今日の魔女の仕事~魔女達が照らす明日~   作:ジョン5

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魔女と悪霊1

「突然だけど、ウォルタは幽霊って信じるか?」

 

食堂で自らが注文した、カレーライスを平らげたフレイが尋ねた。

 

「突然ね……まあ、信じないこともないけど。なんで、そんなこと聞くのよ?」

 

向かいの席に座ったウォルタが、コーヒーを啜りながら言った。

 

「いやぁ、ウォルタって暗い所苦手じゃん。だから幽霊も怖いのかなって思って」

 

「そりゃあ暗い所は……苦手だけど、幽霊の類は別に怖いと思わないわ。日頃から魔物という化け物を相手にしているせいかしらね」

 

そう言うとウォルタはコーヒーカップに口をつけた。

 

「なるほど、ならこの依頼受けても大丈夫そうだな」

 

フレイはウォルタに一枚の依頼書を見せた。その依頼書を読んだウォルタは一瞬、口の中のコーヒーを噴出しそうになった。

 

「……幽霊屋敷で悪霊退治……ってあんた何、勝手に依頼取って来てるのよ!」

 

ウォルタはフレイから依頼書を取り上げた。

 

「えーいいじゃん、たまにはさぁ」

 

フレイは口を尖らせながら言った。

 

「しかも、なによこの内容……悪霊退治って」

 

「なんか、依頼主の人の別荘に悪霊が出現するらしくてさ、それを追っ払って欲しいんだって」

 

「悪霊って……魔物ですらないじゃない」

 

ウォルタは頭を抱えた。

 

「でも、そいつのせいで困ってる人がいるのは事実だし、退治してあげようよ!」

 

フレイは椅子から立ち上がった。

 

「……はぁ、しょうがないわねぇ。分かったわ、この依頼受けましょう」

 

ウォルタは渋々、依頼書をフレイに返した。

 

「やった! ありがとう、ウォルタ!」

 

フレイは笑顔でそう言った。

 

「……幽霊屋敷ねぇ」

 

ウォルタは天を仰ぐと、深いため息をついた。

 

 

 

 

数時間後、ウォルタとフレイは都市ドマンナカの郊外にある、依頼主の別荘の屋敷にやって来ていた。日はすっかり落ち、辺りには人影も見えなくなっていた。

 

「……なんでよりによって、こんな時間なのよ」

 

屋敷の門の前で、ウォルタは文句を言った。

 

「しょうがないじゃん、明るいうちは悪霊が出ないっていうんだからさ」

 

フレイは依頼主から預かった鍵で門を開けると、どんどん庭の中へと入って行った。

 

「あなた、ためらいないわねぇ。一応、人ん家なのよ」

 

ウォルタも文句を言いながら門を通った。

 

「平気、平気。なんたって悪霊退治のためなら、屋敷内での戦闘も許可してくれるような人だもの……ってウォルタ、本当は怖くて、入りたくないだけなんじゃないの?」

 

フレイがウォルタの方を振り向いてニヤリと笑った。

 

「じょ、冗談! 誰が怖くなんか! とっととドア開けなさい、入ってやろうじゃないの!」

 

ウォルタは顔を真っ赤にしながら、ずんずんとフレイがいる地点まで歩み寄った。

 

「はいよ!」

 

フレイは同じく依頼主から預かった鍵で屋敷のドアを開けた。

 

「おじゃましまぁす……」

 

フレイは小声でそう言って、屋敷の中に足を踏み入れた。

 

 

 

 

「屋敷内は特に変わった様子はなさそうね」

 

辺りをライトで照らしながら、ウォルタが言った。

 

「なあ、ウォルタ、悪霊ってどの辺にいるもんなんだ?」

 

フレイが同じく辺りをライトで照らしながら尋ねた。

 

「そんなの知らないわよ。依頼書に詳細は書いてなかったわけ?」

 

「んーそこまでは……でも悪霊が出現するときには、必ず何か周りの物が空中に浮くって書いてあった」

 

「……ポルターガイストってやつね」

 

ウォルタがそう言ったとき、突如、棚の上に置かれた花瓶が音を立てて揺れ始めた。

 

「ちょ! 何よ!」

 

ウォルタは慌てて腰のホルスターから魔法銃を抜いた。

 

「悪霊か⁉」

 

フレイも剣を取り出して構えた。すると、その花瓶は空中に浮遊し、ウォルタの方に高速で飛んできた。

 

「こいつ!」

 

ウォルタが銃の引き金を引き、放たれた弾丸が花瓶に命中し、花瓶は木っ端みじんになった。しかし、その中の水だけが空中で球体となって、再びウォルタに襲い掛かった。

 

「ぶっ!」

 

ウォルタは球体の水をかわすことができず、ウォルタの顔は水浸しになった。

 

「……随分と器用な真似するじゃない、おかげ様で怒りが恐怖を上回ってくれたわ」

 

「大丈夫か、ウォルタ?」

 

そう言って、フレイはウォルタの顔を覗き込んだ。そしてそこにあった鬼の形相を目にし、フレイは後ずさりをした。

 

「フレイ! その悪霊、何としても引きずり出して、一発お見舞いしてやろうじゃない!」

 

ウォルタは濡れた顔をタオルで拭くと、大きな足音を立てながら歩き出した。

 

「……お、おう! ウチは最初からそのつもりだ!」

 

フレイは恐る恐る、ウォルタの後に続いた。

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