鬼殺の隊士はとにかくモテたい   作:KEA

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こちらも書かねば…不作法というもの…。


5話

 

「――やぁ、よく来てくれたね。夕凪」

 

にこやかに微笑みながら待っていた男性に体を強張らせつつ

俺はその人の正面で正座した。

この人の――お館様――の声には不思議な感じがする。

奇妙な高揚感というか、聞いていて安心する、というか。

 

どうして俺がお館様と直々に出会うことになったのか。

俺は過去の事を軽くダイジェストで振り返った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

選別が終わり、無事に俺の日輪刀が届く。

特別な技巧も頼んでいないごく普通の日輪刀だ。

六芒星の鍔が最高にイカしてますねえコレは。

 

日輪刀、隊服、鎹鴉と鬼殺隊としての必需品が全て揃ったことで正式に任務が始まった。

後は鱗滝先生から貰ったお揃いの羽織に、狐のお面を御守り代わりに首から下げている。

 

鎹鴉の言葉に従い東に西に北に南とあっちで鬼殺こっちで鬼殺。

一日一殺という頻度で任務を行っている。

 

鬼と戦う時は基本的にあのスケスケモードを維持しているようにしている。

何故かというと、あれの有効性が理解出来たからだ。

あれを使うと敵の動きがすげえ見やすくなるんだよね。

筋肉の動きから次はどういう動きをするのかってのもわかりやすく、鬼の次の動きを

潰して頸を斬り飛ばすって芸当もできる。

 

俺からすれば常中してる方がキツイって感じだ。

未だに常中には慣れていない。漸く寝ている時も維持出来るようにはなったんだけどね。

逆にスケスケは集中すりゃ何時でも発動できる。

近くに女の子でもいればもっと使いやすいんだけど。

ほら、わんちゃん服だけが透ける可能性もあるじゃん? 無きにしも非ずじゃん? そう考えるとバンバン発動出来るのよ。

ただそうするとドキドキして体も火照っちゃうからね。

でも火照ってる時ってすっげえ体の調子良いんだよね。

 

前も何か徒党を組んでる珍しい鬼達がいた時も、ホント一瞬で全員の頸飛ばしたからね。

襲われてた女の子を救えたのは良いんだけど、すっげー怯えちゃってたんだよなあ。

鬼ってぱっと見人にも見えたりしちゃうから、彼女達からすれば暴漢に襲われかけたけど

その暴漢共を一瞬で斬り殺したみたいな風に見えちゃったのかもしれない。

さらに彼女達のご両親を救うことが出来なかったから、その点も恨まれているのかもしれない。

もう少し早く来てくれれば両親も助かったかもしれないのに、みたいな。

 

全員カッコよく救えていたら、カッコいい台詞吐いてモテモテだったんだろうけどね。

もう少し、あと数分でも早く来れたらそんな結果になったのかもしれないね。

 

罪悪感から事後処理は隠に任せて逃げるようにその場を離れたのを今でも覚えている。

岩柱の悲鳴嶼さんも似たような経験があるらしく、肩ポンして慰めてくれた。

やめて! 同情なんてもっと悲しくなるだろ。

 

悲鳴嶼さんすっげえ強いんだよね。

これまでに何度か試合したことあるんだけど、せいぜい引き分けに持っていく事しか出来ない。

コレ試合じゃなくて死合だったら殺されてるなってぐらい力量差を感じてる。

水の呼吸で受け流そうとしてもそれごと押しつぶすみたいな。

コップに入った水で人ぐらいの大きさの岩を受け流そうとしているみたいな絶望感。

 

スケスケで見ても筋肉の発達度とか、密度とかがこう他の人と違うんだよね。

先を予想出来ても悲鳴嶼さんの動きに俺の体が付いていけないってぐらい。

 

あと、義勇と錆兎がしっかり合格できたって手紙が届いた。

しかもその年も死亡者ゼロっていう結果だったみたい。

二人で山の鬼半分ずつぐらい殺して仲良く帰ってきたようだ。

 

こわあ……弟弟子だけどこえーよお前ら。

俺だって半分も殺してないと思うよ? 数数えてなかったから覚えてないけどさ。

他の子と連携しつつ倒してたわけだし。

 

他の子の成長の芽を摘んじゃダメだぞ! ほんとに!

 

そんなこんなで俺が隊士となって一年弱? 経ったのかな。

 

そろそろさあ……俺だけの呼吸、欲しくない? って考えたわけよ。

ぶっちゃけ水の呼吸ってめっちゃ多いのよね。

半数くらい占めてるんじゃないかな。大多数の一人みたいな感じな訳よ。

そりゃあちょっとカッコよくないよね。

男の子なら誰だって自分だけの技とか憧れるでしょ。

 

俺だけの呼吸を研究していたんだけど……いやあ難しいねコレ。

呼吸の仕方を少し変えてみるだけでも動きに差が出来てしまう。

技とかは結構思いつくんだけどねえ。俺ってそこら辺の知識は他の人より進んでるからさ。

前世の創作物から持ってきて真似とかもしてるんだけど。流石に物理法則を無視した技とかは真似出来なかったわ。

飛ぶ斬撃とか使ってみたかったけどね、仕方ないね。

 

 

 

 

 

という訳で研究しつつ鬼殺していたら、突然お館様に呼ばれました。

……どういうことなの。過去回想しても分らんわ。

 

「――どうして呼ばれたのか、見当もつかないといった感じかな」

 

お館様の声にハッとして顔をあげ、再び下げる。

 

「も、申し訳ありません。普段通り任務を遂行しているつもりでしたが……」

 

「大丈夫。君を責めるつもりで呼んだ訳じゃないからね」

 

その言葉にホッと安堵する。

気づかない内に何かしら失態を犯していたという不安はこれで消えた。

だって、ねえ? 俺お館様の妻のあまね様の裸体を見ようとしていた訳ですし?

これ他の隊士にバレたら斬首ものよ? 悲鳴嶼さんにバレてみ? 鉄球顔面に叩き込まれるわ。

 

「君に聞きたいのは、君の痣の事なんだ」

 

「はぁ……痣、ですか」

 

痣、痣、痣ねえ……。

はて、なんのこっちゃ?

確かに鬼と戦う内に不意打ちを食らったりして体に痣が出来ることもあるけれど。

多分、お館様が言いたいのはそういうことじゃないんだろう。

 

「行冥から一つ報告を受けてね。彼と試合をした時の話なんだ」

 

「……はあ。確かに悲鳴嶼さんとは試合を時折しておりますが」

 

「――その時、君の頬に痣が浮かんでいたみたいでね」

 

……どうも話の全容が掴めない。

確かに試合をするときは多少の怪我だってする。

それこそ痣くらい出来るだろう。

 

だが、痣が浮かんでいたという表現に首を傾げる。

痣が出来たとかならわかるが、浮かぶってなんだ。

 

「行冥と戦っているときの状態を詳しく教えてほしいんだ」

 

「……はぁ、まあ。それくらいなら」

 

そう言って思いつく限りの事を言う。

心臓がバクバクすること、体が熱くなってくること。

スケスケの事は言おうと思ったが伏せておいた。

バレたら怖いし。

 

「……これぐらい、でしょうか」

 

「うん。そうか……ありがとう、助かったよ」

 

「い、いいえ! これくらい滅相もない!!」

 

ただ、疑問が一つだけ残る。

さっきの質問とその痣というものは何か関係があるのだろうか。

俺の疑問に答えるように、お館様が口を開いた。

 

「始まりの剣士達、歴代の柱の数名――彼らには痣のようなものが発現していたみたいでね。

最終選別の時にあまねが見たかもしれないと君の名前を出したんだ。

それに君の戦いぶりを鎹鴉や隠の子からも聞いているよ」

 

「い、いえ。お館様のお耳に入れるような戦いなど……」

 

「そうかい? 私はそうは思わないよ。全ての剣士の戦いを耳に入れておきたいと思ってる」

 

……本当にお館様は俺たち隊士を愛してくれている。

その思いに応える為にも、戦っているというのもある。

 

「今日はありがとう。お陰で進展したかもしれない」

 

「はっ! また何かあれば直ぐにでもお申し付けください……では」

 

俺は立ち上がってその場を後にする。

部屋を出、廊下を歩きながら聞いた痣について考えていた。

俺が気づいていないだけで、その痣というものは一定の条件で出ているのか?

確かに熱くなる時は総じて調子がいい。

 

これからは呼吸の研究もしつつ、その痣に関しても調べていった方がいいかもしれない。

 

俺なんて柱に到底及ばないし、俺の痣と柱の人に出た痣は別物なんじゃないかなあ。

まあ今日は任務もなさそうだし、考えるのは明日にしよーっと。

英気を養わないとね。

 

 

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