激おこぷんぷんトミー・ポッターくん   作:ぼんびー

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日ごろのお片付けが大変なので初投稿です。


26:独白 

向かうは薄暗い鏡の間。

そこはすでに闇の中、何が起ころうと葬られる―――

 

だからその前に種明かし。遺書くらい書かせてくれたっていいだろう?

 

賢者の石がみぞの鏡の中にあることを、僕は知っていた。だから盗んだ。あっさりと取り出して、盗んで、そして隠した。どうなったとしてもヴォルデモートの手に渡らないように。ダンブルドアを脅すために。隠し場所がそうそう気がつかれることはないだろう。僕が生きていればよし。死んでいても大丈夫だと思う。あの子は贈り物を大切にしてくれるだろうから。灯台のもとは暗いものだ。賢者の石についてはもう考えなくていい。とうに終わったことだ。

 

あとはクィレルを殺すだけでいい。そしたらあの搾りかすみたいな亡霊も、風に吹かれてどこかに消えていくだろう。しばらくの間はあの汚らしい顔をみなくて済む。問題は、殺すなんて言うだけなら簡単にすむってことだ。正面から打ち倒すことも、こっそりと始末することも…どちらもリスクまみれの危険な選択肢だ。だからダンブルドアは奴を野放しにしている。スネイプ先生に監視をさせて、事後的に対処をする形で済ませている。こうして学期末まで暗闘が長引いたのだから、有効な手立てだったんだろう。そのまま何も起こらないと知っていたら、僕だって見て見ぬ振りができたというのに。

 

進級試験の最終日、アルバス・ダンブルドアはホグワーツを離れることになる。クィレルは、ヴォルデモートは禁じられた廊下の先に向かいみぞの鏡にたどり着く。アーニーはそれを追って奴と対峙することになるだろう。運命とやらで決まっているから。そうなるように仕向けたい奴がいるから。そしてアーニーは僕を守りたいから。冗談じゃないね、そんなこと僕がみとめるわけがない、許すわけがない、譲るわけがない。手を汚すにふさわしいのは僕だ。片割れを守る権利があるのは僕だ。アーニーにそんなことをさせてなるものか。

 

望みを写すみぞの鏡。アーニーは幸せな家族を見た。僕は焼け落ちる敵たちを見た。どちらがふさわしいか、わからないなど言わせない。僕のほうが怒っているんだ。僕に権利があるんだ。拳を振り上げる権利を持つのは僕だ。君になんて渡すものか。いとしいアーニャ。わかるだろう?大事な君にこんな穢らわしいものなど、決して譲りなどしない。だから、僕がやる。そのためならばなんだってすると決めたんだ。

 

そのためにドリーを利用しようとした。マルフォイ家を利用するために。父親のルシウス・マルフォイも、母親のナルシッサ・マルフォイも、家族を…ドリーを守るためならなんだってするだろう。僕はそう信じている。だから何も知らないドリーを抱き込んで、誑かして、アーニーの傘に仕立て上げようとした。ドリーと僕が切り離しようもないほど深く結び付けば、彼らは僕もアーニーも守らざるを得なくなるから。僕は結局、耐えられなかったけれどね。ごめんね、ドリー。打算尽くしで始まった関係は、お互いを動けなくしただけだったね。本当にごめんよ、僕の飼い主、女神様。もう尻尾は振ってあげられない。

 

ハーミー、そんな打算まみれの嘘をついていた僕が君のことが好きになってしまったと気づいたとき、どれだけ罪悪感と自己嫌悪にまみれたことだろう。あまりに君がまぶしかった。君と話すと、僕はまるで子供のように心が弾むんだ。だから、君が大広間で僕のために怒ってくれたとき、僕はとてもうれしくて。でも、とても死んでしまいたかったよ。触れてはいけないと知っていたのに。白々しい嘘にまみれた手で青い鳥に触れようとした報いを受けた。ほんとうに…君に好きだと言いたかった。唇に残った君の感触は、僕の気持ちを奪い去ったよ。君が恋しいよ、ハーミー。打ち明けることすらできないくらいに。

 

ああ、ついぞ僕は誰も頼ることはできなかった。どうか僕を責めないでくれ。自分よりも大切なもの。護られていてほしいもの。そのためなら人はなんだってすると、僕は知っているんだから。

 

そうでしょう、スネイプ先生。僕はわかっていてあなたを傷つけました。そこから動けないと知っているのに、どうしようもなく腹が立ったので。さぞ苛立ったことでしょう。僕らを守ってくれだなんて縋りつかれても、これ以上何もできやしないのにね。ほら、そんなところで立ってないで、こっちに来て助けてくれと。さぞ僕は何もわかっていない子供にみえたことでしょう。罵られても不思議じゃなかった。けれど、あなたは僕を責めなかった。その優しさが僕は嬉しくて、同時にどうしようもなく苛立つんです。本当に言ってほしかった。お前を守ると、お前たちを守ると声に出してほしかった。

 

子供のわがままみたいだと笑ってくれてもいいさ。どれだけ大人ぶったところで、僕なんて所詮、そんなもの。そう割り切れない奴もいるみたいだけどね。

 

ダンブルドア。お前には僕が何に見えているんだろうね。けど、少なくともいい子には見えていないわけだ。だからサンタクロースは僕に何も渡さない。そうとも、ご明察。透明マントなんてもらってたら、僕は真っ先にクィレルを、敵を殺すことに使うだろう。魔法なんて使わずに、キッチンからとっても鋭い包丁でもくすねてね。そしてお前はそれを止められなくなる。僕はお前にとっての怪物になる。自分の身も、計画も脅かす怪物に。人のことをよく見てるね、昔やらかした失敗のせいかな。はっ、どうでもいいか。卑怯者のクソ野郎。僕らはそっくりだと思わないか。お前がなにを考えているかわかるよ。この臆病者め、大嫌いだ。

 

偉大なる魔法使い様の言うように、きっとあいつらは…いや、ヴォルデモートは強いんだろうな。いったいどれだけの人が奴に挑み、そして死んでいったんだろう。その恐ろしさを僕は知らない。紙面上でなく、画面上でなく、自分の身に降りかかる脅威としての奴の恐ろしさを、僕は知らない。クィレルに殺されかけただけで、僕は悪夢をみるようになった。自分の身に殺意が降りかかる恐ろしさなんて僕は知らなかった。誰もこんなことは知らないほうがいいんだ。アーニーも、ハーミーも、ドリーも、こんな恐ろしさを知らないでいてほしい。だから、僕がやる。奴は、闇の帝王は僕が殺す。みぞの鏡の間に誘い出して、殺してやる。

 

 

なーに、闇の帝王がなんぼのもんだってんだい。ほら、僕だって負けてないって。ハロウィンの夜、トロールを殺したあの魔法。撃ち方は身にしみてわかっている。撃たれた奴がどうなるかも。練習なんて必要なさそうだ、ぶっつけ本番一発勝負でも問題ない。簡単なことだ。杖先を向けて、魔法を当てて、相手は死ぬ。エターナルうんぬんかんぬんみたいなもんだ。悪くないね、悪くない。愛の呪い以外、身を守るすべがないアーニーよりもよっぽどましだ。アーニーよりも僕のほうが強い。どんな奴もワンパンできる僕は世界で一番強いと言っても過言ではない。楽勝だって、楽勝。おいおい瞬殺だよってやつを見せてやるさ。なんたって僕は人生2週目のチート人間なわけですしおすし。きっと大丈夫さ。

 

 

後はなんだ? 僕の在庫目録に書いておかなきゃいけないことはなんだろう。ああ、そうか。僕のことを書かなくちゃいけないのか。

 

 

結局のところ、僕はわがままで怒りっぽいやつだったな。なんでもかんでも思い通りになれと願いながら、大人ぶって一人で抱え込みながら、どうして思い通りになってくれないんだろうとわめきちらしてる。はたからみればさぞ滑稽なことだろう。守れるだけの力もないのに、他の奴はとうに諦めた無理をなんとかしようと空回りしている。怒って、あたりちらして、勝手に傷ついている。意味もないのに、何にもなりはしないのにね。しまいにゃ頭がおかしくなって、こうして自殺まがいのことをする。迷惑千万のろくでなし。けど、僕はそうするしかないんだ。そうしてあげないと、あんまりにも悲しいじゃないか。

 

マッチ売りの少女は震えずに幸せに暮らしました。

 

赤ずきんとおおかみは森で出会い親友になりました。

 

ヘンゼルとグレーテルは両親に愛されて幸せに暮らしました。

 

そんな話があってほしいと、僕は子供のころに願ったんだから。そう信じていてほしいと、僕は大人になってから思ったんだから。たとえありえなくとも…誰も信じなくても、自分くらいはって足掻いてわめきたいんだから。

 

 

あぁ、疲れたな。

怒って、怒られてばかりで本当に疲れた。

ぜんぶ夢みたいに済んでくれたら楽だったのに。

なんて無力な僕の身体。なんて愚かな僕の心。

どうにもなりはしないのなら、せめてうやむやな幸せが続いてくれればよかったのに。

 

 

いつかの終わりがやってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 




けっきょく選んだのは単独討伐ルートとかこれマジ?
マジです。
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