異常性を含めて尊敬と敬愛の念を抱いた。

そして時が流れていく内に次第にただ命令する側とされる側だけという関係性は変化していった。

 

人形たちと共に前線に立つナオキは彼女らと鉄血を相手に多くの死線を乗り越えていく内に自然と信頼関係が築かれていき、異常性の所為であまり喋らなかった彼女が僅かにだが笑みを浮かべて人形たちと話せるようになってきた。

 

そんなナオキに対してハヅキは特に咎めるようなことはせず、ただ業務に支障が出るまで深入りしないようにと釘を刺したが、自身も副官として勤務する人形とのやり取りで同じように少しずつ関係が深まっていたので、人形たちとの信頼関係の構築にはナオキにとって良い影響だと考えてある程度は容認するようになった。

 

人形と人間という枠組みを超えた絆はナオキの心にも安らぎを与え、人形たちも彼女と共に過ごす日々が命令されるだけの人形とはかけ離れた新鮮な感じがしてとても心地よく感じ始めていた。

 

生まれてから不遇な日々を送って来た姉妹だったが、ここに来てようやく安息とまではいかないが信頼できる者との間に出来た絆を得たことによって生きる意味を見つけられたのだった。

 

愛する妹が崩壊液の影響で左腕が『バケモノ』になってしまって、何もかも全て破滅させる馬鹿げた算段を考えるほどに世界を憎んだが、人形たちと共に過ごす僅かな笑みを浮かべるナオキを見て、そんな馬鹿げた考えはいつの間にか捨て去っていた。

 

そして、今日もまた『いつも通りの』日常が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 廃れた街路樹、いつ崩れるかわからない廃墟が建て並ぶ街だった場所。

ここは崩壊する前の世界の頃のここは人々の波が途絶えることのなかった観光地として有名スポットの一つだった。

世界大戦による核攻撃と崩壊液の影響で生物すら生きることが厳しくなった世界で人の住める場所は限られていた。

 

本来であれば崩壊液の影響が少なかった、ここにも僅かながら人が住む場所が残っていたはずだったが、今では鉄血人形(人間狩り)死にぞこない(E.R.I.D)が闊歩しているおかげでゴーストタウン化していた。

 

今なおも鉄血によって制圧されている地域にフード付きのコートを纏った少女が比較的安定している建造物の上に辺りを見渡すかのように『そこ』に立っていた。

いかにも「私はここにいます。狙い撃てるならどうぞ」と言わんばかりの無防備さを晒していた。

 

そんな無防備な姿を晒す少女を偶然スコープに捕らえた鉄血のスナイパー(イェーガー)は息を殺しながらベストなタイミングを狙って狙撃の機会を待っていた。

フードで隠れて表所が読めないのが気味が悪いが、それでもトリガーに掛けた指を離さず機会を待つ。

 

そして、一瞬の瞬きの間に少女はスコープから消えた(・ ・ ・)

一瞬の出来事に思わずスコープから目を離して少女の居た建物を見た、

 

「がっ……!!」

 

少女を狙っていたイェーガーは目の前にいた、スコープ越しに見えたフード付きのローブを脱いだ、緑がかった黒髪ロングの髪を揺らしている少女の『左腕』が鋭利な刃に変異した左腕で上半身を刺し貫かれていた。

 

一瞬の出来事で何が起こったのか理解できなかったイェーガーは、霞む視線で自身を貫いた少女の無機質な瞳を見ながら機能を停止した。

機能停止を確認した少女は刃に変異した左腕に突き刺さっているイェーガーを振り捨て、背中に背負ったレミントンM40を背負い直しながらインカム越しに、

 

「全スナイパー、排除完了」

 

『お見事だ、お嬢。所定位置まで第一部隊と第二部隊は前進する』

 

「周囲警戒を怠らないように」

 

『あいよ。お嬢も私たちがそっちに行くまで無茶するなよ』

 

「余計なお世話よ」

 

『なら、大人しく待っててくれ。愛しいお嬢さま』

 

インカム越しに軽口を叩く第一部隊リーダーのトンプソンに小さい声音で指示を飛ばしつつ、周囲の状況を目で把握する。

廃墟に潜伏するイェーガーを排除した今、ここの地域を占領している鉄血勢力を殲滅する準備はある程度は整った。

 

いまここに向かっている第一部隊を合流しつつ、第二部隊と挟撃する形で街を占拠している鉄血を殲滅する。

その過程で僅かな違和感も見逃さず、些細なことでもインカムを通して報告を怠らなかった。

 

「ハヅキ。前面に出ていた鉄血が退く素振りを見せてる」

 

潜伏する建物から裸眼で遠くを見渡すと、前面に出てこちらと対抗する構えを見せていた鉄血がスナイパーの鉄血人形をほぼ全部排除した段階で下がる素振りを見たナオキは無線で基地で指揮をする後方指揮官であり姉のハヅキに報告する。

 

『んー? ここに来てアイツらが退くのはおかしいわね』

 

ナオキの報告にハヅキは頭を捻り、潜伏していた鉄血のスナイパーをほぼ全て排除し終えたタイミングでの前線の引き下げに疑問を抱く。

周辺の監視の目を兼ねていたイェーガーが沈黙したことは向こう側も掴んでいるはずだと考え、ハヅキの中では鉄血の考えている魂胆は二つ浮かび上がる。

 

一つは純粋に前線に潜伏させていた前線の目(イェーガー)が全て排除されたことで体制を立て直すための一時的な撤退。

もう一つは、

 

『うーん。誘ってるのかしらねぇ……』

 

こちらの動きを把握したうえでの撤退に見せかけた誘いによる待ち伏せ攻撃。

ハヅキの頭の中では待ち伏せの可能性が高く、ここで撤退しても得られるものはない。

ならば、こちらの動きを予測した誘いで包囲殲滅。それが鉄血の狙いか? と結論付ける。

 

『トンプソン。第二部隊とはもう合流している?』

 

『ああ、既に周囲の敵を殲滅しながらWA2000の第二部隊と合流した。

いまはお嬢とのランデブーポイントに向かってるところだぜ、ボス』

 

『OK。なら、あんた達はそのまま撤退してる鉄血を追撃して』

 

『ん? お嬢と合流しなくていいのか?』

 

ハヅキの下した命令にトンプソンは少し眉を潜めて再確認する。

 

『ええ、ナオキにはそのまま相手の動きを逐一報告。

あちらさんの思惑通りになったら、そのまま遊撃として援護に回すわ』

 

『ちょっと、まだナオキ一人だけを遊撃に回す気?』

 

会話に割って入る形で第二部隊リーダーのWA2000が遊撃をナオキ一人に任せて合流せずに、そのまま追撃にあたっていいのかと疑問の声が上がるが、

 

『いいえ、待機しているナガンの第三部隊を送って一緒に遊撃に回らせる。他に問題は?』

 

『了解だ、ボス。お嬢、背中は任せたぜ?』

 

『はいはい、わかったわよ。ナオキ、任せたわよ』

 

「了解」

 

ナオキとの合流を目指していた第一部隊と第二部隊は撤退する鉄血部隊を追撃する形で前線を押し広げていく。

高所から前線を見渡すナオキは些細な動きを見逃さず。第一部隊、第二部隊が徐々に鉄血を追い詰めていく様を見ながら、ハヅキの思惑通りならある程度進んだ先で待ち伏せが姿を現すはずだ。

 

『急かさずに、けど大胆にね』

 

『ハッ! 攻めるのは得意中の得意だぜ!!』

 

『ちょっとトンプソン! 部隊リーダーのあんたが前に出すぎないでよ!!』

 

『生憎と後方でチマチマと狙うなんざ性に合わないもんでね!』

 

『~~~~!! あんたねぇ!!』

 

部隊リーダーでありながら前線を駆けるトンプソンを咎めるWA2000だが、当の本人は後方で狙い撃ちするスナイパーみたいな真似はできないと笑いながら言い。

貶された気分になったWA2000は顔を真っ赤にして怒りつつも、撤退する鉄血人形に狙いを定めて撃ちまくる。

 

「それは私への当てつけ? トンプソン」

 

無論、トンプソンの言葉は後方で前線の監視を兼ねて、第三部隊の到着を待ちながらM40で遠距離狙撃しているナオキに対しても刺さる言葉だった。

 

『はっはっは。か弱いお嬢は安全地帯で私たちの帰りを待ってくれればいいのさ』

 

「後でぶん殴る」

 

『おっと、お嬢を怒らせちまったな、WA2000。覚悟を決めとけよ?』

 

『はぁ!? 私を巻き込むんじゃないわよ!!』

 

緊張感のない不毛な喧嘩をする三人を無線を聞いているハヅキは呆れたように頬を掻きながら嘆息し、

 

『ちょっと、気ぃ抜いてんじゃないわよ。

予想が確かなら、そろそろあちらさんの待ち伏せポイントに着くわ』

 

ハヅキの指摘通り追撃を始めてからはや数十分。

鉄血の懐近くまで食い込んだ所まで追撃の手が届いた段階でようやく状況は動き始めた。

遠距離狙撃をしている直樹の視線に第一部隊、第二部隊を後方を突く形で建物の中から現れたSMG、アサルトライフルを装備した鉄血人形を皮切りに、退く姿勢を見せていた部隊が反転し攻勢に転じた。

 

『おっと、ボス。あんたの予想通り奴さんたちの待ち伏せで包囲されたぜ』

 

『囲まれたわ。どうすればいいの?』

 

『そのまま敵を引きつけて、遊撃部隊でそっちの後方の敵を殲滅する』

 

ハヅキの予想通り追撃してきた第一部隊と第二部隊を包囲する形で展開してきた鉄血にそのまま敵を引き付けろを指示を飛ばし、

 

『ナオキ、第三部隊がそっちにたどり着いてるはずだから合流して……、』

 

「いや、私が出る」

 

『はっ? いや、ちょっと待ちなさい!

ナガン! ナオキが独断先行したわ、追いかけて!』

 

『なに!? あやつめ……!

わかった、第三部隊! 先走ったナオキを追いかけるのじゃ!』

 

ハヅキの指示を無視してその場から膝を曲げて勢いよく高く飛翔し、両手を広げて滑空で包囲されている第一、第二部隊の掩護へ急行する。

まさかの独断専行にハヅキは何を考えているのかと妹の奇行に頭を抱えつつ、合流する予定だった第三部隊リーダーのナガンM1895にナオキを追いかけるように指示を飛ばす。

 

『何を考えてるのか知らないけど、どうするつもり?』

 

「ハイエンドタイプが居た」

 

ナオキの報告に独断専行を行った理由を察したハヅキは嘆息しつつ、

 

『……はぁ、そういうことね。

でも、援護もなしにハイエンドに一人で挑むのは無謀よ?』

 

「問題ない」

 

『馬鹿、あんたは人間なのよ? 

高性能の鉄血人形を相手にできる人間なんて……、』

 

鉄血工造で製造された中でも高性能の人形のハイエンドタイプを相手しようとする人間は皆無だ。

ましてや一人で挑むなど無謀の他ならない。だが、

 

「私は、違うから」

 

彼女、ナオキは普通の人間とは違った。

 

『……馬鹿。あんたは人間。人間なのよ』

 

他の人間とは違う。それでもハヅキにとってナオキは人間に他ならない。

他の誰が人間じゃないと言おうとも、彼女だけはナオキが人間であると肯定する。

たとえ、ハイエンドタイプを相手に戦えたとしても。

 

「ん……」

 

ハヅキの人間であるという肯定に僅かに頬を綻ばせ、目的のハイエンドタイプが潜伏している場所へと駆ける。

 

「なっ!? お嬢!!」

 

「ちょっ!! ナオキ!?」

 

 

意図的に包囲されていた第一、第二部隊の後方から銃撃している鉄血人形たちを変異させた刃で切り裂きつつ、トンプソンやWA2000が驚きで目を丸くしている横を駆け抜ける。

前方に展開している攻勢に転じた鉄血部隊をも吹き飛ばす勢いでハイエンド目掛けて走り抜ける。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」

 

目的のハイエンドを視線に捉えたナオキは勢いよく足をバネのようにして飛び上がり、変異した刃の切っ先をハイエンドに向けて突き刺さんと突貫していく。

周りの護衛が迎撃せんと弾幕を張られる中をすり抜けていき、ナオキはただ勝つために最善の手段として指揮系統の要であるハイエンドを単騎で討ち取りに行く。

すべては勝つため、被害を最小限に抑えるため、自分自身で決着を付けるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この馬鹿もの!!」

 

 ゴチンッ! と倉庫内にゲンコツを下す音が鳴り響く。

音が鳴り響いた方向に目を向けるとS09基地所属第三部隊リーダーのM1895ことナガンが先の作戦から帰還早々に独断専行を働いたナオキに正座させて説教を説いている最中だった。

 

「ちゃんと反省しろよ、お嬢?」

 

「まったく、無茶しすぎなのよ。あんたは」

 

説教されているナオキの横を通り過ぎながら反省しろと言うトンプソンとWA2000を恨めしそうな目で見るが、自業自得だと肩を竦められて行ってしまう。

 

「こら! 聞いておるのか!」

 

「……、」

 

「お主は無茶をしすぎなのじゃ! 

いくら普通の人間とは違うとはいえ、敵陣の真っただ中を突っ切るなど正気の沙汰ではないぞ!」

 

「……でも」

 

「でも、ではないわ! 大体、お主は――――」

 

「まぁ、独断専行はいけないわよね~」

 

年長者の貴重な説教を受けているナオキを遠回しに見ている基地指揮官のハヅキはコーヒーカップを片手にざまあ見ろと笑みを浮かべていた。

 

「そろそろ許してあげてはいかがですか、指揮官?」

 

遠目で笑うハヅキに副官として帯同しているスプリングフィールドがそろそろ良いのでは? とナオキに助け船を出すが、

 

「いや、ナガンの気が済むまでやらせるわ」

 

「ですが、彼女のおかげで部隊の損害は軽微で済みました」

 

「それでも命令は第三部隊と一緒に第一、第二部隊の援護をしつつ殲滅っていう手筈だった。

それをハイエンドタイプを見つけたから一人で倒しに行く、って言って命令を無視して独断専行するのはまずいでしょう」

 

「まぁ、そうですけど」

 

「だから、いいのよ。

ナガンの気が済むまで説教させておくのが、ナオキへの処罰」

 

ハヅキの取り付く島もない態度に困ったように笑うスプリングフィールド。

確かに独断専行を働いたナオキは悪い、それは確かだ。

しかし、彼女の献身的な働きで指揮系統を担うハイエンドタイプを倒した功績は大きい。

ゆえに、彼女への罰はナガンの終わりの見えない長い説教で許した。

 

「さぁてと、溜まった仕事の続きをしにいくわよ。

いつまでもここで道草食ってる場合じゃないしね」

 

「そう、ですね。……頑張ってください、ナオキさん」

 

説教を受けているナオキに対し申し訳ない視線を向けつつ、仕事に戻るハヅキの後を付いていく。

いまだ話の終わりが見えない説教を垂れるナガンとうんざりとした表情で項垂れるナオキ。

この後、彼女が説教から解放されたのは二時間後だった。

 

 

 


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