『譎詭変幻』まさみゃ〜の二次創作設置所(*´ー`*)   作:まさみゃ〜(柾雅)

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やっとでけたぜ……( ΦωΦ)


スズメとオオカミの怪異調査相談室の恋愛?小説

 ××山には人喰い鬼が住んでいる。という、噂がある。しかしその噂は地元の人の年配の者が知っている程度で、もはや知っている人がいないと言っても等しいもの。その山でとある少女が遭難してしまった。

 少女の名前はカエデ。日が暮れたのにも関わらず、フードを深く被って視界を狭めている。

 

「……はぁ、マジで何処だここ……」

 

 ここまでも経緯は至って簡単。偶々隣町に用があり、そのためにバスで山を越えたはいいものの、偶々帰りのバスで乗客が自分一人で、暑かったために窓を開けて涼んでいたところでバスがガードレールに体当たりし、崖から転落した時に窓から放り出されたのである。

 

「窓から放り出されるし、ケータイはリュックと一緒にどっか行ったし、迷ったし……はぁ……」

 

 と、ここでカエデの嗅覚が何かを捉えた。

 よく煮込まれたスープの香り。山菜と臭みをちゃんと取った肉の旨味が容易に想像できる。カエデはその香りに誘われるように歩み始めた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

「……こんな場所に明かりのついた小屋……助かった……」

 

 暫くして辿り着いた木造の小屋。早速カエデはその戸を叩いた。

 出てきたのは鳶色髪の美が付くほどの少女。

 

「あら? こんな遅くにどうしたのかしら?」

「実は……」

 

 カエデは今に至るまでの経緯を彼女に話した。

 

「……そう、そんなことがあったのね。もし、良ければ今晩は泊まってはいかがかしら?」

「いいのか!?」

「ええ、寧ろ泊っていって!」

 

 カエデはおのれの幸運に感謝し、スズメと名乗る少女んお小屋に泊まることにした。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 居間に通される。そこでは更に空腹の腹に刺激を与えるほどの香りがある。強くなった香りにカエデの腹の虫が鳴いた。

 

「あ、す、スミマセン……」

「あら、お腹を丁度空かせていたのね。なら、貴女も一緒にどうですか?」

「お、お言葉に甘えて……あはは……」

 

 

 

 出されたのはやはり外で匂ったものと同じものだった。

 

「羊肉のスープだけど……どうぞ」

「羊肉……初めて食べるな……いただきます」

 

 まずは汁を一口。素材の旨味が凝縮された、無意識に箸をすすめてしまうほどのもの。肉の臭みも無く、スズメ特製羊肉スープはカエデが気が付く頃には完食してしまっていた。

 

「……あ、いつの間に……」

「あらあら~。まだたくさんあるから安心していいわよ?」

「!! そ、それじゃあオカワリお願いします……!」

 

 こうしてカエデは、満腹になるまでスズメのスープを味わった。

 

「あら? 頬っぺたに何か……」

 

 カエデの左頬にスズメの顔が近付く。そしてスズメは、カエデの頬を吸った。

 突然の事にカエデは持っていた木製のお椀を落とし、腰を抜かした状態で壁に背をぶつけるまでに後退った。そして左頬を軽く手で押さえて今さっき起きた事の整理し始める。

 

「な、なななっ!?」

「ごめんなさい。気の所為だったわ」

 

 スズメは妖艶に笑う。しかしカエデは未だにさっき彼女が自分にした事の理解が追い付いていない。

 

「風呂はもう沸かせているわ。私は食器を洗うけれど……一緒に入る?」

「ひ、ひひ一人で結構デス!」

 

 カエデは彼女から逃げるように、その場を離れた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 カエデが湯浴みから上がると、スズメはもう布団を敷いてくれていた。

 

「今日は本当に助かった……ありがとう」

「気にしなくていいわ。それではおやすみなさい」

 

 そう言ってスズメは部屋を出た。

 

「……取り合えず耳見られなくて良かった……はぁ」

 

 カエデが頭にかぶせていたタオルを退かす。そこには立派生えた狼の耳があった。

 

「明日は……帰れるかねぇ……」

 

 考えても仕方ないと思ったカエデは布団に潜る。そして織で歩き回っていた疲れからか、すぐに意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小鳥の囀り声が耳に入ってくる。

 

 

「……ん」

 

 寝返りを打つを、ふっとした違和感にカエデは瞼を開けた。

 

「あ、おはよう。よく眠れたかしら?」

 

 視界にスズメの姿が映る。しかし手足が何かに縛られているようで少しは動かせるが、それ以上の自由はない。体を起こして確認すると、手足が縄で縛られていた。

 

「……どうなってるんだこれ」

「可愛らしい耳だったわよ?」

「っ!? おい、これはどういうつもりだ!!」

 

 カエデはスズメに問いかける。

 

「どういうつもりって……? そうねぇ、この山の噂はあなたは知っているかしら?」

「噂……?」

「そう、噂」

 

 スズメは人喰い鬼の噂を話し始める。そして、その正体が自身であることも。

 

「つまり、お前は俺を(物理的に)喰うつもりで止まらせたってことか」

「ええそうね、初めはそうしようと思っていたのだけれど……今は違うわ。でも(性的に)食べるわ」

 

 カエデは自身の背筋が凍るような感覚を覚えた。

 

「いいからこの縄を解け!!」

「……そう。あ、そういえば昨晩の両脚羊(ヤンシァウロウ)のスープ……美味しそうに、しかも沢山食べてたわね?」

「両脚羊……何の羊だ?」

「あら? 噂の話をしたのにまだわからないのかしら?」

「人喰い鬼の噂だ……ろ……おまっ!?」

 

 昨晩のスープの肉の正体を知ったカエデは吐き気を覚える。

 

「取り合えず……今、貴女が生きていられるのは私に目的があるからなの」

「目的……?」

「そう、目的。貴女には私の番になってもらうわ」

「……嫌だって言ったら?」

 

 スズメの顔がカエデの首筋に近づく。

 

「昨日で丁度お肉を切らしちゃったのよねぇ……あ、丁度ここに一つあったわね」

「……っ!?」

「少し……味見してみようかしら。それじゃあ……いただきます、はむっ」

 

 カエデの首筋をスズメが甘噛みする。そして、少し吸った後に口を離し軽く舐める。

 

「ダイジョウブ。今はまだ、待ってあげる。でも、早く決めて頂戴ね?」

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

「っていう小説を書いてみたのだけれどどうかしら?」

「なんじゃこりゃ!!!! てか、恋愛小説と言える内容じゃねぇよ!!」

 

 梅香家香緒理(うめがえかおり)の自称恋愛小説を最後まで読んだカエデは地面に束ねられたその原稿を叩きつけた。

 

「てか、なんで俺にそんな要素を!」

「だって……可愛いし似合いそうだと思ったから……」

「私もそう思うわ!」

「うわっ!? おま、いつの間に!?」

 

 いつの間にか例の恋愛小説を読んでいたスズメにカエデは驚く。

 

「ねぇ、この小説製本してくれるかしら? 家に置いておきたいわ!」

 

 

 その後は、製本された小説がスズメに渡されてこの話は幕を下ろす。今日も、スズメとオオカミの怪異調査相談室は平和である。

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