京ちゃんをちょっと強くしてみた   作:からあげ8

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来週英検二級なのに何してんだ俺。

二話投稿です


プロローグというより高校入学しました

須賀京太郎とは?、と聞かれても知っている人間は少数だろう。

 

その原因は、彼自身が三年前に表舞台で派手にやらかした後、きっぱりと中学の麻雀界から消えているからである。

 

立つ鳥跡濁さずという言葉が一番しっくり合う程の辞めっぷりであったとは、当時京太郎が通っていた麻雀教室の先生の話。

 

 

更に、その容姿を見て分かるものも少数である。

それは、今まで金髪だった髪の毛を黒く染めたせいである。

 

京太郎の金髪は地毛だったりするのだが、あの時の決勝で戦った対局者の中の茶髪のチャラそうな男子を見て、自分はああはなりたくないと思ったのだった。

 

 

その上京太郎の中で金髪とは、ヤンキー、不良、荒くれ者のどれかであると認定していた。偏見である。

 

 

そのような理由で、中学時代の友人と同じ麻雀教室へ通っていた生徒以外で京太郎が中学時代に麻雀で全国優勝した事を知っている人はいなかった。

 

更に加えて京太郎の進学した清澄高校には同じ中学の人は数人しかいない。

 

 

よって、京太郎は目立つことの無く入学式を終えることが出来た。

 

 

 

 

内心ガッツポーズをしつつ教室に向かう京太郎の隣に一人、とある女子の姿が。

 

「京ちゃん、何部に入るの?」

 

茶髪ショート、気弱そうな瞳で、まるで小動物を思い起こされる。

そう、まお…もとい宮永咲である。

 

「おお、咲、居たのか。小ちゃくて見えんかった、スマンスマン」

 

咲の言葉を軽くスルーして、攻撃を加える京太郎。確かに京太郎の182cmと、全国の男子高校生としては比較的高い身長と比べると、咲の155cmはかなり小さい。

 

だからと言って、女子高校生の中ではそこまで小さい訳ではない。

 

「ちっちゃくないもん!」

 

「止めろ咲、そんな事ばっか言ってると訴えられる」

 

「???」

 

京太郎は頭の中にはてなマークの花畑を量産している咲の脳内を思って、溜息をついた。

咲は全く理解できてないようで、何やら少しぼーっとしている。

 

 

「…まあ、分からなくても良いか、咲はそのままの方が良いよな。」

 

「…?まあ京ちゃんがそう言うなら」

 

「咲はそのままの方が可愛いから、頼むからコッチに来ないでくれ…」

 

「……可愛い………。」

 

そう言って頬を染める咲。気のせいか、さっきとは少し違う雰囲気を醸し出してぼけーっとしている。

 

 

その原因を作った京太郎は、全く別の事を考えていた。

 

(麻雀を完全に辞めた後、新しい趣味でも探そうと思ってニコ◯コとか、You◯ube の実況とかの新しい物に手を出したらハマってしまった俺が悪いんだ!だからコッチに来るんじゃないぞ!咲!)

 

どうやらこの三年間で多少腐ったらしい。これでも主人公である。

 

 

 

余談だが、現在20××年、スマートフォンが普及してTwitterやLINEも流行っているこの時、漏れなく京太郎もこれらに手を出していた。

 

実は隠れてニコ◯コやYou◯ubeで撮った実況をアップしている京太郎にはTwitterでは沢山のフォロワーが存在している。

その数14000人、かなりのガチ勢だ。

 

さらにLINEのアカウントも2個持っていて、リアアカと二次アカの二つを使い分けている。

 

まず二次アカの方は友達が約300人ほど存在する。実況を通して知り合った人とコミュニケーションを取るためだ。

それに加え、京太郎は実況者としての知名度はそれなりに売れている。

最近では、実況したゲームの名前をYou◯ubeで検索すると10個目辺りで京太郎の実況がヒットするくらいに。

そんな訳で二次アカの友達の人数は多い。

 

しかし、それとは対象的にリアアカの友達の人数は5人。

5人である。

 

それは別に京太郎が中学時代、クラスで嫌われていた訳ではない。

寧ろ人並みには友達は居た方だった。

 

 

ただ、LINEを始めたのが中学を卒業した後だっただけで、ここまで少なくなるのである。

 

因みにこの5人は、京太郎の両親、宮永姉妹、ロ◯ソンである。少ない。

 

 

 

 

……閑話休題……

 

 

 

 

今日の入学式の予定は、体育館で式を執り行い、そしてその後に各教室でHRを一限行い帰宅である。

 

京太郎は何か険しい顔をしながら、咲は幸せそうな顔をしながら教室に入る。

 

 

まだ教室の中にはあまり生徒はいなかった。

 

 

黒板に書かれていたのは、HRが始まるまで30分あるから、その間に学校の中を見学して来いとの事。

 

後もう一つ、最初は教室の席は自由席らしいとの内容も黒板に書かれている。

何とも自由な学校である。

 

 

京太郎はその黒板の文字をスルーして、手短な席に座り、バックから本を取り出そうとする。

続いて咲も京太郎の隣に座る。

 

 

 

 

「そうだ、それで京ちゃん結局何の部活に入るの?」

 

咲は突然そう聞いた。

京太郎は、別に隠そうと思っていた訳でもなかったので、素直に答えた。

 

 

「咲、それはな、この学校で唯一最も早く学校から帰宅、最も遅く学校に登校出来る部活に決まってるだろ」

 

京太郎は淀みなく言い切る。

それに咲は少し悩むが、突如、ハッ!?と気づいた顔をして

 

「それ帰宅部じゃん!」

 

と大声で答えた。

京太郎はしれっとした顔で、

 

「ああ、そうだぜ?最高だろ?」

 

と返すが、じゃあ少し放課後ちょっと付き合って、と咲が軽く言うと京太郎はその言葉に敏感に反応した。

 

「俺には家に帰っても仕事が……!」

 

 

 

それは勿論、実況動画を上げることである。

 

当然、咲はそんな事を知る筈がないく、ただ勉強して、ゲームしてるだけでしょ?と、有無を言わせない言葉で言い放つ。

 

 

「…仕方ない、今日だけだぞ?」

 

咲の強情な言葉に京太郎は何を言っても無駄ということを無意識に悟り、本を机に置いてスマートフォンを取り出す。

 

そして京太郎はTwitterアプリを開いて、今日の実況動画投稿は遅くなる旨をつぶやき、スマートフォンを仕舞う。

 

この間20秒。中々の早業である。

 

 

「京ちゃん、今スマートフォンで何してたの?ものすごい勢いでキーボード叩いてたけど……」

 

「ああ、ちょっと気になる事が出来たからネットでググってたんだ。」

 

 

この須賀京太郎、咲を腐らせないように嘘を付くのは手慣れたものである。

 

 

「因みに何が気になったの?」

 

「ああ、実はニーチェの永遠回帰論のことが気になってな。ニーチェがどういう気持ちで仮面を被って大学の教授をしていたのか、自分の哲学を貫いたのか、療養が必要になるまでに自分の哲学小説書いたのかとかな」

 

「…う、うん……………?」

 

そのまま咲は机にうつ伏せになる。

 

 

この須賀京太郎、更に言うならば咲の弱いものも中学時代からの経験で把握済みだ。

 

その一つに、自分の全く分からない単語を少し羅列すると、思考回路がショートする傾向にある。

 

咲も趣味は読書なのだが、咲の本は大体が推理小説や恋愛小説だ。ニーチェのような哲学思想の本などは一切読んだことはない。

 

 

因みに京太郎は中学時代に色んな本に手を出した。歴史書や哲学本、キリスト教の新約聖書からユダヤ教の旧約聖書まで。

 

要するにただの中二病である。

 

さらに言うならば、これは表向きの話で、裏では某大手通販サイトであるAma◯onでライトノベルを注文していたりする。

 

 

しかし、京太郎の部屋の本棚にはライトノベルは一冊もない。あるのは参考書と普通の小説だ。

 

では、ライトノベルはどこにあるのか?

 

それは、机の二重底の下や、普通の小説カバーを被せた中身などだ。

 

まるで男子校生がエロ本を隠す時のような徹底ぶりである。

そのお陰というのか、家族にはカピバラ以外にはばれていない

 

唯一カピバラさんだけには、一回京太郎の部屋に侵入した時に偶然読みかけで置かれていたライトノベルを見られてしまった。

 

…まあ動物だから、言葉話さないし、大丈夫、と京太郎は考えている。

 

 

 

閑話休題、閑話休題。

 

 

 

そんな訳で咲の思考を奪うことに成功した京太郎は、何をするわけでもなく普通に読みかけの本を読み始めようとする。ラノベである。

 

 

その本の内容は要約すると、科学技術が発達して人工的に超能力が生み出せるようになり、能力者で溢れた街で、とある無能力者の少年がある日魔術に関わる少女と出会った事でその少年の日常が加速して行く、といった物だったはずだ。

 

 

勿論本屋でもらえるカバーは付けている。

更に、元々のカバーを外し、家にある適当な普通の小説のカバーも付けている。

 

つまり二重装甲だ。抜かりは無い。

 

 

 

そうして本を読んで過ごしていると直ぐにHRを知られる鐘がなった。

 

 

「おい、咲。起きろって、HR始まるぞ?」

 

ついでに思考がショートしたまま眠りについてしまった咲を起こす。

 

 

「……ん?あ…っ、京ちゃん、…おはよう」

 

その時京太郎を見た咲の顔は、瞳がとろけていて、上目遣いで、頬が軽く上気していた。

 

京太郎は突然の事で少し見惚れてしまう。

 

(ちょっと、…いやかなり可愛いな。俺がもっと軽かったら多分、きっと告白して振られてるよ。振られちゃうのかよ俺)

 

 

出来ればずっと京ちゃんとは友達で居たいな、とか言われそうだなちくせう。

 

 

そんな身も蓋もないことを考えつつ、京太郎は前から入ってきた男性教師に目を向ける。

 

 

超絶イケメンだった。

京太郎は思わず滅びろと言いたくなった。

気のせいかクラス内の他の男子の目も冷たくなる。

 

それに比例するかのように女子の目が徐々に輝き始める。

 

 

そして、更にその男性教師がそれに対して少し慌てている所も彼のイケメンさを引き立てている。

 

 

「じゃ、じゃあHRを始めようかー……」

 

あ、こいつ多分新任だ。

 

そう京太郎は断定した。

なので思い切り冷たい目線を送る。

同性のイケメンには冷たい京太郎である。

 

実際は黒髪の京太郎も十分にイケメンである。クラス内で注目を浴びるくらいは。

 

ただ、あの男性教師は京太郎には無い大人の独特の雰囲気を持っていた。それが彼が敵視されてしまう理由の一因だ。

 

 

ただ、咲だけは京太郎の方を向いていた。

 

その理由は別に熱い視線でラブアイズを送るとかではなく、ああ京ちゃん、何かまた下らない事考えてるな、という少し残念な視線だった。

 

 

 

 




沢山の感想ありがとうございます!

次の投稿は遅くなる可能性が高いです。



………本当、英検どうしよか
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