「あれ?ユッキー?」
「ん?どうして樹まで!?」
俺らは今、学園長室の前に来ていた。何でも特別な話があるとかなんとか。
まぁ、俺に関していえば呼ばれる理由なんてある程度分かるんだが…主に生活態度の方で…
だけど
「2人同時に呼ばれるなんて、何かの間違いか?」
とユッキー。
確かに違和感を覚えるのも無理ないだろう。生徒指導室とかなら複数人呼ばれる事にさほど違和感はないと思うけど、ここ学園長室だし…
だけど、2人同時に呼ばれることに対して俺自身さほど違和感はない。ただ
勉学も、それこそ生活態度も
ユッキーだけならVIP推薦のことだと思うんだけど、これは明らかに怪しい…
もしかしてユッキー何かを悪いことでもしたのか?
とりあえず人を疑う前にココ最近の自分の行いを思い返してみよう
うーんと…
「バイト帰りの夜中に警察から補導受けないようにチャリで全力で逃げたことか…いやアレは確実に巻けたし」
いやぁパトカー早かったなぁ
お陰で次の日全身筋肉痛で大変だった…
「近所の子供とサッカーして大人気なく勝ち越して泣かしちゃったこと?…いや、その後お菓子買って機嫌直したし…」
この後親御さんまで出てきた時は焦ったけど、これであの子達には勝負は本気でやることの大切さを分かって貰えただろう
手を抜くなんて相手に失礼だし、本気でやるのが礼儀だからな!
んー、ここまでは大したこともないな…何かもっとあった気が…
「あ!女子更衣室に間違えて入っちゃったことか!」
そうだこれしかない!
でもコレはちゃんと(?)生徒指導室でまた反省文書いたしノーカン(?)のハズ…
ちっ!こんな事ならちゃんと目に
「樹は悪い事しか思い当たる節ないの!?全部呼ばれるのに相応しいラインナップだよ!それはそれでどうなの!?女子更衣室ってもはや犯罪だよ!ここ来る前に警察行きなよ!」
「何で補導から逃げたのに自ら出頭するんだよ!頭沸いてんの!?それにあの時はトイレが漏れそうでちゃんと見れなかったし!トイレとの距離近すぎるんだよ!それにどうって言われても、残念ながら良い事をしているって思える程俺もお気楽では無いぞ!」
「その自信逆に見習いたいよ!逆に!」
「…ったく、逆にユッキーはどうなのさ!俺はこのとおり褒められるようなことしてないんだし、少しくらい心当たりない訳?!」
あたかも自分は善良ですみたいな顔してスカしやがって!絶対ユッキーの方に原因があるハズ…いやむしろあれ!
そう俺が言うとユッキーは少し考え込み
ハッ、と何かを思い出したようで
「…じ、実はこの前、妹達が見たことも無い様な美味しいキノコを採って来てくれたんだよ。焼いても炊き込みご飯にしても美味しいのなんの!それに家族の為に採って来てくれたアイツらの心意気にも感動してしまってな…。調べて見たけどあのキノコ松茸って言うんだな!また食べてみたいなぁ~」
……えっと
うん、
「いや絶対それだろ!不法侵入とか窃盗とか諸々アウトだろ!お前が出頭しろよバカ成幸!」
「お、俺の妹達がそ、そんなことするわけないだろ!おま、えっとその…ばか!」
「急に勢い無くなってんじゃねぇか!それに松茸って言ったら高級食材で1本およそ1万円近くするんだぞ!?自分達の分買う前に弁償しろよ!」
「い、1本1万…!」(ガーン)
「家族で5本食べたんだけど…分割で弁償できるものなのかな…う、うぅ兄ちゃんのせいで家族の食卓から味噌汁が無くなるなんて…」
え、えぇ~…
予想の遥か上を行く反応でビックリするんだけど…
「ご、ゴメンなユッキー…。きっと妹ちゃん達に悪意がなかったって分かれば許してもらえるさ…何なら俺も一緒に謝りに行くからさ…」
「い、樹~!」(ダキッ)
な、なんて惨めな奴なんだ…家が裕福ではないのは知ってたけどここまでとは…今度飯でも奢ってやろう…
俺ら何をしにココに来たんだっけ??
~学園長室~
青い空が少しずつ赤みを帯びて綺麗な夕日に変わる空を背に、大きなデスクチェアに腰かける1人の男性がいた。
年齢は50半ば位だろうか。スーツをきっちりと着こなし、貫禄、またこの学校の長としての威厳や風格がこの広すぎる部屋には充分に漂っていた。
彼の目の前には2つの席。彼は、これこらこの席に着く2人の生徒に学校側の重要事項を…ある任務を命じなければいけないのだ。
そんな今にも息が詰まりそうな重たい雰囲気の中…彼は口を開いた
「私は彼らを呼び出してから1時間は待ってるんだが…。え?もしかして嫌われてる?扉の向こうで話し声聞こえているんだけど?呼び出したの私なのに?無視?一番偉いのに?え?泣いていい?」
彼はジャケットの内ポケットから妻に貰った青いハンカチを涙で濡らすのであった。
樹と成幸の会話の違いが出せない…
文才が欲しい…