春、それは別れと出会いのきせt…え、詩的な表現とか合わない事するんじゃねぇって?悪かったな!
と、ともかく、今から始まるんだ…俺の、俺達の『或る決意』を持って臨む、これからの高校生活が。
俺の名は
「お、鉄人が待っているな。早いとこ結果を確認しようぜ、翔子」
「…佑助、鉄人じゃなくて西村先生…」
「良いじゃねぇか、あの人に鉄人って渾名付いているのは公然とした事だしな」
俺の言葉に突っ込みを入れている、隣の少女の名は
俺(身長180cm後半)より頭一つ分近く下ながらも女子としては大柄でモデル体型、ライトブラウンの長髪でありながらも、クールで知的、大和撫子という表現がピッタリな彼女は、実を言うと俺の幼馴染にして恋人だ。
喋り方もさっきの通り口数が少ないのでクールという印象に拍車を掛けているが、一方で俺へ向ける想いは一途を通り越して…おっといけねぇ、惚気は後にしねぇとな。
「お早う、坂本に霧島」
「うっす、鉄人」
「…お早うございます、西村先生」
「坂本、色々突っ込みたい所はあるが、まず鉄人と呼ぶな」
「まあ良いじゃん、鉄人と俺の仲って事で」
「一体どういう仲だ…まあ良い、試験結果だ」
「あざっす」
「…有難うございます」
校門で控えていた鉄人から試験結果を受け取る…それにしても他校とは大きく違うシステムが色々とあるこの文月学園、この結果報告もそれに関わる物だとはいえ、これじゃ鉄人が大変じゃあないか?
何しろ300人もの生徒の試験結果を一元的に管理するというのだ、大変ってレベルじゃねぇぞ。
「それにしてもお前達、今回はどうしたんだ?考えられない程に悪かったじゃあないか?」
試験結果を記載した紙が封入されている封筒を開ける最中、なにやら訝しんだ様に鉄人が声を掛ける…え、こりゃあまさか…
坂本佑助 貴殿をFクラス代表に任ずる
霧島翔子 Fクラス
…よし、狙い通りだ。
「ああ、Fクラスになった事?まああそこには多分スイッチもシュウもいるしな。それに…ちょっと訳ありでな」
「…佑助が行くと言うなら、妻の私が行かない理由はありません」
「ちょ、まだ結婚していないし出来ないだろ!」
「相変わらず息の合った夫婦漫才だな。まあ、そういう事なら心配する必要は無いか。2学年でも期待しているぞ、『スケット団』」
「おう!」
「…はい!」
鉄人からの激励の言葉を背に、俺達はFクラスのある旧校舎へと向かう。
さて…始めるか、俺達『スケット団』の、新たなる『依頼』をな!
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と、数分前に乗り込んだ時の意気込みは、
「…翔子、俺達は何時の間に山奥に来ちまったんだ?」
「…佑助、現実逃避は良くない」
「…あれ、山奥じゃあないとすっと学校間違えたか?此処椚が丘のEクラスか?」
「…佑助、漫画ネタは本格的に危ない」
萎えた…いや、だってさ翔子、
何だ此処はァァァァァァ!?
木造で出来た旧校舎で、謎の努力と言って良い位に『此処だけ』粗悪な為に隙間風が吹き荒ぶ建付け。
その割を食ったかの様にひび割れた窓のガラス。
罅割れやら穴凹やらで無残な状態の黒板。
角に蜘蛛の巣が張った室内。
オンボロとしか言い様の無い教卓。
個人用の机として置かれているちゃぶ台もまた同じ惨状。
恐らく椅子代わりであろう、煎餅どころか綿が殆ど入っていない座布団。
そして決め手は腐って変色はおろかキノコまで生えた畳。
…ぶっちゃけて言おう、現実逃避は起こるべくして起こるのだと。
これは設備の差というレベルの話じゃあない、もっと根本的な問題であるのは確かだ。
「…まあ立っていても仕方ない、入るか」
「…うん」
何時までも踏みとどまっていては始まらない、そう決意し、俺達はFクラスのドアを、
ガッガタガタ
…さっさと開けやゴルァ!
ドゴシャァ!
「ういーっす!」
「…お早う」
『え、ちょ、何ドゴシャァって!?一体何の効果音だ!?』
『い、今ドアが粉砕した様な音がしたんだが!?』
[お早う、ボッスンにキリエ。相変わらず派手な登場の仕方だな]
「お、ボッスンに姉さんじゃないか!お早う!」
「お早う!スイッチにシュウ」
「…お早う」
余りにも開きにくいドアにキレて粉砕すると言わんばかりに無理矢理こじ開けつつ、それで騒ぐクラスメートを尻目に見知った2人と挨拶を交わす。
その1人である小柄で童顔の、ノートパソコンを持った男子の名は
俺達の親友でプログラミングの達人、その腕前を以て開発した音声合成アプリ(何故か地声と全く合っていない)によって普段の会話を済ませる奴で、其処から『スイッチ』という渾名がついた。
まあ他にも知られざる(と本人は思っている)異名はあるが…それは後でな。
そしてもう1人、茶髪のパーマみたいな髪型で、一見すると不良っぽい美女が男装した様な姿の『男子』の名は
『シュウ』という渾名で呼んだコイツもまた俺達の親友で、こんな外見と荒っぽい口調とは裏腹に、所属している演劇部ではかなりの腕前で知られており、常に主役及びメインキャラの座を射止めている。
ただこんな格好と口調には、深い訳があるのだが…これも後でな。
しかし…まあ予想通りの面子が揃ったな。
これなら早速始められそうだな…『試召戦争』が…