激おこぷんぷんトミー・ポッターくん   作:ぼんびー

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ひさびさに見返した賢者の石でみんな若すぎたので初投稿です。
懐かしすぎてあーナキソ。



19:にがいおくすり

何かが僕の口に流し込まれてる気がする。なんだ? この……なんていったらいいんだ? なんかどろどろした苦みと甘みのある生ぬるい液体が喉に絡みつきながら…しかもすげぇ薬臭をさせながら…んん?? もしかして今、よくわからんなにかが僕の口の中を蹂躙してないか!? 

 

んんんんん!? なに!? は!? なん…まっず!! くそまっず…え、なにこれまっず!!! おええ~っ!!! 

 

反射的に吐き出そうとしたけど、誰かが僕の口を押さえつける。

 

んううぅぅぅ! やめろぉぉぉ!! いまどき薄い本でもなかなか見ないぞこんな…あっ、だめだ白目むきそう! ゲロ味の百味ビーンズよりまずいって! いいく…いきそうほんとに……逝くって!あの世に逝くってぇぇ!!!

 

ごくり。

と、やっとの思いで飲み切って、死ぬほどむせかえりながら周りを見渡せば、そこには薬瓶片手に一仕事終えた感をだしているスネイプ先生が肩を震わせながら立っていた。おい。おい! 笑ってんじゃねーよ!! 僕の親父への私念をどさくさにまぎれて解消してんじゃねーよ! そんなんだから万年陰険教師ランキングで一位とるんだよこのやろう!!

 

なーんて内心のむかつきをおくびにも出さず、僕は猫かぶって事情を聞くわけなんですよ。いや、ほんとに何が起きたんだ…ご飯食べてぼーっとして気が付いたらこれだぞもうわけわかんないわ。困惑している僕に、スネイプ先生はねっとりと事情を説明してくれる。嫌味が多分に混ざりすぎてよくわかんねぇ…。と、とりあえず整理するか、うん。

 

ドリーが僕に愛の妙薬をもりもりして。ハーミーがそれにマジおこして。なんやかんやでわちゃわちゃした挙句に喧嘩になってドリーが倒れたと。えっ?

 

スリザリンがキレまくって、グリフィンドールも負けじとオラついてやべーことになったと。んで一触即発のやばいところにマクゴナガル先生とスネイプ先生が降臨してなんとかしたと。

えぇ…。なんかすごいことになってる。僕はアヘ顔さらしてただけなのに……。

いやちげーわ、アヘ顔さらしたからこんなことになってんだねほんまに草。

 

 

説明が終わり目の間をもみもみしてるスネイプ先生。なんだかこの半年間で老け込みました…? もしかしてお仕事とか、大変な感じ?? 教授職って忙しそうだもんな~ははは。まさかねぇ!

いやぁないとは思うけど裏の事情があんまりうまくいってないとかぁ…ないですよね?? 

 

不安になったものだから、それとなくお疲れですかと聞いてみる。スネイプ先生は眉をひくつかせながら、嫌味をとばしてきた。

 

「今にも魔法を打ち合おうとする愚かものたちを止めるために、どれだけの怒声が必要だったか貴様に体験させてやりたいものだな、トミー・ポッター。なぜマクゴナガル教授があれほど唾をばし、我輩が愛の妙薬の中和剤などという下らんものに貴重な材料を使わなければならないのか…教えてもらえるかな? ああ、貴様はなにも覚えていないようだな。

 

都合の良いことに」

 

あっ…なんかチクチクしてない?

 

「時に我輩は聞きたかったのだ。貴様らポッター姉弟が引き起こす問題でどれだけ我輩たちが尻ぬぐいをさせられているのか……一度でも気にしたことがあるかとな。答えなくていいとも、自覚などまるでない。そう受け取って構わないということだろう?

 

そんな間抜けな質問をしてくるということは」

 

あっ……流行りのチクチク言葉なんじゃないこれ? 怒ってんじゃないこれさあ! 

あ、謝るしかねぇ…真心こめてあやまるしかないってはっきりわかんだね。

 

“ごめんなさい…”

 

僕に謝られてピシリとスネイプ先生は固まり、そしてクソでかため息をこぼした。

 

で、ですよねぇ~…そんな簡単に許してくれるわけないってそれ一番言われてるから。

ただでさえ、仕事やらクィレルの監視やら賢者の石の防衛やらで忙しいのに、アーニーはイタズラ三昧に見せかけて透明マントでなんかコソコソしてるし! 僕は目を離せばトロール事件やら今回やらで騒動を起こすし! そりゃあオコなわけがないっすよねぇ~!! 放っておこうにも個人的な事情でできないっすもんねぇ~…。

 

なんだよ初恋の人から子供守ってほしいって頼まれたからとか…スネイプ先生かわいそう(こなみ)…かわいいね。でもゆるしてほしいにゃん!

僕もがんばってんだからさ、多少はね? ダメみたいですね。あ~終わりだよもう好感度終わり! きっとめちゃくちゃ怒ってんじゃない? やだかなしくってなきそ…。

話題かえてごまかすしかねぇ!

 

他の生徒たちの様子とか聞いてみた!

嫌なことを思い出したと、さらにスネイプ先生の顔がゆがんだ!

 

あぁ~……! 迷惑しかかけてねぇやつね? そういうやつね?

 

なんかめっちゃ憂鬱になってきたな…。ひょっとしてもしなくてもさぁ、寮の対立とかやばくなって……なりそうじゃない? もうぜーったい第三次大戦になってない? 

そりゃそうだよなー…もとからクッソ仲悪いのに、僕とかいう地雷原でハカ踊ったやついるしな…いや僕の意志じゃないんだけど、やらかしたもんなぁ。

 

 

 

今回の件がどう見えているのか勝手に想像してみる。

えーと、もともとグリフィンドールとスリザリンはどっちつかずのトミーくんの矢印がどっち向いてるかでキャッキャ(険悪)と楽しんでいたと。

 

そんななかで、ドリーがプレゼントのお返しってことで僕に首輪をあげると。純血主義の名家の一人娘が、めっちゃ高そうな本命っぽい首輪をあげちゃったと。

はい、いいことですね緑蛇的に考えて。

 

僕はプレゼントが嬉しくてニッコリ。

ドリーは飼い犬に首輪が付いてニッコリ。

スリザリン生徒たちはポッターがマルフォイ家に売約されてにっこりと。

純血主義と魔法界の英雄のカップル誕生だぜイェイイェイ! 

ポッター弟争奪戦、スリザリン大勝利!!!

今後はポッターの弟のほうじゃなくて、ドリーちゃんの飼い犬ってことでよろ♡

っしゃあGG!!

 

 

と…なるはずだったんだけど、それをハーミーが止めちゃったわけだ。

マグル生まれで、めちゃ優秀で、僕との恋仲がうわさされてた天使ちゃんが。

はい、いいことですね赤獅子的に考えて。

 

愛の妙薬をのまされてアヘアヘしてる僕を!

邪悪(赤獅子並感)なマルフォイ家のドリーから!

シュバババッっとカッコよく助けちゃったと!

かーっ!救っちゃったか! 魔法界の英雄の純血主義堕ち…止めちゃったか!!

やっぱ俺たち勇敢な誇り高い騎士イェイイエイ!! 

ポッター弟争奪戦、継続です^^!!

このままポッター姉のほうといっしょにコンプしちゃお♡

んほぉ~EZ!!

 

こんなんお祭りっすわ(笑)。

もう(平穏なホグワーツ生活は)終わりだぁ……!

 

や、まあもちろん教師の目とかもあるから大っぴらにはできないかもだけど…冷戦待ったなしだよこれどーすんだよ…。僕の平穏な学園生活を返してくれよお前らよぉ!!

もとからないだろ? それはそうかも…ってうっせー!

 

はーっ…思わずため息出ちゃった。

つらたにえんだぜ。しかしなー…それにしてもなー不思議。

 

“…どうしてつけれなかったんだろう”

「なんだと?」

 

ヒェッ…ぽつりと漏らした独り言を拾われて僕はもう生きた心地がしないったらない。

 

ち、ちがうんですよぉ~! 

単にこう…今さらじゃない? 的な? 僕とドリーとか毎日ひっついてるし、僕としては首輪ついても困ることとかないし~ぃ! めっちゃおしゃれだったし!?

 

僕の女神様である金髪美少女ドリーちゃんの飼い犬コースとかご褒美以外のなにものでもないんで?? 僕の首に今首輪が付いてないことが不思議でならないみたいなぁ…そういう感じのやつでぇ…他意はないっていうかぁ…なんでもないんです(迫真)。

 

しばらくの沈黙。時計の針の音がやけに響いていた。

 

スネイプ先生は何かを考え込んでいたようだけど、フンと鼻を鳴らして椅子にもたれかかった。

きまず…すぎんだろ…! とっくに夜を示している時計! お前が俺の新たな光だ!

 

“あの、先生。今日は本当にありがとうございました」

「…礼は必要ない」

“でも、遅くまで看てくださったみたいですし。なんといったらいいのか”

「我輩は必要ないと言ったのだ、ポッター。治ったのならさっさと寮へと戻れ。

 

……その顔で礼など言うな、気色の悪い」

 

おいぃ?

 

小声だからって聞こえてんぞお前よぉ…僕がていねいていね丁寧にお礼言ってるってのになんだその反応はよぉ! 事情知らない一般生徒君だったら泣き出してもおかしくないが? わかるわけないんですけど?

 

僕らの父親にいじめられて死ぬほど嫌いだったのに初恋の人をBSSされたとか!

愛憎いりまじったドロドロ感情が向いてるとか! 

そんなんふつーわかるわけないが? 

お前さぁ! 人の心とかさぁ! 考えたことさぁ!!あんのかよ! 

そりゃあるよな!! ごめんね!!

 

いやー、僕が同じ状況になったらもう気が狂うんじゃ。強く生きてな…。

 

“…すみません、気を付けます。”

「…ああ」

“それじゃあ…おやすみなさい。…本当にありがとうございました”

 

言ってやった言ってやったや~い!

 

めちゃくちゃ気まずい空気を残して、僕は部屋を後にした。ほんとに素直じゃないよな~。診療所に叩き込んじゃえばいいのに自分で診てんだもんなこんな遅くまで。クソ忙しいのに起きても追い出しもしないしさ。

 

いやーほんまに優しい寮長だよ。身内びいき身内びいき。なんだかんだ心配はすんだよなあの人。アーニーのこともちらちら見てるし、裏では必死こいてクィレル監視してるし。はーほんとにさぁ…。

 

 

 

そういう心配をもっと表に出してくれればいいのにと、

僕は暗い廊下を歩きながら思いました。

 

 




薬飲まされてる時の絵面やばかったってマジ?
マジです。

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