無詠唱が基本の現代であえて長ったらしい呪文を唱えてみる   作:アサヒbb8

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こんばんは。
本日もよろしくお願いします!




「あなた......一芸しか持ってないんじゃない?」

 

「ははははは、いやぁやるじゃないか。いいだろう」

 

 男は楽しげに言うと、ひらりと手を振る。すると、榊らを襲っていた2体の召喚獣が動きを止めた。

 

「気に入った。少し話をしようじゃないか」

 

「それはどうも...」

 

 意外な申し出だったが、柚子葉にとってはありがたい。相手の手の内がある程度分かったとて、打開策が見つかった訳ではない。

 

 考える時間を稼ぎ、なおかつ少しでも多く情報を引き出さねば。

 

「いいんだぞ、答えてやるから聞いてみろ」

 

 柚子葉の心を読んだかのように、男は促す。

 

 なら...

 

「あなたの目的はなに? なぜ私たちを拉致しようとするの?」

 

 まずは、これを聞いておかなければならない。彼女はそう直感した。

 

「目的...か、そうだな。お前達には、日本政府への交渉のための、人質になってもらう」

 

「交渉?」

 

 そうだ...っと男は続ける。

 

「交渉の内容は、政府が全体管理している不死結界。その魔法陣の構造を教えることと、使い手の術師2名以上をこちらに送ることだ」

 

「不死結果が、あなたの目的......ん?」

 

 ここで、柚子葉には引っかかるものがあった。

 

「こちら?......複数犯なの?」

 

 それを聞いて、クツクツと笑う男。

 

「そうだ。不死結界を求めているのは、我々組織だ。組織の名は......」

 

 ここまで聞いた時、柚子葉の背中に悪寒が走った。言いようのない、嫌な予感がする。

 

 男は、一度閉じた口を再度開いて、その名を口にした。

 

「組織の名は......アスラ」

 

「おまえらがああああぁ!!!」

 

 それを聞いた柚子葉は、時間を稼ぐ目的も忘れ、半狂乱になって突っ込んで行った。

 

 アスラ。3年前、草刈島でテロを起こした組織。矢月や柚子葉の両親を殺した組織。

 

 ずっと、その残党を探していた。そのために、苦労して国営機関のサポーターにもなった。

 

 1万人もの死者を産んだ犯人が今、目の前にいる。

 

 そう思うと、流石の柚子葉も冷静ではいられなかった。

 

 爪と刀で、男を守る結界を滅多斬りにする。

 

「おまえらのせいで、パパとママが死んだぁ!! おまえらのせいで、やづが傷ついたあぁ!!」

 

「なんだお前、被害者遺族か何かか?」

 

 柚子葉は嵐のように連撃を叩き込んでいるが、結界は破れない。尋常では防御力だ。

 

「あああああぁ!!」

 

 それでも構わず切りまくる。

 

 バリンッ!!

 

 そして、ついに砕けた。

 

 柚子葉の大太刀が。

 

「なっ!!」

 

 獲物が急に軽くなり、たじろぐ柚子葉。

 

 その隙を男は見逃さなかった。

 

「う...あああぁ!」

 

 柚子葉の体を、いくつもの半透明の球が打ち据える。

 

 吹き飛ばされる瞬間、柚子葉は蛇の尾をうまく使って、折れた太刀を投げつけた。

 

 冷静さを欠いていても、戦い方は体に染み付いている。

 

 だがそれも、ガンッという鈍い音を出して、結界に阻まれる。

 

 流石に3度目、柚子葉は華麗に受け身をとってすぐに起き上がり、間髪入れずに男に攻撃する。

 

 召喚獣たちも攻撃を再開したのか、榊と山城の叫び声がした。しかしその声は、柚子葉の耳には届かない。

 

 蛇を打ち据え、拳で殴り、爪で切る。

 

 しかしその全てを、半透明の結界は防ぎ切る。

 

「無駄だ。お前じゃこの殻は破れない」

 

「うるさい!!」

 

 そう言って、尚も攻撃を続ける。

 

 その姿は、まるで修羅。普段のおだやかな柚子葉からは想像もつかない。

 

 ドド!!

 

 また複数の球が、彼女を地に倒した。今度はすぐには起き上がれない。

 

 かはっ、と柚子葉は軽く吐血し、手をついて体を持ち上げようとする。

 

 だが......

 

「そろそろ、しまいにしよう」

 

 そう言った男の前に、多数の球が浮いている。半透明のその球は、一つ一つの大きさはドッジボールほど。その全てが、柚子葉に向かって、放たれた。

 

 防げない。

 

 だが、さっきの攻撃を喰らって、少し冷静になった。

 

 柚子葉は蛇尾を地面に全力で打ち付け、反動で大きく跳ぶ。一瞬の後、結界の球が地面を穿った。防げないなら(かわ)すしかない。

 

 全力の回避、さらにそれを利用して立ち上がり、体制を整える。

 

「今のを避けるか。だがどうする? この殻を破れないなら、お前に勝ち目は無いぞ」

 

 男は結界を指で指して言う。だがそれに、柚子葉は再び笑みを浮かべる。しかし今度は、いたずらをする子供のような笑みだった。

 

「私で駄目なら、もっと強い人に任せればいい」

 

「なにを...ぐっ」

 

 男は会話の途中で、急に唸った。見ると、男の腹を黒い霧の帯のような物が貫いていた。

 

 

 

 

 

「まったく、絶対もっと早く来れたでしょ。()()

 

「あぁ。上と連絡取ってた。よく時間稼いでくれたな」




最後の攻撃、柚子葉が喰らいそうな所を助けに入ろうと思っていた矢月くん。

残念、彼女は優秀なので避けます。
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